焔の間:~青炎と溶けない氷~: 青の祓魔師 奥村燐と勝呂寄り

あれから朴は無事に助かるとわかり、

朴はこれを最後に塾をやめることが決まった。



"コレモサルオカタノハカライニヨルモノ"



(サルオカタ?さるお方って誰だ?サタンかとも思ったけど…今さら俺を殺そうとする理由が思い当たらねぇし…
どっちにしろ俺を目的に襲ってきたのは間違いないってことだな。それにほたるが"ソロモンニフウインサレタ"ってどういうことだ?アイツも俺みたいに"悪魔の子か?")



旧男子寮屋上で考える奥村燐があった。

昨夜のことからほたるが何か悪魔と関係してるのか、と考えていた。



『奥村くん!』

「!!!」



考えていた人がいきなり目の前に現れ

急に起き上がったために名無しさんとおでこをぶつける。



『いいいいいいい!』

「あ"あ"あ"あ"あ"あ」



お互い額を襲う痛みにのたうちまわる。



「きゅ……急に近ぇーよ!///(すげー綺麗な顔してた)阿呆!」

『奥村くんこそ、急に顔上げないでよー!岩頭!』



びえーと泣いた真似をしていると下からしえみの声。



「名無しさんちゃん?大丈夫?」

『大丈夫と言いたいけど痛いー!』

「え!?どこかぶつけたの!?」

『接触事故』

「せ、接触事故!?」



ちょっとしえみで遊んでる感じの名無しさん。



(ほたるって、普通に笑ったり話したりできるよな。
本当にソロモンとかいうやつに封印されてたのか?)



接触事故があってから塾に行きいつものように授業が始まる。

魔法円の授業の時、出雲は珍しくボーッとしていた。

いつもなら言える聖書:教典暗証術も忘れるほどに。

それを勝呂竜士が完璧に唱えたことから言い合いになり、
胸ぐらを掴んだことで罰則がくだされることとなった。

そして今に至るのである。



「皆さん、少しは反省しましたか?」

「な…何で俺らまで」

「連帯責任ってやつです。この合宿の目的は学力強化と塾生同士の交友を深めるっていうのもあるんですよ」

「こんなやつらと馴れ合いなんてゴメンよ」

「コイツ…」

「馴れ合ってもらわなければ困る。祓魔師は一人では戦えない!お互いの特性を活かし欠点は補い、二人以上の班で戦うのが基本です。実践になれば戦闘中の仲間割れはこんな罰とは比べ物にならない連帯責任を負わされることになる。そこをよく考えてください。…では僕は今から三時間ほど小さな任務ではずします。…ですが昨日の屍の件もあるので念のためこの寮すべての外に繋がる出入り口に施錠し強力な魔除けを施しておきます」

