サモンナイト2夢 短編
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「天気の悪い日が続いていますね、体調など崩されていませんか?」
「大丈夫です、有り難うございます」
ユハはレイムとそんな話をしながら隣り合って歩く。
今日は久しぶりのデートの日。
でも、雨が降っているので傘の中だ。
雨で寸断されてちょっと距離が遠くなったような気がする。
「雨じゃあお散歩もままならないですね」
「楽器の演奏もできませんし」
「どうしましょうか、家にお越しになりますか?」
「そうさせてください」
外で待ち合わせたものの、結局家に行くことになって、レイムさんには申し訳ない。
「しかし夏らしくなりませんね、まだ梅雨のようです」
「リィンバウムにも日付や四季があるんですよね。この後は台風シーズン到来ですかね」
「おや、ユハさんはリィンバウム出身ではないのですか?」
「ああ、私は名も無き世界(多分)からの召喚獣なんです」
「そうでしたか」
故郷の話をしながら歩く。
いつの間にか、レイムさんのお屋敷に着いていた。
「で、今日は7月7日…あっ」
「どうしました?」
「七夕ですね」
「七夕?」
傘の雨を払いながら、お屋敷に入る。
レイムさんがバスタオルを用意してくれたので、しっとり湿った髪を拭く。
「故郷には七夕伝説というものがありまして…まあ地域によっては8月のところもあるんですけど…」
「ふお、伝説ですか。興味ありますね」
「私も詳しくは知らないんですが」
勧めてもらったソファに座ると、息をついた。
「織姫と彦星が会う日なんです」
「星空に住む、織姫という女の人と、彦星という男の人は仲が良くて、遊んでばかりいました。いつまで経っても働かない二人に、天の帝様は怒って、天の川によって二人を引き裂いてしまいました」
ユハは語り口調で物語を説明する。
レイムさんはそれを真剣に聞いてくれた。
「二人は来る日も来る日も悲しみに暮れていました。それを見た帝様は、一年に一回だけ会うことのできる日を作ったのです。それが七夕です。この日に晴れると、天の川に橋が架かり、二人は会えるとされています」
「雨だとどうなるのですか」
「さあ…川ですから、氾濫するんじゃないですかね」
「それは大変ですね」
深刻そうな顔をするレイムさんに、クスリと笑う。
「天の川って本当は、銀河の集まりなんですけどね」
「ほう、銀河の集まりを川と表現するのですか。さぞかし綺麗な川なんでしょうね」
「ちょうど今くらいの時間に見えるはずなんですけど…」
「生憎雨ですね」
「来年に期待しましょうか」
そう言って苦笑する。
レイムさんと一緒に天の川を見ることができたら、素敵な夜を過ごせそうだ。
「その点、雨でもレイムさんと会えるのは幸せですね」
「…そうですね」
「レイムさんは、もし一年に一回しか恋人に会えないとしたら、何をしますか?」
「一年に一回…ですか」
頻繁にとはいかないが、普通の恋人と同じくらいの頻度ではデートをしているように思う。
もしこれが、一年に一回の逢瀬なら、きっともっと特別なことをしたい。
そう思って聞いてみたのだが。
「そうですねぇ…いつもと変わりないデートになるでしょうね」
「えっ!なぜですか?」
勿体ない…という言葉を呑み込んで聞く。
「なぜなら、私にとってはユハさんと会える一日一日が既に特別だからです」
「え…」
「一年に一回しか会えなくても、最期の逢瀬であろうとも、常に最高の日を過ごしていれば 後悔はないでしょう?」
「…はい!」
なんだかその答えが嬉しくて、笑顔になる。
それを見て、レイムもにっこり微笑んだ。
そう、いつ会えなくなるかわからない。
今日が最後かもしれない。
聖女を捕獲し“鍵”を開け、世界を絶望に陥れる。
しかも貴女は、個人的に執着していた私に裏切られる。
どれだけの負の“気”を放つのか…楽しみですね。
レイムは気持ちの良い妄想に浸るが、はたと思考を止め、隣に座る“恋人”の髪を、ゆっくり撫でてやる。
いや、まだその時ではない。
聖女捕獲ももっと先延ばししてもいい。
なぜなら、ユハがこんなにも幸せな表情をしているから。
お楽しみは、もっと幸せにした後に取っておきたいというやつだ。
ユハさん。
「幸せですか?」
「はい」
「それは良かったです」
「レイムさんは?」
「え?」
「幸せですか?」
「…日を追うごとに、幸せが増していきます」
絶望と共に。
「それはとても素敵ですね」
ユハは何も知らない。
「ええ、素敵なことです」
私の幸せは、貴女の幸せとは違う。
しかし“恋人”でいる以上、目指す方向は同じだ。
貴女は既に、私の手中なんですよ。
