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第188話:『麗しのブランイヤリング』







ナレーション:「バリアンとの決戦から10年の月日が流れた。多元世紀では、歳を取らない者達が多い。その理由はわからないが、決して人口が増え続けているわけではない。なぜなら、この世界は争いが絶えない世界。死人も沢山出る。いつ多元世紀に平和が訪れるのか…。それは誰にもわからない。しかし、世界の平和を守るために立ち上がる者たちもいる。そうフロンティアSOA特務隊のように…」






第11OP『夜鷹の夢《Do As lnfinity》』








第188話:『麗しのブランイヤリング』





百々原:「バリアンとの決着が着き、10年が経過した。この10年、多元世紀では様々な出来事が起こっていた。それは世界に喜びを与えるものもあれば不安にさせる出来事もあった…」




多元世紀51年


百々原:「第5回デュエルバトルカーニバル選手権で発生した事件により、ノルマンディーカンパニー社長オズボーン・セーブルが逮捕され、その後、会社は世間から信頼度を失い、会社としてやっていくことが困難に陥ってしまった。しかし、バリアンとの決戦から数カ月後、元副社長のライナー・リッグが社長に就任し、他会社との交流を深め、会社は再び経営を取り戻した」




多元世紀52年


百々原:「ノルマンディーカンパニー主催の大会第6回デュエルバトルカーニバル選手権が開催。第5回に引き続き、不動一星が見事優勝を果たした」




多元世紀53年


百々原:「同じく第7回デュエルバトルカーニバル選手権が開催し、3年連続不動一星が優勝を果たした。これにより、殿堂入りチャンピオン・名人に続く、2人目の殿堂入りを果たした。





多元世紀55年


百々原:「フロンティアSOA特務隊の人員配置が変更。九十九遊馬が正式に、SOA特務隊4係リーダーに戻り、彼と同じ時代の者達が、4係に異動となった。同時に、観月小鳥が4係リーダーのバディとなり、神代凌牙と天城カイトが、4係の副リーダーに就くこととなった」





多元世紀58年


百々原:「海馬コーポレーションが4本の軌道エレベーター及び宇宙ステーション別名”海馬ステーション”を設立させた。これにより、海馬コーポレーションは世界に更なる革命の始まりを宣言した。そして…」




多元世紀59年


百々原:「この年は、世界中が動揺した。突然の出来事、現実に起きているのかすら捉えていないものたちも中にはいただろう。多元世紀59年。地球上空に謎の巨大宇宙船の転移。国家政府は、この巨大宇宙船に”ブラック・シップ”というコードネームを付けた。謎に包まれた巨大宇宙船。この宇宙船は、今も地球上空に存在する。一体、誰が何の目的で、宇宙船を転移させたのか、それは明らかになっていない。そして、バリアンの決戦から10年。多元世紀61年、新たな戦いが幕を開けようとする…」






