3.五月闇
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しばらくして、アイリスはノエルのお墓の前から立ち上がった。
「気は済んだのか?」
「…はい。 伝えたいことは伝えました。 …それに…」
アイリスは微笑んだ。
「ノエルは夢の中で会いに来てくれますから」
「……そうか。 あ サンドイッチ食べるか?」
アイリスは首を横に振った。
「あまりお腹は空いてないので…。 …それに 夕食を作って待ってくださってる方がいますから」
「…それなら この昼食だって同じだろ?」
「! ……そうですね」
アイリスは微笑んだ。
「では 頂きます」
「ああ」
こうして 笑ってくれる様にはなった…
アイリスは青雉と共に昼食を食べ始めた。
「ベックマン様の作る物は何でも美味しいですね」
「いいね~ 毎日毎日 美味しいものを食べれて…」
「海軍食堂だって美味しいじゃありませんか?」
「たまに食べる分はいいかもしれねェけど…、毎日 同じ様なメニューだからな…」
「作っている方がいらっしゃるんですから失礼ですよ?」
「そうだけど…あーあー 腕のいい料理人が3人もいるんだから1人くらい借りたいもんだよ」
「…でも “働かざる者 食うべからず”…ですよ?」
「あーらら それ言われちゃ何も言えないわ…」
「ふふふっ」
また笑った…
…彼女も…少しずつ変わっているのかもしれないな――…
「そろそろ 帰るとするか」
「はい」
アイリスは笑った。
「………」
いい表情…
…だが……彼女の本当の表情は、ここに来る度に悲しみを増している気もする……
まるで…作り笑いをしているかの様に―――…
ノエルに別れを済ませたアイリスと青雉は島を後にして 帰路についた。
アイリスは島を見ていた。
「………」
さようなら ノエル……
また 来ますね―――…
――夜、アイリスはエスポワール島に帰ってきた。
「クザン様、キャメル様 ありがとうございました」
「ああ」
「キュエ!」
アイリスは青雉の手を借りて キャメルから降りた。
「城まで送るか?」
「大丈夫です。 クザン様と外出していた事がバレてしまうと 皆さんに心配かけてしまいますので…」
「……そうだな」
そんで 俺は暗殺されそうになる訳だな……
アイリスはクザンとキャメルに微笑んだ。
「今日は本当にありがとうございました。 帰り お気を付けて下さいね」
「ああ。 アイリスも早く休めよ」
「はい!」
青雉とキャメルを見送ったアイリスは、途中で迎えに来たエルリオンと共に プリエール城に帰ってきた。
「お帰り」
「ベックマン様! 只今 戻りました」
「長旅で疲れただろ? ゆっくり休め」
「はい。 ありがとうございます」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ベックマンは背を向けて歩き出した。
「ベックマン様!」
ベックマンは立ち止まって 振り向いた。
「今日はありがとうございました」
「…気にするな」
ベックマンはそのまま背を向けて アイリスの部屋から去っていった。
眠る支度を済ませたアイリスは、窓から海を見ていた。
「…キュィイ…?」
「!」
アイリスは心配そうにしているエルリオンを見た。
「…そうですね。 もう寝ないと…」
アイリスは再び 海に視線を戻した。
「………」
「………」
エルリオンはアイリスに寄り添った。
「…エルリオン?」
「キュイィ」
「! ………」
アイリスはエルリオンを撫でた。
「…ありがとう エルリオン……」
貴方はずっと私の傍で 励ましてくれる……
まるで…ノエルの代わりの様な存在―――…