4.愛心
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〔! ニャ!〕
! あなたは!
アイリスは予想外の人物に驚いた。
空から降りてきた巨大なカラスの正体は、ガルディアン王と共にいたエルシドだった。
「「「!!」」」
威嚇していたヒューマンドリル達はエルシドに恐怖し 逃げていった。
〔…〕
…あ…
「まだ 解けていないのだな?」
〔…!〕
…え…
「………」
〔……ニャ……ニャ…〕
解けるって……もしかして…
エルシドは瞳を伏せた。
「ああ。 そうだ」
〔……ニャ…〕
…どうして…
小さな黒猫の姿をしたアイリスの瞳に涙が浮かんだ。
「……あの男を試させてもらう為だ…」
〔………?〕
………“あの男”?
その瞬間、小さな黒猫の姿をしたアイリスはエルシドに抱き上げられた。
〔!?〕
「……貴女を苦しめる事になってすまない…」
〔……ニャ…〕
……え…
…悲しそうな瞳―――……
エルシドは小さな黒猫の姿をしたアイリスをそっと地面に下ろした。
そして、背を向けた。
〔……ニャ…〕
……あなたも…
「!」
エルシドは振り向いた。
アイリスはエルシドの背中に生えている大きな黒い翼を見た。
〔…ニャニャン……?〕
…特別な存在なの……?
「……“隠”と言う」
〔……ニャン?〕
……“隠”?
「…ガルディアン王の直属の配下で、 強力な変身が出来る者の集まりの事だ」
〔ニャ!?〕
ガルディアン王の!?
小さな黒猫の姿をしたアイリスは一歩後退りした。
「そう 怯えなくていい。 俺たちは 貴女の… !」
その瞬間 エルシドは体を捩った。
エルシドの後ろ側の木には ミホークの小さなナイフが刺さっていた。
【主がいない時に来るとは 随分と無礼だな】
〔!?〕
小さな黒猫の姿をしたアイリスは振り返って 声の主を見た。
〔ニャン!〕
ミホーク様!
「あなたが大剣豪 ジュラキュール・ミホークか?」
「…そうだが…」
ミホークはエルシドを睨みつけた。
「アイリスに何の用だ?」
「寂しそうに1人でいたのが見え 少し邪魔をした」
〔!〕
「………」
「安心していい。 俺は独断で行動している。 アイリスがここに居る事を話すつもりもない」
「……お前の目的はなんだ? ガルディアンの部下ではないのか?」
「…今はまだ話す事は出来ない」
「………」
「…1つ忠告しておく」
〔!〕
「………」
「アイリスにかけたのは呪いだ」
「〔!〕」
小さな黒猫の姿をしたアイリスとミホーク目を見開いて驚いた。
「時間が経過すれば解けると言うものでもない」
〔……ニャ…〕
……そんな…
「…どうすれば解ける?」
「……アイリスの呪いを解くのに足りないものは…」
エルシドは小さな黒猫の姿をしたアイリスを見下ろした。
「…貴女にある」
〔!?〕
……私―――…?
エルシドが去った後、アイリスはずっとエルシドとの会話を思い返していた。
「どう言う意味だ?」
エルシドはミホークに視線を戻した。
「アイリスにかけた呪いを解くには、2人の心が必要。 だが あなたの心は恐らく もう足りている」
「………」
〔ニャ ニャン? ニャン!〕
ねぇ 私の心の何が足りないの?
教えて!
小さな黒猫の姿をしたアイリスはエルシドの足元で エルシドを見上げて言った。
「そこまでは教えられん」
そう言って エルシドは背を向けた。
「だが」
エルシドは小さな黒猫の姿をしたアイリスを見た。
「…貴女は既に感じているはずだ…」
“本心に従え
貴女は獣の頂点に立つ血筋を持つのだから―――…”
〔………〕
…本心…か…
小さな黒猫の姿をしたアイリスはため息を付いた。
“獣の頂点”って何?
私の心に足りないものって―――……?