サモンナイト2夢 短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最近の俺はどうかしている。
色彩が気になって仕方ない。
特に赤に反応する。
鍛錬でも、赤い色の入った身なりの仲間が戦う姿に、目を奪われていることがある。
かと思えば、自分の赤い髪が視界に入ってはっとする。
剣を持ちながら上の空でいることは、これまでになかった。
非常に痛手だ。
実は、悪くないこともある。
今まで無頓着だったが、部下たち全員の髪の色を覚えてしまった。
髪の色というのは、微妙な違いがあるものなのだな。
それにより、甲冑を被っていても見分けがつくようになった。
だが、マイナスが大きすぎて、こうして悩んでいる。
俺は、どうしてしまったのだろう…。
「…様、ルヴァイド様」
「!」
「どうしたのですか?」
イオスが心配そうな顔でこちらを見ている。
部下の前でまでこの失態か。
「すまん、少し考え事をしていた」
「それなら良かったです…お返事がないので心配しました」
「いや…良くないのだ」
「やはり体調がよろしくないのですか?最近少し疲れているように見受けられます」
「体調ではないのだが、聞いてくれるか?」
「懸念事項があるなら、解決すべきです」
そして俺は先程のことをかいつまんで説明した。
「要するに、色彩に敏感になったということだ…。今まで前ばかり見てきたつもりだが、今は周りの様々な色が目に入る。雑念と言うべきか」
「それは考え物ですね…。特に戦場では」
「その通りだ」
「原因を探れば何か見えてくるかもしれません。心当たりはありますか?」
「いや、それが心当たりがない。気になるようになったのはここ最近のことなのだが、前回の戦闘からは時間が経過しているし、次の指令までは待機をしている。日々部下の管理をしつつ、事務仕事をしているだけだ」
「…原因が見つかりませんね」
「ふむ…」
と、テントの外から女の声がした。
ユハの声だ。
「ルヴァイド、今良い?」
「構わぬぞ、入れ」
「失礼します…あ、イオスもいたんだ」
「やあ」
「本を返しに来ただけだから、すぐ帰るね。ルヴァイド、この本勉強になった。有り難う」
そう言ってユハはルヴァイドに本を手渡した。
「…でも、わからないところがあったから、今度教えてほしい。良いかな?」
「構わん」
「何なら今教えてもらったらどうだ?ルヴァイド様、先程の話はまた後日…」
「…いや、次の戦闘プランを練らなければならないのでな。イオスはまだ退席してもらっては困る」
「…ルヴァイド様?」
「それじゃまた。お話し中失礼しました」
ユハがテントから出ていくのを見送って、イオスは疑問を呈した。
「どうしたのですか?先ほどは戦闘プランなど…」
「イオスよ」
「はい」
「ユハが身に纏っている物は赤色が多い。その赤色がちらちらして、落ち着かないのだ。それほど俺は病んでいる」
「それで帰らせたのですか」
「ああ」
ユハは赤が好きなようだ。
いつも赤色のものを身に着けている。
それはイオスも知っている。
でも、その理由は。
「隊員たちが噂しているところによると、ユハが赤色を身に着けるのは…」
「…俺を慕っているから、か?」
「ご存じでしたか」
「最近、本人から聞いた」
「え…ではお二人は」
「恋人、であるらしい」
「らしいって…」
「俺にはよくわからないのだ、恋人というものが」
ルヴァイドは息をつく。
でも、これで原因は。
「ユハを気にするあまり、色全体が気にかかるようになってしまったのでは…。特に赤色が気になっているようですし…」
「…確かに、可能性はあるな。だが俺がユハの何を気にしているというのだ?」
「恋人なら気になるものじゃないのですか?」
「何を、と聞いている」
「えっと…何をとかではなく、好きというか…」
「好き…?」
駄目だこの上司鈍感だ。
僕も大概だと言われるが、その上をいくかもしれない。
「要するにルヴァイド様は、ユハのことを好きになりかけているのではないでしょうか」
「俺が…ユハを、好き?…確かに仲間としての好意はあるが…恋愛は俺にはよくわからぬ」
「その恋愛の第一歩を踏み出しているのかもしれませんよ」
「それが、“気になる”ということか?」
「…おそらく」
恋愛となると、人は皆単純だ。
貴方の髪の色が好きなの、などと言われれば、自分の髪色が気になってくるものだ。
この上司も例外ではない。
でも。
「恋人なら恋人らしいことをしてあげても良いのじゃないですか…?僕の見ている限りでは、ルヴァイド様もユハも他人行儀ですし、このままでは進展がないですよ」
「恋人らしいことが何を指すのか、俺にはわからぬ」
「まずは、二人きりでたくさんお話をするところからじゃないでしょうか…」
「なるほど」
「応援していますよ。自分でよければ相談にも乗りますし」
「うむ…頼む」
太陽が照っても、まだ溶けることを知らない雪のように、僕の上司の心は固まったままだ。
でももう季節は梅雨。
これが明けたら夏が来る。
そろそろ溶け出しても良い頃だろう。
少しずつでも、あの人が歩みだせますように。
