サモンナイト2夢 短編
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ゆるゆると夜の帳が下りる頃、ユハはルヴァイドを訪ねる。
「ルヴァイド?いい?」
扉の前まで来て、ノックとともに声をかけた。
「…入るがよい」
扉を開けると、奥の机でなにやら書類を作成していたルヴァイドがいた。
「何用か」
「特に用はないんだけども…」
「用がないのにこのような時間に訪れるわけもあるまい」
「うーん、何となく安心したかったから、かな」
ユハはそう言って、困ったように微笑んだ。
ほう。
「…ゆっくりしていくがよい」
言葉とは裏腹に、ルヴァイドの心中は複雑だった。
安心する、それはつまり、俺を男として見ていないということか…?
ずきり、と心が音を立てる。だがそれを知らないふりをする。
さて、どうしたものか。
ここで、いっそのことユハを不安にさせてみようか、という悪戯心が起こるのを感じた。
「酒しかないが、少し飲むか?」
そうしてルヴァイドが出してきたのは、リィンバウムでも地方のほうで有名なお酒だった。
なかなか手に入るものでもなく、その薄緑色の液体はユハを誘っているように思える。
「そんなよさそうなもの、いいの?」
「旧王国のほうでは苦も無く手に入れられるものだ、気にすることはない」
「それでは、いただきます」
ルヴァイドは満足したように頷くと、それをふたつのグラスに注いだ。
「なんだか、ルヴァイドは大人っぽく見えるからつい頼りたくなっちゃうのよね」
「老けているということか?」
「まあ、そうとも言う」
「失礼だな」
「あれでしょ、軍人として責任の多い仕事をしてきたから、相応の顔つきになったんでしょ。私はその顔、好きだよ。綺麗だと思うし」
「そうか」
「あ…でもでも、このいつも一緒にいる仲間たちも、みんな綺麗な顔立ちしているよね」
少し恥ずかしくなって手を振りながらそう訂正する。
だけどルヴァイドは気にもしていないのか、向かいのソファで黙って微笑を浮かべている。
「そうだな…ユハ、そろそろ飲みすぎじゃないか?」
「あ、ごめ。大切なお酒…」
「そうではない。お前の体調が損なわれてしまうだろう」
「いやだなー。平気だよこのくらい」
「そうか?」
そう言ってルヴァイドはユハのほうのソファに移った。
「…ルヴァイド?」
ほんの少し、彼から距離をとって座りなおす。
本能的なものだろうか。
と、ルヴァイドの指が私の頬に触れた。
「顔が赤いぞ」
「え…そうかな」
突然のことに驚いて心臓が早鐘を打つ。
しかし振り払うのも失礼だと思い、何事もなかったように振る舞う。
が、緊張して、相手の顔が見られない。
どうしよう。どうしようどうしよう。
「…確かに飲みすぎたかも、この辺で失礼するよ。あ、グラスは洗うね」
そう言ってさっと立ち上がろうとしたが、腕を引かれる。
「きゃ」
「…」
そのまままた座り込んでしまった。
だが引っ張られたせいで、先ほどあけた距離がなくなっている。
つまりルヴァイドと密着状態。
「…っ」
「すまん、もう少し酔いを醒ましてからのほうがいいと思うぞ」
「そ、そうね」
しかし話題もない。
会話を忘れしんとした空間に、心臓の音が響く。
誰か。誰か助けて。
この空間から私を連れ出して。
すると、ルヴァイドの手が私の肩に回される。
「ル…ルヴァイドさん!?」
「…泊っていくか?」
「ひゃい!?」
「今のは肯定の返事か、ユハ」
「いいいいいえ」
「そうか、それは残念だな」
くっくっと笑うルヴァイド。
私はといえば、そんな冗談を今は冗談として認識できる脳ではなくて。
「グラスはシンクに置いておいてくれ」
「…はい」
少しよろめく足でシンクまでグラスを運ぶ。
と、肩に手が置かれる。
「足取りが怪しいぞ。やはり泊っていくか?」
「いいいいえ結構ですっ」
急いで部屋を出る、閉めかけたドアを途中で止め、
「ルヴァイド…今日はありがとね」
そう言い残して部屋を出た。
俺が安心できる男だと?
