焔の間:~青炎と溶けない氷~: 青の祓魔師 奥村燐と勝呂寄り


「"奥村燐"は約十五年前にサタンの憑依体と人間の女性との間に生まれた子供です。サタンの青い炎の能力を継いでいます。」

「…あの…奥村先生はたしか…奥村くんと双子のご兄弟でしたよね?」

「僕は炎を継いでいません。毎日検査も受けてますが不思議とただの常人です。奥村燐は"降魔剣"の中に炎を封印することでこの十五年比較的常人と近い状態で育てられました。炎が降魔剣で抑えきれなくなってしまって覚醒したのは三ヶ月ほど前━━それまでは本人も自分が何者かはしらずに育ったんです。」

「なんで、何が目的で育てられた?」

「正直僕にもわかりません。すみません、僕にわかることはここまでです。」

「それとなんでほたるさんまで連れていかれたんですか?
奥村くんとなにか関係があるんですか?」

「……ほたるさんは母親を"サタンの青い炎"で殺されたそうです。
そして父親には"クロセル"という悪魔が憑依していました」

「「「「!?」」」」

「彼女も僕と同じく小さい頃に祓魔師を目指し祓魔塾にいました。
そして今はヴァチカン本部の上一級祓魔師(仮)です」

「な、なんやて!?てか(仮)?」

「ほたるさんは祓魔師試験に受かっています。
初めて受けたときにはいきなりヴァチカン本部の上一級祓魔師…
ですが本人は"まだ知りたいことがある"といって今でも祓魔塾に来ています。過去には教師として教壇にたつこともありました」

「ほたるさんがいきなり上一級祓魔師……しかも結構めちゃくちゃやっとんな」

「あと今は彼女のなかにクロセルがいます」

「憑依されとるってことですか?」

「憑依といえばそうなりますかね」

「そ、そんな……」

「僕にわかるのはここまでです。では失礼」



それだけ話して雪男は部屋を出る。

授業をするように淡々と話していた。

そして燐はと言うと三賢者の目の前で祓魔師になると宣言。

シュラに剣を教えてくれと弟子入り。

以下はその日解放されてからの二人。



「その…ほたるって祓魔師なんだな」

『(仮)状態にしてもらってるの。試験には受かったけどまだ学べてないことがある気がして塾に通ってる。稀に教師として出動することもある』

「なるほど」

『隠しててごめん』

「いや、いいって。正直驚いたけど…」

『ヴァチカンの人たちとは面識ある程度で配属先はバラバラ。塾ばっかりいくから(笑)まあ騙されたと思ってもいいよ。』

「いや、そこまで思わねえよ。それに…」

『それに?』

「俺、笑ってるほたるの方が好きだから笑ってろよ」

『……』



思わず立ち止まった



『いつもニコニコしてるとね、"笑顔の裏に何かある"とか"愛想がいい人ほど信じられない"っていっぱい言われる。第一印象って大事だって言われて育ったから、愛想がいいほうがいいと思ってニコニコしてきた。でも「別にいいじゃねえか!」ん?』

「無愛想でも愛想よくても、ほたるはほたるだろ?それに愛想よくしてて悪かったことよりいいほうが多いだろ?えっと……なんつーんだっけ…その時々で使い分けたらいいんじゃね?」

『……いつもと変わらない奥村くんね』

「そ、そうか?」

『うん。』



いつもより距離のある間隔。

でもいつもと変わらない会話。

思わぬところで自分の正体を話さなければならなくなった名無しさん。

それは奥村燐も同じであるが。

もっと楽な形で話せると思っていたのだ。



「あとほたるも悪魔の仔なんだな」

『そう。クロセルっていう悪魔のね。
水を司るから、自分でコントロールできなかった頃は水道が破裂したり雨降ったり大変だった。今は操れるし話もできるようになった』

「そうなのか」

『うん。だから奥村くんと同じ感じで育った。周りから恐れられ誰も近づかなくなった。またそれになるのが嫌で誰にも話さなかったのに、まさかこんな形でみんなに知られるなんて思わなかった。まあそれは奥村くんもおんなじことだもんね』



「辛かったんだな」

『まあね。異常人だったし。ま、また教室いってみんなに言う』



そう言って昨日の騒動のあとの初となる対面



「オハヨウ諸君!」

『あら?』

「すくねーな…」

『京都の三人は?』



少人数の教室に重くのし掛かる空気

一緒に三ヶ月過ごしてきたクラスメイトが悪魔の仔で

一人はヴァチカン本部の上一級祓魔師(仮)兼生徒兼たまに教師の女

普通に接しろと言う方が無理な話だ



「…病院で検診受けてるから休みなのよ。三輪くんは入院してるし…」

「おーそっか!なんも悪いことないといいけどな」



と普段通りしえみの横に座る燐

しえみはすこし固い感じでいた



「な、なんだよ……まだ俺こえーのか?」

『奥村くん…』

「ん?」



こうなることが怖かった。

だが少し前の名無しさんならみんなに知られたくないと思っていたがこうなってしまっては話さなければならない。



「ちがう!」

「はぁ!?じゃなんでそんな怒ってんだよ!あ、謝ればいいのか!?」

「ち…ちがうよ!謝るなんてそんなことして欲しいんじゃない…」

「奥村くん!ほたるさん!」

「雪男!」

「奥村くんは今日から別カリキュラムだからこっちですよ。ほたるさんは朝言われた通りに」

『はい』

「あれー?そうだっけ」



そうして燐はトレーニングルームへとつれていかれた。

名無しさんは教室にのこってしえみと出雲と宝に隠していたことを告白。

といってもほとんどは雪男が喋っている。



「まさか本部の上一級祓魔師の力を持ってたなんて」

「隠してたのは…なんで?」

『単純な話嫌われるのが嫌だったから』

「……名無しさんちゃん、前にいってたね。変な人って言われて育ったって」

『そ。昔は力を操るのが下手くそで水道管壊したりとか豪雨にしたりそりゃ大変だった』



あの日の出来事を話す。

できれば思い出したくない話だが話せば伝わることもあると今では信じている。

そのころ正十字総合病院では左腕をおられた子猫丸と見舞いに来ていた勝呂が病院にいた



「すまん」

「何を謝ってはるんです?」

「いや…お前らが怪我したんは俺のせいなんや」

「それはほんまにそうや。少しは自重してもらわんと僕ら身ぃもたんわ」

「堪忍!」



謝っても許されることではないとわかっているが何度も頭を下げる勝呂

話は降魔剣の話にうつる



「…そんなことよりも降魔剣の話ほんまですか?」

「…ああ。間違いないわ。俺は小っこい頃から和尚にしつこく写真見せられてきてし」

「奥村先生もはっきりおっしゃってはりましたしね」

「子猫丸どう思う?」

「どう?どうともならしまへんよ。坊は?」

「俺は…[こんな美人なお姉さんおるんやったら無茶でもあばらおって入院し単になぁ。いつか絶対入院しますわ!]志摩……」



本題も忘れていつも通りの調子で院内をナンパして回る志摩

その姿にまたかとためいきしかでない勝呂と子猫丸



「あっ坊!子猫さん!大変や!ここのナースのクオリティ半端ない!…やなかったほんまに大変なんや!」

「なにがやねん」

「和尚倒れたて」

「和尚が…?」



またひとつ。起きようとしていた。




to be continue
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