多元世紀61年





アメリカ


とある小組織のアジトから1台のヘリコプターが飛び去って行った。


そのヘリコプターを運転する帽子を被った女性



そして、その後ろの席には5人の女性が乗っていた。


誰一人しゃべろうともせず、只々静かな空間だった。


だが、なぜだろうか。ここにいる5人からは悪意のような空気が感じる。これから、何かが起こる。そんな気がしてならなかった…。










数日後の昼間




珍しいことではないが、その日、フロンティア本部は全警備員動くほど騒がしかった。


警備員A:「間もなく到着する!警備を怠るな!」

警備員B:「A班とB班は、門の警備に就け」
警備員たちは手分けして、行動していた。





フロンティア本部

元帥室


百々原:「あと10分ぐらいで到着するはずだ。それまでは気を緩めるなよ」
百々原がそう言うと、通信の向こう側の警備員が返事をした。


百々原:「今から言うメンバーを大至急召集してくれ」

久留実:「はい」
百々原元帥の秘書を務める女性、羽村久留実がタブレットを手にして近づく。

百々原:「天上院吹雪、天上院剣代、シェリー・ルブラン、奥平風也、城之内克也、以上5名に任務を言い渡す」
百々原は席を立ち上がってそう言った。


久留実は返事をして、急いで部屋を出た。







その頃、フロンティア本部は大量の警備員に囲まれていた。


そんな状態のフロンティアに1台のトラックと数台の車が、フロンティア本部の門を潜り、敷地へと入った。


まるで1台のトラックを数台の車が守っているようにも見える。



そして、トラックを初め、数台の車は本部のエントランスの入り口がある手前で停車した。


そして、1台の車の扉をスーツを着たガードマンが開け、中から1人の男性が降りてきた。


警備員代表:「お疲れ様です。大統領」
そう、車から降りてきたのは、日本の大統領である明智大統領だった。

明智:「あぁ、百々原元帥は?」

警備員代表:「元帥室でお待ちです。案内します」
警備員の代表が、大統領を部屋まで案内する。



フロンティアに大統領が劣訪れ、本部は騒がしくなっていたその頃、ある者たちが高いビルより、その光景を見ていた6人の女性がいた。



レクシー:「目標はあの中だよ」
1人の女性が双眼鏡でトラックを捕えていた。



マンディ:「どうする?今から盗みに行くかい?」
並外れた筋肉を持つ女性がそう言うと、6人の中でリーダーと思われる人物が前に出る。


ヴィヴィエン:「そんなに慌てちゃ、取るものも取れないわ。相手は、天下の大組織フロンティアよ。ここは、内部から調査して、慎重に進めるわよ」


アデラ:「じゃあ、どうする?全員で乗り込む?」

ベロニカ:「それじゃあ、目立ってしょうがないんじゃないかしら?」

ヴィヴィエン:「そうね。とりあえず、私とデュランで潜入するわ。いいわね?」

デュラン:「はい」
6人の中で一番若い女性が返事をして、ヴィヴィエンと共に、屋上を後にする。




その頃、元帥の秘書である久留実は、元帥から召集してほしい人物を連れて、元帥室に向かっていた。


城之内:「なあ、さっきからやけに外が騒がしいが、ありゃあなんだ?」
ずっと気になっていたことを久留実に聞いた城之内。


久留実:「それを今から話します」
久留実は一言そう言って歩き続ける。あまり、周りには聞かれたくないようだ。


すると、吹雪は久留実の髪の匂いを嗅いだ。


吹雪:「うーん、いつもの薔薇の香りがするね」

久留実:「ちょっ!何するんですか!?」
いきなり、髪を嗅がれたことに動揺する久留実。


剣代:「吹雪おじさん、セクハラですよ」
呆れた表情で、剣代は一言言った。


久留実:「ふざけるのも程々にしてください。そろそろ部屋に付きます」
久留実は髪を撫でて軽く身だしなみを整える。


風也:「それにしても、召集された意味は何なんでしょうね」

シェリー:「外の件と何か関わっているのかもしれないわね」
いつもの面を付けていないエスパー・ロビンならぬ風也と、綺麗な金髪の女性シェリーが会話する。


そして、元帥室に着いた。

扉の前には、スーツを着たボディガードが1人立っていた。


久留実:「失礼します」
久留実は元帥室の扉を開けて、部屋へと入る。

久留実:「召集メンバー連れて参りました」

呼ばれたメンバーが部屋の中を覗くと、そこには百々原ともう一人の男性がいた。

百々原:「ご苦労。キミは、例の物が来るまで、外で待っていてくれ」
百々原がそう言うと、久留実は返事をして部屋を出た。


明智:「この5人が、今回の任務を引き受けるメンバーか?」

百々原:「はい」

みんなは目を疑った。なぜなら、目の前にいるのは…。


城之内:「だ、大統領…!?」

風也:「なぜ、大統領が、ここに!?」
目の前にいる日本の大統領に、みんなが驚く。


百々原:「今回、君たちに与えられる任務は、大統領直々による依頼だ。失敗が許されないランクが高い任務だ。気を引き締めるように」
百々原はいつもと違う感じで、皆にプレッシャーを与えるような口調で話しをした。



