サモンナイト2夢 短編
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お屋敷に下りる夜。
ここは、召喚士一行が滞在しているお屋敷ではない。
慣れない模様の家具。
主人はあまり趣味がよろしくない。
「趣味が悪い…って顔をしていますね」
「なんでわかるんですか…?」
レイムとユハは、寄り添ってソファに腰掛けていた。
ここは、レイムの屋敷。
「いいんですか、本当に。マグナさんたちと一緒にいなくて」
「今日は知り合いの家に泊まるって言ってきました」
「お泊りですね」
「はい、お泊りです」
そういうユハは、幸せそのものという顔をしていた。
こんな夜、レイムさんと一緒にいられるなんて。
ユハは刹那の幸せを甘受する。
頻繁に会っているが、本来は目立たぬように行動しなくてはならない。
それはレイムさんの希望である。
レイムさんは、不思議な人だ。
マグナたちと一緒に会っていた頃は、いや今も、神出鬼没だし、行動を指南してくれる。
未知の雰囲気を纏いながら。
本当は、何か得体の知れないものなんじゃないかと思う。
どこかで道を違えるかもしれない。
でも、それでもいいのだ。
今、私はレイムさんが好きで、こうして一緒にいる。
まだ会えている。
そのことを、今はまだ大切にしていたい。
「今夜は何をしますか?」
「そうですね…また、レイムさんの演奏が聴きたいです」
「承知いたしました」
「本当は、何もなくてもいいんですけどね。レイムさんと一緒にいられれば」
「嬉しいことを言ってくださいますね」
レイムは竪琴を用意する。
すると、ユハが窓に近寄った。
「…?何ですか?」
「今日は月が綺麗なので」
ユハは厚いカーテンをシャッと開ける。
「この大きな月をテーマにした曲をお願いします」
ユハが手を広げて、月の光の前に立っている。
それは神秘的で、かつ壮大で、でもそこにいるのはたった一人の女性で。
それだけで曲が作れそうだとレイムは思った、が。
今日は作曲はやめておこう。
気持ちが高ぶりすぎるといけない。
「それでは、『月の光』という曲を」
レイムが竪琴に手をかける。
ゆったりとした、綺麗な旋律。
最初は抑えめに幾度か繰り返しながら変奏されていく。
そこから力強く伸びあがり、またきゅっと抑え込む。
流れるキラキラした光。
小さく、しかし何か壮大なものを含んだ音。
それは少しずつ現実に、ここに戻ってくる。
「最高です…やっぱりレイムさんの演奏が一番ですね」
「ふふふ…有り難うございます」
「今日はその音楽が風に乗せられて、どこまでも流れていくようです」
「それは素敵ですね」
ユハはレイムの演奏を全身で受け止めて、ゆっくりとカーテンを閉じ、ソファに戻った。
レイムも竪琴を置いて、その横に腰掛ける。
「なんでそんな素敵な演奏ができるんですか?レイムさんって何者なんですか?」
「何者かと申しますと…悪魔です」
「…悪魔ですか」
「はい」
「それは素敵な悪魔ですね」
「素敵、かどうかはわかりませんよ?本性を隠しているのかもしれませんし」
「それでも、こんな素晴らしい演奏ができる悪魔が、素敵じゃないわけがない。もしかしたら、良い悪魔ではないのかもしれませんけど、非常に情緒的な、繊細な方です」
「…そうですか」
良い悪魔ではないのかもしれない、それを薄々承知で私と一緒にいるなんて、ユハさんは面白い方ですね。
彼女にとって、良い悪魔かどうかは、関係ないのかもしれないですね。
それほど想われているということでしょうか。
「さあ、もうお休みの時間ですよ」
「人間は、ですよね」
「ふふふ…そうです。悪魔は夜こそ活動時間なので」
ベッドに横になったユハに、レイムは毛布を掛ける。
「お休みなさい」
ユハの唇にちょんと人差し指を当て、レイムはユハを見つめる。
「レイムさん…そんなことされたらドキドキして眠れないんですが」
「おや、そうですか。では子守唄を弾きますよ」
「…そうじゃないんだけど…まあ、有り難うございます…」
レイムはソファに戻って、竪琴を手に取る。
奏でられる子守唄に、子でなくても眠ってしまいそうだ。
ユハもとろとろと眠気がやってきた。
「…お休みなさぁい」
