帰り道
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大きな入道雲が浮かぶ夏の昼下がり、俺は恋と帰り道を歩いていた。
その暑さに、お互い額から汗が流れていて、恋はそれを煩わしそうに袖で拭った。
今日は一段と暑い。
「ね、洋平、コンビニ寄らない?」
唐突に、恋はコンビニを指差した。
「あ?何か買いたいもんあんのか?」
「アイス食べたいなって」
涼むには丁度いいか、なんて思ってた俺の予想とは裏腹に、返ってきた答えに呆れてしまった。
「はぁ?お前、昼飯の後にも購買で買ってなかったか?」
今日の昼休み、購買に買い出しに行くと、ついでにと恋はアイスを買っていた。
それは開封後、一瞬で恋の胃袋に消えたはずだ。
「あれはシューアイスだよ?今はシャリシャリしたのが食べたいの」
恋は、ツンとしていて何故か不満気だ。
たくっ、俺はそんな事聞いてんじゃねぇんだけどな。
何回食う気だ、こいつ。
大体、家でも毎日アイス食ってるとか言ってなかったか?
「腹壊すぞ?」
「お腹、丈夫だから!」
確かに昔から丈夫だったな、とは思う。
それに、言ったところでこいつは聞かねぇんだよなー…。
「はー…分かったよ」
仕方なく、俺達はコンビニへ向かった。
自動ドアを潜った先は、冷房が効いていて涼しい。
恋は、涼む暇なく一目散にアイスコーナーへ向かった。
足取りが軽すぎて、楽しみにしているのがよく分かるし、犬みたいで面白い。
俺が笑いを堪えて恋の後に続くと、一足先にいたその目線に思わず笑ってしまった。
目がキラキラしてて、どんだけ楽しみなんだよってツッコミたくなる。
同時に、可愛いと思ったのは秘密だけどな。
「どれにしよっかなー。あ、新作だ」
「毎回、チェックしてんのか?」
「来た時はね。あ、これも美味しそう」
恋は、色々言いながらも迷っていて中々決まらない。
これは昔からだ。
俺と恋は所謂幼馴染で、お互いの事はわりとよく分かっている。
長年見てきた恋は、ずっと変わらないなと思う事が多い。
中々決めない恋を、俺がただ待っている。
この距離感が妙にしっくり来るし、恋を理由なく見つめていられるのは、俺にとって有難い。
と、ふいに腕を掴まれた。
「ねぇねぇ、洋平!懐かしい!」
「は?」
「ほら、昔食べたよね」
「あぁ、これか」
恋が手にしているのは、2つに分けられる棒アイスだ。
昔、よく恋が好んで買っていたのを思い出す。
けれど、いつの間にかあんまり見なくなったアイスでもあり妙に懐かしい。
思い出された恋の姿に、不思議と口元が緩んだ。
「お前割るの下手だよな、これ」
「…今日は、大丈夫な気がする!」
「やめとけやめとけ。どうせ失敗すんだから」
「今日はいける!」
恋は、無邪気に笑ってレジへ向かってしまった。
掴まれていた腕の熱がなくなったのは妙に寂しく感じるけれど、俺は恋の後に続いて歩いた。
恋とコンビニを出ると、すぐさま袋から取り出されたアイスと恋は対峙する。
俺をチラリと見てから、スーッと深呼吸していた。
そこまで真剣になるなよ…。
「よし、いくよ!」
「おー、ガンバレ」
俺が棒読みの応援を送ると、力が込められたアイスは見事に割れた。