その頃、元帥室の外に待機する久留実と大統領のボディガードを務める男性は、緊張感を持ちながら、その場に立ち周りを警戒する。


しかし、その警戒はまだ浅いものだった。


天井が開き、ボディガードの前に何者かが降りてきた。

ボディガード:「貴様、何―!」
ボディガードが反撃するのも間もなく降りてきた人物はボディガードの腹を殴り気絶させる。

久留実:「!!」
すぐに部屋の中にいる者達に危機を伝えようとするが、背後から久留実の口元に薬が塗られたハンカチのようなものを当てて、久留実を気絶させる。






その頃中では、任務についての話しをしていた。

スクリーンには、1枚の写真が映し出されていた。

そこには、赤と青が混合した真珠がついたイヤリングが映っている。


明智:「”ブランイヤリング”。この世に5つあると言われている特別な光のイヤリングだ」


風也:「デスリングと同じって考えればいいですか?」


明智:「うむ、確かにそう捉えても間違いではないな。デスリングは闇の力を宿し、ブランイヤリングは光の力を宿している。しかし、光のイヤリングだからと言って、決してやさしい力ではない。今、スクリーンに映っているのは、ブランイヤリングの1つ”麗しのブランイヤリング”と言われた、身に付けているだけで周りが見とれるほどの美貌を手に入れることができると言われている」
明智が言う話しは正直信じられない。

しかし、ここにいるメンバーはデスリングという指輪の恐ろしい力を目の前で見ている。





城之内:「いかにも、女が欲しそうなものだな」
城之内が腕を組んでそう言った。

明智:「だが、この麗しのブランイヤリングも、裏では並外れた力を手にすることができる危険なものだと言われ、国家政府が危険視している代物だ」

百々原:「そんな麗しのブランイヤリングだが、実は少し前、フロンティアは国家政府の依頼で、とある犯罪組織から、このイヤリングの回収に成功した」
その話しを聞いて、少し前にSOA特務隊の1つランクが下のエージェント部隊SOAの者達が全員召集され、任務に就いたという話しを聞いたことを思い出した。

その任務がまさか、これを回収するためだとは、今の今まで誰も気づかなかった。


明智:「元々、このブランイヤリングは、アメリカ合衆国シークレットサービスが厳重に保管していたのだが、数日前にその犯罪組織に奪われてしまってね」


吹雪:「飛んだ大失態ですね」

明智:「まったくだよ。ちょっとしたセキュリティの抜け穴を潜って盗んだらしいからね」
明智は頷きながらそう言った。


剣代:「それで、私たちが呼ばれた理由は、そのブランイヤリングと関係があるのですか?」
剣代はなぜここに、この5人が呼ばれたのかを確認する。


百々原:「あぁ、それはだな―」
百々原が話しを続けようとすると、ドアがノックされた。

久留実:「失礼します」
入ってきたのは、久留実と明智のボディガード、そして1台のカートを引くスーツを着た男性の計3人だった。


百々原:「丁度きたようだな」
百々原がそう言うと、明智はカートの横に立つ。

ちなみにカートにはシーツで隠されていた何かが乗っていた。

明智は、そのシーツを取り、カートの上にあるものをみんなに見せる。

シェリー:「これは、麗しのブランイヤリング…」

城之内:「おいおい、どうしてこれがここにあるんだ?」
これが、ここにあることを気にする城之内達。

明智は順序を追って説明した。

明智:「先ほど言ったシークレットサービスからブランイヤリングを盗んだ犯罪組織。それは、日本を拠点としている犯罪組織だったんだ」

百々原:「つまり、ブランイヤリングを回収したのも、ここ日本ということだ」

明智:「今回、君たちに与える任務は、このブランイヤリングを、無事にアメリカ合衆国シークレットサービスに届けることだ」
それが、ここにいる5人が呼ばれた理由だ。

さっきも言ったが、ブランイヤリングはとてつもない力を備え持っている。だからこそ、これを狙ってくる者たちも多い。


百々原:「これを奪還するとき、ボスも含め犯罪組織の大半は捕まえているが、まだ残党が逃げている情報もある」

吹雪:「現れる敵から、これを守ってシークレットサービス本拠地に送り届けることが任務ですか。簡単そうですが、敵がどれぐらい出てくるかによっては、面倒な任務ですね」
吹雪は立ち上がり、久留実の横を通って、カートに近づく。


その時、久留実の髪の香りが、吹雪の鼻に漂った。


吹雪:「?」
吹雪は一瞬、久留実を見たが、何ごともなかったかのように、カートに近づき、ケースに入っている麗しのブランイヤリングを見る。


剣代:「…」
何か殺気のようなものを感じ取る剣代は、ずっとボディガードを見つめていた。



ロビン:「シークレットサービスまではどうやって送り届けるのですか?」

百々原:「ヘリか飛行機か、いずれにせよ空を飛んで送り届ける予定だ」

明智:「それと、送り先なんだがシークレットサービスの本拠地ではなく、シークレットサービスが管理する島の研究所に持って行くことになっている。向こうはかなり疑い深く手ね。ブランイヤリングが本物なのかどうか、それを確かめるためには、長年ブランイヤリングを研究するその施設に行かないとわからないらしい」


