サモンナイト2夢 短編
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窓を開けると綺麗な風が流れ込んできてユハはううんと伸びをした。
炬燵を片付け、エアコンの掃除をし、月カレンダーを一つめくる。
季節は初夏だ。
「ユハは、いつも出掛けてるよな。どこに行ってるんだ?」
一緒に家の衣替えをしていたマグナに聞かれる。
「ううんと…内緒!」
「たまには俺たちと出かけないか?散歩だけど」
「いいね」
そう言いながら窓の外を覗くと、近くの木陰に人の姿を見つける。
その人はこちらを待っていたのか、視線が合うと手を振ってくれた。
おいでなさい、とその唇が動く。
ユハはぱあっと顔を輝かせる。
「ごめんマグナ!大切な用事が入ったからまた今度!」
夏用のテーブルクロスを机の上に放り出したまま、ユハは外に駆けてゆく。
「…やっぱりデートかなあ」
ユハが出ていった後、同じ窓から外を覗いてみるが、人影は見当たらない。
「謎の人物が相手じゃ、勝てっこないなあ」
マグナは後ろ頭を掻き、欠伸をひとつした。
それにしても、いい陽気である。
「レイムさん!」
「ユハさん、お元気ですか」
導きの庭園まで来ると、レイムはそこにいた。
玄関を開けても見つけた木陰に行っても、レイムはいなかったのである。
というのも、マグナたちに必要以上に姿を見せてはうまくないからであり、ユハと恋人関係にあるということも、今のところ秘密にしておきたいからだ。
「朝から会えるなんて、珍しいです」
「会いたくなりまして」
レイムはユハがどう言われれば嬉しいのか手に取るようにわかる。
ユハはそれをわかっているが、手のひらの上で弄ばれている感覚はなく、今はそうして出てくる愛情表現が心地よい。
「そうだ!レイムさんがいつも聞かせてくれる曲、楽譜に起こし終わりましたよ!」
「ほう、さすがですね」
「それで、私なりにメロディーをつけてみたんですけど…今度いい楽器が手に入ったら、聴いてほしいです」
「演奏もできるのですか」
「私にでも扱える楽器があれば、の話ですけどね」
「素晴らしいことじゃないですか。尊敬します」
「練習したら、合わせたいです」
「いいですよ」
レイムはにっこり微笑む。
レイムさんとの合奏、夢みたいだ。
あの夜、私を眠るまで包み込んでくれた曲。
夜の匂いがする日に演奏してくれた、誘うようで儚げな曲。
私はそれに合うメロディーを考えた。
ただ儚いだけじゃなく、意志を持った一つの曲。
レイムさんに聴いてほしい。
「何なら今、その楽器を見に行きましょうか」
「えっ、人多いですけど、大丈夫ですか?」
マグナたちに見つかるのでは。
そう言うと、
「きっと大丈夫ですよ。それに」
レイムさんは私の手を取り優しく握った。
「こうしていれば、ただの恋人同士にしか見えませんから」
「レイムさん…」
少し恥ずかしいけど手を引くわけにはいかず、できるだけ手を意識しないようにしながら歩いた。
「ほら、楽器屋がありますよ」
「わあ…!」
並べられた色とりどりの楽器。
レイムさんと深く関わることがなかったら目を向けることがなかっただろうお店。
「素敵…!」
ここに来られて良かった。
「何かお探しかい?」
店員さんが声をかけてくれる。
「えっと…鍵盤楽器か木管楽器のできるだけ初心者向けのものが欲しいんです」
「じゃ、これなんかどうだい?リコーダーっていうんだけど」
そう言って店員さんが楽器を出してきてくれた。
「あ、リコーダーなら少し吹けます!」
「そうかい。大きさも色もたくさんあるよ」
「じゃあこの…手ごろな大きさのものを。色は…白いのが綺麗だな」
「それでは、これをください」
「あいよ」
レイムさんがお会計をしてくれ、私は晴れてアルトリコーダー(多分)を手に入れた。
「わーい!これでレイムさんと一緒に演奏ができますね!」
「その楽器でどんな曲を聴かせてくれるのでしょう…楽しみですね」
お昼の鐘が鳴る頃に、私はお屋敷に戻った。
「ユハ…ってなんだそれ」
「リコーダー。練習するんだ」
「はあ?お前にできるのかよ」
「意外とできるんだな、これが」
その夜から同じ旋律が幾度となくお屋敷に響くようになった。
ときどきお屋敷の外で竪琴の音が聞こえる。
「ユハさん…」
貴女と合奏したい。
