5.絶望と希望
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ヒヒの王様を見事倒したゾロは、しばらくの間 療養していた。
そして 傷が治り 稽古を開始出来る様になった。
「よし! ミホーク 稽古を始めてくれ!」
「…ならば まず覇気を習得しろ」
「……“覇気”?」
聞き慣れない言葉にゾロは首を傾げた。
「……よくそれでここまで生き延びたものだ」
ミホークは呆れてしまった。
「なんだと!」
「もう、覇気って言うのはね―――」
アイリスは覇気の説明をした。
「見聞色を習得したら 迷子も無くなるんじゃないか」
「ふふふ。 でも、あなたは剣士だから 武装色の方が合いそうね」
「…見聞色…武装色…」
「素質があれば覇王色にも目覚められるだろうし」
「…覇王色…」
ゾロはちんぷんかんぷんだった。
「…ごめんね。 説明 難しかったかな…」
「……アイリス この男は言葉じゃ理解出来ん奴だ。 手本を見せよう」
ミホークはゾロに歩み寄った。
「なら 私が」
アイリスはミホークの前に立った。
「…どうした?」
「私もこの子の稽古 手伝いたいなぁって思って」
「!」
「! …ぬしが?」
「…いきなりミホークじゃ この子にとっては酷だと思うし。 私が相手してる方がミホークもよく観察出来るだろうし」
それに ミホークの稽古って過酷そうだし…
体で覚えろ 的な…
「…だが」
「…ダメ?」
「………」
アイリスはゾロを見た。
「私が相手じゃ ダメかな…?」
「……俺は…]
アイリスは嬉しそうにミホークに視線を戻した。
「いいって!」
「おい! 勝手に決めんなよ!」
「……好きにしろ」
「やった! ありがとう ミホーク」
「………」
女が相手の修行…か……
こうして、ミホークの稽古が始まり、強引にアイリスがゾロの相手を務める事になった。
「じゃあ まずは武装色ね。 刀 抜いて 構えてくれる?」
「…おう」
ゾロは疑問に思いながら 刀を抜いて 構えた。
「…これでいいか?」
「うん」
アイリスは微笑むと 腕に武装色を纏わせた。
「!」
なんだ あれ?
そして 刀の切先に触れた。
「馬鹿っ! 何やって… !?」
が、アイリスの指は切れていなかった。
「言ったでしょ? 武装色は見えない鎧を纏う感じだって」
「………」
「ちゃんと手入れされていて いい刀ね」
「…ああ」
ゾロは和道一文字を見た。
「…親友の形見なんだ」
「…そう。 大切にしてあげてね」
アイリスは微笑んだ。
―――アイリスが修行相手になってから数日が経とうとしていた…
ゾロが武装色のコツを未だに掴めていない事に痺れを切らしたミホークは、“黒刀”を体得するまでゾロに禁酒を命じた。
ミホークとペローナが去った後、ゾロは項垂れる様に岩の上に座った。
「…冗談じゃないぜ…」
【…冗談じゃないのはこっちも同じなんだけどね…】
「…え…」
ゾロが声の主を見ると アイリスが立っていた。
「……あなた 手を抜いているでしょう?」
「!」
「……私が女だから…?」
「! ………」
図星だったゾロは顔を伏せた。
「…私もね 手加減をしているんだよ…?」
「っ!」
その瞬間 ゾロの左胸に 人獣型に姿を変えたアイリスの鋭い爪が軽く当てられた。
「…あなたを殺ろうとすれば いつでも殺れるって事――…」
アイリスは冷たい目でゾロを見下ろしていた。
「っ!?」
まただ…
空気がピリピリする…
生きてる心地がしない――……
「……逃げないのね?」
「!」
ゾロははっとした。
「…死が怖くないの…?」
「……はは。 …そうかもな…」
ゾロは困った様に笑った。
「! ………」
アイリスの表情が普段に戻った。
アイリスはミホークに惨敗したゾロが 正面から黒刀を受けた時の事を思い返した。
この子…自分を犠牲にする傾向がある…
心配だわ……
アイリスはゾロの左胸から指を離した。
「…2つ忠告しておくわ」
「?」
「自分の命を大切にしなさい」
「! 粗末にした覚えはねェよ」
「…それでも あなたの行動はそれに値する」
無自覚なところが より怖いわ…
「………」
「それと この世界には今のあなたより強い女性なんて山程いる…。 もし この先 対峙する事になった時、その時 あなたはどうするの? おとなしく殺られるの?」
「………」
ゾロは瞳を伏せた。
「そう言う訳にはいかないでしょ? あなたは海賊王になるルフィの支えとなる 大剣豪になるんでしょ?」
「!」
ゾロは顔を上げた。
そして 笑みを浮かべた。
「おう!」
アイリスは笑みを返した。
それ以降、ゾロはより一層死ぬ気で修行をこなしていった。
そして 修行相手がアイリスから ミホークへ移っていった―――…