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第191話:『美しき正義の名の元に』









ネオコーポレーションシティ国際空港に止まっている1台のプライベートジェット機。

操縦席はプライベートジェット機には珍しい1人で操縦するものだった。

普通は機長と副操縦士がいて、2人で協力して操縦するものだ。

しかし、ジェット機自体がフロンティアの特注ということもあり、1人用の操縦席となっているのだ。


そんな操縦席に、パイロットが座った。


深く帽子を被り、表情を見せず、今回の目的地を確認する。





その頃、吹雪たち5人は空港にたどり着いていた。


吹雪の手にはアタッシュケースが持たれていた。

間違いなく、この中に麗しのブランイヤリングが入っている…。








第11OP『夜鷹の夢《Do As lnfinity》』







第191話:『美しき正義の名の元に』







ネオコーポレーションシティ国際空港に止まっているプライベートジェット機のすぐ側に立つ吹雪たちは、搭乗準備に取りかかる。


剣代:「これが、元帥が言っていたプライベートジェット機か。シンプルでフロンティアのものなのか見分けがつかないな」

吹雪:「普段は翼の部分に、フロンティアの紋章が入ってるらしいが、今回の任務のためにあえて消したらしいよ」

剣代:「それは、やっぱり外部から俺たちがいる場所を特定させないためですか?」

吹雪:「おそらくね。自分たちはここにいるよって敵に教えて仕掛けてきたら、大変でしょ」

剣代:「まあそうですね」

吹雪:「さあ、出発の時間だ。飛行機に乗り込むよ」
吹雪がそう言うと、剣代が返事をし、他の者達も全員ジェット機の中へ乗り込む。


吹雪たちが飛行機に乗り込んだことを確認しているパーカーを着用し、フードで素顔を隠す3人の影が見つめる中、飛行機の扉が閉まる。




飛行機の中はシートベルトを着用するようにとアナウンスがなり、画面には飛行ルートが出ていた。


目的地は、もう言うまでもないが、アメリカにあるシークレットサービス管理下の研究所

そこに、今、吹雪が持っている麗しのブランイヤリングを手渡すこと。これが、今回の任務の目的だ。


そして、これも何度も言うことではないが、これを狙って、小組織”ビューティフルジャスティス”が動き出している。

彼女たちが、どこから仕掛けてくるかはわからない。

しかし、吹雪は、今回の任務で作戦を立てていた。


この作戦がうまく行けば、任務はすぐに達成されるはずだ…。




プライベートジェット機操縦席


パイロット:「V1」
V1とは離陸決定速度のことである。

平たく言えば、飛行機が離陸の為の滑走を開始したということだ。



ゆっくりと滑走路に入り、離陸準備に入る。



パイロット:「Vr」
パイロットがそう言うと、飛行機は急にスピードを上げた。

Vrとはローテーション速度のことで、機種上げ速度、わかりやすく言えばパイロットが操縦桿を手前に引いて飛行機が浮く時の速度のことである。


飛行機が陸から離れ上昇する。


吹雪たちも窓から外を見て、飛行機が飛んだことを確認する。




その頃、別のプライベートジェット機が滑走路に入った。






吹雪たちが乗っている飛行機は無事に離陸することができた。

パイロット:「V2」
安全離陸速度で、飛行機が安全に上昇・飛行できる最小の速度のことである。

パイロットが、飛行機の各部チェックし問題ないか確認する。

すると、いきなりマスクのようなものを画面に取り付けた。


そして、1つのボタンを押すと、飛行機内部の換気扇が作動した。





その頃、剣代は椅子に座り外を見ていた。



剣代は昨日のことを思い出していた。


ビューティフルジャスティス幹部の1人デュラン・バリモアの顔を思い出す。

彼女の顔はどこか苦しそうな表情をしていた。


自分が何を聞いても、無駄だった。


彼女は戦士としてはかなり強い。最初に手合わせしたときも、相当の剣裁きだった。


剣代:「お前は一体、何をしたいんだ…」
剣代は小さい声で呟いた。

すると、剣代に眠気が襲ってきた。

任務中に眠るわけには行かない。だが、耐えることできず、剣代は意識を失った。


剣代だけではない。他のみんなも、既に眠ってしまっていた。



吹雪:「…」
吹雪も何とか耐えているが、もう我慢できず眠ってしまった。

その際、麗しのブランイヤリングが入ったアタッシュケースは、左手に握りっぱなしだった。








操縦席


パイロットが自動操縦に切り替わるボタンを押した。