城之内:「少しは信用しろよな」

風也:「まあ、危ないものですから本物かどうか確認する必要はありますからね」
まあ、確かに…。城之内は心の中でそう思った。



百々原:「なお、この任務については、ここにいる者たち以外非公表とする。よって他言無用だ」

明智:「敵は既に側にいる可能性もある。それを考慮した上、この人数で任務にあたってもらう。任務開始後は2日後を予定している。それまでに準備をしてくれ」

城之内:「了解だ、大統領。俺たちに任せてくれ」

百々原:「明後日まで、麗しのブランイヤリングは、フロンティアで預かる。久留実、保管庫まで案内してやってくれ」

久留実:「はい」
久留実は百々原の言われた通りに、カートを引く者を保管庫まで案内するために部屋を出た。

明智:「元帥、私ともう少し話しを」

百々原:「わかりました。みんなはそれぞれ準備してくれ」
明智と百々原はソファーに座った。


少し目をキョロキョロするボディガードは、すぐに部屋を出た。

その行動は、何か警戒しているようにも見えた。



剣代:「吹雪さん」
剣代は吹雪さんの横に立って、話しかける。

吹雪:「キミも気づいているかい?」
吹雪がそう聞くと、剣代は軽く頷いた。


2人は「まさか…」そんな気持ちを持っていた。




その頃、久留実は麗しのブランイヤリングが入ったケースを乗せたカートを押す男性は、保管庫まで案内していた。

しかも不自然に大統領のボディガードまで付いて来ていた。


カートを押す男性も大統領の側で働く者。ボディガードを見て不自然を感じていた。


3人でエレベーターに乗り、そして地下にある保管庫がある階で降りた。




だが、実はそこに保管庫なんて場所はない。カートを押す人はそれに気づいていない。


それに気づいているのは、秘書の久留実、そして明智のボディガードの2人である。


久留実は何かを企むかのように口がにやけた。


それは、カートを引く者には見えていない。

しかし、流石に気になり始めたのか、カートを引く男性が声をかける。


男性:「本当に、この階に保管庫はあるのか?見張りがいないようだが…」
男性がそう聞くと、久留実は何も答えなかった。


???:「保管庫は、この階の2つ下。階を間違ったのかい?」
1人の男性の声が、背後から聞こえ、3人は後ろを振り向く。

吹雪:「久留実ちゃん」
3人の背後を立っていたのは、先ほどまで元帥室にいた吹雪だった。


久留実は歯を立てて悔しそうな表情をする。


剣代:「逃がさないぞ」
久留実たちが向かう先に剣代が立つ。


吹雪:「急いで、2つ下の階に向かってください。そこにいる2人は敵です」
吹雪はレッドアイズ・ブラック・ドラゴンのデュエルギア”レッドアイズ・ガレオン”の銃口を、明智のボディガードに向けて言った。


男性:「騙されていたのか」
男性はカートを押して、吹雪の後ろにあるエレベーターに向かう。

ボディガードが止めようとするが、吹雪は「動くな」と言って脅した。


カートを押す男性がエレベーターに乗って下の階に向かったことを確認する剣代と吹雪。


剣代:「お前たち、何者だ?本物の久留実さんとボディガードじゃないだろう」

久留実:「何を言っているのか私にはわかりませんが…」
久留実は剣代を見てそう言った。


吹雪:「僕は、一度見た女のことを忘れないんだよね」
吹雪は少し面白そうに言って、一歩前に出る。


吹雪:「久留実ちゃんは、いつも薔薇の香りがするシャンプーを使っているからね。その香りが髪からするはずが、さっき君の隣を通ったとき、その香りがしなかったからね。怪しんでたよ」
元帥室で、彼女の隣を通ったとき、吹雪は久留実の違和感に気づいていたのだ。


剣代:「そっちのボディガードも、最初部屋に入る前と、入ってきた後で明らかに何かが違う。俺の目はごまかせないぞ」
剣代がそう言うと、ボディガードの方は舌打ちをした。


