本編
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数日後、ついに新学期が始まった。
茹だる暑さが去る気配のない中、恋が数日前の出来事に悶々としながら歩いていると、自転車に乗った那岐が声をかけて来た。
「おはよー」
「あ、おはようございます」
那岐はヒョイとサドルから降り、自転車を押しながら恋に明るい笑顔を向けていた。
あの日、何があったか詳しくは知らない恋だが、話の内容から何となく想像はついていて、だからと言ってそれを恋が聞くのもおかしな話だと思っているからか、努めていつも通りの態度で返した。
校門を潜り那岐は自転車を駐輪場へ置くと、急いで恋の元へ戻って来る。
それから那岐は、唐突にパンっと手を叩くと申し訳なさそうに謝った。
「花火の日はごめんね、先帰っちゃって」
「あ…いえ、気にしないで下さい」
「そう?何か、神も抜けてきちゃったって言うからビックリだよね。こっちから誘ったのにごめんね」
「いえ」
それから、那岐と会話をしながら恋は校舎へと向かった。
ただ、会話をしつつも恋の頭を占めているのは牧の事で、正直二人のやりとり、もとい那岐の気持ちが気になって仕方がない。
けれど、それを上手く聞き出す言葉が浮かばず、手を繋いでしまった事で小さな罪悪感も生まれている為、恋は愛想笑いを浮かべるしかなかった。
それでも、気にした素振りのない那岐はどこかスッキリしたような顔をしていて、恋は余計に複雑な思いが渦巻いていた。
昼休み、気の緩んだ生徒達で賑わう教室で、恋が友人達と弁当を食べ終え談笑していると、窓の外から声をかけられた。
「如月さん」
「神さん…」
「少しだけいい?」
「はい」
表情の読み取れない神に、恋は少しだけ緊張も走るが、友人達の見ている前でハッキリと断るわけにもいかず立ち上がった。
二人で人の少ない階段付近へ来ると、神は恋に向き直る。
ジッと見つめてくる神に、恋は少しだけたじろいだ。
「今まで、ごめんね」
「え?」
「あの後、那岐と話したんだ。それで、少しだけ整理ついたから」
「そう…ですか」
あの日、神は那岐の元へ走った。
恋は二人にどんなやりとりがあったのかなど想像もできないが、整理という言葉にどこか引っ掛かりを覚える。
しかし、神は気にした様子がないので、そこを突っ込むべきとも思わず、恋は相槌しか打てなかった。
神は、恋が詳しく尋ねてこない事に苦笑していたが、そこには少しだけ安堵も含まれていた。
「それと、もう一つごめん」
「えっ?」
「牧さんが、彼女はつくらないってハッキリ言うのを聞かせてしまったから」
「あ…」
話の流れで聞いてしまってはいたが、それ以前、海で出会った日にはすでに同じ様な事を盗み聞きしてしまっているし、本人からも同じ様なニュアンスの事を聞いていて、恋は何と答えるべきか迷ってしまった。
唐突に、目の前で繰り広げられる会話に心構えが出来ていたわけではないが、数回目ともなればショックは受けつつも、多少癒えるのは早くなっている。
ただ、その後の牧の行動に、恋は答えのない迷宮へと迷い込んでしまったわけだが、今まで冷淡に接してきていた神がそれを気にしていた事に少なからず驚いた。
それは、何の他意もない心配そのもので、神は少しだけ言いづらそうにしていた。
「…諦めるの?」
「…それは、分かりません。でも、好きな事に変わりはないので、しばらくはこのままでいたいと思います。それで、やっぱり好きが止まらなかったら、ちゃんと告白しようと思います」
「そう」
恋が真っ直ぐにそう伝えると、神は少しだけ笑った。
これ以上は、干渉すべき事でもなく、願わくばそれが実れば良いとも神は思う。
話も終わり、恋は挨拶を交わし教室に戻って談笑の続きに加わった。
机にお菓子も広げられていて、それを恋はパクリと食べたが、胸に何かがつっかえ、どこか味気ない気がしてそれ以上手が伸びないのだった。
それから一月ほど経った。
何の進展もなく疑問だけが増大する中、恋は久しぶりに何の予定もなく、一人街の中を歩いていた。
アルバイト代も入り、何か買おうかと服屋を巡っていると、前方から歩いて来た人物と目が合った。
「ん?如月?」
「あれ、藤真さん?」
「よう、何してるんだ?」
「あ、買い物です」
「まーた、1人で行動してるのか」
「あはは」
恋は曖昧な笑いを浮かべていた。
藤真には再三注意されているが、恋は一人で出歩く事も好きなのだ。
