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翌朝恋はベットの上で目覚めると、昨日の事を思い出していた。
仙道と関係を持った事に罪悪感を覚える。
弱っていたからと言って決して良い事ではない。
恋の心は、仙道に対し申し訳なく思う気持ちで埋め尽くされた。
恋がふと手元を見れば、携帯が着信を告げるランプを光らせていた。
携帯を開き見てみると、新着メールと着信履歴が埋まっている。
昨日の朝見ただけで、それ以降携帯を確認していなかった為、学校や友人等からの着信とメールが次々来ていた。
1つ1つメールを開いていけば、友人が学校には体調不良と言ったと言う事が分かる。
そして彩子や木暮からのメールを見る。
心配が伺える内容に、申し訳ない気持ちになった。
いくつかメールを見ていると、最後にある名前を見て驚く。
それは仙道からだった。
『元気?』
たった一言、それだけの内容。
昨日の昼間別れてから1時間程して入って来ていたメールに、恋は思わず吹き出してしまう。
昨日の様子を見ていただけに心配になったのだろうが、仙道の人となりにホッとする。
どこか、仙道にはいい加減で女ったらしのイメージを持っていた恋だったが、ただ面倒見が良いだけなのかもしれないと思う。
『元気?』と聞かれるとは思ってもみなかった恋は拍子抜けしていた。
気に病む必要はないのかもしれない。
そう思わせてくれる仙道に安堵したのだった。
数時間後、恋は朝練に出ていた。
深呼吸を数回した後、少し緊張しつつも体育館の中へ入る。
まだ数名しか来ていない体育館で、恋は普段通りに部員達と挨拶を交わして準備を始めた。
「あら、あんた熱でもあるの?」
彩子がせっせと準備をしている恋の顔を見るなり言って来た。
彩子の言う様に恋の頬は少し赤い。
「大丈夫です、ちょっと雨に濡れたから…」
「何やってんのよ。風邪?」
彩子は嘆息していたが、心配そうに恋を見ている。
恋が昨日休んだ理由は、友人が言っていた様に体調不良となっている。
彩子はその事に、特に疑問は抱いていない様だ。
「すみません」
「無理はするんじゃないわよ」
「はい」
恋は、心配そうに見て来た彩子に笑顔を向ける。
その時、近くにいた宮城が話を聞き付け近寄ると恋を睨んだ。
「如月、風邪ならアヤちゃんに移すなよ」
宮城は、彩子を恋から離す様に2人の間に立つ。
恋は心外そうに頬を膨らませ宮城を見た。
「うわっ、酷いですね、宮城先輩。私の心配してくんないんですか?」
恋がむくれていても、宮城は気にせず当たり前と言わん許りに呆れた顔を向けた。
「ふん、アヤちゃんの方が大事だ」
「あぁ、そうですかーだ」
恋は宮城にベーと舌を出すと、ふて腐れながらそっぽを向いた。
宮城は彩子を恋から離す様に、距離を徐々に開けていた。
その時、入口から三井が現われた。
「チューッス」
三井に部員達は次々に挨拶を返した。
挨拶をする三井は恋にまだ気付いていない。
くっつき過ぎて彩子に怒られている宮城は無視して、恋は意を決し三井に近付いた。
そして、普段通りになる様、意識しながら恋は三井に挨拶をする。
「おはようございます、先輩」
「…あ、あぁ」
三井は、突然現われた普段と変わらない様子の恋に驚きながらも返事をした。
一昨日の面影は少しも感じられない。
恋は苦笑いを浮かべていた。
「ぎこちないですよ?まぁ、仕方ないですよね…。先輩、一昨日の事は全部忘れて下さい。何か私、おかしかったと思うんで…気にしないで下さいね。これからも、今まで通りでお願いします」
ペコリと頭を下げ恋は去って行ったが、三井は内心なぜか複雑で頷く事すら出来なかった。
恋は三井から離れると、ふぅと一息吐く。
自身で出した結果は、三井にとって酷な話だろうと思っていた。
フった相手に今まで通りに接してくれ等とは、勝手極まりないと分かっている。
それに、そうしてくれる保証はどこにもない。
それは、恋にとってはつらく悲しい。
それでも、これ以上は三井に自身の気持ちを押し付ける事は出来なかった。