ボディガード:「どうやら、私たちは運が悪かったみたいだね。こんな厄介な連中に目を付けられるとは…。デュラン!」
久留実に変装している女性が、けむり玉のようなものを地面に叩き付ける。

周りに煙が充満し、視界が奪われる。

剣代:「くそっ!」

吹雪:「剣代君!」
吹雪の声が聞こえ、前を確認すると、いつの間に2人の姿がなかった。


近くの階段に続く扉が開いている。そこから逃げたに違いない。

吹雪は急いで、扉の向こうを確認した。

上に向かう足音が聞こえる。しかも走っている。


吹雪:「行くよ!剣代くん!」

剣代:「はい!」
2人は急いで逃げた2人を追う。




急いで上へ走るボディガードと久留実に変装した2人。


ヴィヴィエン:「アデラ、指定のポイントにヘリコプターで迎いに来て。思ったよりも早く気付かれたわ」
ボディガードに変装していた女性ヴィヴィエンが変装を取り、通信機で味方に応援を要請する。


ヴィヴィエン:「デュラン、急ぎなさい。捕まるわよ」
久留実に変装している女性は下を警戒して階段を登っていた。


まだ追手とは距離がある。まだ逃げられる可能性があると確信した久留実に変装している女性は、ヴィヴィエンと共に急いで上へ上がる。




暫くして、ヴィヴィエンたちは、フロンティア本部ビルの屋上へたどり着いた。

まだ迎えのヘリは来ていない。


久留実に変装している女性は、ここで変装を取り、その素顔を見せた。


デュラン:「すいません、私の変装の甘さが原因で、敵に気付かれてしまって…」

ヴィヴィエン:「今度からは、香水とかで誤魔化すようにしなさい」
ヴィヴィエンが部下の、デュランに注意をしていると、入ってきた扉の向こうから足音が聞こえてきた。

そして、その向こうから来たのは、ヴィヴィエンたちを追っていた吹雪と剣代だった。



剣代:「逃げ道はないぞ」

吹雪:「女に手を出す趣味もないから大人しく降伏するんだ」
吹雪と剣代は彼女たちに大人しくするよう求める。


デュラン:「ヴィヴィエンさんに手出しはさせない!」
デュランは一枚のカードを手にした。

そのカードはエクシーズモンスター”武神姫-アマテラス”だった。


そのカードを持って、デュランは吹雪たちに向かって走る。

デュラン:「煌めけ!七支月桃!!」
カードは七支刀の形をしたデュエルギアへと変化し、それを持って吹雪たちに襲いかかる。


剣代:「こいつは俺に任せてください!」
剣代も”E・HEROネオル”のカードを持って立ち向かう。


剣代:「目覚めよ!光燐之太刀!」
白い剣が剣代の手に持たれ、2人の刀身がぶつかる。


剣代:「お前の相手は俺だ」

デュラン:「ならまずは、お前から斬る!」
2人の火花がぶつかり、剣がぶつかり合う音も周りに響く。



吹雪はもう一人の女性の前に立つ。


ヴィヴィエン:「レッドアイズのデュエルギアに、吹雪という名前…。お前が、天上院吹雪」

吹雪:「おや、僕の名前を知っているみたいだね」

ヴィヴィエン:「敵のアジトに潜入する前に情報を頭に入れるのは基本中の基本よ」
ヴィヴィエンはボディガードに変装するために来ていたスーツを脱ぎ捨て、いつもの服装の姿を見せる。

その服装の右胸には見慣れないマークを象ったカチューシャがついていた。

吹雪:「君たち、どうやらただの泥棒じゃないみたいだね」

ヴィヴィエン:「顔も見られたし、隠す意味もないわね。自己紹介が遅れたわ。私の名前はヴィヴィエン・リンチ。小組織”ビューティフルジャスティス”の首領をしているわ」
ヴィヴィエンが自分の名前と、組織名を吹雪に教える。


