帰り道
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
放課後の教室で帰る準備をしていると、ドアの辺りから俺を呼ぶ声がした。
「仙道!」
「ん?」
見ればそれは恋で、パタパタと足音をさせて俺の方にやって来る。
「ごめん、返すの遅れた!」
申し訳なさそうに、手を合わせながら渡してきたのは俺が貸した教科書だ。
教科書を忘れた恋が、俺のクラスの友達に借りに来たのが昼休み。
今日は、この教科が俺のクラスではなかったから、その友達は教科書を持っていなかったらしくて、他のクラスに向かおうとする恋に俺は声をかけた。
たまたま置きっ放しだったんだけど、ラッキーだったと我ながら思う。
俺は教科書を受け取ると机にしまった。
「別に明日でもいいのに」
「明日じゃ忘れるから。6限体育だったから遅くなってごめんね。ありがとう、助かりました」
へにゃりと笑って恋が言うから、今の俺にも笑顔が浮かんでくる。
恋が笑う顔は、どれも好きだなぁって思わずにはいられない。
本当、可愛いなぁ。
「うん、良かった」
「今から部活?」
「いや、今日は休み」
「え、珍しいね?」
「予選負けちゃったから、ちょっとだけ休憩くれたんだ」
そう、インターハイ予選で、湘北に負けた俺達はそこで道が途絶えた。
労ってくれているのか、監督は部活を休みにしてくれたから、俺はこのまま帰るつもりなんだ。
「へー、そっか。じゃあ、一緒に帰らない?」
「え?」
「あ、何か予定あった?」
「いや、うん。帰ろう」
突然の誘い。
俺は、そんな事言われるなんて思ってもみなかったから、驚きが隠せないけど断るつもりにはなれないな。
俺の返事に恋はただ笑顔を浮かべるだけで、意図までは分からない。
学校を出て並んで歩けば、恋は世間話のつもりで話題を振ってくる。
「予選、残念だったね」
「あぁ、そうだな」
残念…。
そう、残念なんだ。
楽しかったけど、悔しい。
魚住さん達とインターハイを目指せるのは今年までだったし、全国の強い奴ともやりたかった。
それに、アイツにはリベンジしたかったな。
そう考えればやっぱり悔しい。
けど、湘北が全国でどこまで進むのか楽しみでもあるから、少し複雑ではあるんだよな。
アイツらとやるのはとても楽しかったんだ。
「仙道も流石に落ち込むんだね」
俺が黙って歩いてるからか、恋は少し意外そうにしていた。
多分、恋は俺が飄々としていると思っているからそんな事を言うんだろう。
いつだったか、『仙道っていまいち掴み所ないよね』なんて言っていたっけ。
そんな事ないと思うし、俺からしたら恋の方がそう見えるんだけど。
「そう見える?」
「うん、なんとなく。ま、あれだね」
「何?」
「来年は行けるよ、インターハイ」
「…そうだな」
断定した恋の言葉に、俺は微かに笑ってしまった。
簡単に言ってくれるな、って卑屈に取れそうな言葉かも知れない。
でも、恋に言われるのは少し…いや、かなり嬉しいかな。
俺だってそう思っているから、前向きな言葉は素直に受け入れられるんだ。
と、恋がオレを凝視してる事に気付いた。
「何?」
「ね、何か出来る事ある?」
「出来る事って?」
「仙道を元気付ける方法」
そんなに顔に出ているんだろうか。
妙に労ろうとしてくれてる感じがするな。
けど、元気を貰う方法なんて咄嗟に浮かばない。
「んー、そうだなぁ。じゃあ…手を繋ぐとか?」
ふいに、髪を耳にかける恋の手が目に入ったから言ってみたけど、少しだけ後悔。
恋が少し眉を寄せて俺を見たから。
「何よ仙道、今人恋しいの?」
「いや、そんな事はないけど」
「ふーん?じゃあ、はい」
「え?」
そこには恋の差し出した手がある。
恋は、きょとんとしていて俺は反応に困った。
「手繋ぎたいんでしょ?ほら」
「いや、冗談だったんだけど」
「あ、そうなの?なーんだ」
恋はそう言って差し出した手を下げた。
まさかそんな返しをされるなんて思ってなかったから、俺の心の準備が間に合わなかったんだ。
惜しい事をした。
してくれるなんて思って出た言葉じゃなかったんだけど、折角恋と手を繋ぐチャンスだったのにな。
本当は繋ぎたいけど、そうなるのは少し気恥ずかしいんだ。
「仙道って茶化すわりに、実際そうなると照れるよね」
「そう?」
「うん。意外と照れ屋さん」
それは案外間違っていないかも知れない。
さっきの反応で、俺は内心焦っているから。
だって、突然好きな子と手を繋ぐチャンスが来るなんて思わないし。
「恋は、何か余裕そうだよな」
「そう見える?」
「違うのか?」
「どーでしょーねー?」
目の前には、ふふっとはにかむ恋の顔がある。
これはどう捉えたらいいんだろうか。
俺の良いように解釈して良いのかどうなのか…。
…はぁ。
手を繋げば良かった。
そうしたら、もう少し恋の事が分かったかも知れないのに。
今、恋が好き、なんて言ったらどう反応されるのかな。
「なぁ、恋」
「ん?」
今から届ける言葉にどんな反応が返ってくるか、期待と不安が入り混じる。
でも、知りたいから。