結果がどうあろうとも受け入れなければならないし、最悪話せなくなったとしても仕方ない事で、恋自身その覚悟はしていた。
「おい」
突然呼ばれ、物思いに耽っていた恋が振り向けば流川が立っていた。
「何?」
「絆創膏くれ」
流川は手を差し出して来る。
見た所怪我は見受けられなかった。
「何、ケガ?」
「朝、自転車漕いでたら止まってる車にぶつかって、擦りむいたらしい。今気付いた」
血がベッタリ付いている反対の手の甲を見せて来る流川に対し、恋の口は外れるのではと疑いたくなる程開いていた。
慌てて救急箱を取り出し手当てを始める。
「何してるのよ。危いなぁ」
「別にどうって事ない」
流川は気にしていないようで、コートでのミニゲームを見ていた。
手当てをしてみれば血は出ているものの、意外に傷は浅い。
恋は苦笑いを浮かべ、程無くして終わった手当てに流川の手をパチンと叩いて知らせる。
気付いた流川が振り向いた。
「サンキュ」
「どう致しまして。でも、気をつけてね?」
「あぁ…」
救急箱を手に、去って行く恋の背を流川は凝視した。
恋は気付いていない。
流川は手当てされた手を見た。
恋が触れて来た手はとても熱かった。
「あー、ヤバいかも」
昼過ぎ、恋は肩で息をしながら移動教室先までの道を歩いていた。
どんどん上がる体温に、気怠い体が邪魔臭いと思う。
足元がおぼつかず、クラリと眩暈を覚え、前に倒れ込みそうになった。
だが、後ろから抱き締められる様に誰かが支えている。
驚いて見てみれば流川がいた。
「やっぱり熱あったのか」
「やっぱり?朝は低かったよ?」
「十分熱かった」
呆れている流川は恋を抱え上げようとするが、恋が拒んだので仕方なく体を支えながら歩く。
保健室までの道が長く感じる恋は、何故か笑みを浮かべた。
「ごめんね」
「何、笑ってやがる。謝るくらいなら、体調管理くらいちゃんとしろ」
「ごもっともです」
流川の言葉に何も言い返す事の出来ない恋を一瞥すると、流川は微かに笑った。
恋は不思議に思い流川を見上げる。
「何で笑うの?」
「あんたも笑ってる」
尚も軽く笑みを浮かべる流川に、恋は眉を寄せた。
恋自身は、熱のせいで顔が笑ってしまっている事に気付いていない。
「笑ってないよ?」
「変な奴」
「どういう意味よ?」
恋の発する言葉はいつもほどの覇気はないが、まだ元気は残っているようだ。
声に少し怒気が籠っている。
何も答えない流川に恋がむくれた顔を向けていると、保健室へ着き2人は入口で別れた。
微かに目覚めた恋は、ドアの開く音がした気がしたのでその方向を見る。
しかし、眠気と熱のせいで頭がぼんやりしていたので、誰なのかまでがハッキリしない。
近くに寄って来た相手をぼんやり見つめていたが、またすぐに眠気が強く襲って来る。
恋は腕を伸ばし、相手の服の裾を掴んだ。
そのまま眠りにつこうとした瞬間、頭をふわりと温かい手が触れた。
その心地良さに、恋は眠りの中へ引きずり込まれる。
その時、なぜか相手が微笑んだ気がした。
目覚めた恋は立ち上がり、保健室を後にする。
時刻を見れば17時過ぎ。
保健医に起こされた恋は、眠い目をこすりながら廊下を歩く。
少しだけ体調は回復したようで、頭がスッキリしていた。
そして、体育館へ向かうと中は部活中で、ドリブルの音と部員の声が響いていた。
恋は入口付近にいた彩子に声を掛ける。
「あら、あんた大丈夫なの?」
「流石にしんどいので帰りますね」
申し訳なさそうに挨拶をする恋の姿を見つけた木暮が近付いて来た。
事情は知れている様で、心配そうに恋を見つめる。
「恋、大丈夫か?早く帰った方がいいんじゃ…」
「うん帰ろうと思ってるの。ごめんね、また迷惑かけちゃって…」
恋は俯きながら言ったが、木暮は笑い掛ける。
「いや、いいよ。皆には言っておくし、早く直せよ」
「うん。じゃあね、こーちゃん。彩子さん」
恋は弱々しくも、笑顔で2人に手を振り体育館を後にする。
その時、コート上の流川と目が合った。
恋はあっかんべーっとばかりに舌を出したが、すぐ笑みを浮かべ帰って行く。
流川は、少しだけ笑むとすぐに視線を戻した。
