七夕
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日の放課後、俺と恋は一緒に帰っていた。
今他の奴らはいない。
いつも一緒にいるメンツが揃ってねぇってのも何か不思議な感じだな。
「あ、笹だ!」
そんな事を思ってた俺の横で恋が急に大きな声を出した。
恋が見つけたのは、商店街の入り口に飾られた大きな笹。
それを見て、そう言えばもうすぐ七夕か、なんて思う。
恋は意気揚々と小走りでその笹に向かって行った。
その後について行くと、どうやら誰でも書けるらしく、机とペンが用意されている。
恋は短冊を持って笑いかけてきた。
「書いてみる?」
「何だよ、恋が書きてぇんだろ?」
俺がニヤニヤしながらそう言うと、恋ははにかんで言った。
「当たりー。何書こっかなー」
嬉しそうに恋は机の上のペンを取る。
俺はそんな様子を横で見るだけ。
願い事とか特にねぇし。
「あれ、洋平は書かないの?」
書く気のない俺に気づいた恋は、俺が書く前提だったようで、そんな事を言う。
「あー、俺はいい」
「いいじゃん、書こうよー」
恋は俺の腕を揺さぶってくる。
こうなったら聞かねぇんだよな、こいつ。
「はいはい。ったく」
俺が短冊とペンを取ると満足したのか、恋はまた机に向かった。
「何がいいかなー。洋平は何書く?」
「あー?そうだなー」
考えてるみてぇな雰囲気出したけど、俺は書く気ねぇんだよなー。
何て言って回避すっかなぁ。
なんて、俺はそんな事ばっかに頭が働いていた。
「何かこれってのがないんだよね。他の人は何書いてんだろ?」
横で唸ってた恋は、急に立ち上がって笹の方に向かう。
そんで勝手に人の短冊を見ようとした。
「こらこら、勝手に見るなよ」
「飾ってるってことは見られていいってことでしょー?」
頬を膨らませる恋に俺は少し呆れてしまう。
けど、恋は人のを見るのは諦めたようでまた机に向き直った。
文句垂れるわりに素直っつーか何つーか…こういうとこ可愛いよなーとか思ったりもするんだけどな。
横でうんうん唸り始めた恋を見兼ねて俺も考えてみる。
そこで、日頃恋がよく言っている言葉を思い出した。
「あ、あれでいいだろ、ダイエット成功しますように」
「っ、洋平!?」
思いの外、大きな声が出たから周りに見られるのを気にしたのか、恋は顔を真っ赤にして俺を睨む。
俺は思わず笑ってしまった。
「あはは、冗談だろ」
「気にしてんだからね!」
絵に描いたように、プンプンと怒っている恋の体を俺はこっそりと盗み見る。
こいつにダイエットが必要な意味が分かんねーんだよな。
丁度いいのに。
「たくっ、別に太ってねぇだろ」
「男目線と女目線では太いの基準が違うの!」
「へーへー」
そんな事を言われても、俺は今の恋くらいがいいと思ってる。
抱き心地良さそうだよなーとか考えたりもするし。
そんな事を、俺が密かに思ってるなんて考えもしない恋は、盛大にため息を吐いた。
「あー、何にしよっかなぁ。花道なら晴子ちゃんと結ばれますようにーとかなのかなぁ」
「あー。それかインターハイ優勝とかじゃねぇ?」
俺の言葉が意外すぎたのか、恋は目を丸くしてからおもむろに吹き出した。
「花道がー?それは書きそうにないって」
「分かんねーぞ?あいつ、今はバスケが楽しくてしゃあねぇみたいだしなぁ」
「まぁねー…」
恋の声音は一気に落ちた。
どこか複雑そうに向けてくる顔に俺は眉を寄せた。
「何だよ?」
「洋平は寂しくないの?」
「はー?別に何も思わねぇよ、今更」
実際、寂しいとかは考えた事もねぇ。
ただ、羨ましいなと思う時はある。
あんだけ一緒にバカばっかやってた仲間が、夢を見つけるってーのは嬉しくもあり、羨ましくもある。
俺には、あそこまで熱くなれるものがねぇなって思い知らされる気がする。
けど、それでどうこうってのはなくて、花道があんなに夢中になれるものは自然と応援したくなる。
一緒に夢を見させてもらってる気にもなるんだよな。
だから、今の言葉は俺の本心ではある。
