2.春日影
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一方、サッチはハートの海賊団の家のローの部屋にお邪魔していた。
「あの様子だと、ベックマンもアイリスの過去を詳しく知っていそうだったな」
「ああ」
サッチとローは、アイリスとハンコックの話を隠れて聞いていたのを ベックマンに見つかった時の事を思い返した。
「ベックマン! 脅かすなよ…」
「お前も 盗み聞きか?」
「俺はそんな事しない」
ベックマンはたばこに火をつけた。
「アイリスの過去を探る お前らをつけて来ただけだ」
「「………」」
ローはサッチにコーヒーを出した。
「サンキュ」
「アイリスの傷…最近のものではなかったな」
「傷痕も1回だけだったみたいだな」
「だが あんなにくっきり残っているのは かなり深く切ったと言う事だろう…」
「! それってつまり…」
ローはコーヒーを一口飲み コップを置いた。
「あの深さ……死を覚悟して切った傷痕だ…」
「……やっぱり そうなるか……」
サッチは瞳を伏せた。
…一体…彼女の過去に何が―――…
「てっきり お二人が喧嘩をされているのかと思って 心配しましたよ」
「すまん」
アイリスはマルコとベックマンをプリエール城に招いていた。
アイリスはマルコとベックマンにコーヒーを持って来た。
「…それで 何の話で揉めてらしたのですか?」
「「!」」
コーヒーが入ったカップへ手を伸ばす マルコとベックマンの動きが止まってしまった。
「……ごめんなさい…聞いてはいけない話でした様ですね」
「…いや そう言う訳では…」
「安心してください。 話の内容は聞いてませんので」
そう言って アイリスは微笑んだ。
その後、納得いかない様子のまま マルコは自分の家に帰っていき、プリエール城にはアイリスとベックマンが残っていた。
「悪かったな…」
「え?」
ベックマンは頭を掻いた。
「…お頭が…お前を傷つける事を言っただろう……」
「……その事ですか…」
アイリスは一瞬 瞳を伏せた。
「大丈夫ですよ。 …気にしてませんから」
そう言って アイリスは微笑んだ。
「……なら いいんだが…」
そうやっていつも無理に隠そうとする……
綺麗な笑顔の裏にある 表情と感情を――…
その頃、マルコは白ひげ海賊団の家の近くまで来ていた。
【マルコ 浮かない顔してどうした?】
「!」
マルコは振り返った。
「…サッチ…」
「よっ!」
サッチは片手を上げた。
「へぇー ベックマンがね…」
「………」
「聞いた話だと、赤髪海賊団がこの島に住んでから もうすぐ1年経つんだろう? 俺たちよりアイリスと一緒にいた時間も長いんだから アイリスの事知ってて当然だと思うけど…」
「…それはわかってるよい」
「……まァ 確かにマルコの気持ちはよく分かるけど…」
気になってる女の事は誰よりも知りたいと思うからな 普通…
サッチはローに言われた言葉を思い返した。
“アイリスの傷痕の事は誰にも口外するな”…か……
まさか アイリスが自殺未遂してるとは考えもしねェだろうし…
こんな事、軽々しく言えねェよ…
サッチはマルコを横目で見た。
アイリスの事を気になってるマルコには尚更 教えてやれねェし…
サッチはマルコの肩を組んだ。
「まっ、あんまり深く考えるなよ」
「……ああ…」
アイリスはベックマンを見送っていた。
「今日は夕食の準備等 ありがとうございました 住人が急に増えて 大変だったでしょう?」
「ああ。 大した事ない」
「なら 良かったです」
「次は 夏の行事だな」
「はい! ……その前に“梅雨”がありますけどね…」
そう言ってアイリスは悲しそうに瞳を伏せた。
「……そうだな…」
…“梅雨”の話になると アイリスは悲しい表情をよくする……
…彼女にとって…一番残酷で悲しい季節なのだろうな―――…