「施錠って…俺ら外にどうやってでるんスか」

「出る必要はない。僕が戻るまで三時間、みんなで仲良く頭を冷やしてください」



それだけ言って奥村雪男は部屋をあとにした。

出る際に名無しさんの顔をみて”なにやってるんですか”って顔してたのは内緒。

正座の状態で三時間も膝にバリヨンをのせて

苦行を強いられるはめになるとは誰も思っていなかった。



「三時間…!鬼か」

「う…」

「もう限界や………」

「お前とあの先生?ほんまに血ぃつなごおとるんか」

「…ほ…本当はいいやつなんだ…きっとそうだ…」

『奥村くん、プルプル震えてるけど大丈夫?』

「大丈夫だ……でも、足痛え」

「つーか、誰かさんのせいでえらいめぇや」

「は?アンタだってあたしの胸ぐら掴んだでしょ!?信じらんないー!」



また始まった喧嘩。

火に油をさらに注ぎ込んだ形になった。



「頭ひやせいわれたばっかやのに…」

『いい加減やめましょう』

「先に喧嘩売ってきたんはそっちやろ!」

「…また微妙に俺を挟んで喧嘩するな!これいじめ?」

『ほら、奥村くんもこう言ってるし、それに短気は損気です』



早く沈めなければいけないと割って入る。

あんまり長く続くとこちらもイライラしてきて

ある程度の湿気を冷やしてしまうかもしれない。



「…ほんま性格悪い女やな」

「フン。そんなの自覚済みよ。それが何!?」

「そんなんやと周りの人間逃げてくえ」

「………」



勝呂がそういった瞬間だった。

部屋の明かりがいきなり落ちた。



「!?」

「ぎゃああ」

「あだっ!ちょ…どこ…」

「なんだっ!?」



いきなり電気が消えたことでパニックをおこし

膝からバリヨンをおとし、さらにそのバリヨンが足に落ちた奥村燐。

停電にビックリして勝呂に抱きつくしえみと赤面する勝呂。

出雲に蹴られる子猫丸と携帯の明かりをつける志摩。



「あ…あの先生電気まで消していきはったんか!?」

「まさかそんな…」

「停電…!?」

「いや、窓の外は明かりがついている」

「どういうこと?」

「停電はこの建物だけってことか?」

「廊下出てみよ」

『志摩くん、気を付けた方がいいよ。
こーゆー暗いところで悪魔はよくでるから』

「いやぁ~名無しさんちゃんに心配してもらえるなんて。ここで悪魔にやられても構いませんわ~」

『冗談はいいので……』

「フフフ。俺こういうハプニング、ワクワクする性質なんやよ。
リアル肝試し…………………」



ギィィィィィィィィイ



「……」

『うん、リアルすぎます』



バタン



「…なんやろ、目ぇ悪なったかな…」

「現実や現実!」



バリンッという音と共に屍番犬の腕がドアを壊す。

おそらく、この屍番犬は昨日の屍。



「ヒィィィ!魔除け張ったんやなかったん!?」

「てか、足しびれて動けへん」



ブクウーとふくれていく屍番犬。

そのふくれた袋は爆発。

中から屍の体液が吹き出した。



「ひ」

「きゃっ!」

「!!!!」

「ニーちゃん、ウナウナ君を出せる?」



しえみの使い魔のニーちゃんから巨大な根のようなものが出てきた。

あんな小さな体からこんなデカイのがでてくると名無しさんは感心する。

中級の緑男からはさらに大きいのが生まれるだろう。



「「す…すげぇ…」」

「ありがとねニーちゃん!……あれ?くらくらする

『しえみ!?』

「あ、熱い」

「え!?みんなどうした?」

『もしかしてさっきはじけた屍の体液……』

「ゲホ。その体液被ったせいだわ…アンタたち平気なの……!?」

『なんともないです』



当たり前ではあるが全く熱くない。

あの程度のもの、クロセルがいる名無しさんには効かないのである。



「なんとか……杜山さんのおかげで助かったけど…
杜山さんの体力つきたら、この木のバリケードも消える」

「そうなったら最後や」

「……雪男の携帯にも繋がらねー」

「すごい勢いでこっち来てる!」

『屍は暗闇で活発化する悪魔です。今の部屋の状況はうってつけ』

「ど、どうするよ!」

『相手は二匹ですので』

「俺が外に出て囮になる。二匹ともうまく
俺についてきたらなんとか逃げろ」

「!?」

「ついてこなかったら、どうにか助け呼べねーか
明るくできねーかやってみるわ」

「…バ…バカ…!?」

「はぁ!?なにゆーとるん!?」

『………奥村くん一人では危ない。私も囮になります』

「ほたるさんまでなにゆーてはるんですか!?」



確かにコイツらは自分と奥村にはついてくる。

そう名無しさんは確信していた。

昨夜のお風呂での屍の言葉がそう言っていた。

これは奥村燐と名無しさんを誘き出すための屍番犬。

奥村燐はまだちゃんと戦えていない。

仮に一人にしてしまえば死にはしないだろうが怪我をする可能性もある。

一緒に囮になれば、自身や奥村燐を狙うものの正体がわかるかもしれないと名無しさんは考えた。



「いいのか!?」

『昨日狙われてた者同士の方がついてくる可能性は高いです』

「そうだな。お前ら、俺のことは心配すんな。
そこそこ強えーから」

「バッ!おい!奥村!ほたる!」

『しえみの体力切れになった時のために
悪魔召喚しておくからここは任せます』



そうしてまた紙なしで床に血をたらす



「え!?これってフルーレティちゃいますの!?」

「確か地獄の副将で氷を操るデーモン。夜に行動することが多くて夜中に行う仕事ならどんなものでも片付けてしまうってゆーのちゃいました?」

「またすごいもん召喚しはりましたね」



フルーレティは氷のバリケードを作れると踏んだ名無しさん。



《なにか仕事かい?》

『この木の向こうに屍番犬がいます。今はこの子が頑張って木のバリケードを作ってるけど、いつ消えるかわからない。だから消えてしまったときに氷のバリケードを作って皆を守ってほしい』

《お安いご用だ。あとコイツら、体液を被ったのかな? 》

『はい』



そう言うとフルーレティは皆に顔を向けた。



《逆に寒いとは思うけど我慢してくれよ~》



そう言うと体液が当たった部分に氷を作った。

これで体を冷やそうとしているらしい。



「す、すごい!熱さがちょっとずつ引いてきました」

「フルーレティさん、ありがとうございます!」

《俺は主の指示にしたがう。ただそれだけ。それより早くしないと屍番犬が来るぞ》

『分かっています。あとは頼みました』

《終わったら氷くれるか?》

(報酬として氷!?)

