1.プロメティーダ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
11歳のアイリスはまだ無邪気な少女だった――…
両親の外交についてきたアイリスは、政治の話に疲れてしまい 1人、こっそり街を歩いてきた。
「政治の話は難しいわ…。 …でも」
アイリスは笑みを浮かべた。
「私の作り出した宝石を喜んでもらえて良かっ…痛っ」
その時 アイリスは人にぶつかった。
「痛ってーな!」
アイリスがぶつかった男はアイリスを睨みつけた。
「どこ見て歩い…」
男はアイリスの胸元につけている大きなカラットのサファイアに目がいった。
「……おじさん ごめんなさい」
「……いや こっちこそ怒鳴って悪かったな。 怪我はないかい?」
男は態度を一変させた。
「ええ。 大丈夫よ」
「良かった。 …ところで…」
「?」
「その大きなサファイアはお嬢ちゃんのかい?」
「そうよ」
「とても大きくて、凄く綺麗だね」
あれを売ったら 一生遊んで暮らせそうだ…
「ありがとう!」
アイリスは自分が作った宝石が褒められて 満面の笑みを浮かべた。
「良かったら 少し見せてもらえないかな?」
「? いいわよ」
アイリスはサファイアを取って 男に見せた。
男はアイリスの手からサファイアを取り上げて 見た。
「間近で見ると ますます綺麗だね!」
「でしょ?」
男はサファイアをずっと観察していた。
「……ねぇ そろそろ返してくれないかしら?」
「馬鹿か。 返す訳ないだろ!」
「!?」
その瞬間 アイリスは口を塞がれた。
「お前もな!」
「ん゛ーっ!」
助けて…!
「さてと これで俺は億万長…ぐっ!」
その瞬間 男の力が抜け アイリスは解放された。
そして、サファイアが男の手から離れ 飛んでいった。
「あ!」
サファイアは傍にいた大男によって掴まれた。
「………」
とても大きな人…この人が私を助けてくれた人…?
「……怪我は?」
「! 大丈夫。 ありがとうございました!」
アイリスは頭を下げた。
大男はしゃがんで サファイアを差し出した。
「…大事な物を簡単に手放すな」
「! ……ごめんなさい…」
大男はアイリスにサファイアを返すと 背を向けて歩き出した。
「あ あの…!」
大男は立ち止まり 振り向いた。
「何かお礼を…」
「不要だ」
「…でも… !」
閃いたアイリスは大男に駆け寄った。
「これを」
そして サファイアを差し出した。
「…そんな高価な物 頂けん」
「………」
アイリスは手を引っ込めず、大男の目を真っ直ぐに見ていた。
「……大事な物じゃないのか?」
「…うん。 それでも あなたに受け取って欲しい」
「………」
大男は渋々 サファイアを受け取った。
アイリスは満面の笑みを浮かべた。
「また改めて あなたに特別な宝石を作って 届けに行くわ。 だから 名前を教えて」
「……礼なら既にもらった」
「それは仮の」
「………」
「遠慮しないで 名前を教えてよ」
「……カタクリ」
アイリスは微笑んだ。
「私はアイリスよ。 また1年後 あなたに会いにいくわ――――…」
そこで アイリスは目を覚ました。
【アイリス様 おはようございます】
アイリスのベッドの横には執事のアルフレッドが立っていた。
「……おはよう…」
アルフレッドは笑みを浮かべた。
「今日は何か夢を見ていらしたのですか?」
「……幼い頃の夢…」
…あの後の事は…思い出したくもない……
アイリスは瞳を伏せた。
「……思い出したの…」
「…何をですか…?」
「…約束」
「…どなたとの約束でしょう?」
「…カタクリ…」
「…カタクリ? …後で私の方で調べてみましょう」
存じない名前ですが…、アイリス様の宝石が無くなった事と関係があるのでしょうか…?
「…お願い…」
私から約束しておいて もうすぐ17年も約束を破ってしまっている事になるわ―――…