4.ファミリー
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ディアマンテ達は優秀な医者を探し出して 何人か連れてきたが、アイリスの体調が良くなることはなかった。
そんな中、ある一人の医者が言った。
「これは 恐らく薬漬けにされた副作用でしょう…」
「…薬漬け?」
「覚せい剤か何かでしょう。 長年に渡り体を侵食されたアイリス様の体は その薬を欲しているのでしょう…。 …ですが…」
「そんな薬 続けていれば体へのダメージは……」
医者は頷いた。
「臓器が完全に破壊され 死を早めてしまうだけでしょう…」
「…他に…治す方法はないのか…?」
「薬漬けの体を治す治療もあることはありますが…かなり長い年月を要する為……アイリス様の体は……持たないと思われます……」
「っ!」
「「「!!」」」
「……誠に申し上げにくいのですが…アイリス様の余命は……「それ以上言うなっ!!」」
「若様…」
医者は症状を抑える薬を置いて帰っていった。
「………」
…無力だ……
いくら権力や力を手に入れようが…大金を持っていようが……
俺は……
大切な女 一人を救えない――……
ドフラミンゴは何もできない自分にイラついていた。
「すまない…アイリス……」
ドフラミンゴは顔を伏せた。
その時 ドフラミンゴの手にアイリスの手が触れた。
「…アイリス?」
ドフラミンゴが顔を上げると アイリスは弱々しく微笑んだ。
「…ドフラミンゴ…様…」
「……アイリス…」
ドフラミンゴはアイリスにそっと口付けた。
医者にもらった症状を抑える薬のお蔭でアイリスの体調は少し良くなった。
ドフラミンゴはアイリスの体調がいい日には アイリスを連れて色々な所へ出かけた。
「アイリス 挙式をあげよう」
「え?」
「今ならちょうどいい頃だと思うんだが」
「…でも…」
アイリスは顔を背けた。
…私は…もう……
「なんだ? 俺じゃ不満だと言うのか?」
アイリスは首を横にぶんぶん振った。
「ドフラミンゴ様は私には勿体無いよ。 もっと相応しい人を…んっ!」
アイリスはドフラミンゴに唇を塞がれた。
「何度同じことを言わせる? 俺はお前以外の女なんていらない」
「……ごめんなさい…」
…もう…私は……
…私は――…
…アイリスとドフラミンゴの平穏な日々は長くは続かなかった。
アイリスはまた寝たきりの生活に戻ってしまった。
ドフラミンゴが留守にしている間に、珍しく体調が良いアイリスは城を抜け出そうとしていた。
「もう…ここにはいられない…。 ドフラミンゴ様が帰ってくる前に行かないと…」
アイリスはアネモネを見た。
「アネモネも一緒に来てくれる…?」
「オオォ!」
「ありがとう。 アネモネ お願い」
アネモネは窓から外に出て 大きな姿に変えた。
アイリスは窓から出て アネモネに乗ろうとした。
【アイリス 何をしている!?】
「!」
アイリスが振り返ると そこにはドフラミンゴが立っていた。
「…ドフラミンゴ様…」
「どこに行こうとしているんだ アイリス…」
「それは……」
アイリスは顔を伏せた。
「危ないから戻ってこい」
ドフラミンゴは手を差し伸べた。
「………」
アイリスはドフラミンゴのもとに行こうとしたが、行かなかった。
「ごめんなさい…。 その手はもう…取れない…」
「…なぜだ?」
「…今…その手を取ったら私は…貴方のもとに戻らなくていけなくなってしまう…。 …私は……」
「…まさか…」
「最近のドフラミンゴ様は私の看病のせいでやつれてきてしまってる……。 私にはそんな姿を見ているのは耐えられない……」
「愛する者を看病することに苦痛なんて感じない。 お前が心配する事では…「するわっ!」」
ドフラミンゴは驚いた。
「もう…この世からもうすぐいなくなる者のために 苦しまないで欲しいの…」
「!? ……知っていたのか…?」
アイリスは頷いた。
「…だから…私は 貴方に看取られるより、貴方のもとから去ることに決めたのっ…!! だから…っ…」
アイリスの瞳からは大粒の涙が流れていた。
「そんなこと…勝手に決めんじゃねェっ!!」
「っ!」
あまり怒鳴られた事がないアイリスは驚いた。
「俺は…お前さえいればいい! お前さえいれば……「それじゃだめなのっ!」」
アイリスは声を荒らげた。
「それじゃあ私がいなくなった後 貴方は苦しんでしまう。 だから…元気な私を覚えていて…」
アイリスは背を向けて ドフラミンゴに視線を戻した。
「待っ…「……さようなら ドフラミンゴ様。 沢山の愛をありがとう…」」
アイリスは満面の笑みを浮かべて 窓から降りた。
「アイリス!!」
ドフラミンゴは窓から空を見た。
アイリスはアネモネの上に乗り、空へと飛んでいった。
なぜ 俺は追いかけようとしない……?
…いや…俺は……追いかけることができないんだ……
ドフラミンゴは膝から崩れ落ちた。
…アイリス…お前が言った通りだ……
…俺の体は…お前を目の前で失う事を拒んでいる…
…許してくれ アイリス……
…追いかけてやれない…愚かな俺を――――……