第九章
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの日以来、恋は流川と距離を取りながら過ごしていた。
流川も数週間前を境に何があったのか鬼気迫るものがあり、恋自身近付くのがためらわれた。
流川の態度は何かを吹っ切ったのか、それとも何かを吹っ切る為か、人が変わった様にバスケに打ち込んでいるのだった。
そんな2人とは打って変わり、打ち上げをした日を境に恋と三井との距離は徐々に縮まり始めていた。
合宿を間近に控えたこの日も、恋は部活中に三井としばしば仲良く話をしている。
仲の良い2人を見て嫉妬心に燃えてか、ただ茶化したいだけなのか、色々と突っ掛かって来るのは桜木、宮城の両名だった。
その度に彩子のハリセンを食らわされている。
たった今もそんなやり取りが行われていた所だった。
「ったく、何なんだあいつらは」
三井は彩子と赤木にどやされる2人を見ながら嘆息した。
恋もその様子を見ながら、うーんと唸ってみせる。
「羨ましいんじゃないですか?」
「はぁ?」
「だって2人共…」
呆れる三井を余所に、恋が引き連れて行かれた桜木、宮城を見て最後を濁す。
それを見て三井はピンと来たのか頷いた。
引き連られながらも野次を飛ばしていた桜木は、晴子が近寄ると態度を一変している。
宮城も彩子に殴られたからか、構われたからか笑顔を浮かべ彩子に話し掛けていた。
「まぁ…片想いだしなぁ」
三井も周知する程に桜木、宮城の想いは明白だった。
2人は自分達に余り進展もない為、仲の良い男女が気に食わないのである。
少しトーンを落として出た三井のその言葉に、恋はニヤリと笑った。
「あれ?私も先輩には片想いですよ?」
恋が軽く言ってみると三井はしばし黙り込んでしまう。
恋は笑顔を浮かべて三井の背をトンッと叩いた。
しかし、表情とは裏腹に内心は苦笑いするしかない。
「もう、冗談ですよ。忘れて下さいって言ったじゃないですか」
「あ、あぁ…」
しかし三井は気まずそうに視線を合わせようとしなかった。
恋は調子に乗り過ぎたかと少し反省する。
そして、落ち着き払った声で諭す様に言った。
「あのですね、先輩。私は、先輩との今の関係が壊れる方が辛いんですよ?折角仲良くなれたのに…。だから、このまま仲良くしていたいんです」
満面の笑みを浮かべている恋を見て、三井は苦笑いを浮かべ恋の頭をクシャリと撫でた。
「サンキュ」
ボソリと言う三井に恋は変わらず笑顔を向けていた。
一方、流川はそんな2人をチラリと盗み見ていたが、すぐに視線を逸らしていた。
その様子をたまたま見ていた彩子が流川に話しかける。
「流川、お疲れ」
「うす」
流川はペコリと頭を下げた。
彩子はじっと流川を見返している。
そして、クスリと笑うと茶化すかの様に言った。
「あんたって、よく恋を見てるわよねぇ」
彩子の言葉に、流川は何も言わず見つめ返した。
否、睨んでいると言っても良いかもしれない。
普通ならば相手は怯むのだろうが、彩子は気にせず笑っていた。
彩子も問題児だらけの湘北バスケ部に在籍しているのだ。
否が応でも度胸が付き、まして昔から変わらない流川の睨みなど効きはしなかった。
「何よ、図星なの?」
「違う…っす」
「そんな顔してないけど?」
彩子が流川の顔を覗き込むと流川は視線を逸らした。
彩子は呆れた様に笑うと流川の背中を軽く叩いた。
「あんまり、恋を追い詰めんじゃないわよ?」
何も言わない流川に彩子はもう一度背中を叩いた。
先刻よりも少しだけ叩く力が強くなっている。
