願わくば
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俺が廊下を歩いていると、唐突に曲がり角から来た人物と衝突した。
慌てて相手を支えてみれば、それは最近俺が頭を悩ませているマネージャーだった。
「げっ」
俺は思わず心の声が漏れた。
別にこいつが嫌いなわけじゃねぇんだけど、仙道に対する態度であんまいい感情持てねぇんだよな…。
「何ですか、失礼ですね」
ムッとした顔をよく見れば、目元が赤い。
泣いてたんだろうか。
「いや、あーまぁ、うん、ドンマイだ」
「何がですか?」
「何があったか知らねぇけど、泣いてただろ」
そう言うと、こいつは少し睨んで来た。
…って、何で睨まれなきゃなんねぇんだよ!?
俺が内心焦っていると、淡々とした声でこいつは言ってきた。
「仙道先輩に告白したけどフラれたんですよ」
その言葉に俺は違う意味で焦りが出始める。
「はぁ?また告白したのか!?お前、引っ掻き回すつもりじゃ…」
こいつ、仙道と恋の仲裂こうとしてるとかか!?
なんて思ったけど、こいつの表情からはそれが感じられない気がする。
それから、でっかいため息を吐かれた。
「引っ掻き回すとか無理ですよ、あれ。だって仙道先輩、私のことこれっぽっちも見てませんから」
「あ?でも楽しそうに話してたじゃねぇか」
「表面上そう見えたでしょうけど、多分、あれは私を通して彼女さんを見てます」
「は?」
「たまにいるんですよね。私の仕草とか甘え方を彼女に変換する人。彼女ならこうするな、とかって変換して愛おしくなるんです。仙道先輩はそれです。私のことなんて全然見てない」
「へー」
まぁ、確かに仙道って恋しか見てねぇしな。
恋にハッパかけたけど、心配いらねぇってことか。
「何ですか、嬉しそうですね」
「いやー、あいつがお前のこと『可愛いよな』って言ってたから心配してたんだよ。なら心配いらねーなぁって」
「それ、いつ言ってました?」
「お?確か、お前が何か珍しく一人で頑張ってた時」
「珍しくって…ホント越野先輩って私に対して失礼ですよね」
「あ?そんなつもりねぇけど。ただ、仙道達を別れさせようとしてんのかと思ってたし、実際お前すぐ人に甘えるだろ」
「だって、甘えるとやってくれるんですもん。そりゃあ、頼りますよね?」
「お前なぁ…」
こいつは…。
可愛くてモテる奴は、やっぱ思考回路が違いすぎる。
ここまで、自分の可愛さを利用しててそれを隠さないやつも珍しいと、俺はある意味感心してしまう。
「それからそれ、絶対私を通して彼女さん想像してますよ」
「何でだよ?」
「だって、その後私に言いましたもん。『頑張ってるな。恋みたいだ』って。そこで普通、彼女さんの名前出ます!?」
そんなやりとりがあったとは…。
何つーかご愁傷様と言いたくなる。
でも、言ったら怒るよな…。
「いや、あー…」
「私通して彼女さん見てるんですよ!?凄く失礼ですよね!?まぁ、それでも好きなんですけど!」
「プッ」
「何で笑うんですか!?」
「いや、お前すげぇなと思って」
自分のこと見てないって分かってても、好きだって宣言できる根性がすげぇなと思った。
普通すぐ諦めねぇか?
モテるから、そういう考えに及ばねぇのかな。
プリプリ怒ってる様は少し可愛くも見える。
「意味がわかりません」
「いや、まぁ、仙道は諦めろ」
「分かってますよ」
意外にも返って来たのは肯定で、俺は少し驚いた。
「へー、諦めんのか」
「は?バカにしてます!?」
「いや、諦めねぇとか言うかと思ってたから」
女子力高そうだし、あの手この手でまだ立ち向かうのかと思ったけどな。
まぁ、そんなの俺が許さねーけど。
間に入って邪魔してやる。
俺がそんなこと考えてるとは思ってねぇのか、淡々とした答えが返って来た。
「流石にもう敵いませんよ。仙道先輩だけならまだしも、彼女さんも私に直接言ってきましたし。お手上げですね」
「仙道だけならなんとか何のかよ」
「なりませんよ?仙道先輩、彼女さんのこと愛してるみたいですし。でも、そんな先輩にちゃんと応えてくれない人に負けるとか、嫌じゃないですか」
フンっと不服そうな態度を見てたら思わず笑いが漏れた。
こいつ、すげぇな。
「はは、負けず嫌いだなー、お前」
「悪いですか?」
「別に良いんじゃねぇの。何かお前の見方変わった」
「え、好きになられても困ります。私越野先輩は好みじゃないです」
「お前なぁ…」
マネージャーはペコリと頭を下げて笑みを向けると行ってしまった。
こうハッキリ言えるのはやっぱりモテる奴だからなのか?
