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第190話:『任務開始前夜の小競り合い』











吹雪、城之内、シェリー、風也に忍び寄る影。


それは、ビューティフルジャスティス幹部シャインレディの5人の内4人の影だった…。









第11OP『夜鷹の夢《Do As lnfinity》』









第190話:『任務開始前夜の小競り合い』





城之内はイライラしながら歩いていた。


城之内:「くそ…少しぐらい遅れたからってあそこまで怒ることないだろ」
城之内は昼間にあった出来事を思い出す。





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明日の任務の打ち合わせに参加していたため、予定の時刻より大幅に遅れていた城之内は走って待ち合わせ場所に向かっていた。


これから会う相手は…。



舞:「いい加減にしなさい!城之内!アンタ、何回データを忘れれば気が済むのよ!!」
恋人の舞だった。

今更ではあるが、城之内と舞は恋人関係である。


これは、前世紀から続いていることで、恋人から進展はなかった。


それもあって、43歳の舞は今でもかなりの美貌を保っている。

よく結婚して子供を産むと体の体系が悪くなり、歳を取るとしわができてババアになると言う。

まあ、杏子みたいにそうではない女もいるみたいだが…。


城之内:「わりい、ちょっと打ち合わせが延びてよ」
城之内は申し訳なさそうに後頭部を掻いて誤った。

舞:「打ち合わせって何よ?」
腕を組んで舞は聞いた。

城之内は応えそうになったが、明日の任務はフロンティア内部でも話してはいけないと言われていることを思い出した。

城之内:「今後のフロンティアに加入した連中の育成についてよ…」
適当な言い訳をする城之内だが、舞は疑った。

舞:「どうして、アンタみたいなのが、そんな打ち合わせに呼ばれるのよ」
ギクリと城之内は唾を飲む。


城之内:「俺だって、いつかは部下を持つリーダーになるかもしれねえんだ。お前とデートをしている暇なんて無くなる」
城之内は自慢するように言うと、舞の怒りは頂点に達した。

舞:「なら、ずっと若者を育成してればいいじゃない!」
舞は城之内に平手をお見舞いした。

城之内は見事に吹き飛ばされ、舞は怒ってその場を後にする。


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城之内:「ホント、女ってわからねえ」
城之内は平手を喰らった頬を撫でて呟いた。


城之内は、ブツブツ呟いていると、いつの間に港についてしまった。


城之内:「やべえ、こんなところに付いちまった。早く戻るか」
城之内は引き返そうとする。

???:「恋人の心がわからないなんて、彼氏失格よ」
引き返そうとした先に、1人の女が立っていた。


城之内:「お前は確か…」
城之内は打ち合わせの中で見た情報を思い出し、そこに映っていた女性と同じ顔だと気付く。


城之内:「麗しのブランイヤリングを狙う組織の幹部の女」

レクシー:「レクシー・アンドア、ビューティフルジャスティス幹部シャインレディの1人よ」
レクシーは、ご丁寧に挨拶した。

城之内:「明日相手をする組織の奴が、どうしてここに…」

レクシー:「そんなの決まっているじゃない。あなたの力を試させてもらうからよ」
レクシーは1枚のカードを手に取った。

そのカードは”ハーピィ・レディ”のカードだった。

城之内は、そのカードを見て少し驚いた。






その頃、シェリーの前にも、ビューティフルジャスティスの幹部が1人立っていた。


ベロニカ:「いつから私に気づいていたの?」


シェリー:「最初からよ。こう見えて目とか鼻は敏感なの」
シェリーは付けられていることに気付き、この誰もいない工事現場に敵を誘い込んだのだ。


シェリー:「あなたビューティフルジャスティスの幹部。確か名前は…」

ベロニカ:「ベロニカ・サム。シャインレディの1人。そして、これが…」
ベロニカは左手に1枚のカードを持っていた。

そのカードは、”復讐の女戦士ローズ”だった。

そのカードはすぐに西洋剣のようなデュエルギアへと変化した。

ベロニカ:「”ローズ・・ジョワユーズ”。世界に100本存在する”刀衆”の1本よ」
ベロニカが持つ西洋剣は”復習の女戦士ローズ”のデュエルギア”ローズ・・ジョワユーズ”と言う名で、刀衆の1本に数えられている剣の1本だった。


シェリー:「刀衆ね。これは願ってもいない人を相手にしてしまったみたいね。私は」
シェリーも”フルール・ド・シュバリエ”のデュエルギア”聖剣-シュヴァリエ”を握り戦闘態勢に入る。







