第32話:『光天使の光 奇跡の光』
斬撃がぶつかり合う。
何度も何度もぶつかり合って砂塵が舞う。
ケリロット:『中距離攻撃じゃ埒が明かないわね』
ケリロットが目の前にいる梨香を観察する。
ケリロット:『梨香は斬撃を放つとき、剣を上から下に振りおろして放ってくる。その他のパターンでは絶対にやって来ない』
ケリロットが色々と考えていると、梨香が再び斬撃を放つ。
梨香:「えい!」
光の斬撃がケリロット目掛けて飛んでくる。
ケリロット:『癖ね』
ケリロットは斬撃を簡単に躱した。
そして、梨香が斬撃を放つ態勢は彼女自身の癖だと判断した。
ケリロット:「行くわよ!」
ケリロットが剣を思いっきり振って、斬撃を放つ。
梨香:「私も負けられないのよ!」
梨香も思い切って剣を振り下げ、斬撃を放つ。
二つの斬撃はぶつかって、今までに多い量の砂塵が舞う。
お互いに、目の前の敵は見えない。
ケリロット:「もらったわ!」
梨香:「!」
梨香は上を見た。
砂塵が舞った中、ケリロットは上へと飛んでいたのだ。
剣を大きく振り上げる。
ケリロット:「終わりよ!梨香!」
梨香にケリロットの刃が襲いかかる。
第3OP『BRAVING!《KANAN》』
第32話:『光天使の光 奇跡の光』
梨香の癖を見抜き、それを利用して、梨香の隙を作り、攻撃を仕掛けてきたケリロット。
梨香:「えーと、このときは」
梨香は少し慌てるが剣の持ち方を変えて防御に出る。
梨香:「えい!」
逆手に持った剣を下から上へと振り上げる。
同時に、軽く斬撃が走り、その影響で、梨香の周りに砂塵が舞う。
ケリロットは、その中に突っ込んだ。
その間に、梨香はケリロットの攻撃を躱す。
ケリロット:「咄嗟の判断とは言え、やるわね」
梨香:「お兄ちゃんに色々仕込まれたのよ」
ケリロット:「いい兄を持っているわね。私にも、仲の良かった弟がいたわ」
梨香:「あ…」
ケリロット:「でも、もういないのよ。あなたがうらやましいわ。ホントに」
梨香:「レミ、私は…」
ケリロット:「戦いの最中よ!別に、あなたに恨みはないけど、切らなきゃいけない人なの。手加減なしよ!」
ケリロットが梨香に走って向かう。
梨香:『私に、レミの目を覚まさせることなんてできるの!』
2人の剣がぶつかる。
その頃、今回の司令へとなった小鳥は、鉄男たちと一緒にいた。
実は、小鳥は今、色々と不安を感じていた。
慎也の推薦とはいえ、司令となった小鳥。つまり、みんなをまとめなければいけない。
自分にそんなことができるのか。それが、ものすごく不安で仕方がなかった。
小鳥:『遊馬…』
小鳥は亡き恋人遊馬のことを思い出してしまう。
遊馬だったら、このときどうしていただろう。
いつもの口癖”かっとビング”で乗り越えていただろうか。
小鳥は遊馬のことを思い出すたびに、心を閉ざすことが多かった。
小鳥でも、わかっている。これは、自分の悪い癖だということに。
小鳥が、色々と考えていると、鉄男が声をかけてきた。
鉄男:「一人で抱え込むなよ、小鳥」
小鳥:「え?」
鉄男:「俺たちだっているんだ」
徳之助:「そうウラ。お願いごとは何でも聞き受け入れるウラ」
小鳥:「鉄男君、徳之助君、ありがとう」
小鳥は笑顔を取り戻した。
そうよ。遊馬がいなくても、鉄男君や徳之助君がいる。1人じゃない
小鳥は勇気を出して、この戦いの指揮を取ることを決断する。
その頃…
ロスト:「バリアは遊戯さんに任せるとして、俺は…」
ロストが道路に出る。
そこに、ファミリーの部下に遭遇してしまった。
ファミリーの部下A:「へっ、得物みいっけ!」
ファミリーの部下B:「俺の獲物だ!手出すな!」
ファミリーの部下C:「俺だ!」
ファミリーの部下数人が口げんかを開始した。
ロスト:『こいつら、絶対に弱いな』
ロストは、心の中で呟いた。
ロスト:「まとめて相手になってやるよ。来いよ」
人差し指でくいくいと挑発させる。
ファミリーの部下A:「てめ!調子に乗るなよ!」
部下全員がロストに襲いかかる。
1分後----------