特に悩み事がある時は、一人で気分転換する事で頭の中が整理できる気がしていた。
「大丈夫なのか?」
「はい」
恋は、藤真の心配も仕方ないと思った。
恋は、何度も藤真に自慢の出来ないような場面を目撃されている為に、心配してくれているのだろうと思い、笑顔でハッキリと返事をした。
絡まれる事はあっても、以前よりはマシな対応が出来ている時もあり、多少なりとも恋は自信が持てる様になっている。
藤真は、恋の雰囲気がどことなく変わった気がして、頭に疑問符が浮かんだ。
「ふーん?何か、雰囲気変わったな?」
「そうですか?」
「あぁ、いいと思うぞ、そういうの。そうだ、いい物やるよ」
「何ですか?」
何かを閃いた藤真は、鞄の中からとある封筒を取り出し恋に差し出した。
恋が受け取りその中身を取り出すと、藤真はニッと笑った。
「文化祭のチケット」
「えっ!?」
そこには確かに『翔陽祭』と書いてあり、恋が驚くのも無理はない。
何の脈絡もなく、そんな物を唐突に渡されては戸惑うという物だろう。
しかし、藤真はあっけらかんとして言い放った。
「月末にあるから、誰かと来いよ」
「な、何で私なんですか」
「ん?余ってるから」
「えぇ…?藤真さんからなら、女の子皆喜ぶと思いますよ?」
「女子にあげたらそういう風になるから面倒だろ。男友達にあげようかと思ってたけど、お前の方が無害そうだしやるよ」
「無害って…」
幸か不幸か、藤真には恋が人畜無害に感じるようだ。
恋は少し複雑な想いを募らせたが、藤真にはそんな物を気にした素振りなど微塵も感じない。
「あ、良かったら牧と来いよ」
「えっ!?」
「お前ら知り合いだろ?」
「そうですけど…」
「じゃあ、当日待ってるぜ」
「ちょ、藤真さんっ」
藤真は爆弾発言を残し、颯爽と去って行ってしまった。
恋は、その背と手元のチケットを交互に見て頭を抱える事となった。
翌日、恋は差し入れを口実に体育館へ来ていた。
那岐は、他の部へも持って行くと言い姿を消している。
緊張して深呼吸を何度もしていた恋は、おずおずと体育館入り口にいた高砂へ声をかけた。
「あの、牧さんいますか?」
「牧?今、部室行ってるけど」
「そうですか…」
恋は手にしていた差し入れを高砂に渡すと、踵を返し帰ろうとした。
そこで、高砂が見兼ねて声をかける。
「行ってみれば良いんじゃないか?」
「良いんでしょうか?」
「着替えに行っただけだから、大丈夫だろ」
「じゃあ、行ってみます」
恋は、ペコリとお辞儀をすると部室棟へと向かった。
バスケットボール部の部室前に立ち止まると、中の電気が窓越しに見え、恋はドアを軽くノックする。
「牧さん、いますか?」
「あぁ」
「失礼しま…」
恋は返事を聞くと、考えなしにそっとドアノブを回し中に入ろうとしたが、目の前の光景に言葉をなくした。
瞬間、頬に熱が集中する。
「ごめんなさいっ!」
恋はドアを勢いよく押し返した。
中にいた牧は、上半身裸だったのだ。
海でも見てはいたが、その時は極力見ない様にもしていたし、やはり異性の裸体は何度見ても慣れる物でもない。
まして、それが好意を寄せる相手ならば尚更だろう。
恋の心臓が、バクバクと大きく音を立てていた。
必死で忘れようとするも印象が強すぎる。
そのグルグル回る思考を止めたのは、部室から出てきた牧だった。
今度はちゃんと服を身に付けていて少し安堵するが、牧は申し訳なさそうに立っていて、恋は逆に済まなさが湧き上がる。
「悪い」
「い、いえ!私こそ、ごめんなさい!」
恋は必死に何度も謝るが、牧は苦笑していた。
「それで?何か用か?」
「あ、はい。月末の土曜日って何か予定ありますか?」
「ん?いや、今の所はないが」
「あの、良かったらこれ、一緒に行ってくれませんか?」
恋は、緊張から微かに震える手でチケットを取り出すと牧に見せた。
牧は、それを手にすると文字を見て疑問を抱く。
「ん?翔陽の文化祭か?」
「はい。藤真さんに貰って…牧さんと来いと…」
牧には、何故そうなったのかという疑問は湧く。
しかし、恋の態度を見るに本意ではないのだろうと予測出来、牧は静かに頷いた。
その日は丁度、体育館のメンテナンス剤塗布の為、部活動が休みなのだ。
「…まぁ、構わないが」
「本当ですか!?」
「あぁ。また時間などは、日にちが近くなってから決めて良いか?」
「はい」
恋が思っていた以上に嬉しそうな笑顔を向けると、牧は拍子抜けして笑みが溢れ、チケットを返した。