その頃、人気の少ない路地を歩いていた風也。

彼もまた、自分が誰かに見られていることに気付いていた。


だから、普段通らないこの路地に入ったのだ。


風也:「ここなら目立たないよ。出てきたらどうなの?」
風也がそういうと、目の前に女とは思えない筋肉を持つ女性が大剣を背負って現れた。


マンディ:「さすが、フロンティアにいる男だよ。あたしの気配を感じ取るなんてね」

風也:「いや、君みたいなのは逆に目立つよ。マンディ・グリーン」
風也は目の前に立つ女性のことを知っていた。


なぜなら、午前中に見せてもらった情報の中に、彼女の顔が映っていたからだ。

マンディ:「アタシのこと、よく知ってるね。なら、何者かもわかっているんだろ?」

風也:「ビューティフルジャスティス、シャインレディの1人マンディ・グリーン。幹部いや、組織の中で一番の筋肉を持つ女性って聞いてるよ」

マンディ:「そうかい。ならアタシの力がどれほどのものかも知っているってことでいいよね!」
マンディが大剣を振り上げて、風也の接近する。





その頃、吹雪は妻にメールをしていた。


内容は「今、戻る」と書かれていた。


どうやら、恵美が待つフロンティア本部へ戻るところのようだ。


吹雪は、あまり人気のない道を走って本部へ向かっていた。

普段、この道は人通りの多い道なのだが、夜は全然人が通らない道なのだ。


吹雪が走っていると、突然何かが吹雪を狙って降ってきた。


吹雪は急いで走り、降ってきたものを全て躱す。

空から降ってきたのは、炎で象られた羽のようなものだった。


???:「やるじゃない。不意打ちのつもりだったんだけど」
キラキラ光る青い髪の毛の女性が、木の上に座っていた。


手には地面に突き刺さる炎で象られた羽を持っていた。


吹雪:「前の日に襲ってくるなんて、やり方卑怯過ぎない?」
吹雪は木の上に座る女性の顔を見たことがあった。

ビューティフルジャスティスの幹部シャインレディの1人でありリーダーでもあるアデラ・エイラーである。

吹雪は顔を見てすぐにわかった。

アデラ:「私のことは知っているみたいね」


吹雪:「うん、麗しのブランイヤリングを狙う組織の幹部のリーダーってことぐらいだけど」

アデラ:「リーダーねぇ、私もそういうように見られているのね」

吹雪:「悪いけど、帰ってくれないかな。僕、今急いでいるし、何より…」
吹雪は真剣な顔でアデラを見る。

吹雪:「女性を傷つけたくないんだ」
女性を傷つけるのは男性がやってはいけないことだと知っている吹雪。

男性が女性に手を出すのは、犯罪も同じだと心の中で決めている。


アデラ:「あら、そう…。でも、明日には戦う定めなのよ。だから、引くつもりはないわ!」
アデラは手に持つ炎で象った羽を吹雪に向けて投げる。


吹雪:「まあ、そうだよね」
吹雪は”レッドアイズ・ガレオン”を構え銃口から粒子を圧縮した赤い弾丸を放つ。



その弾丸がアデラが投げた炎の羽を弾き飛ばす。

アデラ:「いい命中率ね。でも、この距離でそれぐらいできる人は沢山いるわ」
アデラは木の上から飛び上がり、吹雪の前に立つ。


吹雪:『女性を相手にするのは苦手だよ…、本当に』
吹雪は心の中で呟く。


アデラ:「私と戦うのが嫌みたいね。顔を見てわかるよ」

吹雪:「あ、やっぱり、僕って女性の前だと考えが全部顔に出るみたいだね」
余裕があるのか吹雪は頭を掻いてそう言った。


アデラ:「余裕こいてると、やられちゃうわよ」
アデラが右手を前に突き出す。

そして左手に1枚のカードを持っていた。

そのカードは”裁きの代行者サターン”と書いてあった。

アデラの背後にサターンの幻影が現れ、アデラの身体と1つになる。

アデラ:「裁きのカッシーニ!」
突き出していた右掌から輪っか状の衝撃波を放つ。


吹雪は、両手でガードし身と守るが、以外に強い衝撃波のため、かなり後ろに押し出された。


吹雪:「っ…!限界勢力の使い手だと噂されていたけど、本当だったとわね。ホント、参ったよ」