ロスト:「元帥の爺さんの話では、確か司令は宝井のジジイだったな。SOA特務隊は、何してんだ?」
ロストは服についた汚れを軽く払って、この場を後にする。
そして、そこに倒れているのは、ロストに襲いかかってきたファミリーの部下たちだった。
全員、伸びていた。
ドルべは、広場を走っていた。
そこら中、人が倒れていた。
ドルべ:「大丈夫ですか?」
ドルべは酷いけがでうなされている男性を発見し、声を掛ける。
しかし、自力で立てる様子ではない。
そこに怪しい人影が…。
ドルべ:「立てますか?」
ドルべは息をしている人に呼びかける。
ドルべの後ろから怪しい人影が近づいてくる。
ゆっくりと、ドルべに気付かれないように。
手には、ナイフのような形をした武器を持っている。
ドルべは、必死に目の前にいる人に呼びかける。
そして、男はドルべの真後ろに来て、ナイフを持つ右手を振り上げる。
男は勝った!と確証した。
しかし、そのとき、ドルべが一瞬で後ろを振り向き、弓型の向きを男に向けて光の矢を放つ。
矢は、男の頬をかすめた。
男は一度後ろに下がる。
???:「勝てると思ったんだがな」
鼻ピアスをした茶髪の男が頬の傷から出た血を拭いて言う。
ドルべ:「気配を感じてな。つい、放ってしまった」
ドルべが手に持つ弓型の武器を構える。
ドルべ:「ファミリーのものか」
トリアンイト:「ファミリー幹部のトリアンイトだ。お前は、確か、桐潟慎也と共に王宮に来た、確かドルべといったか」
ドルべ:『ファミリー幹部か。まさか、いきなり、厄介な敵に合うとはな』
ドルべは心の中で呟く。
トリアンイト:『殺気は消していたつもりなんだがな。まさか、こんな簡単にバレるとは。こいつ、意外とできる方だな』
トリアンイトは、右手に持つナイフを振り回す。
攻撃の準備を整えているのだろう。
トリアンイト:「いい武器だな。形状と色からして、光属性と見る」
トリアンイトはドルべが持つ弓型の武器を見て、褒め言葉を口にする。よく見ると、鳥打と呼ばれる部分と、大腰と呼ばれる部分に刃物がついている。
ドルべ:「”ホーリー・ライトニング・カトラリーアロー”だ。光天使ソードのデュエルギアだ」
ドルべは自分のデュエルギアを紹介した。
トリアンイト:「俺のは”デビルゾア”の、ゾアカトラリーっていうナイフ形のデュエルギアだ。つまり、光の正反対の闇だ」
ドルべ:「デビルゾアは高レベルのレアモンスターだ。そのモンスターのデュエルギアの姿がナイフ?」
トリアンイト:「デュエルギアは、デュエリストの強い意志と想像で決まる。俺は、ナイフが扱いなれているから、こいつにしたのさ」
ナイフを、右手へ左手へ交互に投げる。
失敗すればけがをするぐらいだ。
トリアンイト:「お互い紹介は終わりだ。いざ、尋常に勝負!」
トリアンイトがナイフを持って、ドルべに近づく。
ドルべはホーリー・ライトニング・カトラリーアローから、光の矢を放つ。
しかし、トリアンイトはナイフで矢を弾く。
ドルべ:「くっ!」
ドルべは、連続で矢を放つ。
トリアンイト:「威力が弱いぞ!話にならんな!」
トリアンイトが全ての矢を弾く。
ドルべは、ナイフに刺されまいと急いで躱す。
しかし、トリアンイトは、躱したドルべの方を振り向かず、真っ直ぐ正面を見る。
それを見て、ドルべはおかしいと気付いた。
だが、その答えがすぐに分かった。
ナイフの先に、倒れた住民がいたからだ。
ドルべが交わしたことで、その人を守る盾はない。
ドルべ:『この男、見た目によらず!』
ドルべは急いで、矢を放つ。狙いは、トリアンイトの足元。
足元を狙われたトリアンイトは、飛び上がって躱す。
そして、一旦、後ろに下がる。
ドルべ:「正々堂々と勝負はできないのか…!」
トリアンイト:「そこに倒れているのが悪い」
ドルべ:「ぐ…貴様ぁ」
ドルべは少し怒りを覚える。
フフフと笑うトリアンイト。
そして、次、目に映ったのは、老婆だった。
量はそうでもないが、頭から血を流している。
トリアンイトはニヤッと笑う。
その笑いを見たドルべは、トリアンイトの目線を見る。
その先には老婆が。