その2人の様子を、三井が見つめていたのを恋は知らない。
→第七章
仙道と関係を持った事に罪悪感を覚える。
弱っていたからと言って決して良い事ではない。
恋の心は、仙道に対し申し訳なく思う気持ちで埋め尽くされた。
恋がふと手元を見れば、携帯が着信を告げるランプを光らせていた。
携帯を開き見てみると、新着メールと着信履歴が埋まっている。
昨日の朝見ただけで、それ以降携帯を確認していなかった為、学校や友人等からの着信とメールが次々来ていた。
1つ1つメールを開いていけば、友人が学校には体調不良と言ったと言う事が分かる。
そして彩子や木暮からのメールを見る。
心配が伺える内容に、申し訳ない気持ちになった。
いくつかメールを見ていると、最後にある名前を見て驚く。
それは仙道からだった。
『元気?』
たった一言、それだけの内容。
昨日の昼間別れてから1時間程して入って来ていたメールに、恋は思わず吹き出してしまう。
昨日の様子を見ていただけに心配になったのだろうが、仙道の人となりにホッとする。
どこか、仙道にはいい加減で女ったらしのイメージを持っていた恋だったが、ただ面倒見が良いだけなのかもしれないと思う。
『元気?』と聞かれるとは思ってもみなかった恋は拍子抜けしていた。
気に病む必要はないのかもしれない。
そう思わせてくれる仙道に安堵したのだった。
数時間後、恋は朝練に出ていた。
深呼吸を数回した後、少し緊張しつつも体育館の中へ入る。
まだ数名しか来ていない体育館で、恋は普段通りに部員達と挨拶を交わして準備を始めた。
「あら、あんた熱でもあるの?」
彩子がせっせと準備をしている恋の顔を見るなり言って来た。
彩子の言う様に恋の頬は少し赤い。
「大丈夫です、ちょっと雨に濡れたから…」
「何やってんのよ。風邪?」
彩子は嘆息していたが、心配そうに恋を見ている。
恋が昨日休んだ理由は、友人が言っていた様に体調不良となっている。
彩子はその事に、特に疑問は抱いていない様だ。
「すみません」
「無理はするんじゃないわよ」
「はい」
恋は、心配そうに見て来た彩子に笑顔を向ける。
その時、近くにいた宮城が話を聞き付け近寄ると恋を睨んだ。
「如月、風邪ならアヤちゃんに移すなよ」
宮城は、彩子を恋から離す様に2人の間に立つ。
恋は心外そうに頬を膨らませ宮城を見た。
「うわっ、酷いですね、宮城先輩。私の心配してくんないんですか?」
恋がむくれていても、宮城は気にせず当たり前と言わん許りに呆れた顔を向けた。
「ふん、アヤちゃんの方が大事だ」
「あぁ、そうですかーだ」
恋は宮城にベーと舌を出すと、ふて腐れながらそっぽを向いた。
宮城は彩子を恋から離す様に、距離を徐々に開けていた。
その時、入口から三井が現われた。
「チューッス」
三井に部員達は次々に挨拶を返した。
挨拶をする三井は恋にまだ気付いていない。
くっつき過ぎて彩子に怒られている宮城は無視して、恋は意を決し三井に近付いた。
そして、普段通りになる様、意識しながら恋は三井に挨拶をする。
「おはようございます、先輩」
「…あ、あぁ」
三井は、突然現われた普段と変わらない様子の恋に驚きながらも返事をした。
一昨日の面影は少しも感じられない。
恋は苦笑いを浮かべていた。
「ぎこちないですよ?まぁ、仕方ないですよね…。先輩、一昨日の事は全部忘れて下さい。何か私、おかしかったと思うんで…気にしないで下さいね。これからも、今まで通りでお願いします」
ペコリと頭を下げ恋は去って行ったが、三井は内心なぜか複雑で頷く事すら出来なかった。
恋は三井から離れると、ふぅと一息吐く。
自身で出した結果は、三井にとって酷な話だろうと思っていた。
フった相手に今まで通りに接してくれ等とは、勝手極まりないと分かっている。
それに、そうしてくれる保証はどこにもない。
それは、恋にとってはつらく悲しい。
それでも、これ以上は三井に自身の気持ちを押し付ける事は出来なかった。
結果がどうあろうとも受け入れなければならないし、最悪話せなくなったとしても仕方ない事で、恋自身その覚悟はしていた。
