2.春日影
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アイリスとシャンクスとミホークは野原で日向ぼっこしていた。
「お日様が暖かくて 風が心地よいですね」
「だろ? だから すごく眠くなってくるんだよな…」
そう言って シャンクスは欠伸をした。
「ふふふ そうですね。 シャンクス様とミホーク様の好きな季節はいつですか?」
「う~ん…夏かな…」
「…ミホーク様は?」
「考えた事もない」
「…そうですか…」
「……だが 春と秋は過ごしやすい」
「……はい」
アイリスは微笑んだ。
「因みに アイリスはいつが好きなんだ?」
「…私は……」
アイリスは瞳を伏せた。
「…梅雨以外は…全部好きです」
「…梅雨以外?」
「………」
「まァ 確かに梅雨は外に出たくなるよな…」
シャンクスはミホークを見た。
「ま ヒッキーには関係ないかもしれないけど」
「……赤髪」
ミホークは羽帽子を上にあげ シャンクスを睨みつけた。
「だって 本当の事だろう? な アイリス?」
そう言って シャンクスはアイリスに視線を戻した。
「…え!?」
「アイリスだって さっき言っただろ? 鷹の目が外に出てるのは珍しいって…」
「! ………」
アイリスは恐る恐る ミホークの顔色を伺った。
ミホークはため息をついた。
「アイリスを巻き込むな…」
「なんだよ 鷹の目はアイリスに甘いよな…」
「それはお前も同じ事だ」
シャンクスとミホークは言い合いを始めた。
「シャンクス様! ミホーク様!」
アイリスの入る隙はなかった。
「――アイリス どう思う? …って 寝ちゃってる……」
しばらく言い合いをしていたシャンクスとミホークがアイリスを見ると 気持ち良さそうに眠っていた。
シャンクスとミホークはしばらくそっとしておく事にした。
「……どうする?」
「“どうする?”とは どう言う意味だ?」
「いや このままずっと寝かしておくのもあれだと思うけど…起こすのも可愛そうだし…」
「………」
「俺 この間の花見の件もあって、目 付けられてるし…何か いい策…… あ!」
その時、シャンクスの目に通りかかった人物が入った。
その頃、アイリスは夢を見ていた。
「もうだいぶ散ってしまったけど、今年も桜が綺麗に咲いて良かったね」
「ええ…とっても…」
「…気温もだいぶ上がってきてたけど、体調は崩してない?」
「…大丈夫よ。 ありがとう ノエル」
ノエルは笑った。
「もう少ししたら 夏がやって来るね」
アイリスは瞳を伏せた。
「……ええ…」
「姉さん 意外と夏 好きだったよね? 一緒にお祭りに行った時、すっごくはしゃいでいたの 覚えてるもん」
「……そうだったかしら…」
「うん!」
ノエルはアイリスの手を取った。
「今年も楽しい夏祭りになるといいね!」
「……そうね…」
…でも その前に……梅雨がある………
あなたを失ったあの…大嫌いな季節が―――…
そこで アイリスは目を覚ました。
「!」
その時 アイリスの体にふわふわの物が触れている事に気付いた。
【起きたかい?】
アイリスは驚き 上体を起こした。
「マルコ様!?」
ふわふわの正体は鳥型のマルコの翼と体だった。
「…風邪引きそうだったからよい…」
マルコは人間の姿に戻しながら そう言った。
「…すみません。 ありがとうございます」
「これくらい いいって事よい」
「…ところで シャンクス様とミホーク様は……?」
「あいつらなら帰ったよい…。 用事があるとかでな…」
どうせ 嘘だろうがな……
「……そうだったんですね…。 すみません。 マルコ様の貴重なお時間を使わせてしまって…」
「大した事ねェよい」
あんたの寝顔が近くで見れて 満足だよい
「…お身体 冷えてませんか?」
「平気だよい」
アイリスはマルコの腕に触れた。
「!」
「…温かい」
「…鳥って言うのは…体温が高いんだよい」
まあ 俺のは少し違うかも知れねェけど…
「…でも…」
アイリスは心配そうな目でマルコを見ていた。
「…なら…」
マルコはアイリスの耳元に口を近づけた。
「…アイリスが温めてくれるかい?」
「……え…?」
アイリスは目を見開いて 固まってしまった。
少しして マルコは笑った。
「冗談だよい」
「………」
アイリスはマルコにそっと身体を預けた。
「!」
「……これで…少しは温かくなりますか……?」
そう言ったアイリスの顔は少し赤く染まっていた。
「! ………」
マルコは鳥型に姿を変えて 翼でアイリスを包み込んだ。
「…マルコ様…?」
〔……こっちの方がお互いに温かいだろう…〕
「……はい」
そう言って アイリスは鳥型のマルコに抱きついた。
〔! ………〕
この姿だからいいんもんだが…
実際を考えると…照れるよい…
何せ 俺たち…抱き合ってる事と同じだからな――…
まだ少し冷たい春の夜風が髪と羽根をなびかせていた。