でも、恋は少し納得のいってない顔だ。
「えー?あ、決ーめた!」
「あ?」
恋は急にスラスラとペンを走らせた。
髪が邪魔でなんて書いてんのかが分からなかったけど、恋は書き終えると笑顔で俺に短冊を見せつけた。
「洋平に何か見つかって、ずーっと笑ってますように!」
「…はぁ?」
「洋平にも、花道みたいにコレってのが見つかるといいなと思って」
笑顔でそんな事を言う恋に、俺は微妙な顔つきで笑うしかできない。
「…自分の願い事書けよ」
「これが私の願いごとですー。よし、付けてくるね!」
「…はぁ」
意気揚々と笹に向かった恋を見届けて、俺はため息が漏れた。
たくっ、何なんだよ、それ。
あーあ、あれを素で言ってくるから敵わねぇんだよな…。
俺はチラリと手元の短冊を見た。
あんなん書かれたら願わずにはいられねーよなぁ…。
俺は、半分諦めにも似た気持ちで、短冊に願い事を書いた。
そして、恋が短冊を付けるのに苦戦してるうちに、さっさと高い位置に括り付ける。
俺に気づいた恋は不思議そうに見つめてきた。
「あれ?洋平も書いたの?」
「あぁ」
「何て書いたの?」
「何でもいいだろ、先行くぞ」
恋が括り付けた先を見ようとするので、俺はさっさと歩き出す。
そうすれば、恋は無理してまで見ずに、俺を追いかけてくるって分かってんだよ。
我ながら卑怯な手だと思う。
「えー?待ってよ!」
案の定、恋は追いかけて来た。
多分、見たらこいつは平気な顔して、「当たり前じゃん」とか言いそうなんだよな。
特に深い意味なんて考えずに、友達としてって考えそうだ。
けど、俺はその先を望んでる。
恋はどう思ってんだかよくわかんねぇから、言う時期に迷ってんのもある。
こいつは、その言葉を聞いたら困るんだろうか。
俺はふいに恋の頭を撫でた。
「何?」
「何でもねーよ」
恋は不思議そうに俺を見るけど、撫で続けたからか、その顔は照れた笑みに変わった。
嫌がんねーとこがまた困るし、期待してしまう。
そう、俺の願いは一つだけ。
『恋が、この先ずっと俺の隣で笑っててくれますように』
今他の奴らはいない。
いつも一緒にいるメンツが揃ってねぇってのも何か不思議な感じだな。
「あ、笹だ!」
そんな事を思ってた俺の横で恋が急に大きな声を出した。
恋が見つけたのは、商店街の入り口に飾られた大きな笹。
それを見て、そう言えばもうすぐ七夕か、なんて思う。
恋は意気揚々と小走りでその笹に向かって行った。
その後について行くと、どうやら誰でも書けるらしく、机とペンが用意されている。
恋は短冊を持って笑いかけてきた。
「書いてみる?」
「何だよ、恋が書きてぇんだろ?」
俺がニヤニヤしながらそう言うと、恋ははにかんで言った。
「当たりー。何書こっかなー」
嬉しそうに恋は机の上のペンを取る。
俺はそんな様子を横で見るだけ。
願い事とか特にねぇし。
「あれ、洋平は書かないの?」
書く気のない俺に気づいた恋は、俺が書く前提だったようで、そんな事を言う。
「あー、俺はいい」
「いいじゃん、書こうよー」
恋は俺の腕を揺さぶってくる。
こうなったら聞かねぇんだよな、こいつ。
「はいはい。ったく」
俺が短冊とペンを取ると満足したのか、恋はまた机に向かった。
「何がいいかなー。洋平は何書く?」
「あー?そうだなー」
考えてるみてぇな雰囲気出したけど、俺は書く気ねぇんだよなー。
何て言って回避すっかなぁ。
なんて、俺はそんな事ばっかに頭が働いていた。
「何かこれってのがないんだよね。他の人は何書いてんだろ?」
横で唸ってた恋は、急に立ち上がって笹の方に向かう。
そんで勝手に人の短冊を見ようとした。
「こらこら、勝手に見るなよ」
「飾ってるってことは見られていいってことでしょー?」
頬を膨らませる恋に俺は少し呆れてしまう。
けど、恋は人のを見るのは諦めたようでまた机に向き直った。
文句垂れるわりに素直っつーか何つーか…こういうとこ可愛いよなーとか思ったりもするんだけどな。
横でうんうん唸り始めた恋を見兼ねて俺も考えてみる。