ドルべ:「くそっ!」
ドルべは急いで、止めに出る。
トリアンイト:「遅いぞ!」
トリアンイトは手に持つナイフを老婆に向けて投げる。
ドルべ:「くっ!」
態勢を考えて、矢を放つのは無理だと判断したのか、咄嗟に手に持つデュエルギアを投げて、ナイフに当てる。
攻撃を止めたドルべ。一安心したかと思えば、いつの間にトリアンイトはドルべの真横に立っており、そのまま、ドルべの腹を蹴り飛ばす。
ドルべ:「ぐはっ!」
ドルべは立ち上がろうとするが、お腹が苦しく、今は咳き込むことしかできなかった。
その間に、トリアンイトはナイフとドルべのデュエルギア”ホーリー・ライトニング・カトラリーアロー”を手にする。
ドルべ:「私のデュエルギアを返せ!」
苦しみながらドルべがトリアンイトに叫ぶ。
トリアンイトはフッと笑って、さっきトリアンイトが狙った男性に近づく。
ドルべ:「何をするつもりだ…!」
ドルべは少し嫌な予感がした。
トリアンイト:「この男を殺すのは、俺じゃない。貴様だ」
トリアンイトがドルべのデュエルギアを振り上げる。
ドルべ:「やめろ!」
ドルべが必死に叫ぶ。
しかし、トリアンイトはホーリー・ライトニング・カトラリーアローの鳥打についている刃で、男性の身体を斬り裂いた。
ドルべは目を丸くする。
自分の武器が住民を斬ってしまった。
人殺しの道具として使われたのだ。
そして、さらに、その近くにいた男性にも矢を放ち、傷を負わせる。
ドルべ:「や、やめろ!」
トリアンイト:「やめてほしければ、自分の手で止めてみろ!デビルラッシュ!」
トリアンイトはデビルゾアのナイフ形のデュエルギアから黒い斬撃を放ち、その斬撃は、3つに分散し、ドルべの周りを襲う。
ドルべ:「ぐわあ!」
苦しむドルべ。
ドルべ:『私はここで…』
ドルべは意識を失いかけそうになるが、一旦立ち上がる。
トリアンイトは老婆の真横に来る。
トリアンイト:「投降しろ、ドルべ。でなければ、お前の弓で、この婆さんを殺す」
トリアンイトはホーリー・ライトニング・カトラリーアローの鳥打についている刃を老婆の首に近づける。
ドルべ:「くっ」
その場に止まるドルべ。
しかし、ダメージの所為で、その場に膝をつけてしまう。
トリアンイト:「フッ…」
トリアンイトの目線は、老婆に向かっている。
老婆を殺そうとしているのだ。
ドルべ:「!!」
立ち上がろうとするドルべ。
ダメージがひどく、うまく立ち上がれない。
ドルべの目には、トリアンイトがホーリー・ライトニング・カトラリーアローから矢を放とうとする姿が目に映る。
ドルべ:『私の武器は、人を傷つけるものではない…。だが、これでは…』
段々と視界が狭まるドルべ。
もう勝てないと思った。
だが、そのとき、ドルべのデッキケースが輝き出す。
そして、ドルべの意識は、光の世界へと吸い込まれ、目を開いた時には、さっきとは別の場所にいた。
周りに建物がない。あるのは、光の粒子だけだ。
ドルべ:「これは…」
何が起きたのか理解できないドルべ。
だが、いきなり、目の前が輝く。
そして、輝きの中から、光天使(ホーリー・ライトニング)モンスターが現れた。
”光天使ブックス”や”光天使ウィングス”、他にも数体の光天使が出てくる。
ドルべ:「私を怒りに来たのか。弱い私を…」
ドルべがマイナス思考の言葉を連発する。
すると、光天使たちの体が輝き出す。
その輝きは、ドルべをも巻き込んだ。
怒りの光。いや、これは、優しい光だ。
憎しみや怒りが全く感じられない。
光天使の光がドルべに力を貸しているのだ。
そして、ピカッとドルべのとある場所が輝きを放つ。
それは、右手の甲だった。
ドルべは自分の手の甲を見る。
ドルべ:「これは…!」
奇跡の光だ。奇跡の光がドルべに希望を与えたのだ。
その頃--------
ロスト:『この感じ。そうか、ドルべが…』
ロストはファミリーの部下を倒しながら、何かを思った。
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トリアンイト:「なんだ!?」