吹雪は立ち上がり、レッドアイズ・ガレオンを構える。

アデラ:「やっとやる気になったみたいね。それじゃあ、あなたの力、試させてもらうよ」
アデラが吹雪に向かって走ってくる。





その頃、城之内は港でレクシーと戦っていた。



レクシーは、ブーメランタイプのデュエルギアを投げ飛ばし、城之内に攻撃していた。


城之内は”炎の剣士”の大剣デュエルギア”炎の大剣”を使って交戦する。


ブーメランを何度も受け止め弾き飛ばす。それの繰り返しだった。







レクシー:「あなたの武器は、パワーに優れているけど、その大きさゆえ小回りが利かないのが弱点。私の”ハーピィ・カイリー”を弾き飛ばし続ければ、体力は奪われるわ」
レクシーは再びハーピィ・カイリーを投げ飛ばす。


城之内:「男は女よりも体力があるんだよ!これしきのことでやられてたまるかよ!」
城之内は炎の大剣から吹き出した炎で、ハーピィ・カイリーを包み込む。


城之内:「ファイア・ホール!!」
円状の炎が、ハーピィ・カイリーを包み込む。


城之内:「へっ、俺のデュエルギアは、こんなこともできるんだぜ!」
城之内は自慢するように言った。


しかし、レクシーは軽く笑った。


レクシー:「ゲイル・リッパー」
レクシーがそう呟くと、炎に包まれたハーピィ・カイリーが突然、風を纏い回転力を強化。

炎を消し飛ばし、円状の炎の中から出てきた。


城之内:「!」
そのまま城之内に向かって飛んでくる。

城之内はギリギリで躱した。


ハーピィ・カイリーがレクシーの手に戻ってくる。


城之内:『舞と同じハーピィレディのデュエルギア。舞は、銃のデュエルギアだったが、こいつのはブーメランタイプのデュエルギアだ。風の力をうまく利用してやがる…』
城之内は炎の大剣を見る。

城之内:『俺のデュエルギアとは少し相性が悪いな』
レクシーのデュエルギアと自分のデュエルギアの相性が悪いと城之内は呟いた。


レクシー:「そういえば、あなた彼女いるのよね」
戦いの最中にレクシーはいきなり質問をぶつけてきた。

城之内:「それがどうした?てか、戦いの最中だぞ」

レクシー:「いいじゃない、プライベートの話しをしても。見てたわよ、昼間」
昼間と言えば、デートの約束に遅れて舞と遭った時間だ。


レクシー:「なんか打ち合わせが延びたとかで言い訳して、デートに遅れてたわね」

城之内:「お前には関係ないことだろ」

レクシー:「そうね、でも女として見過ごせないのよね。あなたみたいな彼氏は」
レクシーは城之内を指さしてそう言った。

城之内:「は?」
何を言っているのかわからない城之内の頭には?が浮かんでいた。


レクシー:「自分の都合を言い訳にデートの待ち合わせ時間に遅れる人は、どんな女を捕まえてもずっと嫌われたままよ!」
ハーピィ・カイリーを再び投げ飛ばすレクシー。

最初から風を纏っている状態で飛ぶスピードが速かった。


城之内は炎の大剣で受け止めようとするが、ハーピィ・カイリーの飛ぶスピードが速く、すぐに伏せてハーピィ・カイリーを躱した。


ハーピィ・カイリーは90度方向転換し、レクシーの元に戻ってくる。


レクシー:「女は、一度愛した人を忘れられないのよ。いくら現実逃避をしてもね」
レクシーは目を瞑って言った。


その表情は、どこか悲しみを城之内に見せていた。







その頃、ネオコーポレーションシティのとある工事現場で2本の剣が交わる音がしていた。



シェリーの”聖剣-シュバリエ”と、ベロニカの”ローズ・・ジョワユーズ”が何度もぶつかり合い、周りにぶつかり合ったときの音が響く。


実力は互角のように見えるが、シェリーは見抜いていた。ベロニカはまだ本気を出していないことに…。


シェリー:「どうして本気を出さないのかしら?」

ベロニカ:「こう見えて本気よ」

シェリー:「嘘ね。何か私、遊ばれている感じがするのよね。それに、何か私に向けられていない強い怒りが剣から感じるわ」
シェリーはベロニカの持つローズ・ジョワユーズを見てそう言った。


