2.シータ
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「…来ないでっ!!」
声を荒げたアイリスに驚いたカタクリ達は、試着室の前でアイリスが出てくるのを待っていた。
…が、アイリスが出てくる気配はなかった。
アイリスは試着室の中で泣いていた。
【…アイリス】
「………」
【アイリス】
「……っ…」
【何も聞かない。 …だから 出てきてくれ】
「………」
…カタクリ…
アイリスは涙を拭った。
――元々着ていたドレスに着替えたアイリスは、試着室から出てきた。
「「アイリス義姉さん(様)!」」
「………」
アイリスはカタクリに歩み寄った。
「………」
「…お帰り」
「!」
アイリスは顔を伏せた。
「……ごめんなさい…」
「……なぜ謝る?」
「……だって…」
アイリスは手に抱えたウェディングドレスを軽く握り締めた。
あなたが折角選んでくれたのに…
…ドレス姿…見せてあげられない……っ…
顔を伏せたアイリスの瞳に涙が浮かんだ。
「………」
カタクリはアイリスの頭に手をぽんと置いて 離した。
「!」
そして カタクリは背を向けた。
「プリン アイリスと共に先に戻っていろ」
「…はい」
プリンはアイリスの体に触れた。
「アイリス義姉さん 行きましょう」
「………」
アイリスは頷いた。
「「ありがとうございました!」」
店員たちに見送られ、アイリスとプリンは先に洋服屋さんを後にした。
「「「…カタクリ様 申し訳ございませんでした!」」」
「……お前たちは悪くない」
「……ですが…アイリス様を怖がらせてしまった様で…」
「…俺が選んだドレスに問題があっただけだ」
「……カタクリ様…」
カタクリはポケットから財布を取り出して お金を出した。
「このドレス 取り置きしておいてくれ―――…」
少しして カタクリがプリンの家に帰ってきた。
「アイリスは?」
「…疲れていたみたいだから 眠ったわ」
「……そうか」
カタクリは床に座った。
「俺も少し休む」
「……ええ。 おやすみなさい―――…」
――夜、目が覚めたアイリスは飲み物をもらう為、キッチンを訪れた。
「………」
勝手にもらってもいいのかな…?
【水なら冷蔵庫の中だ】
「!」
急に話しかけられたアイリスはビクッとした。
アイリスが振り返ると カタクリが床に座っていた。
「喉が渇いたんだろ?」
「……どうして…?」
「……俺は少し先の未来が見える…」
「!?」
アイリスは驚いた。
「……すごい…!」
「! ………」
カタクリは顔を伏せた。
「………」
「……カタクリ…?」
アイリスはカタクリに歩み寄った。
「……カタ… !」
その瞬間 アイリスはカタクリに頬を触られた。
「……何もすごい事はない…」
「……え…?」
「……俺は…お前を……」
カタクリは瞳を閉じた。
…お前の両親を…守ってやれなかった―――…
「………」
アイリスはカタクリの手に自分の手を重ねた。
カタクリは瞳を開いて アイリスを見た。
「……アイリス…?」
「……元気出して」
「! ………」
「…ね?」
「………」
カタクリはアイリスを抱き寄せた。
「!」
「……ありがとう」
…本当に辛かったのはお前だろうに……
…お前は本当に 優しく、心が綺麗だ―――…