「あんたも、適度に息抜きしないとパンクするわよ」
彩子はその場を立ち去るが、流川は何も言わずに空を仰いでいた。
合宿当日、恋は少し早めに家を出た。
まだ周りが行動してはいないだろう時間、辺りは静まり清々しい。
恋がバッグを抱え歩いていると、見知った背格好の男が前方を歩いていた。
「三井先輩」
呼び止められ振り向いた三井は欠伸を噛み締めていた。
恋は笑顔を浮かべ、元気良く挨拶する。
「おはようございます」
「おぉ」
「早いですね?」
「あー…いや、早く目が覚めちまってな」
照れ臭そうに言う三井を見て恋は笑った。
可愛らしいとさえ思えてしまう三井の言動に、恋の心は不覚にもときめいてしまう。
それでも、もう余り積極的にもなれなくなってしまった恋は平静を装った。
「小学生みたいですね。ほら、遠足前はワクワクしちゃってっていう…」
恋は昔を懐かしみながら言った。
実際、恋が小学生の時、遠足前は中々眠れない子供だった。
三井の発言はその記憶を呼び起こしたのである。
しかし、三井は不満そうに恋を見返した。
どうやら認めたくはない様である。
「あぁ?そう言うお前はどうなんだよ」
「私は、目覚まし1時間早くかけちゃって…。2度寝したら起きれないんで、ゆっくり歩いて行こうかなって」
恋は今朝、携帯のアラーム音で目覚めた。
するといつもの起床時間より早めに設定したはずが、かなり早めに設定してしまっていた。
2度寝は好きだが、してしまうと中々起きれなくなる恋は眠さを押し切り行動を始めた。
しかし、用事を全て済ませても時間が余ってしまい早めに家を出たのである。
そんな恋に三井は呆れていた。
「物好きだな、お前」
「合宿って何か、ワクワクしません?」
恋は少し興奮気味にしている。
三井は微かに笑ったが、すぐに真面目な顔つきになった。
「んな子供じゃねぇよ。大体、それどころじゃねぇだろうが」
「まぁ…インハイですもんね。優勝、出来ますか?」
恋は人差し指を顎に当て声を落とす。
対して三井の返事はとても簡単だった。
「あぁ?するに決まってんだろ」
「はい!して下さいね!」
「おぅ」
三井は恋にガッツポーズを向けた。
恋もそれに笑顔で返す。
優勝する為に、合宿もここ最近の練習も張り切っているバスケ部員達。
そんな中での三井の宣言はとても頼もしかった。
恋も同じ思いを抱いているのである。
湘北の優勝を疑わない。
当然と言えば当然の話だった。
しばらく雑談しながら2人で歩いていると、程無くして校門前へ着いた。
来ていたメンバーに挨拶を交わし、時間まで待っていると安西もやって来る。
そして、何故か桜木だけが残る事になり、他のメンバーで駅に向かう。
桜木は文句を言っていたが、皆は一様に無視だった。
電車の中では空気椅子などが行われている。
木暮が止めているが、誰もやめようとせずに合宿先の駅へと到着した。
「腰いてぇ…」
合宿先までの道程を歩いていると恋の隣りにいた三井がぼやいた。
恋はニヤリと笑う。
「年ですね」
「あぁ?お前よりはマシだ」
「何でですか!私のが2歳も若いですよ」
「そんな事言う時点で年なんだよ」
恋は返す言葉がなくなったのか頬を膨らませた。
三井は笑いながら恋の頭をガシリと掴む。
その表情は優しく微笑んでいた。
「何怒ってんだよ。冗談だろ」
「冗談に聞こえないですー」
むくれている恋は俯きながら言った。
三井は素直に謝り恋を宥める。
「ったく、悪かったよ」
「じゃあ、何で笑ってるんですか?」
恋が、ふと顔を上げれば自身を見ていた三井と視線が交わる。
三井は微笑み、恋を暖かい目で見ていたのだ。
