3.ソンリッサ
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――それから、カタクリはアイリスを コムギ島の色々な場所へ案内した。
島の住民たちはカタクリの忠告により 会釈のみとなり、アイリスも会釈で返していた。
また、アイリスとカタクリの関係が一歩近づき アイリスの口数が少し増えてきていた。
…が、未だに食事は一緒にせず、アイリスが食事をしている間 カタクリは座って待ってくれていた。
「………」
いつになったら一緒に食べれる様になるんだろう―――…?
そんなある日、アイリスはメリエンダ用のドーナツを カタクリの為に作った。
「どうぞ」
「…ああ」
カタクリはいつも通り 社に篭ろうとした
「……今日も……一緒に食べれないの?」
「!」
アイリスはカタクリの足に抱きついた。
「……一緒に…食べたいよ…」
「!?」
「………」
アイリスはカタクリの足を強く抱きしめた。
「………」
「………」
「………」
カタクリは瞳を伏せた。
「……何れな」
そう言って カタクリはアイリスを足から放し、一人 社に篭ろうとした。
「…嫌っ…!」
アイリスは涙を流し、再び カタクリの足に抱きついた。
「!」
「…もう…嫌なの…」
ごめんなさい カタクリ…
こんな事しても あなたを困らせるだけなのに……
「………」
カタクリはアイリスの頭に手を置いた。
「お前の気持ちはよくわかる」
カタクリは瞳を伏せた。
「俺も…同じ気持ちだ」
「…!」
「…だが、お前が秘密を抱えている様に…俺にも秘密がある……」
「っ!」
「そして お前がその秘密を語りたくないのと同じく 俺もその秘密を語りたくない…。 …ここまで言えばわかるな?」
「……っ…」
アイリスはただ 涙を流していた。
その後、カタクリは一人 社に篭り、アイリスとカタクリは別々にメリエンダをした。
その日の夜、アイリスはお風呂に浸かって 泣いていた。
【………】
おやおや アイリスが泣いているよ…
カタクリお兄ちゃんと何かあったのかな…?
その様子を鏡世界からブリュレが見ていた。
「……一緒に食事 したいだけなのに…」
【………】
…食事の事か……
カタクリお兄ちゃんはアイリスに気を遣っているからね……
「……背中の痕さえなければ…っ…」
【………】
背中の痕?
火傷の痕か 何かでもあるのかい…?
少しして アイリスはお風呂から立ち上がって カタクリが作ってくれた白い階段を降りた。
そして お風呂から出る時に、ブリュレが覗いている鏡からアイリスの髪と髪の間から背中の天竜人の紋章がうっすら見えた。
【!?】
あの紋章はまさか…!
――次の日、アイリスとカタクリは船に乗り、ホールケーキアイランドに戻って来た。
カタクリの忠告は万国全体に及んでいて、ホールケーキアイランドの住民たちも会釈のみとなっていた。
アイリスとカタクリはホールケーキ城に帰ってきた。
「アイリス お帰り。 万国はどうだった?」
「…楽しかったです」
「…それは良かった」
ビッグ・マムの目つきが変わった。
「で 結婚式の日取りは決まったのかい?」
「…え?」
アイリスはカタクリを見上げた。
「まだ決まっていない」
「…待ちくたびれるねェ~~…」
「……もうしばらく待っていてくれ ママ――…」
ビッグ・マムと別れたアイリスとカタクリは自分たちの部屋の前に戻って来た。
「カタクリ、アイリス お帰り。 ペロリン♪」
ペロスペローが部屋の前に立っていた。
「ペロス兄」
「楽しい観光になった様で良かったよ アイリス」
「うん」
ペロスペローはカタクリを見た。
「カタクリ ブリュレが話したい事があると言っていたよ」
「……わかった」
カタクリはアイリスを見た。
「先に休んでいろ」
アイリスは頷いた。
「…遅くなるかもしれん」
「…え…」
そのまま カタクリは背を向けて 歩いていった。
「………」
「さあ アイリスは部屋で お土産話でも聞かせてくれ」
「…え…うん」
ペロスペローに促され アイリスは部屋の中に入った。