すると、操縦席の前にあるモニターの端に表示されていた「manual」という文字が「auto」という表示に切り替わった。


そして、もう一つボタンを押した。


そのボタンは少し前に押した換気扇を動かしたボタンだ。

パイロットは再び換気扇を止めた。

そして、顔に付けていたマスクを取り外す。

???:「案外、呆気なかったわね」
マスクを取り外したパイロットがボソッと呟き、その表情を見せた。


デュラン:「これで、任務達成よ」
パイロットはまさかのデュラン・バリモアだった。


離陸する前に、本物のパイロットとすり替わっていたのだ。


デュランは席から立ち上がり、みんながいる場所に向かう。


向かう途中に、デュランは”七支月桃”を握る。



扉が開き、デュランが扉の前に立つ。



デュラン:「催眠ガスが充満していることも知らずに乗り込んじゃってかわいそうな人達。私が、ここであなたたちの息の根を止めてあげるわ!」
デュランは走って、吹雪たちを刺し殺そうとする。


デュラン:「!!?」
刺し殺そうとする直前、デュランの動き止まった。


吹雪:「残念だったね」
すぐ側に向けられた剣と銃口が、デュランの動きを止めていた。

剣代:「吹雪さんの作戦、まず成功と言ったところですね」
光燐之太刀を構えている剣代がそう言った。


デュランは一体、どうなっているのか理解できなかった。


デュラン:「そんな…、どうやって催眠ガスを…」
催眠ガスはちゃんと撒いていたはず。なのにどうして彼らは眠っていないのか…。


吹雪:「答えはこれだよ」
吹雪はそう言って懐から何かを出した。

それは、小型の何かだった。口に銜えるような形をしている。


吹雪:「これ小型の酸素ボンベ。ミッションウォッチで、飛行機内を確認したら、ガスのようなものが撒かれてる形跡があったからね。念のため用意してもらってよかった」
吹雪が小型の酸素ボンベを見せて、デュランに催眠ガスが自分たちに効かなかったトリックを教えた。

デュランが吹雪たちを見ていると、すぐ側に座っていた3人も起き上がる。

情報では、5人で任務が遂行されると言っていた。

つまり、他の3人は城之内、シェリー、風也となる。

しかし、デュランは次の瞬間、目を疑った。

城之内、シェリー、風也ではない。服装こそ同じだが、明らかなに別人だった。


デュラン:「これって…」

吹雪:「君たちのことだから、離陸する前に潜入して来ると思ったよ。だから、僕たち2人が囮になったってわけ」
吹雪はそう言うと、アタッシュケースの中身を見せた。

その中身には何も入っていなかった。


デュラン:「もしかして、わざとここに…!」

剣代:「あぁ、今頃は、城之内さんたちがもう1機のプライベートジェット機で、目的地まで向かってる頃だろうな」



剣代の言う通りで、もう1機のプライベートジェット機はシークレットサービス管理下の研究所に向かっていた。


3人は、フード付きのパーカーを脱ぎ、椅子に座っていた。

吹雪たちが飛行機に乗っていたことを確認していたのは、彼ら3人だった。


城之内の手にはアタッシュケースがあった。

この中に、本物の麗しのブランイヤリングが入っているのだ。







デュラン:「くっ」
まんまと、吹雪の作戦に引っかかってしまったデュランは悔しそうな表情をする。


剣代:「そんな顔するなよ。かわいい顔が台無しだぞ」
デュランはそれを聞いて、バカにされているような感じがした。

そんなデュランは周りに敵がいるのにも関わらず、刃を剣代に向ける。

デュラン:「私をバカにするものいい加減にして!」

剣代に刃が向けられたことで、みんなが確保しようとする。

剣代:「皆さん、動かないでください。彼女は俺の敵です」
剣代はそう言って、吹雪たちを止める。


デュラン:「1対1で勝負してくれるなんて嬉しいわね。私を殺せるのかしら?あなたに」

剣代:「その言葉、そのまま返すぜ」

デュラン:「どういう意味かしら?」

剣代:「殺してるなら、昨日の時点でとっくのとうに殺してるだろ」

デュラン:「あれは、あなたの家族が来たから…」

剣代:「それでも、俺を殺すことはできたはずだ。だが、お前はしなかった」
剣代はデュランを見つめる。

デュラン:「…」

剣代:「家族か…。お前を悩ませているのは、その家族らしいな」
剣代がそう言うと、デュランは唇を噛んだ。

デュラン:「私の心の中に入らないで!私は美しき正義の名の元に、目的を果たそうとしているの!家族なんて、関係ないわ!」
デュランが大きな声でそう言うと、飛行機が突然、大きく揺れ出して、全員が体勢を崩した。


