焔の間:~青炎と溶けない氷~: 青の祓魔師 奥村燐と勝呂寄り
”あの日から10年後”
"では明後日の朝、この制服を着て待っていてください☆"
そう言って渡されたのは正十字学園高等学校の制服。
今日は正十字学園高等学校入学式である。
裏口入学などではなく、ちゃんと試験受け見事合格している。
結果は受験生のトップ2で1位とは1点差だったらしい。
《頭いいんだな》
『なにを今さら。クロセル……お父さんが科学知識豊富だからか理科が得意な教科なの。でも好きなのは日本史~』
《そうか》
体の中にいるクロセルと話すのはほたる名無しさん。
名無しさんとクロセルの会話は、周りの人には聞こえない。
『というか待っててって言われても、何時に来るの』
(もう30分近く待っているがなかなか来ない
もしかして道に迷ったなんてことないよね
道細くないし普通にわかるとこだし。)
すると少し離れたところからクラクションを鳴らされる。
派手派手の車に。
『うん、間違いなくアレだ』
あのような車に乗っていくのかと思うと、乗りたくないというのがまずでてきた名無しさん。
乗らされたとしても車から降りられないだろう。
入学式早々あんな車から出てきたのを見られたりしたら
派手な人のイメージがつきそうである。
「おはようございます!お待たせいたしました、名無しさんさん!」
『あ、おはようございます』
「今この車派手だなんて思いました?」
『今じゃなくて見えたときから思ってます』
「これのデザインは私の趣味でして!ささ、乗ってください」
急かされるように車に乗り込む。
そしてそのまま真っ直ぐあらゆる学業施設が集約されている正十字学園町の中心・正十字学園に到着。
「貴重品以外はあっちのクロークに預けられますのでご利用ください!では私はこれから用事があるので式が終わったら迎えに来ます。話はあとで」
ポツンの1人取り残される。
メフィストはどこかに車を走らせていった。
「新入生代表、奥村雪男」
「はいっ」
お決まりの新入生代表挨拶。
奥村雪男、頭良さそうな感じが漂っている生徒。
少し離れた席にいる竹刀袋みたいなのを持っている男とよく似ている。
これから一卵性双生児の双子なのだろうと予想はつく。
式も無事に終わり生徒たちは堂をあとにする。
『迎えに来るってどこにいたらいいのかな』
肝心なことを聞くのを忘れていた名無しさん。
待ち合わせの場所なりを聞いておかなければ、
会えるものも会えるのに時間がかかるではないか。
肩を落としていると、間もなく待ち人が声をかけてきた。
「お待たせいたしました」
メフィストフェレスお出ましである。
やはりかなり目立つ服装と色。
『で、どこにいけばいいんでしょう』
「…やる気満々で大変結構ですが何事も段取りを踏まねば。そしてとりあえず"また"塾に通っていただきます」
『……』
「まず"祓魔訓練生"として祓魔師使いを学んでいただきたく。10年前から教科書は変わったのは知っていますね?高等部の始業式は明後日からですが、塾は今日から初日です。…教室の場所も変わりましたので案内しましょう」
祓魔師になるためには塾に通う。
祓魔師になるための勉強は普通の高校では習えない。
それ故に塾があるのだ。
「但しひとつ警告です!あなたが"クロセルの落胤"であることは今は秘密です」
『………』
「名無しさんさん、あなたは銀髪の髪や
琥珀色の猫の様な目はごまかせても、機嫌が不安定になると液体温度を変えることは誤魔化すのに限界があります。人の血液を凍らせることもあります。そんなことをすると死人が出るので洒落にならないですよ。自制してくださいね~」
『わかってます。気を付けます』
「………結構です」
これはサタンの落胤と出会う前の数分前のお話
それからメフィストは、他にも人を迎えに行くとかでどこかに去っていった。
塾の鍵は適当なドアに鍵を指して開ければ、
どこ◯◯◯アのようにあっという間に塾に繋がる。
一年生の授業は1106号室。
『緊張する』
《”今に始まったことではない”だろう》
『そうなんだけどね』
意を決してドアを開ける。
そこは壁紙の剥がれた、絵画も傾いた、掃除されていない教室。
相変わらずの廃墟の一歩手前辺りの部屋。
人数は7人。メフィストフェレスの話によれば
今年も祓魔師は人員不足で7人でも多い方。
ガチャ
また新たに男子が入ってくる。
入学式の時に新入生代表で前にたった奥村雪男とそっくりの男子だった。
足元には犬。
(この男の子にも何かあるのか?)
「はーい、静かに。席についてください。
授業を始めます」
先生が入ってきたので席につく。
その先生はつい先程見た奥村雪男そっくりな男。
(へぇー。先生になるんだ)
「はじめまして。対・悪魔薬学を教える奥村雪男です」
「ゆきお????やっぱり!?」
「はい、雪男です。どうかしましたか?」
「や…どど、どうしましたかじゃねーだろ!