流石に傷付くぞ。
でも、仙道達は大丈夫そうなら良かった。
二人が好きあってんのは分かってんだ。
恋が素直になれば良いだけだ。
これからは、恋も素直になるだろ。
はぁ、俺って友達思いだよなー。
そんなことを思うと俺の口元は自然と緩んだのだった。
慌てて相手を支えてみれば、それは最近俺が頭を悩ませているマネージャーだった。
「げっ」
俺は思わず心の声が漏れた。
別にこいつが嫌いなわけじゃねぇんだけど、仙道に対する態度であんまいい感情持てねぇんだよな…。
「何ですか、失礼ですね」
ムッとした顔をよく見れば、目元が赤い。
泣いてたんだろうか。
「いや、あーまぁ、うん、ドンマイだ」
「何がですか?」
「何があったか知らねぇけど、泣いてただろ」
そう言うと、こいつは少し睨んで来た。
…って、何で睨まれなきゃなんねぇんだよ!?
俺が内心焦っていると、淡々とした声でこいつは言ってきた。
「仙道先輩に告白したけどフラれたんですよ」
その言葉に俺は違う意味で焦りが出始める。
「はぁ?また告白したのか!?お前、引っ掻き回すつもりじゃ…」
こいつ、仙道と恋の仲裂こうとしてるとかか!?
なんて思ったけど、こいつの表情からはそれが感じられない気がする。
それから、でっかいため息を吐かれた。
「引っ掻き回すとか無理ですよ、あれ。だって仙道先輩、私のことこれっぽっちも見てませんから」
「あ?でも楽しそうに話してたじゃねぇか」
「表面上そう見えたでしょうけど、多分、あれは私を通して彼女さんを見てます」
「は?」
「たまにいるんですよね。私の仕草とか甘え方を彼女に変換する人。彼女ならこうするな、とかって変換して愛おしくなるんです。仙道先輩はそれです。私のことなんて全然見てない」
「へー」
まぁ、確かに仙道って恋しか見てねぇしな。
恋にハッパかけたけど、心配いらねぇってことか。
「何ですか、嬉しそうですね」
「いやー、あいつがお前のこと『可愛いよな』って言ってたから心配してたんだよ。なら心配いらねーなぁって」
「それ、いつ言ってました?」
「お?確か、お前が何か珍しく一人で頑張ってた時」
「珍しくって…ホント越野先輩って私に対して失礼ですよね」
「あ?そんなつもりねぇけど。ただ、仙道達を別れさせようとしてんのかと思ってたし、実際お前すぐ人に甘えるだろ」
「だって、甘えるとやってくれるんですもん。そりゃあ、頼りますよね?」
「お前なぁ…」
こいつは…。
可愛くてモテる奴は、やっぱ思考回路が違いすぎる。
ここまで、自分の可愛さを利用しててそれを隠さないやつも珍しいと、俺はある意味感心してしまう。
「それからそれ、絶対私を通して彼女さん想像してますよ」
「何でだよ?」
「だって、その後私に言いましたもん。『頑張ってるな。恋みたいだ』って。そこで普通、彼女さんの名前出ます!?」
そんなやりとりがあったとは…。
何つーかご愁傷様と言いたくなる。
でも、言ったら怒るよな…。
「いや、あー…」
「私通して彼女さん見てるんですよ!?凄く失礼ですよね!?まぁ、それでも好きなんですけど!」
「プッ」
「何で笑うんですか!?」
「いや、お前すげぇなと思って」
自分のこと見てないって分かってても、好きだって宣言できる根性がすげぇなと思った。
普通すぐ諦めねぇか?
モテるから、そういう考えに及ばねぇのかな。
プリプリ怒ってる様は少し可愛くも見える。
「意味がわかりません」
「いや、まぁ、仙道は諦めろ」
「分かってますよ」
意外にも返って来たのは肯定で、俺は少し驚いた。
「へー、諦めんのか」
「は?バカにしてます!?」
「いや、諦めねぇとか言うかと思ってたから」
女子力高そうだし、あの手この手でまだ立ち向かうのかと思ったけどな。
まぁ、そんなの俺が許さねーけど。
間に入って邪魔してやる。
俺がそんなこと考えてるとは思ってねぇのか、淡々とした答えが返って来た。
「流石にもう敵いませんよ。仙道先輩だけならまだしも、彼女さんも私に直接言ってきましたし。お手上げですね」
「仙道だけならなんとか何のかよ」
「なりませんよ?仙道先輩、彼女さんのこと愛してるみたいですし。でも、そんな先輩にちゃんと応えてくれない人に負けるとか、嫌じゃないですか」
フンっと不服そうな態度を見てたら思わず笑いが漏れた。
こいつ、すげぇな。
「はは、負けず嫌いだなー、お前」
「悪いですか?」
「別に良いんじゃねぇの。何かお前の見方変わった」
「え、好きになられても困ります。私越野先輩は好みじゃないです」
「お前なぁ…」
マネージャーはペコリと頭を下げて笑みを向けると行ってしまった。
こうハッキリ言えるのはやっぱりモテる奴だからなのか?
流石に傷付くぞ。
でも、仙道達は大丈夫そうなら良かった。
二人が好きあってんのは分かってんだ。
恋が素直になれば良いだけだ。
これからは、恋も素直になるだろ。
はぁ、俺って友達思いだよなー。
そんなことを思うと俺の口元は自然と緩んだのだった。
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