剣代:「何だ…!?」

吹雪はすぐに窓から外を見る。

すると、少し上を見上げると、別のジェット機が飛んでいた。


デュランは「まさか…」と心の中で呟いた。







デュランが、その場から走り去る。


剣代:「待て!」
剣代が追おうとするが、再び飛行機が大きく揺れて態勢を崩した。


剣代は、吹雪の言っていたジェット機を見た。

そのジェット機が、自分たちが乗っている飛行機と並行して飛ぶ。


剣代は操縦席を確認した。


そして、そこには知っている顔が乗っていた。





レイド:「久しぶり、剣代ちゃん」
もう1機のジェット機を操縦するレイドが、剣代に挨拶する。


剣代:「まさか、お前が裏で協力していたとはな!レイド」
剣代とレイドは色々と因縁がある。

だから、剣代にとって、レイドは放っておくわけには行かない存在なのだ。


レイド:「さて、ただ飛んでるだけじゃつまらないし、少しは遊んであげようか」
レイドの手には、3枚のカードがあった。

専用の銃タイプのデュエルディスクに3枚のカードを設定し、銃口を窓側に向ける。

レイド:「まだあったりするんだよね、大いなる力のE・HERO!」
レイドは銃タイプのデュエルディスクの引き金を引き、闇の力に纏われ人格を失った3体の戦士が、レイドが操縦するジェット機の上に現れる。


レイド:「炎の竜を纏う赤い戦士ロンレッド!」
ロッドを振り回す赤い戦士がポーズを決める。


レイド:「星のようにきらめく金色の侍アウルムエクイター!」
金色の侍が腰につけている脇差を抜き、逆手で剣を持つ。


レイド:「鉄の鎧を纏いし守護神ガーディアナイト!」
鉄の鎧に身を纏われた戦士が、銃口を目の前に向ける。



この3体を見て、吹雪たちは驚いた。


吹雪:「まさか、大いなる力のE・HERO!まだ持っていたのか!」

剣代:「レイドの奴、どこまで俺を怒らせれば気が済む…!」
剣代はレイドに対する怒りが爆発しそうだった。


デュランは扉の直ぐそばにあるパラシュートのバッグを見つけ、それを身に付けようとする。



レイド:「時間があまりないからな。こちらの都合でやらせてもらうよ!」
レイドがそう言うと、ガーディアナイトが銃口からビームを放ち、吹雪たちが乗るプライベートジェット機の扉を破壊する。

