2.シータ
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オーブンにヤキガシ島を案内してもらった アイリスとカタクリは、オーブンと別れて カタクリが治めるコムギ島を訪れていた。
「カタクリ様ー!」
「カタクリ様ー お帰りなさい!」
「………」
コムギ島の住民たちに声をかけられる中、カタクリは悠然と歩いていた。
「………」
アイリスはカタクリを見上げた。
…カタクリ…住民の信頼も厚いのね…
それに…
すごく堂々としてる…
アイリスの足は段々と重くなり 顔を伏せた。
…本当に私…こんな立派な人の隣を歩いていていいのかしら―――…?
【アイリス様ー!】
「!」
アイリスは自分の名前を呼ばれた事に驚いて 顔を上げた。
「アイリス様がこっちを見てくれたわ!」
「なんて可愛らしいお方!」
「……え…?」
…どうして…
「アイリス様とカタクリ様、とてもお似合い!」
「私もカタクリ様の様な素敵な人と結婚して、アイリス様みたいに幸せになりたいわ!」
「……っ…」
…どうして…っ……
「……アイリス…?」
「……っ…」
カタクリはアイリスの頬に触れた。
「!」
「…涙が…」
「…え?」
アイリスが瞳に触れると 涙が流れていた。
「…どこか痛むのか…?」
アイリスは首を横に振った。
アイリスは涙を拭ったが、次々に涙が溢れてきた。
「……っ…」
…どうして…
…こんなに祝福してくれるの―――…?
カタクリはアイリスをハクリキタウンにある自分の家に連れてきた。
「…何か飲むか?」
アイリスは首を横に振った。
「………」
そして 瞳を伏せた。
「………」
「………」
「…席を外す…」
そう言って カタクリは背を向けて歩き出し 家を後にした。
“…来ないでっ!!”
“……彼女は一体 何に怯えていたんだ――…?”
「……アイリス…」
夜、カタクリが家に戻って来た。
カタクリの家ではチェス戎兵たちが慌ただしくしていた。
「何があった?」
「カタクリ様!」
チェス戎兵たちは頭を下げた。
「申し訳ございません! アイリス様が――…!」
「!?」
カタクリは目を見開いて驚いた。
カタクリは家を飛び出し アイリスを探していた。
「アイリス様がいなくなってしまわれました!」
「!?」
「昼食を持っていったところ、“空いてない”と言われ、その後 “休みたい”と言われ 寝室に案内し、夕食をお持ちした時にお声を掛けたのですが…」
「返事が聞こえなかった為、お部屋を覗かせて頂いた時に 姿が見えず……」
「………」
…どこだ…
彼女の足ではそう遠くまではいけないはず…
…どこにいる―――…?
その頃、アイリスはカーテンをマント代わりにして 顔を隠してハクリキタウンをぼーっとしながら歩いていた。
…カタクリ…怒っているかしら……
「っ!」
その時、アイリスは男とぶつかってしまった。
「痛っ! 」
「……ごめんなさい」
「よそ見して歩いてんじゃねーよ!」
「おいおい 飲みすぎだぞ」
「うるせーな!」
連れの男を見た男はアイリスに視線を戻した。
「よく見たら 上等な女じゃねーか」
「!」
アイリスはカーテンで顔を隠した。
「一杯 付き合えよ」
男はアイリスの腕を掴んできた。
「っ!」
アイリスの脳裏に 17年前、天竜人に無理矢理 連れて行かれた時の光景が浮かんだ。
「…嫌…」
「ん? 聞こえねーよ!」
「……嫌…」
…助けて…
「一杯くらいいいだろ?」
アイリスは男に腕を引っ張られた。
…助けて―――…
【誰の女に手を出しているのか わかっているんだろうな?】
「「!」」
「! ………」