サモンナイト2夢 短編
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「レイムさん、こんばんは」
「はい、こんばんは」
今日も夕方、レイムさんと待ち合わせをした。
お伴にアルトリコーダーを忘れずに。
今日のデートはより特別感がある。
レイムさんと曲を合わせるのだ。
楽譜上では曲が出来上がっているが、やはり演奏してみないと感触が分からない。
「騒音で騒がれないように、今日は湖畔に出てみますか」
「はい」
私からレイムさんの手を取ると、レイムさんは驚いて、そして少し微笑んで握り返してくれた。
やはり手を繋ぐのは緊張するが、この心の弾みには代えられない。
どきどきしながら、柔らかく握られた手を意識する。
湖にたどり着くと、名残惜しいが手を離して、私はアルトリコーダーを組み立てた。
「では、貴女が作ったというメロディーをお聴かせ願えますか?」
「はい…いきます」
緊張してリコーダーに口をつける。
息を吸い、力がこもりすぎないようにそっと、しかしはっきりと息を吹き出す。
私の考えたメロディー。
儚く寂しい伴奏に意志を込めるような張りのある音。
それでいて竪琴の音に添うような優しい短調三拍子。
「素晴らしいですね。綺麗なメロディーです」
演奏を終えて唇を離した私に、レイムさんはそう言ってくれた。
「有り難うございます。とても嬉しいです」
しかし本番はこれからだ。
合わせてみてうまくなければ最初からやり直しにもなりかねない。
「では、合わせましょうか」
その言葉を待っていたのに、やはり合うかどうか不安で、緊張してしまう。
「うーん…合わなかったらどうしよう…」
「聴いた限り、私の竪琴によく合うメロディーでしたけどね」
「そうですか…?」
それならば、と前向きになる。
「それでは、最初16小節の前奏をお願いします。そしたら私がアウフタクトで入るので、そのまま演奏をお願いします」
「わかりました」
さすがレイムさん。
注文をすんなりと受け入れてくれた。
「では…」
そう言って竪琴が音を奏で始める。
私が入るところに向かうにつれて、緊張が最高潮に達する。
ええい、いけ、ユハ。
「…いい感じでしたね」
「はい…」
感動のあまり呆然としている。
私が、私たちが演奏した曲。
直すところはいくつか見つかったが、全体的な感触は悪くない。
ほっとして、隣に座るレイムさんに寄り掛かった。
「三分くらいでしたかね…永遠にも感じました。本当にこれが、永遠だったら良いのに」
「…そうかもしれませんね」
「レイムさんもそう思いますか」
「…そんなに単純じゃないんですよ…ユハさん」
「どういうことですか?」
「いえ、何でもありません」
永遠だったら良い、なんて思ってはいない。
そう、いないはずだ。
私はユハさんとこうして過ごしていく傍ら、聖女を捕獲し召喚兵器を呼び起こさなければならない。
誰のために?…自分のために。
世界は絶望に染まる。
それこそ私の吟う真実の詩。
そのためにはこれが永遠であってはいけないのだ。
いつかは彼女を、利用できたら利用し、棄てなければならない。
ならない…?