(氷を司るだけあるって感じ)

(そんな悪魔おるなんてはじめてです)

『一杯あげるから頑張ってください!』

「よし!いくぞほたる!」




そう言って二人で飛び出したが、ついてきたのは一体だけだった。



『ええ!?』

「一匹しかついてきてねーか。なら
外に出られる入り口を手分けして探すか明かりをつける方法を探すか」

『それなら……』



設備専用室



『分電盤!』

「こーゆーので電気つけたり消したりすんだろ?」

『そうです。全部オフになっているので…奥村くん!危ない!』



追い付いてきた屍番犬の弦のようなものが頬をかする。

素早い身の軽さで攻撃を避ける。



『大丈夫ですか?』

「まあ。……のやろぉ…邪魔すんな!(ほたるって結構強いのか?)」



そう叫んだ瞬間、奥村燐の体が青い炎に包まれた。



("この炎"がお母さんを殺した炎…!)



奥村燐が"サタンの落胤"。

すぐ身近にいた、母の仇の炎。

”10年も探し続けた”青い炎。



「!……ほたる?お前、体から白い煙でてんぞ?」

『え?』



その白い煙は冷気が凍って出てきたもの。

クロセルの能力のコントロールを誤った。

悲しみで心が水で満たされる。



「そうそう。その炎が見たかったのだ。その青い炎をな。人前では力が使えぬようなので誘い出させてもらったぞ奥村燐。そしほたる名無しさん。
"サタンの息子"と"クロセルの娘"よ」

「………お前、塾の先生か?昨日のも今日のも、テメーがやったのか…………!?」

「まあそうだ。それよりもっとその炎と氷を見せてみろ」




二人を誘い出すために関係ない人間を襲った。

どんな手段でも使うといったような笑顔に腹がたつ。



『「絶対に許さない!/絶対許さん!」』



思っていたことは同じようで

炎に包まれた摩剣と溶けない氷の剣が屍番犬に刺さる。

屍番犬は燃えながら氷で凍っていく。



「なるほどな」

「!?おい、待て!」

『今はそれどころじゃないです』

「?」

『向こうがどうなってるかこちらからは分かりません。早く戻って加勢しないと』

「んじゃ急ごうぜ!」



もう一匹の方はというと、やはりしえみの体力切れがおき

勝呂と子猫丸は詠唱という形での戦闘になっていた。

詠唱中は志摩とフルーレティが援護していたが、

そんな中もう一体の屍番犬を倒してから

名無しさんの体力が限界になり作っていた氷のバリケードが”消えた”(ように見せかけた)。

そこを出雲の白狐が応戦。

結果無事に屍番犬を倒したとのこと。



「おい!……ぶ…無事か?」

「「「「…………」」」」

「おおおま…もう一匹は………」

「え?ああ、ほたると倒した!」

『私が体力切れになって(嘘)フルーレティが役に立ったか知らないけど、
けどこっちも倒せたみたいでよかった』

「おまえらもスゲーじゃ…え?」



ドドドドドドドドドドドドドという音と共に

勝呂が奥村に技をかける。



「なん…なんやお前…!何てやつや!
死にたいんかーーーーーーーっ!!!!」

「ぼ…坊ーん!!!!」

「ほたるさんも!」

『え!?』

「フルーレティなんて上級悪魔出して屍番犬と戦ったうえ、
あんな長いことフルーレティ出せるほど体力あるって
どんなんやねん!無理すんなー!」

『は、はい!ごめんなさい!』



一緒に怒られた名無しさん。

フルーレティが役に立ったということを実感。

しかし、このような事で同級生から怒られたことは無いため反応に困った。



「…これは」

「雪男!」

「先生!」



と奥村先生が帰ってきた。

その後ろから"先程の男"がでてくる。



「!」

「!ネイガウス先生」



"奥村燐、サタンの息子よ。そしてほたる名無しさん、クロセルの娘よ"



「ゆ、雪男!」



[ドンッ]



「おや失敬☆ハ~イ、訓練生の皆さん!大変お疲れさまでした~」

『メ、メフィスト!』



いきなりの登場で皆さらにパニック。

本人はファっファっファっと楽しそう。



「どーゆーこと?」

「………あ」

「この理事長が生徒が召喚する中級以上以外の
悪魔の侵入を許すわけがないでしょう!」




to be continue
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