4. サフィーロ プロメティド
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夕方、久しぶりに万国に戻ってきたアイリスとカタクリはビッグ・マムがいる“女王の間”にやって来ていた。
アイリスはカタクリの言葉が気になり 浮かない顔をしていた。
「随分 長旅だったじゃないか? …で」
ビッグ・マムは笑みを浮かべた。
「結婚の日取りは決まったかい?」
「!」
カタクリはアイリスを見た。
アイリスは頬を少し赤くして 頷いた。
カタクリは微笑すると ビック・マムへ視線を戻した。
「…1ヶ月後」
カタクリはビッグ・マムを真っ直ぐ見てそう答えた。
「ハ~ハハハ、マママママ!!」
ビッグ・マムはご機嫌そうに笑った。
アイリスとカタクリはビッグ・マムがいる“女王の間”を後にしようとした。
「アイリス」
「!」
低い声で名前を呼ばれ アイリスはビクッとした。
「その背中の刺青はなんだい?」
「!? ………」
アイリスは何と返答していいのか困り 振り返れずにいた。
「俺が入れさせたものだ ママ」
「お前がかい?」
カタクリを見ていたビッグ・マムはアイリスの刺青に視線を戻した。
「…道理で同じ色の訳か…」
「………」
アイリスの頬を冷や汗が伝った。
「………」
ビッグ・マムは微笑した。
「いいんじゃないか。 デザインも俺好みだし」
アイリスはホッとした。
“女王の間”を後にした アイリスとカタクリは無言で廊下を歩いていた。
感づかれなくて良かった…
…それにしても…
“じゃあ 1ヶ月後に結婚式な。 招待状は俺の方で送っておく”
…1ヶ月後…か……
とても嬉しい事だけど、緊張する……
「アイリス」
「!」
アイリスは驚き カタクリを見上げた。
「…早すぎたか?」
カタクリは不安そうにアイリスを見下ろしていた。
アイリスは首を横に振って カタクリの足に抱きついた。
「…幸せ」
「! ………」
カタクリは嬉しそうに微笑した。
俺にとっても お前と一緒になれるのはこの上なく幸せな事だ―――…
アイリスとカタクリが自分たちの部屋に戻り、寝る支度をして ソファで寛いでいる時、ドアがノックされた。
【夜分に失礼するよ】
「!」
アイリスはドアを開けた。
ペロスペローがアイリスとカタクリの部屋に入ってきた。
「聞いたよ アイリス。 1ヶ月後に結婚式を挙げるんだってね」
「…はい」
アイリスは頬を少し赤くした。
「…それに…」
ペロスペローの目つきが変わった。
「素敵な刺青だ」
「! ……ありがとう」
「………」
イスに座ったペロスペローはカタクリを見た。
「それで もう1つの答えはどうなった?」
「?」
…“もう1つの答え”?
「…まだ 伝えたばかりだ」
「…ふ~ん…」
ペロスペローはアイリスを見た。
「!」
…もしかして…さっきの…?
アイリスの瞳が不安そうに揺れていた。
カタクリは小さく息を吐いた。
「ペロス兄」
「わかったよ」
ペロスペローは立ち上がった。
「さて 私はお邪魔だろうから もう行くよ。 おやすみ アイリス、カタクリ」
「おやすみなさい ペロスペロー」
ペロスペローは微笑すると 部屋を出ていった。
さて 君はどっちの答えを選択するのかな――…
アイリスは不安そうに カタクリを見た。
「……ねぇ さっきの“もう1つの答え”って…」
「………」
「……ああ。 お前の天竜人の奴隷だったと言う過去を消すか否かの話だ」
「!」
やっぱり…
「答えはいつでも構わない」
そう言って カタクリはソファ立ち上がった。
「…うん。 …ところで…記憶ってどうやって消すの…?」
「プリンの能力で 消したい部分の記憶を抜き出す」
「! そんな事が出来るの!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。
「…ああ」
「………」
プリン 凄いのね…
「答えを焦る事は無い。 ゆっくり考えろ」
「……うん、ありがとう」
カタクリは微笑した。
「さて 今日はそろそろ寝るとしよう」
そう言って カタクリはアイリスを抱き上げた。
そして ベッドにアイリスを降ろして、アイリスの隣に横になった。
「おやすみ アイリス」
「…おやすみなさい カタクリ」
2人は抱き合って 眠りに就いた。
その日以来、カタクリはアイリスの記憶を消すかどうかの話をしなくなった。
それは静かにアイリスの答えを待つ為だった――…