そう、不恰好な形で。
「…あぁっ!?」
「ほら、やっぱりな」
「嘘でしょ…今日は出来ると思ったのに!」
「はいはい、じゃあ、こっち貰うぜ」
俺はひょいと、先が大きくなったアイスを恋の手から奪って歩き出す。
恋の手には小さなアイス。
恋は、慌てて俺の服を掴んだ。
「えぇ!?何でよ!?」
「冷たいもんばっか食うな。腹壊さねぇように、俺が食ってやるよ」
「あー!」
恋が叫んだ。
そう思った時には、恋の顔が妙に至近距離だった。
瞬間、恋が背伸びをして顔を近づけたのだと気づく。
顔が触れそうな距離に俺が思わず体を引くと、パクリと俺の手から不恰好なアイスが形を変える。
「おい!」
「ひっひゃだひー!…んー、冷たい!」
「たくっ」
幸せそうな恋の顔。
まさか、この歳にもなって無防備に食べてくるとは思わなかった。
昔からこうだ。
買う度に不恰好に仕上がるアイスは俺が貰い、それを奪う恋。
そんなやりとりは何度となく繰り返されている。
けれど、今されるとは思っていなかったんだよなー…。
不用意に近づかれると嬉しい反面、困るんだ。
「洋平?どしたの?」
「いや、別に」
何とも思ってなさそうな、この顔。
俺なんて意識してないんだろうな。
この流れになる度に、俺は少しだけ傷ついている気がする。
「はい、食べ過ぎたからあげるよ?」
俺が黙るからか、恋は手にしていたアイスを差し出した。
別にアイスが欲しいわけじゃない。
俺が欲しいのは1つだけ。
「いい、食…いや、やっぱ貰うわ」
そう言って俺は、恋の手をグッと引いてアイスを食べ切る。
その指先に俺の唇が微かに触れた。
恋は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐ笑顔になる。
「はぁ、暑い。さ、帰ろー」
恋は、俺の腕に自分の腕を絡めるとそのまま引っ張り歩き出す。
ピタリと触れる肌は熱い。
それがどっちの体温かなんて分からない。
ただ、恋の体温が俺より高いなら良いなと思う。
少しでも、俺のせいで体が熱くなって欲しい。
俺は、恋が好きだから、俺だけが熱くなるのは何となく悔しい。
同じくらい、俺の事を意識したら良いのに…。
いつか俺は告白する。
そんな日が来るまでは、恋の隣で今のままの関係を続けたい。
俺は、この隣で屈託無く笑う恋をずっと見ていたいんだ。
その暑さに、お互い額から汗が流れていて、恋はそれを煩わしそうに袖で拭った。
今日は一段と暑い。
「ね、洋平、コンビニ寄らない?」
唐突に、恋はコンビニを指差した。
「あ?何か買いたいもんあんのか?」
「アイス食べたいなって」
涼むには丁度いいか、なんて思ってた俺の予想とは裏腹に、返ってきた答えに呆れてしまった。
「はぁ?お前、昼飯の後にも購買で買ってなかったか?」
今日の昼休み、購買に買い出しに行くと、ついでにと恋はアイスを買っていた。
それは開封後、一瞬で恋の胃袋に消えたはずだ。
「あれはシューアイスだよ?今はシャリシャリしたのが食べたいの」
恋は、ツンとしていて何故か不満気だ。
たくっ、俺はそんな事聞いてんじゃねぇんだけどな。
何回食う気だ、こいつ。
大体、家でも毎日アイス食ってるとか言ってなかったか?