「いつまでもこの幸せが」
いつかこの幸せが
「続きますように!」
壊れますように。
「大丈夫です、有り難うございます」
ユハはレイムとそんな話をしながら隣り合って歩く。
今日は久しぶりのデートの日。
でも、雨が降っているので傘の中だ。
雨で寸断されてちょっと距離が遠くなったような気がする。
「雨じゃあお散歩もままならないですね」
「楽器の演奏もできませんし」
「どうしましょうか、家にお越しになりますか?」
「そうさせてください」
外で待ち合わせたものの、結局家に行くことになって、レイムさんには申し訳ない。
「しかし夏らしくなりませんね、まだ梅雨のようです」
「リィンバウムにも日付や四季があるんですよね。この後は台風シーズン到来ですかね」
「おや、ユハさんはリィンバウム出身ではないのですか?」
「ああ、私は名も無き世界(多分)からの召喚獣なんです」
「そうでしたか」
故郷の話をしながら歩く。
いつの間にか、レイムさんのお屋敷に着いていた。
「で、今日は7月7日…あっ」
「どうしました?」
「七夕ですね」
「七夕?」
傘の雨を払いながら、お屋敷に入る。
レイムさんがバスタオルを用意してくれたので、しっとり湿った髪を拭く。
「故郷には七夕伝説というものがありまして…まあ地域によっては8月のところもあるんですけど…」
「ふお、伝説ですか。興味ありますね」
「私も詳しくは知らないんですが」
勧めてもらったソファに座ると、息をついた。
「織姫と彦星が会う日なんです」
「星空に住む、織姫という女の人と、彦星という男の人は仲が良くて、遊んでばかりいました。いつまで経っても働かない二人に、天の帝様は怒って、天の川によって二人を引き裂いてしまいました」
ユハは語り口調で物語を説明する。
レイムさんはそれを真剣に聞いてくれた。
「二人は来る日も来る日も悲しみに暮れていました。それを見た帝様は、一年に一回だけ会うことのできる日を作ったのです。それが七夕です。この日に晴れると、天の川に橋が架かり、二人は会えるとされています」
「雨だとどうなるのですか」
「さあ…川ですから、氾濫するんじゃないですかね」
「それは大変ですね」
深刻そうな顔をするレイムさんに、クスリと笑う。
「天の川って本当は、銀河の集まりなんですけどね」
「ほう、銀河の集まりを川と表現するのですか。さぞかし綺麗な川なんでしょうね」
「ちょうど今くらいの時間に見えるはずなんですけど…」
「生憎雨ですね」
「来年に期待しましょうか」
そう言って苦笑する。
レイムさんと一緒に天の川を見ることができたら、素敵な夜を過ごせそうだ。
「その点、雨でもレイムさんと会えるのは幸せですね」
「…そうですね」
「レイムさんは、もし一年に一回しか恋人に会えないとしたら、何をしますか?」
「一年に一回…ですか」
頻繁にとはいかないが、普通の恋人と同じくらいの頻度ではデートをしているように思う。
もしこれが、一年に一回の逢瀬なら、きっともっと特別なことをしたい。
そう思って聞いてみたのだが。
「そうですねぇ…いつもと変わりないデートになるでしょうね」
「えっ!なぜですか?」
勿体ない…という言葉を呑み込んで聞く。
「なぜなら、私にとってはユハさんと会える一日一日が既に特別だからです」
「え…」
「一年に一回しか会えなくても、最期の逢瀬であろうとも、常に最高の日を過ごしていれば 後悔はないでしょう?」
「…はい!」
なんだかその答えが嬉しくて、笑顔になる。
それを見て、レイムもにっこり微笑んだ。
そう、いつ会えなくなるかわからない。
今日が最後かもしれない。
聖女を捕獲し“鍵”を開け、世界を絶望に陥れる。
しかも貴女は、個人的に執着していた私に裏切られる。
どれだけの負の“気”を放つのか…楽しみですね。
レイムは気持ちの良い妄想に浸るが、はたと思考を止め、隣に座る“恋人”の髪を、ゆっくり撫でてやる。
いや、まだその時ではない。
聖女捕獲ももっと先延ばししてもいい。
なぜなら、ユハがこんなにも幸せな表情をしているから。
お楽しみは、もっと幸せにした後に取っておきたいというやつだ。
ユハさん。
「幸せですか?」
「はい」
「それは良かったです」
「レイムさんは?」
「え?」
「幸せですか?」
「…日を追うごとに、幸せが増していきます」
絶望と共に。
「それはとても素敵ですね」
ユハは何も知らない。
「ええ、素敵なことです」
私の幸せは、貴女の幸せとは違う。
しかし“恋人”でいる以上、目指す方向は同じだ。
貴女は既に、私の手中なんですよ。
「いつまでもこの幸せが」
いつかこの幸せが
「続きますように!」
壊れますように。