3.真実と愛
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「私…赤髪海賊団やめる。 シャンクス達なんか!! 大っ嫌いっ!!!」
怒りに満ちたアイリスは涙を流し 家を飛び出していった。
「待て アイリス!」
シャンクスはアイリスを追いかけようとした。
「待ちな」
「…ダリアさん」
「今お前がいったら余計にアイリスを怒らせるだけだよ…」
「……だが…」
「私が話してくるよ。 あんた達は島を出る支度をしておきな」
「アイリスを置いて行けるか!」
「だがあの子は“海賊をやめる”といったはずだよ?」
「! ……それは…」
「とにかく アイリスのことは私に任せて、あんた達はこの島を出ることだけ考えてな」
そう言うと ダリアは家を出ていった。
「ベックマン…俺……これでよかったのかな……?」
「お頭…」
「俺は…やっぱり間違っていたのか……」
アイリスを傷つけたくなくてした事で…
…結局…アイリスを深く傷つけた……
…俺は――…
その頃 アイリスは島全体を見渡せる教会の鐘の隣に座って遠くを見ていた。
【やっぱりそこにいたんだね アイリス】
アイリスが声の主を見ると 教会の屋根にダリアがいた。
「あんた 空でも飛べるようになったのかい?」
「“飛ぶ”と言うよりは“浮く”の方が正しいわ…」
アイリスはダリアのもとに降りてきた。
「アイリス あんなこと言ってよかったのかい? “海賊をやめる”なんて言ったら 戻れなくなっちまうかもしれないんだよ?」
「……わかってるわ」
「それに あの子達は幼かったアイリスを傷つけないように嘘をついていたんだよ」
「……それもわかっているわ…。 みんなが…私を気遣ってしてくれたことだって……」
「…アイリス」
「…私 行くね」
「“行く”ってどこへ?」
「私の母を殺した人物を……」
アイリスの目つきが変わった。
「殺しに」
「!? なぜアロガンだとわかった?」
「微かだけど 城からお母さんの匂いがする。 だからもしかしたらと思ったけど…やっぱりそうなのね…」
「………」
「私はもう赤髪海賊団には戻らないから シャンクス達には“島を出て”って伝えて。 そして“今までありがとう”って…」
そう言うと アイリスは教会の屋根から飛んで 城に向かっていった。
「アイリス! …このままじゃあの子は唯の人殺しになっちまうよ!」
ダリアは慌てて シャンクス達のもとへ向かった。
アイリスは城についた。
「アイリス様!?」
門番はアイリスに気づいた。
「アロガンに会いに来たんだけど…」
「はっ! ただいま!」
アイリスは城へ案内された。
少しして アロガンがやって来た。
「アイリス 会いたかったぞー!」
「私の母 ユメリアの話を聞きたいんだけど…」
「ユメリアの? ああ いいとも。 ゆっくり聞かせよう」
アロガンはユメリアのことを話し始めた。
「ユメリアは病気にかかってな。 私が優秀な医者を呼び この城で看てもらっていたんだ」
アロガンはある部屋に案内した。
「この部屋がユメリアが闘病中に過ごしていた部屋だよ」
「………」
嘘だ…
この部屋からも ベッドからも母の匂いはしない…
その次にアロガンはお墓に案内した。
「これがユメリアの墓だ」
「………」
これも嘘だ…
微かに匂いはする…
だが この下にはいない
「他にユメリアが過ごしていた場所は…」
「もういい。 今日はありがとう。 私は帰る」
「そんなこと言わずにゆっくりしていきなよ」
「安心しろ。 また後で会いに来る」
アイリスの声のトーンは恐ろしい程に低かった。
「え?」
アイリスは背を向けて歩き出した。
この島の中で一番強く匂いが残っている場所は…
アイリスは別の入口からバレないように城に侵入した。
そして 牢屋が並ぶ薄暗い地下通路を見つけた。
しばらく歩くと ユメリアの匂いが強くなってきた。
近い
「!」
途中の牢屋の中に少年がいることに気づいた。
「誰っ!?」
「…君…もしかして タンドル?」
「どうして僕の名を!? まさか……アイリス!?」
「王様であるアロガンの弟の君が なぜこんなところに…?」
「…それは……」
タンドルはアイリスを見て 瞳を伏せた。
「…君の母親を逃がそうとした罰だよ……」
「!?」
その頃 ダリアはシャンクス達に事情を話していた。
「本当にアイリスがそんなことを言ったのか!?“殺す”なんて!?」
「ああ。 確かにそう言っていたよ」
「信じられないな…」
「相当怒っていたみたいだったよ…。 今のあの子は何をするかわからない…」
シャンクスは立ち上がった。
「ベックマン 俺、アイリスを止めに行く! だから お前らは先に島を出ていろ!」
「お頭 アイリスはもう…!」
「わかってる! でも! アイリスを人殺しにはさせたくねェ!!」
そう言うと シャンクスは家を飛び出していった。
間に合ってくれよ アイリス!!