2.恋の病
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ローが帰り、静けさが戻ってきた。
「ミホーク様」
「なんだ?」
「いえ 何も…」
ミホーク様 お疲れな気がする…
あ そうだ!
アイリスは立ち上がった。
「ミホーク様 早速今日の夜ご飯 お作りしますね!」
そう言うと アイリスはるんるん気分で厨房に向かって行った。
ミホークを微笑して その後ろ姿を見ていた。
久しぶりにアイリスと2人で過ごす気がする……
この心の安心感はなんだ……?
【……ク様、ミホーク様】
「!」
いつの間にか眠っていたミホークは目を覚ました。
「…寝ていたようだな…」
「はい。 お疲れみたいだったので起こさなかったのですが…」
「…そうか…」
他人が近くにいて 気づかぬ程 熟睡していたとは…
どうやら俺は アイリスに対して無意識に気を許し過ぎている様だ…
「ミホーク様 一生懸命にご飯作ったので…食べてくれますか?」
「…ああ いい香りだ」
アイリスはご飯にカレーをよそり テーブルの上に置いた。
ミホークはカレーを一口食べた。
「………」
アイリスはミホークの感想を待った。
「……カレーを作ったのは初めてか?」
「はい! この間 ベックマンさんに料理本をもらって それを見て作りました」
「……初めてにしてはまあまだな」
「…良かった」
「…だが ルーはもう少し辛い方が俺は好みだな」
「あ はい! 次から気をつけます」
アイリスは料理本に書き足した。
「それと…」
「はい?」
「いや 何でもない。 ところで ぬしは食べないのか?」
「あ いえ…私は…味見してたらお腹いっぱいになってしまったので…」
「…そうか」
そして ミホークはカレーを食べ終えた。
「お皿 片付けますね」
アイリスは厨房の方に行き お皿を洗おうとした。
【待て】
「!」
アイリスはミホークに腕を掴まれた。
「その指では沁みて洗いにくかろう」
アイリスの指には絆創膏が巻かれていた。
ミホークはアイリスの指を触れた。
「ちゃんと消毒はしたのか?」
「…はい」
「今日は俺が洗うから 座っていろ」
「でも…!」
「悪化したらどうするつもりだ」
「……すみません」
「…それと さっきはそのこともあって言いにくかったが…次は野菜をもう少し細かく切って欲しいものだ」
「! 練習します!」
アイリスはイスに座って待っていた。
少しして ミホークが戻ってきた。
「…いつから 気づかれていたのですか…?」
「最初からだ」
「…何でもお見通しなのですね…」
ミホークは立ち上がった。
「……俺はもう寝るとする…」
「え? まだそんな時間じゃ」
アイリスが時計を見ると22時だった。
アイリスはミホークを見た。
「どこか具合でも… あ! もしかして私の料理が!?」
「いや ぬしの料理ではない」
「では やはり体調が…」
「ぬしが心配することでもない」
そう言うと ミホークは広間を出ていった。
「ミホーク様……」
アイリスは広間に立ち尽くしていた。
「ミホーク様の様子 変だった…。 どうしよう? あ そうだ!」
アイリスはローに電伝虫をかけた。
『なんだ?』
「ローさん アイリスです」
『アイリス ちゃんと夕ご飯は食べたか?』
「はい。 今日はカレーを作りました。 私は味見だけでお腹いっぱいになっちゃいましたけど…」
『ちゃんと食事はとれよ。 アイリスの手作り料理だったなら あいつも喜んだだろ?』
「え? 特にそんな様子は…。 ってそれより、ローさんに話したかったことがあって…」
『…鷹の目屋のことか?』
「…はい。 ミホーク様 いつもは私が寝てから寝ているはずなんですけど、今日はもう寝てしまって…どこか体調でも悪いのでしょうか?」
『それは心配だな…』
「どこか具合が悪いのでしょうか…?」
『まあ…悪いっちゃ悪いが…「え!? そうなんですか!? ローさん 今から来れますか!?」』
アイリスはミホークのことが心配になり 慌てた。
『落ち着け アイリス。食欲はあったか?』
「カレー ちゃんと食べてくれました」
『………』
アイリスの手作りだったら食べるか…
「ローさん…?」
『ああ 俺が想像している病だとしたら誰も治せねェよ』
「それは…不治の病なのですか……?」
ミホーク様 死んじゃうの…
そんなの嫌…っ…
アイリスの瞳には涙が溜まり、声は鼻声になっていた。
『体に害はねェから 心配するな』
ちょっとからかい過ぎたか…
「…じゃあ 私はどうすればいいのですか?」
『普段通りでいい。 しばらく 鷹の目屋をそっとしておけ』
「? …わかりました。 ありがとうごさいました ローさん。 おやすみなさい」
『ああ。 おやすみ』
電伝虫が切れ ローは背もたれに寄っかかった。
鷹の目屋が“恋の病”か…
まさかとは思うが…