3.五月闇
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モニター心電図の音がピー ピーと手術室に鳴り響いていた。
「どうしてっ!?」
アイリスは蘇生を必死に行っていた。
「逝かないで ノエルっ!! 戻って来てっ!!」
ピ――――………
だが 危険を知らせる音は絶望に近づいた。
「いや―――っ!! ノエル――――っ!!!」
その瞬間、アイリスは飛び起きた。
「……夢…」
そうか…今日は貴方との別れの日……
アイリスは瞳を閉じた。
貴方が亡くなった…いや……私が助けられなかったあの悪夢の様な日……
アイリスの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「っ!」
その時、手首の傷痕が疼いた。
この時期になると…傷痕が痛み出すけど…
…命日である今日は一段と痛む……
その時、ベッドの横の椅子に座って眠っている青雉に気づいた。
クザン様 ずっと見守ってくださってくれたのですね……
その時 青雉が目を覚ました。
「……あれ アイリス……気づいたか?」
「…はい。 …ありがとうございました」
「…ところで 今何時だ?」
青雉は眠たそうに目を擦った。
アイリスは部屋の時計を見た。
「あ…5時みたいです」
久しぶりにゆっくり眠れた気がする…
「5時!? 道理で眠いわけだ…」
そう言って 青雉は欠伸をした。
「ふふ…クザン様にしてはかなり早起きじゃないですか?」
「5時とか人間が起きる時間じゃないよ…」
そう言って 青雉は再び欠伸をした。
「…支度は……出来てなさそうだな……」
少し目が覚めた青雉は頭を掻いた。
「…すみません…。 昨日 お茶会の後に……そう言えば ルフィ様達は?」
「とりあえず 家に帰らせた」
「……そうですか」
「かなり心配してたから 行く前に少し寄ってくといい」
「はい。 時間があまりないので 急ぎますね」
「俺はいつでも行けるから、もう少し寝てるわ」
そう言って 青雉は横になろうとした。
【少しは手伝ってやればいいものを】
「「!」」
アイリスと青雉は声の主を見た。
部屋の入口にはベックマンが立っていた。
「ベックマン様」
ベックマンはアイリスと青雉のもとに歩み寄ってきた。
「体調はどうだ?」
「…大丈夫です」
「あんたも随分と早起きなもので…」
「料理には仕込みが大事だからな」
ベックマンはアイリスに花束とかごを差し出した。
「花と昼食だ」
「ベックマン様 用意してくださったんですか!?」
「昨日の状態じゃ準備なんてできないだろうと思ったからな」
「…ありがとうございます。 助かりました」
アイリスは花束とかごを受け取った。
「では 行ってきます。 ベックマン様、エルリオン 皆さんのこと頼みますね」
「気をつけて行ってこいよ」
「はい」
支度を済ませたアイリスは青雉と一緒にプリエール城を後にした。
今日は雨が降ってないのですね
そして、三兄弟の家を訪れた。
「流石にまだ起きてないですよね?」
三兄弟の家は静まり返っていた。
アイリスは玄関の前辺りにある棚に置き手紙を置いた。
「じゃ 行くか」
「はい」
アイリスは三兄弟の家に振り返った。
「また…お茶会誘ってくださいね」
島の中で誰にも会わなかったアイリスと青雉はエスポワール島の海岸にやって来た。
「キャメル 待たせたな」
「キュエ」
「1年ぶりですね キャメル様。 今日もお願いしますね」
「キュエエ!」
キャメルは嬉しそうに笑った。
青雉はキャメルに乗った。
そして アイリスに手を伸ばした。
「滑るから 気をつけてな」
「ありがとうございます」
アイリスは青雉の手を借りて キャメルに乗った。
そして アイリス達はエスポワール島を後にして ノエルのお墓がある島に向かった。