焔の間:~青炎と溶けない氷~: 青の祓魔師 奥村燐と勝呂寄り


パチンとメフィストが指をならすと

天井、押し入れ、床のしたから医工騎士の先生がでてきた。



「まさか…」

「そう!なんと!この強化合宿は候補生認定試験を兼ねたものだったのです!!!!!」



サプラーーーーーーイズ

と、楽しそうに両手を広げるメフィスト。

相変わらずふざけてると眉間にシワを寄せ笑って見せる。



「はがっ!?」

「合宿中はそこかしこに先生方を審査員として配置し
皆さんを細かく審査していました。
これから先生方の報告書を読んで私が合否を最終決定します!
明日の発表を楽しみにしていてくださいネ☆」



病室



使い魔召喚で体力を消耗した(と見せかけた)名無しさんとしえみはベットで寝ていた。

それ以外の面々は治療を受けて試験について話している。



「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!!!!!!!!」

「まさか…抜き打ち試験だったなんてな……」

「すっかり騙されたな!」

「…少しは可能性考えとくべきやったねえ。
ああ~僕大丈夫やろか……」

「なんや。そんなもん今考えてもしゃーないで」

「坊や志摩さんはええですよ!…僕ときたら
ろくに腰立たんようになってたんですから…」

「アンタたちは大丈夫でしょ。奥村先生は試験前…
チームワークについて強く念を押してたわ。
…つまり候補生に求められる素質は"実践下での協調性"…それでいうとあたしは最低だけどね」



試験が始まってからも協調性がとれていないと自分を責める出雲。

それにたいして人形とゲームをしている二人は

完全になにもやっていなかったし、部屋にいたのかと言えるほど。



『んー……』

「うなさるてはるんですかね?」

「そうみたいですね」

『んー……さ、寒い…』

「え!?」

『ふ、フルーレティが……乗ってる…』



フルーレティが早く氷を寄越せと名無しさんの上に乗っていた。

名無しさん自身に今体力があまり残っていないため

うっすらと影だけがわかる状態(にみせかけている)だった。



「血垂らしてないのに召喚されてる…」

「気に入られたんで勝手にでてきたんですかね…?」

「そんなことあんのか?」

「あと早く氷ほしいんですね」



名無しさんがフルーレティに氷寄越せと脅されている間にしえみが目を覚ました。



「ん…」

「わり…おこしちった」

「ううん。もう大丈夫…だいぶ元気になったよー。
皆なんの話してるの…?」

「ほたるさんがフルーレティに氷寄越せて脅されている話とか」

「え?名無しさんちゃんが!?」

『うわっ!』

「!なんだよ急に…」

「ど、どないしはったんですか?」

『フルーレティに首に氷当てられて…』

「そりゃビックリしますね。」

『んー…なんの話してたんですか?』

「ほたるさんがフルーレティに氷寄越せて脅されている話とか
あとはさっきの試験の話ですわ」

『あー。私全然戦ってないですね…』

「いやいや…一番の功労者は杜山さんとほたるさんやな」



志摩と子猫丸がしえみと名無しさんにお礼を言う。



「杜山さんとほたるさんが居らんかったらと思うと
ゾッとするわ。ほんまに、ありがとお」



勝呂はバッと深々と頭を下げる



『いやいや、しえみの方が頑張ってましたよ。
あんな小さいニーちゃんからでかい根っこ。
私は一番危ないところで体力切れたので』

「それでも杜山さんの木のバリケード消えてから
分厚い氷のバリケード作って守ってくれはりましたよ」

「杜山さんとほたるさんは絶対合格やで。
せやないと俺ら全員落ちますよって」



みんなの役に立てたみたい。よかったとひと安心する名無しさん。



「そおいや、奥村くん、どないして屍倒しはったん?」

「えっ…あーあれ…俺はあの剣でグサッと……」

「はぁー…すごいなぁ。騎士の素質あるんやね…」

「何や剣でグサッとて!抽象的すぎるわ!
俺はお前が一番なぞや。」

「まあな!俺ってこう見えてミステイクな男だからさ☆」

「バフォッ!?ちょ…ミステイクて…!?」

「……あり?」

『ミステイクは誤りや失策、誤解、思い違い、錯誤って意味です。
いうならミステリアスでふよ。おしい。文字だけ』




今日名無しさんは見た。”あの日”と同じ青い炎。

名無しさんは忘れない。母を殺した、街を焼いた青い炎。

いつこのことを聞き出すか、何故上は自分に奥村燐の存在を隠していたのか。

気になることは山ほど出てきていた。



その日の夜



プルルルルルルル



『!』



携帯の音がして目覚めた名無しさん。


『はい、もしもし』

[ほたるさん、睡眠中すいません]

『ほんと、なんなの~』

[今から兄を別の部屋に移します。手伝ってもらえますか?]

