1.プロメティーダ
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アイリスはペロスペローと向かい合って座っていた。
「食べないのかい?」
「……カタクリは…?」
「カタクリなら 恐らくママの所だよ」
ペロスペローは一瞬 瞳を伏せた。
「…それに カタクリは人前で食事を取らない」
「……どうして…?」
「カタクリはストイックなんだよ」
「……ストイック…?」
「……いずれ 理由がわかる。 その時は一緒に食事をしてあげておくれ――…」
「………」
アイリスは目を丸くしていた。
やがて 頷いた。
ペロスペローは笑みを浮かべた。
一方、カタクリはアルフレッドの話を聞く為、無人の部屋へ案内していた。
「ご配慮 感謝致します。 カタクリ殿だけにお伝えしたいものですから…」
「………」
アルフレッドは昨日、カタクリが去った後、ビッグ・マム達に話した 空白の17年間の話をした。
「……彼女にそんな事が…」
道理で 性格が変わった気がしたのか……
「……はい…。 ……そして…その日はアイリス様の宝石が無くなった日……」
「!?」
アルフレッドは瞳を伏せた。
「……恐らく カタクリ殿とお会いした後の話なのでございます……!」
「………」
カタクリは心を痛め 瞳を閉じた。
…あの日、家族のもとに送ってあげていれば―――…
…彼女の少し先の未来を見ていれば――――…
アルフレッドと別れたカタクリは女王の間にいた。
「いい所にきたね カタクリ」
「……ママ 話がある」
「アイリスとの結婚の事かい? それなら 日取りを4日後にしたよ」
「ママ」
「どうしたんだい カタクリ? 何か不満でもあるのかい?」
「彼女との結婚については異論はない。 だが、結婚式はまだしばらくの間 待って欲しい」
「どうしてだい!?」
「……俺は彼女の意思を尊重したい」
「!」
「……それに――…」
カタクリはアルフレッドとの会話を思い返した。
「……これから話すのはビッグ・マム殿にも伝えておりませんが…」
アルフレッドは瞳を伏せた。
「……その日以来、アイリス様は笑う事ができなくなり…、この17年間、私共はアイリス様の笑顔を見ておりません―――…!」
「!」
「それ故 アイリス様は未だに婚約者が出来ず、ご結婚されていないのです……」
「………」
カタクリは立ち去ろうとした。
「……カタクリ殿…」
「……なんだ?」
「……何れお気づきになられるかと思いますが…」
「………」
「………」
「………」
「……いえ 何も…」
アルフレッドはカタクリに頭を深々と下げた。
「……アイリス様をよろしくお願いします」
申し訳ございません カタクリ殿……
もう1つの秘密は私の口からではとてもお話できません……
…アイリス様が元 天竜人の奴隷だったなんて――――…
その頃、昼食を食べ終えたアイリスはペロスペローに色々な話を聞いていた。
「万国?」
「ママが統治している島々の総称さ。 各島には大臣がいて、カタクリは粉大臣でハクリキタウンがあるコムギ島を治めているよ」
「……行ってみたい…」
「そうだね。 明日から順番に廻ってみるといいよ」
「……うん…」
その時 ドアがノックされた。
「!」
【アイリス様 入ってもよろしいでしょうか?】
「? ……はい」
【失礼します】
チェス戎兵たちがアイリスとカタクリの部屋に入って来た。
「あ そうそう。 お菓子作りが好きな君の為に 調理器具や材料等を用意してあげたんだ」
「……嬉しい…」
「必要なものがあれば なんなりとお申し付けください」
「……ありがとう」
「では 失礼致します」
チェス戎兵たちは一礼して アイリスとカタクリの部屋を出ていった。
「さてと」
ペロスペローは立ち上がった。
「そろそろ カタクリが帰ってくる頃だ。 私はお暇するよ」
「……はい…」
「そう 寂しそうなお顔をしないでおくれ。 暇なら ドーナツでも作ってあげるといい」
「……ドーナツ?」
「カタクリの大好物さ。 ペロリン♪」
ペロスペローが去った後、アイリスはカタクリの為にドーナツ作りをし始めた。
…食べてくれるかな―――…?