輝くドルべを見て、驚くトリアンイト。
更に、ドルべから奪い取ったホーリー・ライトニング・カトラリーアローも輝きを放つ。
そして、ホーリー・ライトニング・カトラリーアローは、勝手にトリアンイトの手元から離れる。
トリアンイト:「なんだ、これは!?」
驚くトリアンイト。
ホーリー・ライトニング・カトラリーアローはドルべの目の前に置かれる。
それを、右手で拾う。
輝きが収まると同時に、ドルべの右手の甲に紋章のようなものが浮かび上がる。
トリアンイト:「なんだ、それは?」
ドルべの右手の甲に浮かびあがる紋章を見て質問するトリアンイト。
ドルべ:「”エースのマーク”という奴だ」
手の甲に浮かびあがった紋章を見せびらかすようにして言う。
凌牙がNo.3、カイトがNo.4、ⅤがNo.5、アンナがNo.6、そして、ドルべがNo.7のエースのマークとして覚醒したのだ。
紋章の色は灰色で、マークの真ん中に”7”と書かれている。
ドルべ:『私にも、凌牙たちと同じマークが…。元々バリアンであった私をアストラル世界が選ぶとは…。』
ドルべがニコッと笑う。
トリアンイト:「こけおどしが!」
ナイフを構え、ドルべに接近する。
ドルべは、ホーリー・ライトニング・カトラリーアローを構え、右手で弓を引く。
さっきと違い光の矢の輝きが、激しい。
ドルべ:「ジャッジメント・バーン!」
エースのマークが光っている状態で、右手から矢を放つ。
そして、放たれた矢は、数メートル走ったところで、いくつかに分散した。
トリアンイト:「なに!?」
驚くトリアンイト。
一本の矢をナイフで弾いたが、残りの矢がトリアンイトの肩を、足を、腕を襲った。
トリアンイト:「ぐわあああああ!」
後ろに吹き飛ばされ、そのまま壁に激突したトリアンイトは、そのまま倒れ、気絶した。
ドルべVSトリアンイト
勝者、ドルべ
ドルべ:「ふぅ」
ドルべは、周りを見る。
自分の武器で傷ついた人が何名もいた。
すると、ホーリー・ライトニング・カトラリーアローが再び、輝く。
ドルべ:「彼らを救う力を、私に…!」
弓を掲げるドルべ。
すると、優しい光が放射され、怪我人を包むと、重症の傷が見る見ると治っていった。
といっても応急処置程度だが。
これも、ドルべが覚醒したエースのマークの力なのか。
ミザエル:「ドルべ!」
そこに、ミザエルとギラグがやってきた。
ドルべ:「ミザエル、ギラグ」
ドルべが二人の顔を見て名を呼ぶ。
ギラグ:「お前、その右手の!」
ギラグはドルべの右手の甲を指さす。
ドルべ:「ああ、どうやら私も選ばれたようだ」
自分の右手を見て言う。しばらくして、エースのマークは光の輝きを徐々に失い消えて行く。
ミザエル:「奴は?」
ドルべ:「ファミリーの幹部だ。何とか倒したが、エースのマークがなかったら、今頃どうなっていたか。ギラグ、ミザエル、悪いが、ここにいるみんなを、安全なところへ」
ギラグ:「お前は?」
ドルべ:「私は凌牙たちと合流する」
ミザエル:「エースのマークを持つもの同士、その方がいいようだな。わかった」
ギラグ:「気を付けろよ」
ドルべ:「わかっている」
ドルべは、この場を後にする。
幹部の一人を撃沈。
ドルべは、急いで他の者たちの増援に向かう。
第2ED『空とキミのメッセージ《choucho》』
次回予告
ナレーション:7番目としてエースのマークを覚醒させたドルべ。
ギラグたちに人命救助を任せ、他の者たちの増援に向かう。
その頃、闇川の前にも、幹部の一人が現れ、交戦することに!
半年間、修行した闇川の力は、相手に通用するのか!?
闇川:次回、遊戯王5DXAL「修行の成果 秘剣・カスミ斬り朧」
闇川:「これが、俺の秘剣奥義だ!」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
ドルべ:「私の使うデュエルギアは、”光天使ソード”のホーリー・ライトニング・カトラリーアローだ。アローの名の通り、弓タイプの武器だが、鳥打と大腰の部分に刃物が付いているので接近戦の戦闘も可能だ」