『”あの人”ね。すぐいく』



プッツと携帯をきる。

隣には寝ていたはずのクロセルの姿。



《起きたか》

『”祓魔師”って楽じゃない』

《そうだな。でもそれも”何年か前”からだ》

『そうね。もうそんなになるのね』

《ああ。とにかく奥村燐の部屋にいくぞ》



奥村燐の部屋に向かう。

着いたときには奥村燐を担いで出てきた雪男の姿。



『雪男くん!』

「ほたるさん」

『眠いの我慢してきた』

「”シュラ”さんみたいなこと言わないで。じゃ兄を頼みます!」



雪男から燐を預かり言われた部屋にはいる。

そこにはしえみがいた。



『なんでしえみがこんなところに?』

「さっき雪ちゃんがお店に来ててね、そこから急に立ち上がってここに…」

『そっか。』

「名無しさんちゃんはどうしてここに?」

『私はメフィストにこの寮で生活しろって言われたからいるだけだよ』

「そうなんだ」

『にしても起きないね』

「そうだね」

『起こしてみるか』



すると急に唸った奥村燐。



「しえみにほたる!?なんでこんなところに…!!まさか夜這い…」

『それだけは絶対にないです。それにわなんでそんな言葉だけしっかり意味知ってるんですか』

「全然起きないから…雪ちゃんが別の部屋にって名無しさんちゃんが運んだの」

『火事場のバカ力とか言わないでくださいね』

「あと雪ちゃんはそのままにって言ってたけど何が起こってるのか…」



それと共に鳴り響く銃声。

雪男が誰と戦闘にはいった証拠である。

その音を聞いて部屋を出ていった奥村燐。

名無しさんはそれをおって走る。

目指す戦闘になってる場所は屋上。

名無しさんたちが着いたときには雪男は倒れネイガウスがいた。

多分ネイガウスの持ち駒のなかでも最上級の屍番犬が召喚されている。



「あんにゃろ!」

『ちょっと奥村くん!』



奥村燐は剣を屍番犬に投げ刺した。

屍番犬は燃えている。



「てめぇやっぱし敵か!」

「悪魔め…!」



パシッ



「…ぐ、うあっ!」

「…クククククハハハ。人の皮を被っていても聖水が効くようだな。
やはり本性は隠しきれないというわけだ」

「聖水…?」

「…だが大したダメージにはならないか。化け物め!」



屍番犬の何本もの手が奥村燐をつかむ。



「…ぐ…ああああああ!」

『奥村くん!』

《私の技を受けてろ屍番犬!》



すかさずクロセルが屍番犬を凍らせる。

それと同時に屍番犬が消える。



「!!チィ」

『「お前は何者だ」』


奥村燐の剣と名無しさんの溶けない剣がネイガウスの喉元にやられる。



「く…」

「先生!もうそれ以上は召喚しない方が身のためです!失血死したいんですか!」

「…私は”青い夜”の生き残りだ」



青い夜。

それは十六年前にサタンが世界中の有名な聖職者を大量虐殺した日。



「…俺は僅かの間サタンに身体を乗っ取られ…この目を失い…
そして俺を救おうと近づいた家族をも失った…
サタンはこの俺を使って家族を殺した。
ククク、許さん。サタンも悪魔と名のつくものはすべて!
サタンの息子などもっての外だ!…貴様は殺す…
そしてほたる…貴様も悪魔の血をひく以上生かしてはおかんぞ。」

『!!』

「この命と引き換えても貴様らをいかしはせん!!」



ネイガウス先生はまた新たに腕から手を召喚し

奥村燐と名無しさんをさす。



『……てて』

「……………!?」

「……ケホッ。気ぃすんだかよ」

「に………」

「…これでも足んねーっつーんなら…俺はこーゆーの慣れてっから何度でも……何度でも相手してやる!だから、頼むから関係ねえ人間巻き込むな!」



ネイガウスは驚きで目を見開いていたが

いつものネイガウスの表情、いや憎しみを持つような顔に戻った。



「……こんなことで済むものか…俺のようなやつは他にも…いるぞ…覚悟するといい…!」



それだけ吐き捨てるとフラフラと扉に歩いていった。



「兄さんにほたるさん…!なんて真似を……」

「大丈夫大丈夫!もうこんなだから」

「もうとじかけてる!」

「もともとケガなおんのはやかったけど…いよいよ本当の化け物だな」

『悪魔の血を継ぐのも楽じゃないね』



などとのんきなことをいっていると心配で様子を見に来たしえみがドア付近にたっていた。



「燐!名無しさんちゃん!」

『しえみ…』

「り…燐に名無しさんちゃん…どうしたの…!?」

「しえみさん…」

「!ああ…大丈夫だ」

「!!屍の魔障!今すぐに手当てしなきゃ…名無しさんちゃんも!」

「いいいい!平気だ」

『そうそう!だって大した傷じゃないから』

「ダメ!はいここに寝て!無理しちゃダメ!」



まれに見るすごい剣幕で捲し立てるしえみ。

にーちゃんをだし”サンチョ”さんを出させる。


「もう大丈夫になってきたかな…」

『少し横になれば治るよなーんて…』

「燐、名無しさんちゃん、私決めた!」

『「な、なにを?」』


そしてネイガウス襲撃から数日。



「無事全員候補生昇格!おめでとうございま~す!」

「お……おおお~~しゃあ~!!」

「よ…よかった!」

「やった~!」

「フフフ…ではみなさんの昇格を祝して…」

「おっ」

「お?お?」

「このリッチな理事長である私がみなさんにもんじゃをご馳走します☆」

「もんじゃかい!!」

「せめて焼肉!」

『いやいや、そこはステーキがいいです』



ええー!と反対の声多数。

それでもみんなでもんじゃを食べに。



「お前が祓魔師ね」

「うん!みんなの役にたつの!」

「…ケッ。戦えんのかよ」

『戦うだけが祓魔師じゃないよ。サポートもできなきゃ。』

「名無しさんちゃんのいうとおり!がんばるもん!」



平和なはずの日常は常に危険だらけである。

次から次えと誰かが襲撃の計画をたてる。

それは止まることはない。

自分の思惑のために罠を仕掛けてくる。



プルルルルルルプルルルルルルル



「ハイ」

「私だ」

「操り人形は私の言うとおりに動いたがやはり荷が重すぎたようだ。
お前今すぐに正十字学園にこい」

「僕は兄上の結界で学園にはいれません」

「操り人形に手引きさせる。詳しいことはまたあとだ。いいな。」

「解りました」



ブッ



「父上と兄上が夢中になっている奥村燐ととはどれほどのものだろうな。
少しは退屈しのぎになるといいけど」




to be continued
7/20ページ
スキ