お前がどうしましたの!?」
ガタッと席をたち先生に話しかける男子。
兄弟の片割れが高校生にして祓魔師の対・悪魔薬学教師。
そりゃ驚くのも無理はない。
「僕はどうもしてませんよ。授業中なので静かにしてくださいね」
席に座った男子は犬と話している。
この男子こそがサタンの落胤である奥村燐であることに、名無しさんはまだその事には気づかない。
気が付かないというか教えられていない、というのが正しいか。
「お察しの通り僕は皆さんと同い年の新任講師です。…ですが悪魔使いに関しては僕が二年先輩ですから、塾では便宜上"先生"と呼んでくださいね」
先生の自己紹介もすみ授業にはいる。
「まずまだ魔障にかかったことのない人はどのくらいいますか?」
魔障とは悪魔から受ける傷や病のこと。
魔障を受けていなければ悪魔が見えないだとか。
悪魔を使い魔としている名無しさんには必要ない。
「実はこの教室、普段は使われていませんが
鬼族(ゴブリン)という悪魔の巣になっています」
「え!?だ…大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。鬼の類いは人のいる明るい場所には通常現れません。イタズラ程度の魔力しか持たない下級悪魔なので人が扱いやすい悪魔なんです。しかし動物の腐った血の臭いをかぐと興奮して狂暴化してしまう。今回は鬼族の好物の牛乳で血をわって10分の1に薄めたものを一滴たらして数匹の鬼を誘いだし儀式を手伝ってもらいます。皆さんは僕が準備するまで少し待っていてください」
まさか教室が鬼の巣。とんでもないところで授業をするのは変わらず。
そのとき前に座っていた先程の男子が先生に突っかかる。
そして言い合いが始まった。
言いあいといっても生徒の男子の方が一方的に怒っている。
そうしているうちに動物の腐った血の入った瓶が割れてしまった。
中からは異臭が漂ってくる。
《来るぞ》
体の中でクロセルがいった瞬間天井が崩れた。
そこからは鬼が大量に出てきて教室は少しパニックになる。
「小鬼(ホブゴブリン)だ!教室の外に避難して!」
小さな小さな悪魔ではあるが数が多い。
さきほど先生がいった狂暴化の恐れがある。
何匹かが名無しさん目掛けて襲ってくる。
『きたか』
クロセルの目を使って小鬼を睨む。
すると、にらまれた小鬼はどんどん氷になっていった。
「……!雑魚だが数が多い上に完全に凶暴化させてしまいました。すみません、僕のミスです。まだ新任なもので。申し訳ありませんが僕が駆除し終えるまで外で待機していてください。奥村くんも早く…」
そういいかけたところで奥村くんは足でドアを閉めた。
そうとう怒ってると取ってみれる。
名無しさんは奥村兄弟が何か悪魔についての
問題を抱えているのではないかと考えていた。
「にしてもビックリしましたね」
「大丈夫かな、先生とあの子」
それぞれが廊下で待機。
さっきやったことは、見られてない様子。
つい小鬼の血液を凍らせてしまった。
《楽勝だったな》
『そうだね』
雑魚相手に自分の力は必要ない、そうクロセルは言うとまた寝てしまう。
クロセルは名無しさんの体の中にいるときは基本的に眠る。
力をためるためだと本人は言っている。
「先生ー!大丈夫ですかー?」
「大丈夫です。教室以外は。すみませんでした。別の教室で授業再開します。奥村くんも!」
そして祓魔師になるための新たな授業は初日を終えた。
正十字学園の一年生は四人部屋。
だが名無しさんはなぜかメフィストフェレスに呼び出され違う寮に入れられた。
『ここ男子寮って書いてるよね』
《ああ》
『男子と生活しろと?』
《らしい。それにメフィストフェレスが言っていた。名無しさんは監視役になってもらう必要があるから、と。》
そおっと、中に入っていく名無しさん
中にはいると廊下で先生とばったり
「こんばんはほたるさん」
『その呼び方”変わらない”ね~』
「ほたるさんは僕のことを雪男くんと呼ぶのも変わらなさそうですね」
『んー。まあ変わってない。でここの寮は誰がいるの?』
「ここには僕と兄しかいません。」
『はあ』
「ほたるさんも大変ですね」
『なにが?』
「女子寮に空きがあると思ったら手違いで部屋がないって」
(私の聞いてる話と違う)
「僕たちは階段を上がって左手の部屋、ほたるさんの部屋は僕たちの部屋の一つ上の階の階段を上がって右手の部屋」
『ありがとう。』
「”同じ特進科の生徒同士”、よろしくお願します」
そうして私の男子寮での生活が始まった
メフィストフェレスがいっていた監視役とはなんなのか
明日からもまた頑張ろう
To be continued