「腹壊すぞ?」
「お腹、丈夫だから!」
確かに昔から丈夫だったな、とは思う。
それに、言ったところでこいつは聞かねぇんだよなー…。
「はー…分かったよ」
仕方なく、俺達はコンビニへ向かった。
自動ドアを潜った先は、冷房が効いていて涼しい。
恋は、涼む暇なく一目散にアイスコーナーへ向かった。
足取りが軽すぎて、楽しみにしているのがよく分かるし、犬みたいで面白い。
俺が笑いを堪えて恋の後に続くと、一足先にいたその目線に思わず笑ってしまった。
目がキラキラしてて、どんだけ楽しみなんだよってツッコミたくなる。
同時に、可愛いと思ったのは秘密だけどな。
「どれにしよっかなー。あ、新作だ」
「毎回、チェックしてんのか?」
「来た時はね。あ、これも美味しそう」
恋は、色々言いながらも迷っていて中々決まらない。
これは昔からだ。
俺と恋は所謂幼馴染で、お互いの事はわりとよく分かっている。
長年見てきた恋は、ずっと変わらないなと思う事が多い。
中々決めない恋を、俺がただ待っている。
この距離感が妙にしっくり来るし、恋を理由なく見つめていられるのは、俺にとって有難い。
と、ふいに腕を掴まれた。
「ねぇねぇ、洋平!懐かしい!」
「は?」
「ほら、昔食べたよね」
「あぁ、これか」
恋が手にしているのは、2つに分けられる棒アイスだ。
昔、よく恋が好んで買っていたのを思い出す。
けれど、いつの間にかあんまり見なくなったアイスでもあり妙に懐かしい。
思い出された恋の姿に、不思議と口元が緩んだ。
「お前割るの下手だよな、これ」
「…今日は、大丈夫な気がする!」
「やめとけやめとけ。どうせ失敗すんだから」
「今日はいける!」
恋は、無邪気に笑ってレジへ向かってしまった。
掴まれていた腕の熱がなくなったのは妙に寂しく感じるけれど、俺は恋の後に続いて歩いた。
恋とコンビニを出ると、すぐさま袋から取り出されたアイスと恋は対峙する。
俺をチラリと見てから、スーッと深呼吸していた。
そこまで真剣になるなよ…。
「よし、いくよ!」
「おー、ガンバレ」
俺が棒読みの応援を送ると、力が込められたアイスは見事に割れた。
そう、不恰好な形で。
「…あぁっ!?」
「ほら、やっぱりな」
「嘘でしょ…今日は出来ると思ったのに!」
「はいはい、じゃあ、こっち貰うぜ」
俺はひょいと、先が大きくなったアイスを恋の手から奪って歩き出す。
恋の手には小さなアイス。
恋は、慌てて俺の服を掴んだ。
「えぇ!?何でよ!?」
「冷たいもんばっか食うな。腹壊さねぇように、俺が食ってやるよ」
「あー!」
恋が叫んだ。
そう思った時には、恋の顔が妙に至近距離だった。
瞬間、恋が背伸びをして顔を近づけたのだと気づく。
顔が触れそうな距離に俺が思わず体を引くと、パクリと俺の手から不恰好なアイスが形を変える。
「おい!」
「ひっひゃだひー!…んー、冷たい!」
「たくっ」
幸せそうな恋の顔。
まさか、この歳にもなって無防備に食べてくるとは思わなかった。
昔からこうだ。
買う度に不恰好に仕上がるアイスは俺が貰い、それを奪う恋。
そんなやりとりは何度となく繰り返されている。
けれど、今されるとは思っていなかったんだよなー…。
不用意に近づかれると嬉しい反面、困るんだ。
「洋平?どしたの?」
「いや、別に」
何とも思ってなさそうな、この顔。
俺なんて意識してないんだろうな。
この流れになる度に、俺は少しだけ傷ついている気がする。
「はい、食べ過ぎたからあげるよ?」
俺が黙るからか、恋は手にしていたアイスを差し出した。
別にアイスが欲しいわけじゃない。
俺が欲しいのは1つだけ。
「いい、食…いや、やっぱ貰うわ」
そう言って俺は、恋の手をグッと引いてアイスを食べ切る。
その指先に俺の唇が微かに触れた。
恋は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐ笑顔になる。
「はぁ、暑い。さ、帰ろー」
恋は、俺の腕に自分の腕を絡めるとそのまま引っ張り歩き出す。
ピタリと触れる肌は熱い。
それがどっちの体温かなんて分からない。
ただ、恋の体温が俺より高いなら良いなと思う。
少しでも、俺のせいで体が熱くなって欲しい。
俺は、恋が好きだから、俺だけが熱くなるのは何となく悔しい。
同じくらい、俺の事を意識したら良いのに…。
いつか俺は告白する。
そんな日が来るまでは、恋の隣で今のままの関係を続けたい。
俺は、この隣で屈託無く笑う恋をずっと見ていたいんだ。