サモンナイト2夢 短編
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「いやあ、大変なことになってしまいましたねえ」
そう言うレイムさんは、いつもと違って焦りを見せている。
「まさか、こんなに痛手を被るとは」
鬱蒼とした森の中、怪我した身体を引き摺りながら進む。
先ほど召喚士の一行と戦闘を交えたところだ。
初めて見たときには、おこちゃまに過ぎなかった召喚士たち。
今は傀儡を用いても、破ってくるようになった。
「あの召喚士たち、確実に強くなっていますね…」
「…」
「…で、貴女はなぜついてきているのですか、私を殺すためですか」
レイムは声が聞こえる程度の後ろをついてきているユハに声をかける。
召喚士の一味である少女。
彼女は防御に長けた戦闘員であるため、レイムと直接向かい合って対決したことはない。
そして、召喚士たちに黙って、何度も私に会いに来た。
彼女は私のことを知っている。
だが、それでも逃げることはなかった。
召喚士たちと対峙するようになってしまった私に対して、相応の気持ち残りがあるのは、まだ理解できる。
が。
「いいえ、私は…」
ユハは口を開く。
戦闘で疲れているのか、息が荒い。
「私は、貴方に生きてほしいんです…」
「は?」
リカイデキナイ。
人間の心をよく知った私でも、ユハの心はどうして積極的にこちらに向くのか、理解できない。
「貴方がいなくなる未来は、私には想像できない」
「…もとより、死ぬつもりはありませんが」
あの召喚士たちに痛手を被っておきながらこんな言葉は、無様かもしれない。
それでも、勝つのは私だ。
しかし、ユハはひとつ、大事なことを見落としている。
彼女自身が死ぬ可能性だ。
「貴女も物好きですねえ」
後ろは振り向かず、ため息をつく。
「いい加減にしないと、私に殺されてしまいますよ?」
冗談ではなく、そう言った。
「それでも、いいんです。私は、貴方と一緒にいたい」
「いえ、殺すという言葉は少し乱暴すぎましたね…襲う、でしょうか」
「変わってないですよ」
ユハはクスリ、と笑った。
その音に立ち止まって、振り向く。
「やっと笑いましたね」
「え?」
「…私は、貴女に笑っていてほしいんですよ、ユハさん。だからこんなところにいないで」
召喚士たちのところへお帰りなさい。
そう促したが。
「それなら、尚更ここにいます。レイムさんの隣にいるときが、一番笑っていられるから」
「…そうですか」
私のすべてを受け入れようとする少女。
その心が絶望に染まるとき、どんなに美味しい感情が溢れ出すのだろう。
しかしそれは、ずっと後にとっておきたい。
そのほうがより良いものを味わえるから。
まだだ。まだそのときではない。
…きっと、私ならそう考えているのだろう。
彼女といるとときどき、自分の感情がわからなくなる。
隣まで来たユハの頬を一度撫で、また歩き出す。
「とりあえず、今夜襲います」
「遠慮しておきます…」
「拒否権はありませんよ」
レイムはやっといつもの笑顔を浮かべる。
今夜は血が騒がしくなりそうだ。
そう言うレイムさんは、いつもと違って焦りを見せている。
「まさか、こんなに痛手を被るとは」
鬱蒼とした森の中、怪我した身体を引き摺りながら進む。
先ほど召喚士の一行と戦闘を交えたところだ。
初めて見たときには、おこちゃまに過ぎなかった召喚士たち。
今は傀儡を用いても、破ってくるようになった。
「あの召喚士たち、確実に強くなっていますね…」
「…」
「…で、貴女はなぜついてきているのですか、私を殺すためですか」
レイムは声が聞こえる程度の後ろをついてきているユハに声をかける。
召喚士の一味である少女。
彼女は防御に長けた戦闘員であるため、レイムと直接向かい合って対決したことはない。
そして、召喚士たちに黙って、何度も私に会いに来た。
彼女は私のことを知っている。
だが、それでも逃げることはなかった。
召喚士たちと対峙するようになってしまった私に対して、相応の気持ち残りがあるのは、まだ理解できる。
が。
「いいえ、私は…」
ユハは口を開く。
戦闘で疲れているのか、息が荒い。
「私は、貴方に生きてほしいんです…」
「は?」
リカイデキナイ。
人間の心をよく知った私でも、ユハの心はどうして積極的にこちらに向くのか、理解できない。
「貴方がいなくなる未来は、私には想像できない」
「…もとより、死ぬつもりはありませんが」
あの召喚士たちに痛手を被っておきながらこんな言葉は、無様かもしれない。
それでも、勝つのは私だ。
しかし、ユハはひとつ、大事なことを見落としている。
彼女自身が死ぬ可能性だ。
「貴女も物好きですねえ」
後ろは振り向かず、ため息をつく。
「いい加減にしないと、私に殺されてしまいますよ?」
冗談ではなく、そう言った。
「それでも、いいんです。私は、貴方と一緒にいたい」
「いえ、殺すという言葉は少し乱暴すぎましたね…襲う、でしょうか」
「変わってないですよ」
ユハはクスリ、と笑った。
その音に立ち止まって、振り向く。
「やっと笑いましたね」
「え?」
「…私は、貴女に笑っていてほしいんですよ、ユハさん。だからこんなところにいないで」
召喚士たちのところへお帰りなさい。
そう促したが。
「それなら、尚更ここにいます。レイムさんの隣にいるときが、一番笑っていられるから」
「…そうですか」
私のすべてを受け入れようとする少女。
その心が絶望に染まるとき、どんなに美味しい感情が溢れ出すのだろう。
しかしそれは、ずっと後にとっておきたい。
そのほうがより良いものを味わえるから。
まだだ。まだそのときではない。
…きっと、私ならそう考えているのだろう。
彼女といるとときどき、自分の感情がわからなくなる。
隣まで来たユハの頬を一度撫で、また歩き出す。
「とりあえず、今夜襲います」
「遠慮しておきます…」
「拒否権はありませんよ」
レイムはやっといつもの笑顔を浮かべる。
今夜は血が騒がしくなりそうだ。