「んぁ?あー…お前って案外…いや、何でもねぇ」
三井は少し頬を赤らめ、そっぽを向いてしまった。
恋は中途半端に言葉を切られ歯痒くなる。
「何ですか?途中でやめないで下さいよ」
「いいんだっつーの。気にすんな、バーカ」
三井は悪態付くと恋の頭をポンポンと叩いた。
恋はムッとして声を上げる。
「バカ!?先輩に言われたくないです」
「あぁ?俺はバカじゃねぇよ」
「バカです。バカバカバカ大バカムッツリ男」
恋がまくし立ててけなすと、三井はピクピクと眉を痙攣させた。
それから引きつった笑顔を恋に向ける。
「良い度胸だ」
「あっ…やっ…すみませ…んぎゃあ!!」
恋が言い終るよりも先に、三井の手が頭上に上がり頭を鷲掴みにされた。
瞬く間に、頭に痛みが走り恋は叫んだ。
「ちょっと、何遊んでんの。早く来なさいよ」
叫び声を聞いた彩子は振り返り恋達に声を掛けた。
2人は沈黙して顔だけ見合わせた。
そしてすぐに三井は手を放すと、スタスタと恋を放って歩いて行く。
恋も慌てて三井を追いかけた。
「三井先輩…今、照れました?」
「んなわけねぇだろ」
言った三井の顔は心なしか赤く見える。
恋はニヤニヤと意地悪く笑ってみせた。
「本当ですか?」
「お前が照れたんじゃねぇの」
「照れてません」
三井に躱され、尚且つ同じ質問を投げ掛けられて恋はふんっと鼻を鳴らす。
三井はニヤリと笑っていた。
「どうだかな」
「照れてませんってば」
「へぇへぇ」
「何か負けた気がする…」
「ざまーみろ」
恋が言い合う虚しさに囚われると、三井は勝ったとばかりに笑顔を浮かべた。
恋は三井を軽く睨むと溜め息を吐いた。
「先輩、性格悪いですね」
「別に悪かねぇよ」
「絶対悪い…」
恋は頬を膨らませパタパタと彩子達の元へ行ってしまう。
三井はそんな恋の様子を見て優しく微笑んでいた。
→第十章
流川も数週間前を境に何があったのか鬼気迫るものがあり、恋自身近付くのがためらわれた。
流川の態度は何かを吹っ切ったのか、それとも何かを吹っ切る為か、人が変わった様にバスケに打ち込んでいるのだった。
そんな2人とは打って変わり、打ち上げをした日を境に恋と三井との距離は徐々に縮まり始めていた。
合宿を間近に控えたこの日も、恋は部活中に三井としばしば仲良く話をしている。
仲の良い2人を見て嫉妬心に燃えてか、ただ茶化したいだけなのか、色々と突っ掛かって来るのは桜木、宮城の両名だった。
その度に彩子のハリセンを食らわされている。
たった今もそんなやり取りが行われていた所だった。
「ったく、何なんだあいつらは」
三井は彩子と赤木にどやされる2人を見ながら嘆息した。
恋もその様子を見ながら、うーんと唸ってみせる。
「羨ましいんじゃないですか?」
「はぁ?」
「だって2人共…」
呆れる三井を余所に、恋が引き連れて行かれた桜木、宮城を見て最後を濁す。
それを見て三井はピンと来たのか頷いた。
引き連られながらも野次を飛ばしていた桜木は、晴子が近寄ると態度を一変している。
宮城も彩子に殴られたからか、構われたからか笑顔を浮かべ彩子に話し掛けていた。
「まぁ…片想いだしなぁ」
三井も周知する程に桜木、宮城の想いは明白だった。
2人は自分達に余り進展もない為、仲の良い男女が気に食わないのである。
少しトーンを落として出た三井のその言葉に、恋はニヤリと笑った。
「あれ?私も先輩には片想いですよ?」
恋が軽く言ってみると三井はしばし黙り込んでしまう。
恋は笑顔を浮かべて三井の背をトンッと叩いた。
しかし、表情とは裏腹に内心は苦笑いするしかない。