ベロニカは大きなため息をついた。

ベロニカ:「同じ女だから、私の気持ちや心がバレちゃうのかしらね」
ベロニカは観念したかのような口ぶりでそう言った。


ベロニカ:「なら、少し本気を出そうかしら」
ベロニカのローズ・ジョワユーズの刀身が赤くなる。


シェリーは聖剣-シュバリエを構え、攻撃を受け止める態勢に入る。



ベロニカは刀身が赤くなったローズ・ジョワユーズを振り、空に向けて赤い光の球体を投げ飛ばした。


シェリー:「?」

ベロニカ:「側蕾」
赤い球体が一瞬輝き、シェリーに向かって光の柱が落ちる。


落ちてくる光の柱はさほど大きくない。シェリーは受け止められると思い、その場で腰を低くする。

しかし、下に落ちて行くにつれ、光の柱が徐々に大きくなっているのにシェリーは気付いた。


ベロニカ:「みんな、そうやって油断するのよね」
ベロニカはボソッと呟いた。


これを受け止めるのは危ないと判断したのか、シェリーはそこから後ろに飛び、光の柱を躱した。


光の柱は、元々シェリーが立っていた場所に大きな穴を作った。

当たっていたら、どうなっていたか…。それを考えるだけで、少し恐ろしくなってきたシェリー。

ベロニカ:「これはほんの挨拶よ。私の力は、こんなもんじゃないから」
ローズ・ジョワユーズを構えてそう言ったベロニカ。

シェリーは、油断できないと思ったのか、少し歯を立てて聖剣-シュバリエを構える。






その頃、人気のない路地で大剣を振り回し、風也を襲うマンディ。


その筋肉で、大剣を振り回し続け、風也は、それを躱し続けていた。




マンディ:「いつまで躱し続けるんだい?体力の無駄だろ?」
体力が低下することなくマンディは大剣を振り回し続けていた。

風也:「くっ」
一方、風也はマンディの攻撃を躱し続けていた所為で体力が低下している。


マンディ:「吹き荒れろ!”ドラグニティナイト-ガジャルグ!!”」
大剣が輝き、マンディの背後にドラグニティナイト-ガジャルグの幻影が現れる。

マンディ:「ディルジャルグに新たなる刃を!」
マンディが扱う大剣は”ドラグニティナイト-ガジャルグ”の”ディルジャルグ”という大剣タイプのデュエルギアである。


ディルジャルグの刀身が風に覆われ、マンディはそれを手加減なしに思いっきり振った。


マンディ:「デストロイ・フェザー!!」
刀身に纏われている風が風也に向かって飛ばされた。

飛ばされた風は周りにあるゴミ箱や木の枝、木の葉を巻き込み、更に巻き込まれたそれらは木っ端微塵に斬り裂かれた。


マンディ:「この風に当たったら、一溜りもないよ!」
風也は、1枚のカードを手に取った。


マンディが放った風が風也にヒットする。

マンディから見たらそう見えた。しかし、本当はそうはなっていない。



マンディ:「へえ、よくそんなデュエルギアで守れたね」

風也の手には1本の長剣が握られた。


風也:「スター・ツヴァイハンダー」
風也の背後には風也が面を付けた時のエスパー・ロビンに似た影が立っていた。

それは”異次元エスパー・スター・ロビン”。超能力を持つ戦士で。風也にとってのエースモンスターである。

そして、彼の手に持っているのが、そのモンスターのデュエルギア”スター・ツヴァイハンダー”である。


ツヴァイハンダーとは、ドイツで使用されていたという巨大な両手剣であるが、風也の手に持たれている剣は、片手で持てる長剣だった。



スター・ツヴァイハンダーの刀身は少し輝いていたようだが、その輝きが徐々に弱まる。



マンディ:「そんな貧弱な身体には似合った武器だね。けど、そんな武器じゃアタシのディルジャルグを止めることはできないわよ!」
マンディが再び剣を振り、強力な風を飛ばす。