ユハと二人、幸せになれますように。
そう思いながら、僕はルヴァイド様のテントを後にした。
色彩が気になって仕方ない。
特に赤に反応する。
鍛錬でも、赤い色の入った身なりの仲間が戦う姿に、目を奪われていることがある。
かと思えば、自分の赤い髪が視界に入ってはっとする。
剣を持ちながら上の空でいることは、これまでになかった。
非常に痛手だ。
実は、悪くないこともある。
今まで無頓着だったが、部下たち全員の髪の色を覚えてしまった。
髪の色というのは、微妙な違いがあるものなのだな。
それにより、甲冑を被っていても見分けがつくようになった。
だが、マイナスが大きすぎて、こうして悩んでいる。
俺は、どうしてしまったのだろう…。
「…様、ルヴァイド様」
「!」
「どうしたのですか?」
イオスが心配そうな顔でこちらを見ている。
部下の前でまでこの失態か。
「すまん、少し考え事をしていた」
「それなら良かったです…お返事がないので心配しました」
「いや…良くないのだ」
「やはり体調がよろしくないのですか?最近少し疲れているように見受けられます」
「体調ではないのだが、聞いてくれるか?」
「懸念事項があるなら、解決すべきです」
そして俺は先程のことをかいつまんで説明した。
「要するに、色彩に敏感になったということだ…。今まで前ばかり見てきたつもりだが、今は周りの様々な色が目に入る。雑念と言うべきか」
「それは考え物ですね…。特に戦場では」
「その通りだ」
「原因を探れば何か見えてくるかもしれません。心当たりはありますか?」
「いや、それが心当たりがない。気になるようになったのはここ最近のことなのだが、前回の戦闘からは時間が経過しているし、次の指令までは待機をしている。日々部下の管理をしつつ、事務仕事をしているだけだ」
「…原因が見つかりませんね」
「ふむ…」
と、テントの外から女の声がした。
ユハの声だ。
「ルヴァイド、今良い?」
「構わぬぞ、入れ」
「失礼します…あ、イオスもいたんだ」
「やあ」
「本を返しに来ただけだから、すぐ帰るね。ルヴァイド、この本勉強になった。有り難う」
そう言ってユハはルヴァイドに本を手渡した。
「…でも、わからないところがあったから、今度教えてほしい。良いかな?」
「構わん」
「何なら今教えてもらったらどうだ?ルヴァイド様、先程の話はまた後日…」
「…いや、次の戦闘プランを練らなければならないのでな。イオスはまだ退席してもらっては困る」
「…ルヴァイド様?」
「それじゃまた。お話し中失礼しました」
ユハがテントから出ていくのを見送って、イオスは疑問を呈した。
「どうしたのですか?先ほどは戦闘プランなど…」
「イオスよ」
「はい」
「ユハが身に纏っている物は赤色が多い。その赤色がちらちらして、落ち着かないのだ。それほど俺は病んでいる」
「それで帰らせたのですか」
「ああ」
ユハは赤が好きなようだ。
いつも赤色のものを身に着けている。
それはイオスも知っている。
でも、その理由は。
「隊員たちが噂しているところによると、ユハが赤色を身に着けるのは…」
「…俺を慕っているから、か?」
「ご存じでしたか」
「最近、本人から聞いた」
「え…ではお二人は」
「恋人、であるらしい」
「らしいって…」
「俺にはよくわからないのだ、恋人というものが」
ルヴァイドは息をつく。
でも、これで原因は。
「ユハを気にするあまり、色全体が気にかかるようになってしまったのでは…。特に赤色が気になっているようですし…」
「…確かに、可能性はあるな。だが俺がユハの何を気にしているというのだ?」
「恋人なら気になるものじゃないのですか?」
「何を、と聞いている」
「えっと…何をとかではなく、好きというか…」
「好き…?」
駄目だこの上司鈍感だ。
僕も大概だと言われるが、その上をいくかもしれない。
「要するにルヴァイド様は、ユハのことを好きになりかけているのではないでしょうか」
「俺が…ユハを、好き?…確かに仲間としての好意はあるが…恋愛は俺にはよくわからぬ」
「その恋愛の第一歩を踏み出しているのかもしれませんよ」
「それが、“気になる”ということか?」
「…おそらく」
恋愛となると、人は皆単純だ。
貴方の髪の色が好きなの、などと言われれば、自分の髪色が気になってくるものだ。
この上司も例外ではない。
でも。
「恋人なら恋人らしいことをしてあげても良いのじゃないですか…?僕の見ている限りでは、ルヴァイド様もユハも他人行儀ですし、このままでは進展がないですよ」
「恋人らしいことが何を指すのか、俺にはわからぬ」
「まずは、二人きりでたくさんお話をするところからじゃないでしょうか…」
「なるほど」
「応援していますよ。自分でよければ相談にも乗りますし」
「うむ…頼む」
太陽が照っても、まだ溶けることを知らない雪のように、僕の上司の心は固まったままだ。
でももう季節は梅雨。
これが明けたら夏が来る。
そろそろ溶け出しても良い頃だろう。
少しずつでも、あの人が歩みだせますように。
ユハと二人、幸せになれますように。
そう思いながら、僕はルヴァイド様のテントを後にした。