「もう、冗談ですよ。忘れて下さいって言ったじゃないですか」
「あ、あぁ…」
しかし三井は気まずそうに視線を合わせようとしなかった。
恋は調子に乗り過ぎたかと少し反省する。
そして、落ち着き払った声で諭す様に言った。
「あのですね、先輩。私は、先輩との今の関係が壊れる方が辛いんですよ?折角仲良くなれたのに…。だから、このまま仲良くしていたいんです」
満面の笑みを浮かべている恋を見て、三井は苦笑いを浮かべ恋の頭をクシャリと撫でた。
「サンキュ」
ボソリと言う三井に恋は変わらず笑顔を向けていた。
一方、流川はそんな2人をチラリと盗み見ていたが、すぐに視線を逸らしていた。
その様子をたまたま見ていた彩子が流川に話しかける。
「流川、お疲れ」
「うす」
流川はペコリと頭を下げた。
彩子はじっと流川を見返している。
そして、クスリと笑うと茶化すかの様に言った。
「あんたって、よく恋を見てるわよねぇ」
彩子の言葉に、流川は何も言わず見つめ返した。
否、睨んでいると言っても良いかもしれない。
普通ならば相手は怯むのだろうが、彩子は気にせず笑っていた。
彩子も問題児だらけの湘北バスケ部に在籍しているのだ。
否が応でも度胸が付き、まして昔から変わらない流川の睨みなど効きはしなかった。
「何よ、図星なの?」
「違う…っす」
「そんな顔してないけど?」
彩子が流川の顔を覗き込むと流川は視線を逸らした。
彩子は呆れた様に笑うと流川の背中を軽く叩いた。
「あんまり、恋を追い詰めんじゃないわよ?」
何も言わない流川に彩子はもう一度背中を叩いた。
先刻よりも少しだけ叩く力が強くなっている。
「あんたも、適度に息抜きしないとパンクするわよ」
彩子はその場を立ち去るが、流川は何も言わずに空を仰いでいた。
***
合宿当日、恋は少し早めに家を出た。
まだ周りが行動してはいないだろう時間、辺りは静まり清々しい。
恋がバッグを抱え歩いていると、見知った背格好の男が前方を歩いていた。
「三井先輩」
呼び止められ振り向いた三井は欠伸を噛み締めていた。
恋は笑顔を浮かべ、元気良く挨拶する。
「おはようございます」
「おぉ」
「早いですね?」
「あー…いや、早く目が覚めちまってな」
照れ臭そうに言う三井を見て恋は笑った。
可愛らしいとさえ思えてしまう三井の言動に、恋の心は不覚にもときめいてしまう。
それでも、もう余り積極的にもなれなくなってしまった恋は平静を装った。
「小学生みたいですね。ほら、遠足前はワクワクしちゃってっていう…」
恋は昔を懐かしみながら言った。
実際、恋が小学生の時、遠足前は中々眠れない子供だった。
三井の発言はその記憶を呼び起こしたのである。
しかし、三井は不満そうに恋を見返した。
どうやら認めたくはない様である。
「あぁ?そう言うお前はどうなんだよ」
「私は、目覚まし1時間早くかけちゃって…。2度寝したら起きれないんで、ゆっくり歩いて行こうかなって」
恋は今朝、携帯のアラーム音で目覚めた。
するといつもの起床時間より早めに設定したはずが、かなり早めに設定してしまっていた。
2度寝は好きだが、してしまうと中々起きれなくなる恋は眠さを押し切り行動を始めた。
しかし、用事を全て済ませても時間が余ってしまい早めに家を出たのである。
そんな恋に三井は呆れていた。
「物好きだな、お前」
「合宿って何か、ワクワクしません?」
恋は少し興奮気味にしている。
三井は微かに笑ったが、すぐに真面目な顔つきになった。
「んな子供じゃねぇよ。大体、それどころじゃねぇだろうが」