スター・ツヴァイハンダーを構える風也は、息を吸って呼吸を整える。


風也:「ディメンション・アブソープション!」
風也の目の前に、異次元ホールが現れ、マンディが放った攻撃を吸い取ってしまった。

マンディはこれを見て、さっき自分の攻撃が奴に届かなかった理由がわかった。

さっきも、これを使って身を守ったのだろう。


マンディ:「異次元空間の操るデュエルギア…、珍しい能力を使うねぇ」
マンディは舌で上唇を嘗めてそう言った。


このとき風也は気付いていた。マンディはまだ本気を出していないことに…。





その頃、吹雪は人が全然通らない道で、アデラと戦っていた。




レッドアイズ・ガレオンから弾丸を放ち続ける吹雪だが、アデラは”代行者”モンスターの、限界勢力をうまく使いこなし、吹雪の攻撃を躱す。


吹雪:「フレア・バーン!」
銃口にエネルギーを溜め、引き金を引いた瞬間、赤い光線が放たれる。


アデラは少し笑い”創造の代行者ヴィーナス”のカードを手に取る。

ヴィーナスが背後に現れ、アデラの身体と一つになる。


アデラ:「華麗なるフェアタイディグング!」
両手で円を描きバリアを張って、身を守り吹雪の攻撃を跳ね返した。


吹雪:「綺麗なバリアだね」

アデラ:「お褒めの言葉ありがとう。でも、これは防御だけじゃないわよ」
アデラが両手を合わせてパンッと叩いた。

すると、バリアが分散し、吹雪を包囲する。


吹雪:「これは…」

アデラ:「華麗なるベラーゲルング」
分散したバリアからビームが放たれ、包囲されている吹雪に向かって一斉に襲いかかってくる。


吹雪は急いで、レッドアイズ・ガレオンの銃口を上に向ける。

手が青く輝き、レッドアイズ・ガレオンの銃口に青い輝きが溜められる。


吹雪:「ヒュドール・アヴラ!」
レッドアイズ・ガレオンの銃口から水が吹き出し、それが吹雪を守る壁となる。


周りから放たれた攻撃は、水のバリアによって弾き返された。



アデラ:「咄嗟とはいえヴィーナスのこの攻撃を防御するなんてね。あなたが初めてよ。初めて、この攻撃を見て防御し切ったのは」
アデラが吹雪の力に天晴れしたのか、彼を高評価した。



すると、アデラが持つ無線機からアラームの音が鳴る。



それは、アデラだけではなく、他の3人も同じだった。





城之内とレクシー




レクシー:「どうやら、時間切れのようね」
レクシーはハーピィ・カイリーを収める。



城之内:「逃げるのか!」
レクシーがデュエルギアを収めたのを見て、城之内はレクシーが、この場から逃げると予想した。

レクシー:「言ったでしょ。今日は、ただあなたの力を見たかっただけよ」
レクシーは城之内に背を向けて歩き始めた。

レクシー:「別にあなたをどうこういうつもりはないけど、せめて恋人の気持ちぐらい理解した方がいいんじゃないかしら。じゃないとこれから嫌な目に遭うかもよ」
レクシーはそう言って、城之内の前から姿を消した。


レクシーの言葉を聞いて、城之内は舞の顔を思い浮かべた。





風也とマンディ


マンディ:「貧弱そうだったから、すぐに倒せるかと思ったけど、やっぱりフロンティアに所属するものだけあってそうはいかなかったわね。でも、次会うときは」
マンディはディルジャルグの剣先を地面に叩きつけるように刺した。

マンディ:「容赦しないから。覚悟しなよ」
マンディの周りに風が吹き荒れ、風也の視界を奪う。

風也が目を瞑っている間に、マンディは風也の前からいなくなっていた。





シェリーとベロニカ


ベロニカ:「やっぱり、あなたに刃を向けても、私の本当の怒りを引き出すことはできないみたいね」

シェリー:「?」

ベロニカ:「私には、組織の目的と、もう一つ日本への復讐がある」

シェリー:「日本に復讐って、それどういう意味?」
シェリーはベロニカに質問すると、ベロニカは軽く笑った。

ベロニカ:「次に会う機会があったら、教えて上げるわ。シェリー・ルブラン、明日、楽しみにしてるよ」
薔薇の花びらが舞う中、ベロニカはその中で姿を消した。

シェリーは周りを見渡すが、近くにベロニカの姿はなかった。





吹雪とアデラ


アデラ:「天上院吹雪、あなたの力は見せてもらったわ。今日は、引いてあげるけど明日からは今日以上に本気で戦うわ。あなたを殺す気でね」
アデラが、急いでその場を後にする。