目的のための手段でしかないのに、どうしてそのように考えてしまうのだろう。
どうやら私にとっても、物事は単純じゃなさそうですね。
「さて、遅くなりますし帰りますか」
「ええと…すみません、もう一回。こことここを直して…」
ユハは楽譜に修正箇所を書き込んでいる。
どうやら今夜中に曲を仕上げてしまうらしい。
「もう一回演奏お願いします」
彼女の熱意は留まることを知らない。
決して演奏も作曲もプロではないが、これだけの熱意があるなら、音楽関係の道に進めばいいのに、ともレイムは思う。
戦闘を苦手としながら召喚士一行についていき、聖女をめぐる争いに巻き込まれようとしている。
彼女には、そんな必要はないのに。
演奏は夜遅くまで続く。
私と貴女の関係も、まだ暫く続くのでしょう。
「はい、こんばんは」
今日も夕方、レイムさんと待ち合わせをした。
お伴にアルトリコーダーを忘れずに。
今日のデートはより特別感がある。
レイムさんと曲を合わせるのだ。
楽譜上では曲が出来上がっているが、やはり演奏してみないと感触が分からない。
「騒音で騒がれないように、今日は湖畔に出てみますか」
「はい」
私からレイムさんの手を取ると、レイムさんは驚いて、そして少し微笑んで握り返してくれた。
やはり手を繋ぐのは緊張するが、この心の弾みには代えられない。
どきどきしながら、柔らかく握られた手を意識する。
湖にたどり着くと、名残惜しいが手を離して、私はアルトリコーダーを組み立てた。
「では、貴女が作ったというメロディーをお聴かせ願えますか?」
「はい…いきます」
緊張してリコーダーに口をつける。
息を吸い、力がこもりすぎないようにそっと、しかしはっきりと息を吹き出す。
私の考えたメロディー。
儚く寂しい伴奏に意志を込めるような張りのある音。
それでいて竪琴の音に添うような優しい短調三拍子。
「素晴らしいですね。綺麗なメロディーです」
演奏を終えて唇を離した私に、レイムさんはそう言ってくれた。
「有り難うございます。とても嬉しいです」
しかし本番はこれからだ。
合わせてみてうまくなければ最初からやり直しにもなりかねない。
「では、合わせましょうか」
その言葉を待っていたのに、やはり合うかどうか不安で、緊張してしまう。
「うーん…合わなかったらどうしよう…」
「聴いた限り、私の竪琴によく合うメロディーでしたけどね」
「そうですか…?」
それならば、と前向きになる。
「それでは、最初16小節の前奏をお願いします。そしたら私がアウフタクトで入るので、そのまま演奏をお願いします」
「わかりました」
さすがレイムさん。
注文をすんなりと受け入れてくれた。
「では…」
そう言って竪琴が音を奏で始める。
私が入るところに向かうにつれて、緊張が最高潮に達する。
ええい、いけ、ユハ。
「…いい感じでしたね」
「はい…」
感動のあまり呆然としている。
私が、私たちが演奏した曲。
直すところはいくつか見つかったが、全体的な感触は悪くない。
ほっとして、隣に座るレイムさんに寄り掛かった。
「三分くらいでしたかね…永遠にも感じました。本当にこれが、永遠だったら良いのに」
「…そうかもしれませんね」
「レイムさんもそう思いますか」
「…そんなに単純じゃないんですよ…ユハさん」
「どういうことですか?」
「いえ、何でもありません」
永遠だったら良い、なんて思ってはいない。
そう、いないはずだ。
私はユハさんとこうして過ごしていく傍ら、聖女を捕獲し召喚兵器を呼び起こさなければならない。
誰のために?…自分のために。
世界は絶望に染まる。
それこそ私の吟う真実の詩。
そのためにはこれが永遠であってはいけないのだ。
いつかは彼女を、利用できたら利用し、棄てなければならない。
ならない…?
目的のための手段でしかないのに、どうしてそのように考えてしまうのだろう。
どうやら私にとっても、物事は単純じゃなさそうですね。
「さて、遅くなりますし帰りますか」
「ええと…すみません、もう一回。こことここを直して…」
ユハは楽譜に修正箇所を書き込んでいる。
どうやら今夜中に曲を仕上げてしまうらしい。
「もう一回演奏お願いします」
彼女の熱意は留まることを知らない。
決して演奏も作曲もプロではないが、これだけの熱意があるなら、音楽関係の道に進めばいいのに、ともレイムは思う。
戦闘を苦手としながら召喚士一行についていき、聖女をめぐる争いに巻き込まれようとしている。
彼女には、そんな必要はないのに。
演奏は夜遅くまで続く。
私と貴女の関係も、まだ暫く続くのでしょう。