「まぁ…インハイですもんね。優勝、出来ますか?」
恋は人差し指を顎に当て声を落とす。
対して三井の返事はとても簡単だった。
「あぁ?するに決まってんだろ」
「はい!して下さいね!」
「おぅ」
三井は恋にガッツポーズを向けた。
恋もそれに笑顔で返す。
優勝する為に、合宿もここ最近の練習も張り切っているバスケ部員達。
そんな中での三井の宣言はとても頼もしかった。
恋も同じ思いを抱いているのである。
湘北の優勝を疑わない。
当然と言えば当然の話だった。
しばらく雑談しながら2人で歩いていると、程無くして校門前へ着いた。
来ていたメンバーに挨拶を交わし、時間まで待っていると安西もやって来る。
そして、何故か桜木だけが残る事になり、他のメンバーで駅に向かう。
桜木は文句を言っていたが、皆は一様に無視だった。
電車の中では空気椅子などが行われている。
木暮が止めているが、誰もやめようとせずに合宿先の駅へと到着した。
「腰いてぇ…」
合宿先までの道程を歩いていると恋の隣りにいた三井がぼやいた。
恋はニヤリと笑う。
「年ですね」
「あぁ?お前よりはマシだ」
「何でですか!私のが2歳も若いですよ」
「そんな事言う時点で年なんだよ」
恋は返す言葉がなくなったのか頬を膨らませた。
三井は笑いながら恋の頭をガシリと掴む。
その表情は優しく微笑んでいた。
「何怒ってんだよ。冗談だろ」
「冗談に聞こえないですー」
むくれている恋は俯きながら言った。
三井は素直に謝り恋を宥める。
「ったく、悪かったよ」
「じゃあ、何で笑ってるんですか?」
恋が、ふと顔を上げれば自身を見ていた三井と視線が交わる。
三井は微笑み、恋を暖かい目で見ていたのだ。
「んぁ?あー…お前って案外…いや、何でもねぇ」
三井は少し頬を赤らめ、そっぽを向いてしまった。
恋は中途半端に言葉を切られ歯痒くなる。
「何ですか?途中でやめないで下さいよ」
「いいんだっつーの。気にすんな、バーカ」
三井は悪態付くと恋の頭をポンポンと叩いた。
恋はムッとして声を上げる。
「バカ!?先輩に言われたくないです」
「あぁ?俺はバカじゃねぇよ」
「バカです。バカバカバカ大バカムッツリ男」
恋がまくし立ててけなすと、三井はピクピクと眉を痙攣させた。
それから引きつった笑顔を恋に向ける。
「良い度胸だ」
「あっ…やっ…すみませ…んぎゃあ!!」
恋が言い終るよりも先に、三井の手が頭上に上がり頭を鷲掴みにされた。
瞬く間に、頭に痛みが走り恋は叫んだ。
「ちょっと、何遊んでんの。早く来なさいよ」
叫び声を聞いた彩子は振り返り恋達に声を掛けた。
2人は沈黙して顔だけ見合わせた。
そしてすぐに三井は手を放すと、スタスタと恋を放って歩いて行く。
恋も慌てて三井を追いかけた。
「三井先輩…今、照れました?」
「んなわけねぇだろ」
言った三井の顔は心なしか赤く見える。
恋はニヤニヤと意地悪く笑ってみせた。
「本当ですか?」
「お前が照れたんじゃねぇの」
「照れてません」
三井に躱され、尚且つ同じ質問を投げ掛けられて恋はふんっと鼻を鳴らす。
三井はニヤリと笑っていた。
「どうだかな」
「照れてませんってば」
「へぇへぇ」
「何か負けた気がする…」
「ざまーみろ」
恋が言い合う虚しさに囚われると、三井は勝ったとばかりに笑顔を浮かべた。
恋は三井を軽く睨むと溜め息を吐いた。
「先輩、性格悪いですね」
「別に悪かねぇよ」
「絶対悪い…」
恋は頬を膨らませパタパタと彩子達の元へ行ってしまう。
三井はそんな恋の様子を見て優しく微笑んでいた。
→第十章