サモンナイト2夢 短編
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私は召喚獣だ。
といきなり言っても訳が分からないかもしれない。
でも、私にも訳が分からないのだ。
なにせ、突然この世界にやって来てしまったのだから。
「ねえ、ネス」
私はリビングで本を読んでいたネスティに声をかけた。
やっぱり自分の事情を聞いてもらいたい人ってのは決まってくる。
一番に伝えたいのは、傍にいて、頼りになる人。
「ユハ?何だ?」
「私、自分のことで悩んでいるの。話聞いてくれる?」
「…僕でよければ」
良かった、と思い、ソファに腰掛ける。
ネスティは本を閉じた。
「で、何を悩んでいるんだ?」
単刀直入にネスティは聞く。
正直、そういう相談は得意ではない。
答えのある問ならいくらでも応じるが、ユハのことについてなど、答えられるとは限らない。
そもそも、僕自身がユハのことをよく知らない。
「私、突然この世界に召喚されてきたの。右も左もわからず、うろうろしていたところにマグナが通りかかって、泊まるところもお金もない私を受け入れてもらったの。ネスはその時に会ったから、少し事情を話したよね」
「ああ。君が召喚獣で、主人が分からないとか…」
「そうなの。それって、やっぱり元の世界には帰れないのかな?」
「主人と召喚獣は誓約で結ばれている。主人に送還の儀式をしてもらう他に、召喚獣が帰る方法はない」
「じゃあ、やっぱり帰れないのか…」
「…帰りたいのか?」
震える気持ちを抑えて、その問いを発する。
帰る、それはつまり、僕たちの前からいなくなってしまうことを示す。
それは…受け入れられない。
だから、ユハの答えを聞いて僕は胸を撫で下ろした。
「ううん、そうじゃないの。ただ向こうの世界の人には、突然消えたことになっちゃっているから、元気だよって伝えられたらいいなって…」
「残念だが、それは無理だろうな」
「やっぱり…」
ユハはしゅんとする。
その姿を見ると心を痛めるが、僕が彼女にしてやれることは限られている。
「そうすると、やっぱりこの世界でやるべきことは、ご主人様に仕えることなんだけど…」
「確かに召喚獣としての使命は主人に仕えることだろう…だが、主人が仕えるに値するかは君自身の判断となるし、ましてや主人が分からない状態で仕えると言っても無理があるだろう。気にすることはない」
「じゃあ…私、旅に出たほうがいいのかな?」
「は?」
「ご主人様は私を探しているかもしれないのに…こんなに幸せな毎日を送っていていいのかなって」
「君一人で旅に出るつもりか?それこそ野党にでも襲われてしまうだろう。そうしたら主人にも会えないんだぞ」
「う…」
自衛ぐらいできるもん、と思いながら、ネスティの言うことはいつも正論だ。
その正論に従うべきかどうかは置いといて、いつも聞くべきアドバイスをくれる。
やはり、ネスティに相談して正しかったのだろう。
「君は召喚獣である以前に一人の人間だ。人間として、健康で文化的な最低限度の生活を保証されても文句はあるまい?」
「ネス…有り難う」
有り難うと言われて、自分の顔が綻んでいたのに気がついて引き締める。
僕は、僕らしくないことを言っていないだろうか。
「まあなんだ…今更出て行ってもらっても、マグナたちがうるさいからな…。そういう意味では僕も君がここにいることに賛成だ」
「そうだね…うん、有り難うネス」
「それに僕自身も…君に傍にいてほしい」
「僕自身も…何?」
最後のほうは声が小さくて聞き取れなかった。
「いや、聞こえなかったならいいんだ」
そう言うとネスティは、眼鏡をずり上げる。
彼女をここに拘束する権利など、僕にはない。
何を言っても、出て行ってしまわれればそれが事実だ。
それでも、ここにいてほしいことだけでも伝えられれば…。
「ネスに相談すると、いつも悩んでいたのが馬鹿みたいに思えるんだよなあ」
「…そうか」
「何より、ネスがここにいて良い、そのままで良いって言ってくれるのが心地よくて。そう言ってもらいたくて相談しているのかもしれない」
「僕は誘導されているということか?」
「あはは。どうだろうね」
後で今回の相談のお礼と称して何かプレゼントしよう。
ネスは甘いもの苦手らしいから、何か他に考えなきゃ。
