2.春日影
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プリエール城に着いたアイリスはぐったりとしていた。
「…今日は少し疲れました…」
「キュィイ?」
アイリスはグリフォン型のエルリオンに触れた。
「大丈夫ですよ。 …皆様に迷惑をかける前に少しだけ 寝ましょうか……」
アイリスはベッドに横になり 目を閉じた。
「ロー 話って?」
「アイリスのことだ」
「アイリスがどうかしたのか?」
「本題に入る前に一つ聞きてェんだが この中でアイリスの過去を知る者は?」
「いや 知らねェ」
「俺も」
「私も知らないわ」
「同じく」
「………」
「ん? どうした ベックマン?」
「いや 何でもない…」
結局 全員が知らないと答えた。
「なんで急にアイリスの過去の話をするの?」
「急ってわけじゃねェ。 俺はずっと気になってた。 お前たちは気にならなかったのか?」
「それは俺たちも気にはしてた。 でも アイリスが何も言わねェから追求しなかっただけだ」
「海軍の上層部はアイリスの過去を知ってる」
「トラ男は青雉とその話をしていたのか?」
「そうなのか!? じゃあ ローはアイリスの過去を聞いたのか!?」
「いや…。 青雉は“アイリスは悲しい過去を持っている”としか言わなかった…」
「それは気づいてる」
マルコ達は頷いた。
「え!? そうなのか!?」
「……まあ 気づいてないバカもいるからな…」
「「「………」」」
「そう言えば アイリス、弟がいるって言ってたなァ…」
「「「!」」」
マルコ達は驚いた様子でルフィを見た。
「他には何か言ってなかったか?」
「う~ん…あ とっても大事な弟だって言ってたぞ」
「麦わら屋 もっと詳しく話せ!」
「詳しくって言われても…あんま覚えてねェし…。 それより トラ男、アイリスのこと診てくれるんだろう!?」
「あ ああ」
「早く診てあげてくれよ!」
「……俺が診に行ってる間に思い出しておけ」
そう言って ローはプリエール城に向かって歩いていった。
ルフィはアイリスの言っていた言葉を思い返していた。
その頃 ローはアイリスの部屋にやって来た。
「……寝てる…」
ローはアイリスのおでこに触れた。
「熱はなさそうだ」
少し冷たいな
低体温か…
ローはベッドの横のイスに座った。
「…俺たちは…アイリスのことを全然知らないないな……」
そう…
俺たちはアイリスのことを知らなすぎる……
悲しすぎる程にな――…
アイリスは夢を見ていた。
「姉さん 大丈夫?」
「…ノエル……大丈夫だよ」
「もう 姉さんは頑張りすぎるんだから」
「…ごめんなさい」
「うううん。 それが姉さんの良いところだから。 それより 新しい住人が増えたんだね」
「ええ。 とってもいい方たちよ」
「うん。 そうだね」
ノエルはアイリスの話を頷いて聞いてくれた。
「それでね……」
アイリスは顔を伏せた。
「姉さん…?」
アイリスはノエルに触れた。
「夢の中ではあなたに触れられるのに……。 …私はあなたを……」
救えなかった……
アイリスは涙を流した。
「……姉さん…」
ノエルはアイリスに触れた。
「僕は姉さんが主治医で良かったよ! だって姉さんは…「それ以上 言わないでっ!」」
アイリスは耳を塞いだ。
「…私は大切な弟一人を救えないダメな医者なのよ……」
「そんなことはないよ 姉さん」
ノエルは耳を塞いでいるアイリスの手を優しく退けた。
「姉さんは優秀な医者だよ! …結果は残念だったかもしれない……でも 姉さんが一生懸命やってくれた。 僕はそれで十分だよ。 だから…」
ノエルはアイリスの両頬に手を添えた。
「…泣かないで――…」
そこで アイリスは目を覚ました。
その時 アイリスの瞳から涙が流れ落ちた。
「暗い…っ」
傍にいたエルリオンが明かりを灯した。
「ありがとう エルリオン…」
アイリスは起き上がって 時計を見た。
時計はちょうど20時を示していた。
「…え!?」
アイリスは予想もしない時間に驚いた。
「私…こんなにも寝てしまって…… !」
アイリスは机の上にラップがかかったサラダが置いてあるのに気づいた。
その上にはメモが置いてあり、「お腹が空いたら食べな」と書いてあった。
「この字…ベックマン様でも サンジ様でもないわ…」
アイリスはエルリオンを見た。
「これを届けてくれたのはサッチ様ですか?」
エルリオンは頷いた。
アイリスはサラダを食べた。
「お礼を言いに行かなくては…」
アイリスはベッドから降りた。
「エルリオン ついて来てください」
「キュイィ!」
エルリオンは明かりを口に咥え アイリスの隣を飛んで部屋を出た。