俺は、恋が好き。
ずっと隣で笑い合っていたい。
大好きだ。
俺は小さく深呼吸して口を開いた。
「仙道!」
「ん?」
見ればそれは恋で、パタパタと足音をさせて俺の方にやって来る。
「ごめん、返すの遅れた!」
申し訳なさそうに、手を合わせながら渡してきたのは俺が貸した教科書だ。
教科書を忘れた恋が、俺のクラスの友達に借りに来たのが昼休み。
今日は、この教科が俺のクラスではなかったから、その友達は教科書を持っていなかったらしくて、他のクラスに向かおうとする恋に俺は声をかけた。
たまたま置きっ放しだったんだけど、ラッキーだったと我ながら思う。
俺は教科書を受け取ると机にしまった。
「別に明日でもいいのに」
「明日じゃ忘れるから。6限体育だったから遅くなってごめんね。ありがとう、助かりました」
へにゃりと笑って恋が言うから、今の俺にも笑顔が浮かんでくる。
恋が笑う顔は、どれも好きだなぁって思わずにはいられない。
本当、可愛いなぁ。
「うん、良かった」
「今から部活?」
「いや、今日は休み」
「え、珍しいね?」
「予選負けちゃったから、ちょっとだけ休憩くれたんだ」
そう、インターハイ予選で、湘北に負けた俺達はそこで道が途絶えた。
労ってくれているのか、監督は部活を休みにしてくれたから、俺はこのまま帰るつもりなんだ。
「へー、そっか。じゃあ、一緒に帰らない?」
「え?」
「あ、何か予定あった?」
「いや、うん。帰ろう」
突然の誘い。
俺は、そんな事言われるなんて思ってもみなかったから、驚きが隠せないけど断るつもりにはなれないな。
俺の返事に恋はただ笑顔を浮かべるだけで、意図までは分からない。
学校を出て並んで歩けば、恋は世間話のつもりで話題を振ってくる。
「予選、残念だったね」
「あぁ、そうだな」
残念…。
そう、残念なんだ。
楽しかったけど、悔しい。
魚住さん達とインターハイを目指せるのは今年までだったし、全国の強い奴ともやりたかった。
それに、アイツにはリベンジしたかったな。
そう考えればやっぱり悔しい。
けど、湘北が全国でどこまで進むのか楽しみでもあるから、少し複雑ではあるんだよな。
アイツらとやるのはとても楽しかったんだ。
「仙道も流石に落ち込むんだね」
俺が黙って歩いてるからか、恋は少し意外そうにしていた。
多分、恋は俺が飄々としていると思っているからそんな事を言うんだろう。
いつだったか、『仙道っていまいち掴み所ないよね』なんて言っていたっけ。
そんな事ないと思うし、俺からしたら恋の方がそう見えるんだけど。
「そう見える?」
「うん、なんとなく。ま、あれだね」
「何?」
「来年は行けるよ、インターハイ」
「…そうだな」
断定した恋の言葉に、俺は微かに笑ってしまった。
簡単に言ってくれるな、って卑屈に取れそうな言葉かも知れない。
でも、恋に言われるのは少し…いや、かなり嬉しいかな。
俺だってそう思っているから、前向きな言葉は素直に受け入れられるんだ。
と、恋がオレを凝視してる事に気付いた。
「何?」
「ね、何か出来る事ある?」
「出来る事って?」
「仙道を元気付ける方法」
そんなに顔に出ているんだろうか。
妙に労ろうとしてくれてる感じがするな。
けど、元気を貰う方法なんて咄嗟に浮かばない。
「んー、そうだなぁ。じゃあ…手を繋ぐとか?」
ふいに、髪を耳にかける恋の手が目に入ったから言ってみたけど、少しだけ後悔。
恋が少し眉を寄せて俺を見たから。
「何よ仙道、今人恋しいの?」
「いや、そんな事はないけど」
「ふーん?じゃあ、はい」
「え?」
そこには恋の差し出した手がある。
恋は、きょとんとしていて俺は反応に困った。
「手繋ぎたいんでしょ?ほら」
「いや、冗談だったんだけど」
「あ、そうなの?なーんだ」
恋はそう言って差し出した手を下げた。
まさかそんな返しをされるなんて思ってなかったから、俺の心の準備が間に合わなかったんだ。
惜しい事をした。
してくれるなんて思って出た言葉じゃなかったんだけど、折角恋と手を繋ぐチャンスだったのにな。
本当は繋ぎたいけど、そうなるのは少し気恥ずかしいんだ。
「仙道って茶化すわりに、実際そうなると照れるよね」
「そう?」
「うん。意外と照れ屋さん」
それは案外間違っていないかも知れない。
さっきの反応で、俺は内心焦っているから。
だって、突然好きな子と手を繋ぐチャンスが来るなんて思わないし。
「恋は、何か余裕そうだよな」
「そう見える?」
「違うのか?」
「どーでしょーねー?」
目の前には、ふふっとはにかむ恋の顔がある。
これはどう捉えたらいいんだろうか。
俺の良いように解釈して良いのかどうなのか…。
…はぁ。
手を繋げば良かった。
そうしたら、もう少し恋の事が分かったかも知れないのに。
今、恋が好き、なんて言ったらどう反応されるのかな。
「なぁ、恋」
「ん?」
今から届ける言葉にどんな反応が返ってくるか、期待と不安が入り混じる。
でも、知りたいから。
俺は、恋が好き。
ずっと隣で笑い合っていたい。
大好きだ。
俺は小さく深呼吸して口を開いた。