恋はそれを受け取り頭を下げて帰って行った。
茹だる暑さが去る気配のない中、恋が数日前の出来事に悶々としながら歩いていると、自転車に乗った那岐が声をかけて来た。
「おはよー」
「あ、おはようございます」
那岐はヒョイとサドルから降り、自転車を押しながら恋に明るい笑顔を向けていた。
あの日、何があったか詳しくは知らない恋だが、話の内容から何となく想像はついていて、だからと言ってそれを恋が聞くのもおかしな話だと思っているからか、努めていつも通りの態度で返した。
校門を潜り那岐は自転車を駐輪場へ置くと、急いで恋の元へ戻って来る。
それから那岐は、唐突にパンっと手を叩くと申し訳なさそうに謝った。
「花火の日はごめんね、先帰っちゃって」
「あ…いえ、気にしないで下さい」
「そう?何か、神も抜けてきちゃったって言うからビックリだよね。こっちから誘ったのにごめんね」
「いえ」
それから、那岐と会話をしながら恋は校舎へと向かった。
ただ、会話をしつつも恋の頭を占めているのは牧の事で、正直二人のやりとり、もとい那岐の気持ちが気になって仕方がない。
けれど、それを上手く聞き出す言葉が浮かばず、手を繋いでしまった事で小さな罪悪感も生まれている為、恋は愛想笑いを浮かべるしかなかった。
それでも、気にした素振りのない那岐はどこかスッキリしたような顔をしていて、恋は余計に複雑な思いが渦巻いていた。
昼休み、気の緩んだ生徒達で賑わう教室で、恋が友人達と弁当を食べ終え談笑していると、窓の外から声をかけられた。
「如月さん」
「神さん…」
「少しだけいい?」
「はい」
表情の読み取れない神に、恋は少しだけ緊張も走るが、友人達の見ている前でハッキリと断るわけにもいかず立ち上がった。
二人で人の少ない階段付近へ来ると、神は恋に向き直る。
ジッと見つめてくる神に、恋は少しだけたじろいだ。
「今まで、ごめんね」
「え?」
「あの後、那岐と話したんだ。それで、少しだけ整理ついたから」
「そう…ですか」
あの日、神は那岐の元へ走った。
恋は二人にどんなやりとりがあったのかなど想像もできないが、整理という言葉にどこか引っ掛かりを覚える。
しかし、神は気にした様子がないので、そこを突っ込むべきとも思わず、恋は相槌しか打てなかった。
神は、恋が詳しく尋ねてこない事に苦笑していたが、そこには少しだけ安堵も含まれていた。
「それと、もう一つごめん」
「えっ?」
「牧さんが、彼女はつくらないってハッキリ言うのを聞かせてしまったから」
「あ…」
話の流れで聞いてしまってはいたが、それ以前、海で出会った日にはすでに同じ様な事を盗み聞きしてしまっているし、本人からも同じ様なニュアンスの事を聞いていて、恋は何と答えるべきか迷ってしまった。
唐突に、目の前で繰り広げられる会話に心構えが出来ていたわけではないが、数回目ともなればショックは受けつつも、多少癒えるのは早くなっている。
ただ、その後の牧の行動に、恋は答えのない迷宮へと迷い込んでしまったわけだが、今まで冷淡に接してきていた神がそれを気にしていた事に少なからず驚いた。
それは、何の他意もない心配そのもので、神は少しだけ言いづらそうにしていた。
「…諦めるの?」
「…それは、分かりません。でも、好きな事に変わりはないので、しばらくはこのままでいたいと思います。それで、やっぱり好きが止まらなかったら、ちゃんと告白しようと思います」
「そう」
恋が真っ直ぐにそう伝えると、神は少しだけ笑った。
これ以上は、干渉すべき事でもなく、願わくばそれが実れば良いとも神は思う。
話も終わり、恋は挨拶を交わし教室に戻って談笑の続きに加わった。
机にお菓子も広げられていて、それを恋はパクリと食べたが、胸に何かがつっかえ、どこか味気ない気がしてそれ以上手が伸びないのだった。
***
それから一月ほど経った。
何の進展もなく疑問だけが増大する中、恋は久しぶりに何の予定もなく、一人街の中を歩いていた。
アルバイト代も入り、何か買おうかと服屋を巡っていると、前方から歩いて来た人物と目が合った。
「ん?如月?」
「あれ、藤真さん?」
「よう、何してるんだ?」
「あ、買い物です」
「まーた、1人で行動してるのか」
「あはは」
恋は曖昧な笑いを浮かべていた。
藤真には再三注意されているが、恋は一人で出歩く事も好きなのだ。
特に悩み事がある時は、一人で気分転換する事で頭の中が整理できる気がしていた。