ネス、いつも傍にいてくれて有り難う。
これからも、変わらず傍にいてね。
といきなり言っても訳が分からないかもしれない。
でも、私にも訳が分からないのだ。
なにせ、突然この世界にやって来てしまったのだから。
「ねえ、ネス」
私はリビングで本を読んでいたネスティに声をかけた。
やっぱり自分の事情を聞いてもらいたい人ってのは決まってくる。
一番に伝えたいのは、傍にいて、頼りになる人。
「ユハ?何だ?」
「私、自分のことで悩んでいるの。話聞いてくれる?」
「…僕でよければ」
良かった、と思い、ソファに腰掛ける。
ネスティは本を閉じた。
「で、何を悩んでいるんだ?」
単刀直入にネスティは聞く。
正直、そういう相談は得意ではない。
答えのある問ならいくらでも応じるが、ユハのことについてなど、答えられるとは限らない。
そもそも、僕自身がユハのことをよく知らない。
「私、突然この世界に召喚されてきたの。右も左もわからず、うろうろしていたところにマグナが通りかかって、泊まるところもお金もない私を受け入れてもらったの。ネスはその時に会ったから、少し事情を話したよね」
「ああ。君が召喚獣で、主人が分からないとか…」
「そうなの。それって、やっぱり元の世界には帰れないのかな?」
「主人と召喚獣は誓約で結ばれている。主人に送還の儀式をしてもらう他に、召喚獣が帰る方法はない」
「じゃあ、やっぱり帰れないのか…」
「…帰りたいのか?」
震える気持ちを抑えて、その問いを発する。
帰る、それはつまり、僕たちの前からいなくなってしまうことを示す。
それは…受け入れられない。
だから、ユハの答えを聞いて僕は胸を撫で下ろした。
「ううん、そうじゃないの。ただ向こうの世界の人には、突然消えたことになっちゃっているから、元気だよって伝えられたらいいなって…」
「残念だが、それは無理だろうな」
「やっぱり…」
ユハはしゅんとする。
その姿を見ると心を痛めるが、僕が彼女にしてやれることは限られている。
「そうすると、やっぱりこの世界でやるべきことは、ご主人様に仕えることなんだけど…」
「確かに召喚獣としての使命は主人に仕えることだろう…だが、主人が仕えるに値するかは君自身の判断となるし、ましてや主人が分からない状態で仕えると言っても無理があるだろう。気にすることはない」
「じゃあ…私、旅に出たほうがいいのかな?」
「は?」
「ご主人様は私を探しているかもしれないのに…こんなに幸せな毎日を送っていていいのかなって」
「君一人で旅に出るつもりか?それこそ野党にでも襲われてしまうだろう。そうしたら主人にも会えないんだぞ」
「う…」
自衛ぐらいできるもん、と思いながら、ネスティの言うことはいつも正論だ。
その正論に従うべきかどうかは置いといて、いつも聞くべきアドバイスをくれる。
やはり、ネスティに相談して正しかったのだろう。
「君は召喚獣である以前に一人の人間だ。人間として、健康で文化的な最低限度の生活を保証されても文句はあるまい?」
「ネス…有り難う」
有り難うと言われて、自分の顔が綻んでいたのに気がついて引き締める。
僕は、僕らしくないことを言っていないだろうか。
「まあなんだ…今更出て行ってもらっても、マグナたちがうるさいからな…。そういう意味では僕も君がここにいることに賛成だ」
「そうだね…うん、有り難うネス」
「それに僕自身も…君に傍にいてほしい」
「僕自身も…何?」
最後のほうは声が小さくて聞き取れなかった。
「いや、聞こえなかったならいいんだ」
そう言うとネスティは、眼鏡をずり上げる。
彼女をここに拘束する権利など、僕にはない。
何を言っても、出て行ってしまわれればそれが事実だ。
それでも、ここにいてほしいことだけでも伝えられれば…。
「ネスに相談すると、いつも悩んでいたのが馬鹿みたいに思えるんだよなあ」
「…そうか」
「何より、ネスがここにいて良い、そのままで良いって言ってくれるのが心地よくて。そう言ってもらいたくて相談しているのかもしれない」
「僕は誘導されているということか?」
「あはは。どうだろうね」
後で今回の相談のお礼と称して何かプレゼントしよう。
ネスは甘いもの苦手らしいから、何か他に考えなきゃ。
ネス、いつも傍にいてくれて有り難う。
これからも、変わらず傍にいてね。