扉は吹き飛び、すぐ側にいたデュランが外に放り出されてしまう。

デュラン:「あああ!」

剣代:「くそっ!」
剣代は急いで、デュランの元へ向かい、外に放り出されたデュランの手を掴む。

デュラン:「え?」
敵であるはずの剣代が、私を助けてくれた。自分の腕を強く握り占める。

デュラン:「どうして…」

剣代:「さあな、身体が勝手に動いただけだ」
剣代はデュランを引っ張り上げようとするが、風が強く簡単に引っ張り上げることはできなかった。


そんな中、レイドが出してきた闇の力に染まった3体の戦士がこちらのジェット機に迫ってきた。


吹雪:「攻めてきたよ!」

剣代:「くっ!」
ここで、カードを出そうとすれば、デュランを掴む手を離すことになる。

それだけはダメだと、剣代は更にデュランの腕を握る。

すると、剣代のデッキケースが輝き、そこから剣代達を守るべく4体のモンスターが立ち上がる。

1体は手に持つ銃からビームを放ち、3体の大いなる力のE・HEROの動きを惑わした。


剣代:「ツァイト・フォイアー…!」
かつて、レイドから取り返した”大いなる力のE・HEROツァイト・フォイアー”が、扉のすぐ側に立つ。


ネオル:『剣代、君はそのまま彼女の方を』

ツァイト・フォイアー:『奴らは同士である俺たちが何とかする』
炎が燃え盛ったようなマスクを付けた赤い戦士ツァイト・フォイアーが剣代の方を振り向きそう言った。

ホークルージュ:『彼らの目を覚まさせてやる』
鷹のマスクを着用した赤い戦士ホークルージュが空を飛び、闇の力に染まった大いなる力のE・HEROに攻撃する。



ネオル:『我々も行くぞ、コンタクト融合だ!』
3体のモンスターたちと共に出てきた孔雀の姿をした宇宙戦士”N(ネオスペーシアン)・スカイ・ピイカック”が頷き、飛び上がる。


そして、ネオルとスカイ・ピイカックがコンタクト融合し、新たな空の戦士が舞い上がる。


スカイ・ネオル:『スカイ・ネオル!コンタクト融合完了!』
孔雀の羽を持つ風のネオル。そして、空を大きく羽ばたく空の戦士である。



スカイ・ネオルたちが、3体の大いなる力のE・HEROと戦いを始めた。


スカイ・ネオル:『トルネード・スカンダ!』
思いっきり孔雀の羽を広げ、4つの竜巻を起こし、敵を襲う。


闇の染まったロンレッド3体は、攻撃の巻き沿いを喰らわないように躱したが、その動きはツァイト・フォイアーの読み通りで、銃口からビームを放ち、3体のモンスターにビームがヒットする。


ホークルージュ:『はあ!』
専用の剣を持ち、まずはロンレッドを倒そうとするが、闇に染まったガーディアナイトが体勢を崩している状態で、照準を定め銃からビームを放った。


そのビームを躱すホークルージュ。そして、その間にガーディアナイトと、アウルムエクイターが体勢を整え、ガーディアナイトは専用の武器を銃から剣へと変形させて、アウルムエクイターと共に、スカイ・ネオルとホークルージュに仕掛けた。


ロンレッドも、ツァイト・フォイアーを標的に捕らえ、手に持つロッドを分離させ、2本の剣にした。







その頃、剣代は頑張ってデュランを引き上げようとする。


デュラン:「私とあなたは敵同士よ!その手を離して!」

剣代:「俺たちの目的は、麗しのブランイヤリングをシークレットサービスの研究所まで送り届けることだ…。お前を殺すことじゃない…!だから、この手は絶対に離さないぞ!」
剣代が更にデュランを腕を強く握る。

これに、デュランは頬を赤くした。

敵なのに…、どうして…。

自分を助ける意味がわからない。デュランの頭の中はそのことと、剣代のことで頭がいっぱいだった。



すると、デュランが耳につけている無線機に通信が入る。


アデラ:『聞こえる?デュラン。今すぐ、下に来なさい。迎えに来たから』

デュラン:「!」
相手は幹部シャインレディのリーダーでもあるアデラからだった。


アデラ:『レイドのジェット機についているカメラを見てるわ。彼、相当勝手なことしたみたいね。とにかく急ぎなさい』
アデラはそう言って通信を切った。


デュランは一度、目を閉じて彼を一旦お別れすることを決意する。

デュラン:『勝負は、またお預けね。けど、またすぐに会うわ。そのときこそ、本当の決着よ!』
デュランはそう言って、剣代の手を振り払い、下に飛び降りた。


デュランは、飛び降りてからしばらくしてパラシュートを開き、剣代はそれを確認した。


剣代:「望むところだぜ、デュラン」
剣代は小さい声で呟いた。


その頃、スカイ・ネオルたちの戦いは…。



スカイ・ネオル:『トルネード・スカンダァッ!』
さっきよりも威力のある攻撃で、3体の大いなる力のE・HEROを吹き飛ばす。

態勢を崩した3体の大いなる力のE・HEROに向けて、ツァイト・フォイアーは愛用の銃からビームを放ち、3体にぶつけ、その内、ガーディアナイトとアウルムエクイターが消滅した。


ホークルージュ:『舞え!我が剣!!』
ホークルージュが愛用する剣で、最後の1体であるロンレッドを斬り倒した。


吹雪:「よし、3体のヒーローを倒した!」
闇に包まれ人格を失っていた3体のヒーローが撃破され、そのカードが宙を舞う。

ホークルージュは、その3枚のカードを回収した。





レイド:「やるじゃん、剣代ちゃん。この10年で、精霊達も力を上げているみたいで、俺嬉しいぜ」
レイドはそう言うと、ペダルを踏み、ジェット機のスピードを上げて飛び去って行った。