貴女といつまでも、音楽を奏でていたい。
「そんな、まさか」
そういう気持ちを振り払うように、レイムは首を振った。
炬燵を片付け、エアコンの掃除をし、月カレンダーを一つめくる。
季節は初夏だ。
「ユハは、いつも出掛けてるよな。どこに行ってるんだ?」
一緒に家の衣替えをしていたマグナに聞かれる。
「ううんと…内緒!」
「たまには俺たちと出かけないか?散歩だけど」
「いいね」
そう言いながら窓の外を覗くと、近くの木陰に人の姿を見つける。
その人はこちらを待っていたのか、視線が合うと手を振ってくれた。
おいでなさい、とその唇が動く。
ユハはぱあっと顔を輝かせる。
「ごめんマグナ!大切な用事が入ったからまた今度!」
夏用のテーブルクロスを机の上に放り出したまま、ユハは外に駆けてゆく。
「…やっぱりデートかなあ」
ユハが出ていった後、同じ窓から外を覗いてみるが、人影は見当たらない。
「謎の人物が相手じゃ、勝てっこないなあ」
マグナは後ろ頭を掻き、欠伸をひとつした。
それにしても、いい陽気である。
「レイムさん!」
「ユハさん、お元気ですか」
導きの庭園まで来ると、レイムはそこにいた。
玄関を開けても見つけた木陰に行っても、レイムはいなかったのである。
というのも、マグナたちに必要以上に姿を見せてはうまくないからであり、ユハと恋人関係にあるということも、今のところ秘密にしておきたいからだ。
「朝から会えるなんて、珍しいです」
「会いたくなりまして」
レイムはユハがどう言われれば嬉しいのか手に取るようにわかる。
ユハはそれをわかっているが、手のひらの上で弄ばれている感覚はなく、今はそうして出てくる愛情表現が心地よい。
「そうだ!レイムさんがいつも聞かせてくれる曲、楽譜に起こし終わりましたよ!」
「ほう、さすがですね」
「それで、私なりにメロディーをつけてみたんですけど…今度いい楽器が手に入ったら、聴いてほしいです」
「演奏もできるのですか」
「私にでも扱える楽器があれば、の話ですけどね」
「素晴らしいことじゃないですか。尊敬します」
「練習したら、合わせたいです」
「いいですよ」
レイムはにっこり微笑む。
レイムさんとの合奏、夢みたいだ。
あの夜、私を眠るまで包み込んでくれた曲。
夜の匂いがする日に演奏してくれた、誘うようで儚げな曲。
私はそれに合うメロディーを考えた。
ただ儚いだけじゃなく、意志を持った一つの曲。
レイムさんに聴いてほしい。
「何なら今、その楽器を見に行きましょうか」
「えっ、人多いですけど、大丈夫ですか?」
マグナたちに見つかるのでは。
そう言うと、
「きっと大丈夫ですよ。それに」
レイムさんは私の手を取り優しく握った。
「こうしていれば、ただの恋人同士にしか見えませんから」
「レイムさん…」
少し恥ずかしいけど手を引くわけにはいかず、できるだけ手を意識しないようにしながら歩いた。
「ほら、楽器屋がありますよ」
「わあ…!」
並べられた色とりどりの楽器。
レイムさんと深く関わることがなかったら目を向けることがなかっただろうお店。
「素敵…!」
ここに来られて良かった。
「何かお探しかい?」
店員さんが声をかけてくれる。
「えっと…鍵盤楽器か木管楽器のできるだけ初心者向けのものが欲しいんです」
「じゃ、これなんかどうだい?リコーダーっていうんだけど」
そう言って店員さんが楽器を出してきてくれた。
「あ、リコーダーなら少し吹けます!」
「そうかい。大きさも色もたくさんあるよ」
「じゃあこの…手ごろな大きさのものを。色は…白いのが綺麗だな」
「それでは、これをください」
「あいよ」
レイムさんがお会計をしてくれ、私は晴れてアルトリコーダー(多分)を手に入れた。
「わーい!これでレイムさんと一緒に演奏ができますね!」
「その楽器でどんな曲を聴かせてくれるのでしょう…楽しみですね」
お昼の鐘が鳴る頃に、私はお屋敷に戻った。
「ユハ…ってなんだそれ」
「リコーダー。練習するんだ」
「はあ?お前にできるのかよ」
「意外とできるんだな、これが」
その夜から同じ旋律が幾度となくお屋敷に響くようになった。
ときどきお屋敷の外で竪琴の音が聞こえる。
「ユハさん…」
貴女と合奏したい。
貴女といつまでも、音楽を奏でていたい。
「そんな、まさか」
そういう気持ちを振り払うように、レイムは首を振った。