「大丈夫なのか?」
「はい」
恋は、藤真の心配も仕方ないと思った。
恋は、何度も藤真に自慢の出来ないような場面を目撃されている為に、心配してくれているのだろうと思い、笑顔でハッキリと返事をした。
絡まれる事はあっても、以前よりはマシな対応が出来ている時もあり、多少なりとも恋は自信が持てる様になっている。
藤真は、恋の雰囲気がどことなく変わった気がして、頭に疑問符が浮かんだ。
「ふーん?何か、雰囲気変わったな?」
「そうですか?」
「あぁ、いいと思うぞ、そういうの。そうだ、いい物やるよ」
「何ですか?」
何かを閃いた藤真は、鞄の中からとある封筒を取り出し恋に差し出した。
恋が受け取りその中身を取り出すと、藤真はニッと笑った。
「文化祭のチケット」
「えっ!?」
そこには確かに『翔陽祭』と書いてあり、恋が驚くのも無理はない。
何の脈絡もなく、そんな物を唐突に渡されては戸惑うという物だろう。
しかし、藤真はあっけらかんとして言い放った。
「月末にあるから、誰かと来いよ」
「な、何で私なんですか」
「ん?余ってるから」
「えぇ…?藤真さんからなら、女の子皆喜ぶと思いますよ?」
「女子にあげたらそういう風になるから面倒だろ。男友達にあげようかと思ってたけど、お前の方が無害そうだしやるよ」
「無害って…」
幸か不幸か、藤真には恋が人畜無害に感じるようだ。
恋は少し複雑な想いを募らせたが、藤真にはそんな物を気にした素振りなど微塵も感じない。
「あ、良かったら牧と来いよ」
「えっ!?」
「お前ら知り合いだろ?」
「そうですけど…」
「じゃあ、当日待ってるぜ」
「ちょ、藤真さんっ」
藤真は爆弾発言を残し、颯爽と去って行ってしまった。
恋は、その背と手元のチケットを交互に見て頭を抱える事となった。
***
翌日、恋は差し入れを口実に体育館へ来ていた。
那岐は、他の部へも持って行くと言い姿を消している。
緊張して深呼吸を何度もしていた恋は、おずおずと体育館入り口にいた高砂へ声をかけた。
「あの、牧さんいますか?」
「牧?今、部室行ってるけど」
「そうですか…」
恋は手にしていた差し入れを高砂に渡すと、踵を返し帰ろうとした。
そこで、高砂が見兼ねて声をかける。
「行ってみれば良いんじゃないか?」
「良いんでしょうか?」
「着替えに行っただけだから、大丈夫だろ」
「じゃあ、行ってみます」
恋は、ペコリとお辞儀をすると部室棟へと向かった。
バスケットボール部の部室前に立ち止まると、中の電気が窓越しに見え、恋はドアを軽くノックする。
「牧さん、いますか?」
「あぁ」
「失礼しま…」
恋は返事を聞くと、考えなしにそっとドアノブを回し中に入ろうとしたが、目の前の光景に言葉をなくした。
瞬間、頬に熱が集中する。
「ごめんなさいっ!」
恋はドアを勢いよく押し返した。
中にいた牧は、上半身裸だったのだ。
海でも見てはいたが、その時は極力見ない様にもしていたし、やはり異性の裸体は何度見ても慣れる物でもない。
まして、それが好意を寄せる相手ならば尚更だろう。
恋の心臓が、バクバクと大きく音を立てていた。
必死で忘れようとするも印象が強すぎる。
そのグルグル回る思考を止めたのは、部室から出てきた牧だった。
今度はちゃんと服を身に付けていて少し安堵するが、牧は申し訳なさそうに立っていて、恋は逆に済まなさが湧き上がる。
「悪い」
「い、いえ!私こそ、ごめんなさい!」
恋は必死に何度も謝るが、牧は苦笑していた。
「それで?何か用か?」
「あ、はい。月末の土曜日って何か予定ありますか?」
「ん?いや、今の所はないが」
「あの、良かったらこれ、一緒に行ってくれませんか?」
恋は、緊張から微かに震える手でチケットを取り出すと牧に見せた。
牧は、それを手にすると文字を見て疑問を抱く。
「ん?翔陽の文化祭か?」
「はい。藤真さんに貰って…牧さんと来いと…」
牧には、何故そうなったのかという疑問は湧く。
しかし、恋の態度を見るに本意ではないのだろうと予測出来、牧は静かに頷いた。
その日は丁度、体育館のメンテナンス剤塗布の為、部活動が休みなのだ。
「…まぁ、構わないが」
「本当ですか!?」
「あぁ。また時間などは、日にちが近くなってから決めて良いか?」
「はい」
恋が思っていた以上に嬉しそうな笑顔を向けると、牧は拍子抜けして笑みが溢れ、チケットを返した。
恋はそれを受け取り頭を下げて帰って行った。