レイド:「その3枚は餞別だ。向こうで待ってるよ、剣代ちゃん」
レイドは遠ざかる剣代に向かってそう言い放つ。

無論、剣代には聞こえていないが、剣代は何となく奴が、自分に対して何かを言っていたと思った。


剣代:「レイド…」
剣代はホークルージュから3枚の大いなる力のE・HEROのカードを手渡され、そのカードを見る。

剣代:「お前はまだ、父さんの遺産を持っているのか…」
全て取り返したと思っていたが、そうではないようだ。

おそらく、奴はまだ父さんのモンスターカードを持っている可能性がある…。そう思った。



吹雪:「思いも寄らない敵が、向こうにはいるみたいだね」

剣代:「えぇ、奴は、必ず俺の手で…」
剣代は右拳を見つめながらそう言う。

必ず、奴を倒す。その思いを拳に込める。


吹雪:「急ごう。任務は、まだ始まったばかりだからね」

剣代:「了解」

城之内たちに変装していた者達が、プライベートジェット機を操縦し、破壊されたドアは飛行に支障が出ないように応急処置をして塞いだ。


吹雪たちは、このまま目的地まで飛び去った。

自分たちよりも先に向こうにに到着する城之内たちと合流するために!






その頃、プライベートジェット機から飛び降りたデュランは、アデラが乗る船に回収されていた。


アデラ:「最初から信用はしてなかったけど、レイドの奴、勝手なことをしてくれたね」
アデラはまだデュランが脱出もしていないの敵の飛行機に対して攻撃したのが許せなかった。


アデラがレイドの文句を言っている間に、デュランは仕事着に着替えていた。

デュラン:「こうなることは予想していました。レイドは最初から信用していなかったので」
デュランはアデラの隣に座る。


アデラ:「それで、本物は既にシークレットサービスの研究所に運ばれているの?」

デュラン:「はい、彼らが持っていたのは偽者でした。本物は別の者たちが既に」

アデラ:「なら、少し急いだ方がいいわね。この近くの島にヘリコプターを止めているから、それで向かうわ。まあ、私たちの仲間も、既に目的地にいるだろうけどね」
アデラはそう言って、エンジンを付け、船を前進させた。






吹雪の作戦により、先行で目的地の近辺まで来ていた城之内、シェリー、風也の3人。


3人は肉眼で目的地の島を確認した。




シェリー:「あれが、シークレットサービスの研究所」
思っていたより島は広く、その島に如何にも研究所と言うべき建物が数軒建っていた。



遠くから見てもかなり厳重なセキュリティに守られているように見える。

しかし、城之内達はまだ知らなかった。このとき、すでに敵が、この島に潜伏していることに…。





アメリカ

シークレットサービス本拠地は、慌ただしい状態だった。



幹部A:「研究所と連絡が取らないとはどういうことだ!」

幹部B:「研究所の映像を回せ!」

部下A:「ダメです!あちらの回線がジャックされています!」

幹部A:「日本のフロンティアとの連絡は!」

部下B:「3時間半前ぐらいに既に、研究所に向かって出発している模様」

幹部B:「まさか、フロンティアの仕業ではあるまいな!麗しのブランイヤリング欲しさにシークレットサービスに仕掛けてきた可能性は!」
本拠地が慌ただしい中、研究所の近くでセンサーが反応した。

部下B:「研究所に接近する物体あり。これは、話しに聞いていたフロンティアのプライベートジェット機です」
つまり、まだ研究所にフロンティアは付いていないということだ。

では、一体、研究所で何が起きているのか。幹部たちは急いで、研究所の状況確認を急がせる。



本拠地のどこも騒がしい状況だ。麗しのブランイヤリングはシークレットサービスが管理するいわば財産のようなものでもある。だから、無事に麗しのブランイヤリングが届けなければいけないのだ。

