第18話:『襲撃!謎の海賊船来る!!』
海賊黄金時代
こう呼ばれていたのは、もう何百年も前になる。
宝を追い求めるために、海の上を航行する集団。
それが海賊だが、今はもう、そんな集団はいない……。
と、思いたいが、実は、皆が知らないところで海賊は、今も存在し、そして、宝を追い求めている。
金、宝石、戦うための武器を盗み、人々を苦しめている。
そして、この多元世紀、デュエルモンスターズが住み付いて居るこの世界にも、海賊は存在する。そう、デュエルモンスターズを利用して、仕事をする海賊が………
第2OP『Jungle P《5050》』
第18話:『襲撃!謎の海賊船来る!!』
ワックスポワロの死闘を終え、ネオコーポレーションシティに帰還するために海の上を航行する慎也たちが乗る船。ワックスポワロを出て、既に4時間。
ワックスポワロを出発したときは、まだ日は登っていなかったが、既に太陽は海面を照らしている。
少しの睡眠を終え、皆は、起床していた。
アキの部屋
アキは、歯を磨いていた。
起きたばかりだからなのか、髪がかなり乱れている。
歯を磨き終えたアキは顔を洗う。一緒に寝癖も直す。
すると、アキは鏡に映る自分を見つめる。
アキ:『デュエルモンスターズを利用して繰り広げられる戦い。それが、この世界では当たり前のようにある』
アキは自分の掌を見る。
アキ:『あたしも強くならなきゃ。遊星のように、みんなを守れる力になりたい』
アキはそう心に誓った。
しばらくして、アキは洗面所から出て、ソファーに座る。
そして、手にブラック・ローズ・ドラゴンのカードを出す。
アキ:「私の戦いか。正直、考えたことなかったわよね。もし、遊星がいたら、なんて…、って、もう、私、また遊星って。」
アキは、少し頬を赤くして笑う。
アキ:『人を忘れるなんて、簡単にはできないわね。それが、愛している人だったら、尚更…』
アキは、スマホを手に取る。
待受画面には、結婚する前、自分と遊星が付き合っていた頃に撮ったツーショットの写真だった。
海馬の部屋
モクバ:「兄様、入るよ」
弟のモクバが兄の部屋に入ってきた。
海馬は椅子には座って、何か作業していた。
モクバ:「兄様、何してるの?」
海馬:「デュエルディスクの調整だ。クリスタルクラウドネットワークが復旧したようだからな」
モクバ:「そういえば、ネットワークが一週間前から定期メンテナンスだったね」
海馬:「デュエルリンクスソリッドビジョンシステムはクリスタルクラウドネットワークがあってこそのシステム。カード自体もカードデータをネットワークによってディスクに転送され、そして、デュエル、そのものも脳内映像となって空間に可視化される。まさに、次世代のデュエル…だった」
モクバ:「兄様…」
海馬:「次元振動さえ、起きなければ、このシステムも、次世代のデュエルとして、発展していたものを、インダストリアルイリュージョン社と合併したことにより、俺たちの施設は全て、向こうが所有。クリスタルクラウドネットワークのことを知らないインダストリアルイリュージョン社が保管するようになってから、このシステムは、徐々に薄れ出してきた」
モクバ:「もう戻れないのかな。俺たちの会社」
モクバが、ボソッと言う。
海馬:「そんなことはない!」
海馬が立ち上がる。
海馬:「例え、海馬コーポレーションが無くなっても、俺たちはまだいる。まだ、再び、道を開くときが来る!!」
モクバ:「そうだね!兄様!!俺も、自分のデュエルディスク調整するよ!」
モクバも、ミッションウォッチから量子変換して格納していたデュエルディスクを手元に出す。
その形は、海馬の持つデュエルディスクの色違いだった。
モクバはテーブルにデュエルディスクと工具箱を置き、デュエルディスクの調整を開始した。
その姿を見て、海馬はフッと笑う。
皆が乗る船は、そのまま予定通りの航路を進んでいた。
しかし、数分ほど経つと、いつの間にか周りが霧で覆われていた。
ライトをつけないと前が全然見えないほどだ。