そこで、日頃恋がよく言っている言葉を思い出した。
「あ、あれでいいだろ、ダイエット成功しますように」
「っ、洋平!?」
思いの外、大きな声が出たから周りに見られるのを気にしたのか、恋は顔を真っ赤にして俺を睨む。
俺は思わず笑ってしまった。
「あはは、冗談だろ」
「気にしてんだからね!」
絵に描いたように、プンプンと怒っている恋の体を俺はこっそりと盗み見る。
こいつにダイエットが必要な意味が分かんねーんだよな。
丁度いいのに。
「たくっ、別に太ってねぇだろ」
「男目線と女目線では太いの基準が違うの!」
「へーへー」
そんな事を言われても、俺は今の恋くらいがいいと思ってる。
抱き心地良さそうだよなーとか考えたりもするし。
そんな事を、俺が密かに思ってるなんて考えもしない恋は、盛大にため息を吐いた。
「あー、何にしよっかなぁ。花道なら晴子ちゃんと結ばれますようにーとかなのかなぁ」
「あー。それかインターハイ優勝とかじゃねぇ?」
俺の言葉が意外すぎたのか、恋は目を丸くしてからおもむろに吹き出した。
「花道がー?それは書きそうにないって」
「分かんねーぞ?あいつ、今はバスケが楽しくてしゃあねぇみたいだしなぁ」
「まぁねー…」
恋の声音は一気に落ちた。
どこか複雑そうに向けてくる顔に俺は眉を寄せた。
「何だよ?」
「洋平は寂しくないの?」
「はー?別に何も思わねぇよ、今更」
実際、寂しいとかは考えた事もねぇ。
ただ、羨ましいなと思う時はある。
あんだけ一緒にバカばっかやってた仲間が、夢を見つけるってーのは嬉しくもあり、羨ましくもある。
俺には、あそこまで熱くなれるものがねぇなって思い知らされる気がする。
けど、それでどうこうってのはなくて、花道があんなに夢中になれるものは自然と応援したくなる。
一緒に夢を見させてもらってる気にもなるんだよな。
だから、今の言葉は俺の本心ではある。
でも、恋は少し納得のいってない顔だ。
「えー?あ、決ーめた!」
「あ?」
恋は急にスラスラとペンを走らせた。
髪が邪魔でなんて書いてんのかが分からなかったけど、恋は書き終えると笑顔で俺に短冊を見せつけた。
「洋平に何か見つかって、ずーっと笑ってますように!」
「…はぁ?」
「洋平にも、花道みたいにコレってのが見つかるといいなと思って」
笑顔でそんな事を言う恋に、俺は微妙な顔つきで笑うしかできない。
「…自分の願い事書けよ」
「これが私の願いごとですー。よし、付けてくるね!」
「…はぁ」
意気揚々と笹に向かった恋を見届けて、俺はため息が漏れた。
たくっ、何なんだよ、それ。
あーあ、あれを素で言ってくるから敵わねぇんだよな…。
俺はチラリと手元の短冊を見た。
あんなん書かれたら願わずにはいられねーよなぁ…。
俺は、半分諦めにも似た気持ちで、短冊に願い事を書いた。
そして、恋が短冊を付けるのに苦戦してるうちに、さっさと高い位置に括り付ける。
俺に気づいた恋は不思議そうに見つめてきた。
「あれ?洋平も書いたの?」
「あぁ」
「何て書いたの?」
「何でもいいだろ、先行くぞ」
恋が括り付けた先を見ようとするので、俺はさっさと歩き出す。
そうすれば、恋は無理してまで見ずに、俺を追いかけてくるって分かってんだよ。
我ながら卑怯な手だと思う。
「えー?待ってよ!」
案の定、恋は追いかけて来た。
多分、見たらこいつは平気な顔して、「当たり前じゃん」とか言いそうなんだよな。
特に深い意味なんて考えずに、友達としてって考えそうだ。
けど、俺はその先を望んでる。
恋はどう思ってんだかよくわかんねぇから、言う時期に迷ってんのもある。
こいつは、その言葉を聞いたら困るんだろうか。
俺はふいに恋の頭を撫でた。
「何?」
「何でもねーよ」
恋は不思議そうに俺を見るけど、撫で続けたからか、その顔は照れた笑みに変わった。
嫌がんねーとこがまた困るし、期待してしまう。
そう、俺の願いは一つだけ。
『恋が、この先ずっと俺の隣で笑っててくれますように』
1/2ページ