そんな中、1人の男性が特に慌てることもなく、廊下を歩いていた。


足音だけが、カツカツと響く。









その頃、城之内たちがシークレットサービスの本拠地に到着。

急いで、プライベートジェット機から降りて周りを見渡す。


予定通り、麗しのブランイヤリングを持ってきたなのに、誰も迎え入れてはくれなかった。

ましてや、周りに人の気配が感じられなかった。


風也:「随分、静かですね」
風也は周りを見渡し、そう呟く。



すると、そのとき何処からともなく何かが飛んできて、それに気づいた城之内が”炎の大剣”で弾き飛ばす。



城之内によって弾き飛ばされたものは何者かがキャッチした。


城之内:「随分、手荒な挨拶じゃねえか?」

レクシー:「ごめんなさい。でも、私のボスは待つのが嫌いでね」
城之内が弾き飛ばしたのは、ハーピィ・カイリーだった。

そして、それをキャッチしたのは、勿論持ち主のレクシーだった。


更に、レクシーの側には同じシャインレディの一員であるマンディとベロニカ、そして、もう一人の女性が立っていた。


ヴィヴィエン:「まさか、別働隊を用意していたとは、恐れ入ったわ。でも、ここまでよ。あなたたちは完全に包囲されているわ」
ビューティフルジャスティスのボスであるヴィヴィエンが指を鳴らすと、城之内達を囲うように、ビューティフルジャスティスの部下たち十数人が周りを取り囲む。


風也:「これは…」

シェリー:「どうやら、向こうは既に、こちらを占拠していたみたいね」

城之内:「あぁ、まあ予測していなかったわけではねえけどな」
城之内はヴィヴィエンを見る。

城之内:「お前が、ビューティフルジャスティスの親玉か?正義なんて名前が付いているのに、やることが悪役だな」
”ジャスティス”とは、日本語に訳せば正義となる。

だが、そんな正義の名を持つのに、こんなことをしてきて城之内はビューティフルジャスティスの組織名を笑った。


ヴィヴィエン:「なんとでも言いなさい。これが私たちにとっての正義よ。そして、私たちの目的は、あなたが持つ麗しのブランイヤリング、それをだけよ」
ヴィヴィエンは城之内が持つアタッシュケースを指さしてそう言った。

ヴィヴィエン:「死にたくなかったら、それを渡しなさい。そうすれば、命だけは助けてあげるわ。研究所の中で、隔離されている者達も含めてね」
ヴィヴィエンの口振りの様子だと、研究所の人たちは無事のようだ。



しかし、今はビューティフルジャスティスの者達に囲まれているようだ。


城之内:「悪いが、このまま、はい、どうぞとはいかないな」

シェリー:「私たちの目的は、あくまで麗しのブランイヤリングを研究所に送り届けること」

風也:「任務を失敗するわけにはいかないからね」

城之内:「そんなに欲しければ、力づくで奪うことだな!」
城之内はアタッシュケースを粒子化し、ミッションウォッチに格納した。


レクシー:「あくまでも私たちと戦うというのね」

マンディ:「面白いねぇ。腕が鳴るよ」

ベロニカ:「あの時の続きができるわね」
幹部3人は、城之内たちと戦いたくてうずうずしているようだ。

なぜなら、昨日の戦いは、時間切れで中断してしまったのだから。


ヴィヴィエン:「いいわ。あなたたちが、その気なら受けて立ってあげる。でも、手加減なしよ!」
ヴィヴィエンの、それは周りの部下たちに対する合図のようなものだった。


事実、シャインレディの3人が飛び上がり、城之内達に迫ってきたのだから。



遂に、ビューティフルジャスティスとの決戦が始まる…!








第12ED『Sky chord~大人になる君へ~《辻詩音》』







次回予告

ナレーション:ビューティフルジャスティス幹部シャインレディの鋭い眼が、城之内達を標的に捕らえる…!

昨日の戦いの決着を付けるべく、各自が武器を持ち戦いに挑む。

そんな中、組織一番の筋力を持つマンディを相手にする風也は、マンディと対等の力で戦うために、切札を出して交戦する!

彼の大盤振る舞いが、勝利へと導くことができるのか…!


風也:次回、遊戯王5DXAL「正義の大盤振る舞い!覚醒するスター・ツヴァイハンダー」


風也:「あなたが、その武器を使うなら、僕も、同じ条件で戦うよ!」





遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


吹雪:「ビューティフルジャスティスには幹部の”シャインレディ”が存在し、組織の中でも戦闘力抜群の女性たちがいるぞ。5人が、それぞれ個性ある力を持っており、物凄く手強い相手だ」
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