慎也:「不気味な霧だ」
コントロール室にいた慎也がボソッと言う。
その頃、霧の中で、キラキラと何かが光っていた。
しかも、それは動いている。
ゆっくりと少しずつ、前へ進んでいた。
これは、一体…
場所は戻って、フロンティアの皆が乗る船のコントロール室
哲平がレーダー探知機の画面を親指でトントン叩いていた。
哲平:「ダメだ。霧の所為か、何も反応しない」
葵:「変ね、普通の霧で、こんなことあるかしら」
慎也:「まずないだろ。おそらく、尋常の霧ではないだろ。とりあえず、みんなには外に出るなと…」
と、そう言いかけた、そのとき、いきなり船が揺れ出した。
葵:「きゃあ!」
葵は、そのまま慎也の胸板に飛び込んだ。
慎也:「大丈夫か?」
葵:「ええ、ごめんなさい」
恋人の胸板だからなのか、葵は少し頬を赤くしていた。
その頃、外にいた羽蛾と竜崎。
羽蛾:「くそっ!なんだよ!!?」
竜崎:「荒い運転やな!!」
文句を言う二人。
すると、二人の後ろでギラッと何かが光った。
そして、大きな影が二人の肉眼で確認できた。
一本の角が生えた骸骨マークだ。
羽蛾&竜崎:「「ぎゃああああああ!」」
船の揺れに驚くみんなが、部屋から出てきた。
城之内:「なんだ!?今の揺れは!」
城之内は、そのまま廊下を走る。
本田:「城之内!」
後ろから本田が走ってきた。
城之内:「本田!それに、ヴァロン!」
ヴァロン:「なんだ、今の揺れは!」
城之内:「わからねえ。とりあえず、外に出ようぜ」
そう言って、3人は外に出た。
すると、目に入ったのは、大きな船が、この船にぶつかっていたのだ。
それにただの船ではない。マークの入った旗。それに、船には火の球が数十個浮かんでいた。
本田:「お、おい、城之内、これって海賊船じゃねえか…!」
城之内:「あぁ、それにただの海賊船じゃねえ。幽霊船だ」
ヴァロン:「おいおい、まだいんのかよ、海賊って集団は」
3人が色々話していると。
羽蛾&竜崎:「「ぎゃあああああ!!!」」
城之内:「今の声は!!」
場所は変わって、トロンたちがいる廊下
トロン:「今の声は…」
Ⅳ:「確か、インセクター羽蛾ってやつと、ダイナソー竜崎ってやつ」
Ⅲ:「急ぎましょう!」
トロン、Ⅳ、Ⅲ、そして、Ⅴは声がした方へ走る。
その頃、大声を出した羽蛾と竜崎の前には、ボロいコートを身に纏い眼帯をつけ、帽子を被った男性が立っていた。
男性:「ん?」
羽蛾:「お、お前、何者だ!」
羽蛾が指を指して、男性に問う。
男性:「お前こそ、誰だよ?」
竜崎:「こっちの質問に応えんかい!なんや、その態度」
竜崎が立ち上がる。
男性:「お前らの顔、どこかで見たことあるな?確か、昆虫野郎と恐竜野郎だ」
男性が羽蛾を昆虫野郎、竜崎を恐竜野郎と呼んだ。
羽蛾:「誰が、昆虫野郎だ!!僕の名前は、インセクター羽蛾だ!!」
竜崎:「そうや!!ワイもダイナソー竜崎って名前があるんや!よう、覚えとき!!」
男性:「ああ、知ってるよ。昔、バトルシティに出て、すぐ敗北したちょー弱いデュエリストだってことぐらい」
この言葉で、二人の尾が切れた。
羽蛾:「こいつ、ただじゃ置かねえ」
竜崎:「気が合うな、ワイもや」
男性:「へえ、俺に挑むか」
男は腰にしまっていた剣を出す。
それを見て、羽蛾と竜崎が怯える。
男性:「やはり、雑魚だな。スカルブラッド号!!」
男性が大きな声で叫ぶ。
すると、海賊船の艦首にある骸骨の目が光る。
竜崎:「こ、この船、デュエルモンスターズじゃないか!!?」
竜崎が腰を抜かした。
男性:「船長命令だ!!この船に乗っている奴らを誘き出せ!!」
男性がそういうと、スカルブラット号が火の球を大量に出し、それを、フロンティアの船内部へ飛ばす。
舞:「な、なによ!これ!」
結衣:「これ、火の球!!?」
舞と結衣が火の球を見て驚く。
ジュンコ:「きゃあああ!」
天兵:「に、逃げろー!」
船内がかなり騒がしくなる。
海賊員:「ドム船長!俺たちの準備はできやしたで!!!」
