2.春日影
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アイリスとエルリオンはプリエール城を出た。
【具合はどうだ?】
「っ!」
アイリスはびくっとして 恐る恐る声の主を見た。
そこには城の壁に寄り掛かりながら たばこを吸っているベックマンがいた。
ベックマンはたばこの火を消した。
「悪い。 脅かすつもりはなかった」
「……いえ…。 ベックマン様 私に何か御用ですか?」
「これを返してなかった」
そう言って ベックマンはブラックカードを差し出した。
「明日でもよかったですのに…。 わざわざすみません」
アイリスはブラックカードを受け取った。
「…いや 大して待ってないから気にするな」
そう言ったベックマンだったが 実はアイリスを心配してかなり前から立っていたことをアイリスは知らない。
「まだ夜は少し肌寒いですから お気をつけくださいね」
「ああ アイリスもな。 ところで 白ひげにプラチナカードは渡したか?」
「あ…まだです。 これからちょうどサッチ様のところに行くので 渡してきます」
「それなら俺もついて行こう」
「…いえ 大丈夫ですよ? ベックマン様からの家へは遠回りになってしまいますし…」
「明日の夕食の相談もある。 それに 体調も万全ではないんだろう? 道端に倒れられては困る…」
「…そうですか……では お願いします」
「ああ」
アイリスはエルリオンとベックマンと共に白ひげ海賊団の家に向かって歩きだした。
しばらくして 白ひげ海賊団の家に着いた。
アイリスはドアをノックした。
【こんばんは。 アイリスです】
「「「アイリス!?」」」
マルコ達は慌ててドアを開けた。
「アイリス 大丈夫なのか!?」
「ご心配をおかけしました。 もう大丈夫です」
そう言って アイリスは微笑んだ。
「そんなとこで立ってないで 中に入って… ! ベックマン?」
「悪いな。 明日の夕食のことでサッチと相談したいんだが…」
「じゃあ あんたも中に入ってくれよ」
「いや いい。 すぐ終わる。 アイリスは冷えるから中に入ってな」
「はい」
アイリスは家に入り、ベックマンとサッチは外で話していた。
「小娘 体調は良くなったのかァ?」
アイリスは白ひげを見た。
「お蔭さまで良くなりました。 あ 白ひげ様 これを」
アイリスはプラチナカードを差し出した。
「各海賊様にお渡ししている物です。 航海に行った際の会計にお使いください」
白ひげはプラチナカードを受け取った。
「持っているのは俺じゃなくても 白ひげ海賊団なら誰でもいいんだなァ?」
「はい 構いません。 …貴重なカードですし お金も絡んでくるので しっかりした方ならですが…」
白ひげはマルコにプラチナカードを差し出した。
「マルコ お前が持ってろ」
「わかったよい」
「わかってると思うが エースには絶対渡すなよ?」
「ああ…あいつに渡したら すぐお金がなくなっちまうよい…」
マルコはアイリスを見た。
「大事に使わせてもらうよい」
「はい」
【何の話してるの?】
そこにベックマンと話していたサッチが戻ってきた。
「カードをもらったんだ」
「サッチ様 ベックマン様は?」
「今 帰ったよ。 大した話じゃなくてさ」
「え? 明日の夕食の相談だったのではないのですか?」
「そうだけど…そんなの 明日でも十分だし」
「………」
もしかして ベックマン様は私のために……
後でお礼を…
「あ あと アイリスにベックマンから伝言。 “用が終わったら真っ直ぐ城に帰れ”だって」
「!」
ベックマン様は…私が次に何をしようとするのかがわかってしまっているのですね……
アイリスは心の中でベックマンに謝った。
「アイリス 用済んだんだろう? 暗いから送るよ」
「あ 私まだ用が…」
そう言って アイリスはサッチを見た。
「え 俺?」
サッチは自分を指差した。
アイリスは頷いた。
「サッチ 何かしたのか?」
マルコ達のサッチを見る目線が怖かった。
「いや 俺 別に何も…」
アイリスは頭を下げた。
「サラダ ありがとうございました! とっても美味しかったです」
「ああ サラダな…」
サッチはアイリスの耳元に顔を近づけた。
「実はなあれ 作ったの…マ「サッチ! 余計なこと言うなよい!」」
マルコがサッチを蹴り飛ばそうとしたが、サッチはひらりとかわした。
「いきなり危ねェだろ マルコ!」
「それは言わないって約束しただろう!」
「そうだっけ?」
「サッチ!」
「……えーっと…」
「アイリスにサラダ作ったの マルコなんだよ」
ハルタはこっそり アイリスに本当のことを教えた。