4、絆と約束
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「だいぶ遅くなっちゃったわ…」
アイリスがハンコックと別れ レッド・フォース号に戻って来たのは夜中だった。
甲板では 宴を終えた船員たちが眠っていた。
「もう こんな所で寝て……」
アイリスはシャンクスの姿を探した。
「変ね…シャンクスが出迎えてくれないなんて…」
アイリスは疑問に思いながら 船員たちを起こした。
「…ああ アイリス お帰り~…」
「帰りが遅かったからみんなで心配してたんだよ~…」
「ごめんなさい。 それよりシャンクスは? 姿が見えないんだけど…」
「「「!」」」
アイリスの言葉に船員たちは一気に目が覚めた。
「お頭 なんか酒も飲まずに部屋に籠ってるよ」
「二日酔いかと思ってたけど アイリスの帰りが遅かったからかもな…!」
「ははっ! 違いねェ!」
「!」
「それより アイリス、その食料 早く冷蔵庫にしまった方がいいんじゃないか?」
「あ そうね…。 みんな ちゃんと部屋で寝るのよ」
「「「へーい!」」」
アイリスはシャンクスのことが気になりながら 厨房へ向かった。
厨房では ベックマンが明日の朝食の下拵えをしていた。
「お帰り アイリス」
「ただいま。 思っていたより遅くなっちゃって…」
アイリスはハンコックにもらった食料をしまった。
「…シャンクスは大丈夫なの? さっき船員たちに聞いたら 酒も飲まずに部屋に籠ってるって…」
「…ああ…お頭はな――…」
アイリスは急ぎ足で自分とシャンクスの部屋に向かっていた。
…シャンクス…!
部屋に入ると シャンクスは壁に寄り掛かり 床に座っていた。
「シャンクスっ!?」
アイリスはシャンクスに駆け寄り しゃがんだ。
「アイリス お帰り…」
シャンクスはいつものように笑ったが 元気がなく 顔色が少し悪かった。
「帰り 遅くなってごめんなさい。 ベックマンから具合が悪いって聞いて…!」
「ああ 少し疼いてな…」
「! ……まさか…」
アイリスは上腕のみ残っているシャンクスの左腕を見た。
「腕じゃないから…心配するな」
シャンクスは優しく笑った。
「…じゃあ…」
「…この傷だ」
シャンクスは自分の左目にある3本の傷を示して言った。
「目の傷…」
アイリスはシャンクスの目に触れた。
そう言えば…シャンクスは私に目の傷のことを話してくれてない……
「…この傷…誰につけられたの…?」
「…あれ…話してなかったか…? …すまん…」
「謝らないで。 あなたが話してくれなかったから 言いたくないのかなと思って聞かなかっただけだから…」
「……アイリス…」
アイリスは微笑んだ。
「……俺にこの傷を負わせたのは 白ひげ海賊団だった頃の…“黒ひげ”だ」
「…黒ひげ…!?」
「…ああ」
シャンクスは傷をつけられた経緯を話した。
「俺は油断などしていなかった。 あいつは隊長の座にもつかず 名を上げず、自分を隠し 白ひげ海賊団の陰に潜んでいた」
「………」
「だから アイリス」
シャンクスはアイリスの頬に触れた。
「本音を言うと 一人でどこかへ行かないで欲しいんだ」
「!」
「でも 俺にはアイリスをそこまで縛る権利はない…」
シャンクスはアイリスの頬に触れていた手を下ろした。
「……シャンクス…」
「だから 一つ忠告しておく。 黒ひげに会った時は気をつけろ。 …特に一人でいる時は…」
「…わかったわ」
「……アイリス…」
「そんな心配そうな顔しないで。 なるべく 一人で出歩かないようにするから……ね?」
「…ああ」
アイリスは微笑むと シャンクスの左目にキスをした。
早く 痛みが無くなりますように…と思いを込めて―――…
「アイリス ついでにこっちにもしてよ」
シャンクスは自分の唇を示して言った。
「……もう…」
「ははっ…こう言う時に甘えとかないとな」
「…はいはい」
アイリスは自分の唇をシャンクスの唇に重ねた。
今頃になってこの傷が疼くなんてな……
不吉なことが起きなきゃいいんだが……