3.真実と愛
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「…僕がここに捕まっているのは…君の母親を逃がそうとした罰だよ……。 …僕は……ユメリアさんの最後を看取ったんだ……」
「!?」
アイリスは目を見開いて驚いた。
アイリスはユメリアが入れられていた牢屋に手を合わせた。
そして タンドルのもとに戻ってきた。
「…母の最期を…教えて欲しい……」
「その前に 君はどうしてここがわかったの?」
「お母さんの匂いがした」
「……君は獣になってしまったんだったね…」
「…獣になったわけではないけど……」
「…そう。 君が想像した通り、君の母親はここで監禁されていた」
「! なぜ お母さんが!? 私を逃がしたからか!?」
「…うん それもある。 でも 一番の原因は…君の居場所を言わなかったこと……」
「っ!」
お母さん…っ
「ごめんね…アイリス」
「! …なぜ君が謝る?」
「僕はユメリアさんを助けられなかった…」
「君が気に病むことじゃない。 それに…君は今 こうして傷ついてしまっている…」
アイリスは痩せ細ったタンドルの腕に触れた。
「…僕はいいんだ。 僕はいたって いなくたって同じだから……」
「…同じ?」
タンドルは瞳を伏せた。
「…僕は…この国を救えないから…、兄さんに逆らえないから……」
「ならばその兄がいなくなればいい」
「え? っ!」
タンドルは驚き アイリスを見た。
アイリスは憎悪に満ちた目をしていた。
アイリスは背を向けて歩き出した。
「アロガンがいなくなった後は君が国王となり 国を治めればいい」
「待って! 君は兄さんを…「殺す」」
タンドルは目を見開いて驚いた。
「やめて! 兄さんを殺さないで」
アイリスは驚き 立ち止まった。
「君はこんな目に合わせている兄を庇うのか?」
「……確かに 兄さんはひどい人かもしれない…。 でも! それでも血の繋がったたった一人の兄さんなんだ!」
「私も大切な母を殺された!!」
「っ!」
アイリスの気迫にタンドルは黙り込んでしまった。
アイリスはタンドルの入った牢屋の檻を壊した。
「君を自由にするのがせめてもの償い。 君には辛い思いをさせるが 許してくれ」
そして アイリスは立ち去った。
「……兄さん…」
タンドルはその場で蹲っていた。
アイリスは地下から1階に上がった。
「アイリス!? 帰ったのではなかったのか!?」
「言っただろう? “また後で会いに来る”…と…」
「今 どこにいたんだ…?」
「あなたの弟 タンドルに会って来た」
「!? やはり地下通路に…!?」
「私がここに来た理由がわかるな?」
「!」
「“あなた”…いや …“お前”は私の母を殺した!!」
アイリスは人獣型になり アロガンとの距離を縮めていった。
「く 来るな 化け物っ!!」
「っ!」
アイリスは昔を思い出し 胸が痛んだ。
「化け物め! 早く去れ!」
「私にはもう帰る場所はない…。 お前を殺すために捨てたんだ!!」
本当にこれで……
アイリスはアロガンに向かっていった。
「死をもって償え!! アロガン!!」
これで……いいのかな………?
「誰か助けて…!!」
アロガンの顔は冷や汗で一杯だった。
「!?」
人獣型のアイリスの鋭い爪がアロガンに刺さる前に アイリスは腕を掴まれた。
【間に合ってよかった】
「…シャンクス…!?」
アイリスの腕を掴んだのはシャンクスだった。
「助かった! 感謝するぞ!」
「なんか勘違いをしていないか?」
「え?」
シャンクスはアイリスの手を放し アロガンを見た。
シャンクスの目は憎悪に満ちていた。
「ひっ!」
「俺はお前を助けたつもりはない。 アイリスを助けたんだ」
シャンクスは剣に手をかけた。
「俺自身の手でお前を葬るために!!」
「シャンクス!?」
【やめて!】
そこに 震えながらタンドルが出てきた。
「兄さんを…殺さないで…っ!」
「タンドル…」
タンドルはアイリスを見て 土下座した。
「アイリス お願い! 兄さんがしたことは許されることじゃない! 本当にごめんなさい! 兄さんの代わりに僕を殺せばいい! だからっ! だから…… !」
アイリスはしゃがみ タンドルの頬に触れた。
「…アイリス…?」
その時 床に水滴が落ちた。
「ごめんね タンドル…」
水滴はアイリスの涙だった。
「私は…どこかで気づいてたんだ……。 アロガンを殺せば 今度はタンドルが私と同じ思いをする……復讐の連鎖が続くことに………」
「…アイリス…」
アイリスはタンドルと共に立ち上がった。
そして アロガンを見た。
「な なんだ?」
「あなたに恐怖を与えたことは謝るわ。 ごめんなさい」
アイリスは頭を下げた。
「…私を殺さないと言うことだな!?」
「殺しはしない…。 その代わり 条件を出す」