それは間違いだぞ、ユハ。
「…存外面白かったな」
閉まったドアのほうを見て、そう呟いた。
「ルヴァイド?いい?」
扉の前まで来て、ノックとともに声をかけた。
「…入るがよい」
扉を開けると、奥の机でなにやら書類を作成していたルヴァイドがいた。
「何用か」
「特に用はないんだけども…」
「用がないのにこのような時間に訪れるわけもあるまい」
「うーん、何となく安心したかったから、かな」
ユハはそう言って、困ったように微笑んだ。
ほう。
「…ゆっくりしていくがよい」
言葉とは裏腹に、ルヴァイドの心中は複雑だった。
安心する、それはつまり、俺を男として見ていないということか…?
ずきり、と心が音を立てる。だがそれを知らないふりをする。
さて、どうしたものか。
ここで、いっそのことユハを不安にさせてみようか、という悪戯心が起こるのを感じた。
「酒しかないが、少し飲むか?」
そうしてルヴァイドが出してきたのは、リィンバウムでも地方のほうで有名なお酒だった。
なかなか手に入るものでもなく、その薄緑色の液体はユハを誘っているように思える。
「そんなよさそうなもの、いいの?」
「旧王国のほうでは苦も無く手に入れられるものだ、気にすることはない」
「それでは、いただきます」
ルヴァイドは満足したように頷くと、それをふたつのグラスに注いだ。
「なんだか、ルヴァイドは大人っぽく見えるからつい頼りたくなっちゃうのよね」
「老けているということか?」
「まあ、そうとも言う」
「失礼だな」
「あれでしょ、軍人として責任の多い仕事をしてきたから、相応の顔つきになったんでしょ。私はその顔、好きだよ。綺麗だと思うし」
「そうか」
「あ…でもでも、このいつも一緒にいる仲間たちも、みんな綺麗な顔立ちしているよね」
少し恥ずかしくなって手を振りながらそう訂正する。
だけどルヴァイドは気にもしていないのか、向かいのソファで黙って微笑を浮かべている。
「そうだな…ユハ、そろそろ飲みすぎじゃないか?」
「あ、ごめ。大切なお酒…」
「そうではない。お前の体調が損なわれてしまうだろう」
「いやだなー。平気だよこのくらい」
「そうか?」
そう言ってルヴァイドはユハのほうのソファに移った。
「…ルヴァイド?」
ほんの少し、彼から距離をとって座りなおす。
本能的なものだろうか。
と、ルヴァイドの指が私の頬に触れた。
「顔が赤いぞ」
「え…そうかな」
突然のことに驚いて心臓が早鐘を打つ。
しかし振り払うのも失礼だと思い、何事もなかったように振る舞う。
が、緊張して、相手の顔が見られない。
どうしよう。どうしようどうしよう。
「…確かに飲みすぎたかも、この辺で失礼するよ。あ、グラスは洗うね」
そう言ってさっと立ち上がろうとしたが、腕を引かれる。
「きゃ」
「…」
そのまままた座り込んでしまった。
だが引っ張られたせいで、先ほどあけた距離がなくなっている。
つまりルヴァイドと密着状態。
「…っ」
「すまん、もう少し酔いを醒ましてからのほうがいいと思うぞ」
「そ、そうね」
しかし話題もない。
会話を忘れしんとした空間に、心臓の音が響く。
誰か。誰か助けて。
この空間から私を連れ出して。
すると、ルヴァイドの手が私の肩に回される。
「ル…ルヴァイドさん!?」
「…泊っていくか?」
「ひゃい!?」
「今のは肯定の返事か、ユハ」
「いいいいいえ」
「そうか、それは残念だな」
くっくっと笑うルヴァイド。
私はといえば、そんな冗談を今は冗談として認識できる脳ではなくて。
「グラスはシンクに置いておいてくれ」
「…はい」
少しよろめく足でシンクまでグラスを運ぶ。
と、肩に手が置かれる。
「足取りが怪しいぞ。やはり泊っていくか?」
「いいいいえ結構ですっ」
急いで部屋を出る、閉めかけたドアを途中で止め、
「ルヴァイド…今日はありがとね」
そう言い残して部屋を出た。
俺が安心できる男だと?
それは間違いだぞ、ユハ。
「…存外面白かったな」
閉まったドアのほうを見て、そう呟いた。