海賊船からバンダナをつけた男性が、羽蛾たちの前にいる男性に向かって叫ぶ。
そう、この男こそが、この海賊船の船長だ。
ドム:「よおし、皆の者、宝探しの始まりだ!」
ドムが上に剣を挙げた瞬間、海賊船からゾロゾロ人が出てきた。
慎也:「なんだ!!?」
慎也が葵、哲平と共に外に出てきた。
バンダナをつけて、剣を持つ男たちが沢山、こちらに向かって走ってきた。
哲平:「か、海賊!?」
葵:「まさか、まだ海賊なんて集団がいるの!?」
海賊員:「しねえええ!」
海賊の一人が、慎也たちに剣を振り下ろす。
しかし、3人は、それを簡単に躱し、慎也が襲ってきた海賊の腹を殴り気絶させる。
羽蛾:「ぎゃあああ!」
竜崎:「た、助けてくれぇぇ!!!」
二人が見っともない声を上げる。
すると、二人の周りにいる海賊たちの頭に、すごろくが当たり、そのまま頭を押さえる。
御伽:「全く情けない、さあ、今の内に!」
すごろくを投げたのは、御伽だった。御伽は、右手に複数のすごろくを持っており、いつでも投げれる準備だ。
羽蛾と竜崎は、御伽が切り開いた道を進み、御伽の背後に隠れる。
すると、次は大人数で襲ってきた。
城之内:「このおお!」
城之内が手に持つ”炎の大剣”で海賊を蹴散らす。
本田:「くらええ!!コマンド・ランチャー!シュー!!」
本田は、自慢のモンスター、コマンダーのデュエルギア”コマンド・ランチャー”から弾を発射し、海賊船に当てる。
その攻撃で、海賊船の一部が破壊され、海賊員も数人、海へ落ちた。
ドム:「おのれ、このドム・レバー・ラムの船を破壊するものがどうなるか、今、教えてやる!!」
ドムが拳銃を出す。
フリントロック式というタイプの銃を本田の頭に標準を合わせる。
結衣:「本田のおじさん!後ろ!」
杏子と共に隠れていた結衣が、大声でしゃべる。
その声に、本田も初めて、自分の頭が狙われていると気付き、後ろを振り向こうとするが、今更、もう遅い。
ドムは、銃を発砲する。が、その直後に何者かが、ドムの持つ銃をレイピアのような武器で弾き飛ばした。
弾丸は照準がズレ、本田に当たることはなかった。
Ⅴ:「痛い目を見たくなければ、この船から去れ!!」
ドムの銃を弾き飛ばしたのは、アークライト家の長男、クリスことⅤだった。
Ⅴが手に持つ刺突用の剣レイピアでドムの銃を弾き飛ばしたのだ。
ドム:「ほお、面白い武器を持っているじゃないか。金になりそうだ。その剣、頂こう」
ドムも剣を構える。
Ⅴ:「奪えるものなら奪ってみろ。この”ディープ・スペース・クルーザー・ナイン”のデュエルギア、”スペース・レイピアザー”をな」
Ⅴが先に前に出て、ドムに攻撃を仕掛ける。
ドム:「その剣の形、16-17世紀頃のヨーロッパで使われていたレイピアだろ。刺突用の片手剣。つまり、突き刺すことしかできない!」
ドムは上から思い切って剣を振り下ろした。
Ⅴはそれを剣で受け止める。
Ⅴ:『重い…。これが経験の差か。しかし、勝てない相手ではない』
Ⅴは後ろに下がる。
そして、Ⅴはレイピアを前に出し、構える。
ドム:「ふん、来るか。だが、そんな構えでは、俺には勝てねえ!でりゃああ!」
ドムは前に出て、剣を振り下ろす。
しかし、隙を見て、Ⅴがレイピアを突き出す。
レイピアの先端は、そのままドムの腹に突き刺さる。
ドムの動きが止まる。
Ⅴは勝ったと思った。しかし、よく見ると、レイピアの先端はドムの腹を突き刺していない。
ドム:「ふっ、言ったろ?そんな構えでは、俺には勝てねえって」
ドムはⅤのレイピアの刀身を握る。刀身に刃はないから、そのまま強く握っても切れることはない。
そして、そのまま、レイピアの先端で自分の服を斬り破る。
切り破った服の後ろから鉄の板が出てきた。
そう、この鉄板が、Ⅴの攻撃を防いだのだ。
ドム:「未熟な奴だ」
ドムは、そう言い残すと、後ろに下がる。
すると、数人の女性の悲鳴が聞こえた。
静香:「きゃあああああ!」
静香が海賊員に抱え込まれ、海賊船に連れ去られた。
城之内:「静香!!」