「おい」
突然呼ばれ、物思いに耽っていた恋が振り向けば流川が立っていた。
「何?」
「絆創膏くれ」
流川は手を差し出して来る。
見た所怪我は見受けられなかった。
「何、ケガ?」
「朝、自転車漕いでたら止まってる車にぶつかって、擦りむいたらしい。今気付いた」
血がベッタリ付いている反対の手の甲を見せて来る流川に対し、恋の口は外れるのではと疑いたくなる程開いていた。
慌てて救急箱を取り出し手当てを始める。
「何してるのよ。危いなぁ」
「別にどうって事ない」
流川は気にしていないようで、コートでのミニゲームを見ていた。
手当てをしてみれば血は出ているものの、意外に傷は浅い。
恋は苦笑いを浮かべ、程無くして終わった手当てに流川の手をパチンと叩いて知らせる。
気付いた流川が振り向いた。
「サンキュ」
「どう致しまして。でも、気をつけてね?」
「あぁ…」
救急箱を手に、去って行く恋の背を流川は凝視した。
恋は気付いていない。
流川は手当てされた手を見た。
恋が触れて来た手はとても熱かった。
「あー、ヤバいかも」
昼過ぎ、恋は肩で息をしながら移動教室先までの道を歩いていた。
どんどん上がる体温に、気怠い体が邪魔臭いと思う。
足元がおぼつかず、クラリと眩暈を覚え、前に倒れ込みそうになった。
だが、後ろから抱き締められる様に誰かが支えている。
驚いて見てみれば流川がいた。
「やっぱり熱あったのか」
「やっぱり?朝は低かったよ?」
「十分熱かった」
呆れている流川は恋を抱え上げようとするが、恋が拒んだので仕方なく体を支えながら歩く。
保健室までの道が長く感じる恋は、何故か笑みを浮かべた。
「ごめんね」
「何、笑ってやがる。謝るくらいなら、体調管理くらいちゃんとしろ」
「ごもっともです」
流川の言葉に何も言い返す事の出来ない恋を一瞥すると、流川は微かに笑った。
恋は不思議に思い流川を見上げる。
「何で笑うの?」
「あんたも笑ってる」
尚も軽く笑みを浮かべる流川に、恋は眉を寄せた。
恋自身は、熱のせいで顔が笑ってしまっている事に気付いていない。
「笑ってないよ?」
「変な奴」
「どういう意味よ?」
恋の発する言葉はいつもほどの覇気はないが、まだ元気は残っているようだ。
声に少し怒気が籠っている。
何も答えない流川に恋がむくれた顔を向けていると、保健室へ着き2人は入口で別れた。
微かに目覚めた恋は、ドアの開く音がした気がしたのでその方向を見る。
しかし、眠気と熱のせいで頭がぼんやりしていたので、誰なのかまでがハッキリしない。
近くに寄って来た相手をぼんやり見つめていたが、またすぐに眠気が強く襲って来る。
恋は腕を伸ばし、相手の服の裾を掴んだ。
そのまま眠りにつこうとした瞬間、頭をふわりと温かい手が触れた。
その心地良さに、恋は眠りの中へ引きずり込まれる。
その時、なぜか相手が微笑んだ気がした。
目覚めた恋は立ち上がり、保健室を後にする。
時刻を見れば17時過ぎ。
保健医に起こされた恋は、眠い目をこすりながら廊下を歩く。
少しだけ体調は回復したようで、頭がスッキリしていた。
そして、体育館へ向かうと中は部活中で、ドリブルの音と部員の声が響いていた。
恋は入口付近にいた彩子に声を掛ける。
「あら、あんた大丈夫なの?」
「流石にしんどいので帰りますね」
申し訳なさそうに挨拶をする恋の姿を見つけた木暮が近付いて来た。
事情は知れている様で、心配そうに恋を見つめる。
「恋、大丈夫か?早く帰った方がいいんじゃ…」
「うん帰ろうと思ってるの。ごめんね、また迷惑かけちゃって…」
恋は俯きながら言ったが、木暮は笑い掛ける。
「いや、いいよ。皆には言っておくし、早く直せよ」
「うん。じゃあね、こーちゃん。彩子さん」
恋は弱々しくも、笑顔で2人に手を振り体育館を後にする。
その時、コート上の流川と目が合った。
恋はあっかんべーっとばかりに舌を出したが、すぐ笑みを浮かべ帰って行く。
流川は、少しだけ笑むとすぐに視線を戻した。
その2人の様子を、三井が見つめていたのを恋は知らない。
→第七章