「はい、お休みなさい」
それからユハが寝入るまで、竪琴の音は響き続けた。
ここは、召喚士一行が滞在しているお屋敷ではない。
慣れない模様の家具。
主人はあまり趣味がよろしくない。
「趣味が悪い…って顔をしていますね」
「なんでわかるんですか…?」
レイムとユハは、寄り添ってソファに腰掛けていた。
ここは、レイムの屋敷。
「いいんですか、本当に。マグナさんたちと一緒にいなくて」
「今日は知り合いの家に泊まるって言ってきました」
「お泊りですね」
「はい、お泊りです」
そういうユハは、幸せそのものという顔をしていた。
こんな夜、レイムさんと一緒にいられるなんて。
ユハは刹那の幸せを甘受する。
頻繁に会っているが、本来は目立たぬように行動しなくてはならない。
それはレイムさんの希望である。
レイムさんは、不思議な人だ。
マグナたちと一緒に会っていた頃は、いや今も、神出鬼没だし、行動を指南してくれる。
未知の雰囲気を纏いながら。
本当は、何か得体の知れないものなんじゃないかと思う。
どこかで道を違えるかもしれない。
でも、それでもいいのだ。
今、私はレイムさんが好きで、こうして一緒にいる。
まだ会えている。
そのことを、今はまだ大切にしていたい。
「今夜は何をしますか?」
「そうですね…また、レイムさんの演奏が聴きたいです」
「承知いたしました」
「本当は、何もなくてもいいんですけどね。レイムさんと一緒にいられれば」
「嬉しいことを言ってくださいますね」
レイムは竪琴を用意する。
すると、ユハが窓に近寄った。
「…?何ですか?」
「今日は月が綺麗なので」
ユハは厚いカーテンをシャッと開ける。
「この大きな月をテーマにした曲をお願いします」
ユハが手を広げて、月の光の前に立っている。
それは神秘的で、かつ壮大で、でもそこにいるのはたった一人の女性で。
それだけで曲が作れそうだとレイムは思った、が。
今日は作曲はやめておこう。
気持ちが高ぶりすぎるといけない。
「それでは、『月の光』という曲を」
レイムが竪琴に手をかける。
ゆったりとした、綺麗な旋律。
最初は抑えめに幾度か繰り返しながら変奏されていく。
そこから力強く伸びあがり、またきゅっと抑え込む。
流れるキラキラした光。
小さく、しかし何か壮大なものを含んだ音。
それは少しずつ現実に、ここに戻ってくる。
「最高です…やっぱりレイムさんの演奏が一番ですね」
「ふふふ…有り難うございます」
「今日はその音楽が風に乗せられて、どこまでも流れていくようです」
「それは素敵ですね」
ユハはレイムの演奏を全身で受け止めて、ゆっくりとカーテンを閉じ、ソファに戻った。
レイムも竪琴を置いて、その横に腰掛ける。
「なんでそんな素敵な演奏ができるんですか?レイムさんって何者なんですか?」
「何者かと申しますと…悪魔です」
「…悪魔ですか」
「はい」
「それは素敵な悪魔ですね」
「素敵、かどうかはわかりませんよ?本性を隠しているのかもしれませんし」
「それでも、こんな素晴らしい演奏ができる悪魔が、素敵じゃないわけがない。もしかしたら、良い悪魔ではないのかもしれませんけど、非常に情緒的な、繊細な方です」
「…そうですか」
良い悪魔ではないのかもしれない、それを薄々承知で私と一緒にいるなんて、ユハさんは面白い方ですね。
彼女にとって、良い悪魔かどうかは、関係ないのかもしれないですね。
それほど想われているということでしょうか。
「さあ、もうお休みの時間ですよ」
「人間は、ですよね」
「ふふふ…そうです。悪魔は夜こそ活動時間なので」
ベッドに横になったユハに、レイムは毛布を掛ける。
「お休みなさい」
ユハの唇にちょんと人差し指を当て、レイムはユハを見つめる。
「レイムさん…そんなことされたらドキドキして眠れないんですが」
「おや、そうですか。では子守唄を弾きますよ」
「…そうじゃないんだけど…まあ、有り難うございます…」
レイムはソファに戻って、竪琴を手に取る。
奏でられる子守唄に、子でなくても眠ってしまいそうだ。
ユハもとろとろと眠気がやってきた。
「…お休みなさぁい」
「はい、お休みなさい」
それからユハが寝入るまで、竪琴の音は響き続けた。