吹雪は、その組織名に聞き覚えはなかった。





ヴィヴィエン:「その表情だと、組織の名前に聞き覚えがないみたいね。まあ、小さい組織だし、ジャパンにまで広まっているとは思ってもいないわ」

吹雪:「狙いは、麗しのブランイヤリング…だね?」

ヴィヴィエン:「だったらどうするのかしら?」
ヴィヴィエンは質問に質問で返した。


吹雪:「悪いけど、あれを取られるわけにはいかないんだよね。だから、ここで拘束させてもらおうよ!」
吹雪がレッドアイズガレオンを構える。

ヴィヴィエン:「この子たちが、あなたの墓標を作ってくれるわ」
ヴィヴィエンが地面に両手を当てる。


ヴィヴィエン:「霊炎地層!」
ヴィヴィエンと吹雪の間の地面が赤くなり、その地面から炎でできた赤い霊体が十数体出てきた。

吹雪:「炎属性の力…、いや違うね」

ヴィヴィエン:「よく気付いたわね。そう、これは炎属性じゃない私だけの属性…”霊属性”。炎と闇を組み合わせた多重属性界よ」
彼女は炎属性と闇属性を組み合わせた属性”霊属性”を使いこなす多重属性界の持ち主だった。

目の前に現れた霊体たちが、吹雪に襲いかかって来る。





剣代とデュランの戦いは、激しく剣がぶつかり合っていた。


デュランの長いピンク色の髪が風で靡く。

剣代は彼女を見て思った。自分と同じぐらいの歳だと…。


剣代:「女にしては、すごい剣裁きだな。武神ってところも珍しい」

デュラン:「これが私のスタイルよ。悪い?」

剣代:「全然悪くないぜ。それに、顔を覗いてみたら、結構かわいいな」

デュラン:「なっ…///」
少し顔を赤くするデュランは急いで剣代から離れる。

デュラン:「戦いの途中でふざけているの?変なこと言って、私を油断させるつもり?」


剣代:「別に変な意味で言ったわけじゃないさ。ホントのこと言っただけだ」
”かわいい”。その言葉を聞くたびに、デュランの心は揺れていた。

剣代:「俺も吹雪さんと同じで、女性を傷つける趣味はない。大人しく降参してくれ」

デュラン:「そうはいかないわ。私は捕まるわけにはいかないの。組織のため、そして家族のために!」
デュランは七支月桃を構える。

剣代も光燐之太刀を構え反撃の準備をする。


デュランは高くジャンプした。

デュラン:「大日女尊(オヒルメノミコト)!」
水平の斬撃を、七支月桃から飛ばした。


剣代は慌てず呼吸を整え、斬撃を飛ばす。


剣代:「乱馬・閃光!」
かなり速度の速い斬撃が光燐之太刀から飛ばされる。


互いの斬撃はぶつかり、両者の技はかき消された。





その頃、吹雪はヴィヴィエンの霊属性の力で出されていた霊体たちに苦戦していた。

近づく霊体にレッドアイズガレオンから放った弾をぶつけるがすり抜けてしまい、ダメージはない。


吹雪:「霊だから、ダメージなんて与えられないよね」

苦戦する吹雪を面白そうに見るヴィヴィエン。

しかし、しばらくするとヘリコプターが近づく音が聞こえてきた。

ヴィヴィエンがヘリコプターの操縦席を確認し、味方であることを確認した。

ヴィヴィエン:「デュラン!迎えが来たわよ」
ヴィヴィエンに言われ、戦いの途中だが撤退を決意するデュラン。

デュラン:「この勝負、いずれつけるわ」
デュランは走って、ヘリコプターから垂れているはしごに捕まる。

ヴィヴィエン:「我々、ビューティフルジャスティスは麗しのブランイヤリングを手に入れるために、お前たちに宣戦布告する!首を洗って待ってなさい!」
ヴィヴィエンはそう言って、ヘリコプターは立ち去って行く。


剣代:「待て!」
剣代は去って行くヘリコプターを見つめる。


デュラン:「天上院剣代!あなたの相手は私よ!さっきの言葉忘れないで」
デュランが剣代に言った言葉。それは「勝負はいずれつける」。


彼女は、剣代の宿敵になるであろう。




麗しのブランイヤリングを巡る戦いが、ここにコングを鳴らした…。








第12ED『Sky chord~大人になる君へ~《辻詩音》』






次回予告

ナレーション:人には、例え仲間であっても言えないことがある…。

彼女もその一人である。

デュラン・バリモアは何を組織に隠しているのか…。

そして、デュランの前に、あの男と偶然遭遇し、火種が撒かれそうになる…!


剣代:次回、遊戯王5DXAL「デュランの秘密」


剣代:「少し、君と話しがしたい」
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