吹雪は「待て!」と言って追いかけようとするも、既にアデラの姿は目視できなかった。



吹雪:「ビューティフルジャスティス幹部…、僕たちが思った以上に厄介な敵になりそうだね」
アデラは限界勢力を使いこなす手練れだった。


彼女が、あれだけ強いのなら他の幹部も必ず強いはずだ…。


吹雪:「少し作戦を練る必要があるね」
吹雪は急いで、フロンティア本部へ向かった。

みんなを集めて、明日の任務に対する作戦を練るために、吹雪は1分1秒も無駄にはできない気持ちだった。


既に、時刻は20時を過ぎている。もう時間の猶予はない。





日本に潜伏するビューティフルジャスティスのメンバーが集まる。


ヴィヴィエン:「相手の力は見れたかい?」

アデラ:「勿論よ。明日は瞬殺するわ」

マンディ:「もっと骨のあるやつはいないのかい?まさか、あんな貧弱な男が相手だと思わなかったよ」

レクシー:「自分の運を恨みなさい。東西南北で道を決めた時、あなた、南って言って向かったじゃない」
レクシーの言う通りで、自分が南に行くと言って、言った先にあの男、奥平風也がいた。



自分で道を決めて、結果あの男が相手だったのだから、もう他の連中と相手を変えることはできない。



デュラン:「これで、自分たちがそれぞれ相手をする敵は決まったって事ですね」

ヴィヴィエン:「そうね。麗しのブランイヤリングを手に入れるために、私たちは全力で、相手に立ち向かうわ。いいわね?」

アデラ:「了解よ」

ベロニカ:「腕が鳴るわね」
幹部たちのやる気は十分のようだ。


ヴィヴィエン:「あなたにも手伝ってもらうわよ?レイド」
ヴィヴィエンの背後には、今回ビューティフルジャスティスに協力している全世界指名手配犯されているレイドが壁にのしかかっていた。



レイド:「了解だ、ボス」
レイドにとって、ヴィヴィエンはボスでも何でもない。その言い方はふざけて言ってるようにしか見えなかった。







翌日、朝


元帥室に吹雪、剣代、城之内、シェリー、風也が集められていた。


5人の手には、たった今、百々原から手渡されたあるものを持っていた。


吹雪:「これは?」


百々原:「”小型音声通信機MW”。ついこの間、完成した通信機だ。ミッションウォッチに届いた通信を耳で聞き取ることができる」
皆がもらったのは、耳に取り付ける小型通信機だった。


全員が、それを右耳に取り付ける。


百々原が、自分のパソコンから吹雪のミッションウォッチに通信を送る。

吹雪は、その通信に出ると、通信機から百々原の声が聞こえた。


百々原:「勿論、従来の通信もできる。状況に応じて使い分けてくれ」
従来と言うのは、ホログラムを出して顔を見せ合いしながら通信する方法だ。



百々原:「空港に、プライベートジェット機を用意した。それを使えば、目的地まで4時間ぐらいでいける」

シェリー:「日本からアメリカに行くのに半日は掛かるのに、よくそこまで短縮できましたね」

百々原:「フロンティア西支部には優秀な開発者たちがいるからね。その者達のおかげだよ」


城之内:「さあ、行こうぜ。あの阿婆擦れ女共が来る前に」

風也:「シークレットサービスの方に連絡は?」

百々原:「勿論している。向こうも要注意しているはずだ」
ビューティフルジャスティスが、麗しのブランイヤリングを狙ってきたといっても向こうは信じてくれなかった。

百々原が言っている要注意とは、どちらに向けられたものだろうか。


剣代:「さて、行きますか」

吹雪:「そうだね」

百々原:「キミの作戦が、うまく行くことを願っているよ」
百々原が吹雪にそう言うと、吹雪は「任せてください」と返事をする。

吹雪:「麗しのブランイヤリングは必ず守ってみせますよ」
奴らがどこから仕掛けてくるかわからない。

だから、吹雪は、それを予想して、今回の任務の作戦を立てた。



作戦は吉と出るか凶と出るか…。

いざ、アメリカ、シークレットサービス管理下の研究所へ!







第12ED『Sky chord~大人になる君へ~《辻詩音》』






次回予告

ナレーション:遂に、麗しのブランイヤリングを送り届ける任務が開始された。

ブランイヤリングを奪うため、ビューティフルジャスティスも本気でフロンティアに立ち向かう。

しかし、ビューティフルジャスティスにはあの男が協力していた。

両者の真逆の目的が、戦いの火種を大きくするのであった!


剣代:次回、遊戯王5DXAL「美しき正義の名の元に」


剣代:「まさか、お前が裏で協力していたとはな!レイド」




遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!


城之内:「デュエルギアは、様々な武器の形状を持っているが、それを決めるのはデュエリストの意志だ。例え、同じ”ハーピィレディ”でも、舞みたいに銃タイプや、レクシーのようなブーメランタイプで、大きく違いが出るぞ」
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