静香:「兄さん!!」
二人が叫び合う中、静香を抱えた海賊員は、そのまま海賊船内に入った。
深影&セイコ:「「きゃあああ!」」
キャット:「離しなさいよ!!」
3人の女性も海賊員に捕まり、海賊船内に連れ去られた。
トメ:「セイコちゃん!!」
牛尾:「深影さん!!!」
等々力:「キャットちゃん!!」
仲間たちが連れ去られた女性たちの名前を呼ぶ。
ドム:「宝はないようだし、女でも売って、金にでもするか。野郎ども、引き上げるぞ!!!」
ドムも海賊船に乗り移る。
本田:「何!?」
御伽:「待て!!」
みんなも海賊船に移ろうとするが、海賊の隊員たちが、乗らせまいと銃を連射。みんなは、すぐに隠れた。
ドム:「行くぞ!スカルブラッド号!!じゃあな!クズども!良い船旅を楽しめ!はっはっは!!!」
海賊船が、遠ざかって行き、霧の中に隠れた。
万丈目:「くそっ!言いたい放題いいやがって!」
珠里:「それより、どうするの?セイコさんたちが!!」
城之内:「静香も連れていかれちまった!すぐに追って、奴らをぶん殴ってやる!」
本田:「ああ!」
二人の怒りは頂点に達しているようだ。
葵:「でも、簡単には探せないわ。この霧の所為でレーダー探知機がイカれているみたいだから」
慎也:「レーダー探知機なしで、あの海賊たちを見つけるのは、困難だぞ」
城之内:「それでもやってやる!静香が連れていかれたんだ!黙っちゃおけねえ!」
城之内が怒っている中、Ⅳは周りを見渡していた。
Ⅳ:「おい、アニキはどうした?」
Ⅳは兄のⅤがいないことに気付いて、周りを見渡していたのだ。
Ⅲ:「え?さっきまで、そこにいたはずだけど」
Ⅲの言う通り、さっきまで、そこにいた。それはⅣも認識していた。
トロン:「まさか、クリスの奴!」
トロンは船が消えた方向を見る。
その頃、海賊船の中では捕まえた女4人を囲って、海賊たちが宴を開いていた。
海賊A:「いや、宝はなかったが、いい物を拾ったぜ!」
海賊B:「ああ、このまま、闇社会に売りさばけば、何百万は手にできるぜ!」
海賊C:「その前に、こいつらと遊びてえ!」
海賊たちが、怯える女性たちに群がる。
静香、セイコ、深影、キャットも抵抗したい。だが、手はロープで拘束されてまともに動けない。静香とセイコは足の震えが止まらず、立つことすらできない。
すると、船長ドムが出てきた。
ドム:「そう慌てるな。航海は長い。遊べる時間は沢山ある」
ドムが、明らかに船長が座るような椅子に腰を掛ける。
深影:「私たちをどうする気?」
深影が強気で言葉を話す。
ドム:「ん?言ったろ、売るって。海賊ってのは、宝が全てよ。それに、今を生きる海賊たちは、女を生け捕りにして、そのまま闇社会へ売りさばき、金にもできる。売りさばかれた女はそのまま死ぬまで奴隷として生き、物扱いされるのさ」
ドムの言葉に、部下たちが笑う。
海賊たちは、感謝しろだの、ざまー見ろだの、言いたい放題いう。
セイコ:「そんな…。」
キャット:「一生、奴隷生活なんて、真っ平御免よ!」
静香:「私たちを解放してください!」
ドム:「それは無理だ。この船は既に、俺たちのアジトがある島に向かっている。もう引き返せない」
ドムは女性たちの周りを歩く。
ドム:「その前に」
ドムが深影の前でしゃがむ。
そして、深影のYシャツのボタンを外していく。
深影:「!!」
セイコ:「深影さん!」
ドム:「少し遊ばせてもらうぜ」
ドムが深影の二つ目のYシャツのボタンを外した。
谷間が既に見えている。
深影も怯える。
すると、そのとき、「ぎゃああああ!」と悲鳴と大きな物音がした。
ドム:「なんだ!」
ドムが声をした方を見ると、仲間の一人が階段の前で倒れていた。
そして、階段を一段ずつ下がって、こちらに近づく男がいた。
ドム:「貴様、さっきの」
ドムが言う。
そう、さっき剣を交えた男、Ⅴだった。
Ⅴは単身、この船に乗り込んでいたのだ。
キャット:「Ⅴ!」
Ⅴ:「さっきは油断したが、今度は負けん!」
海賊A:「貴様!」
海賊たちが剣を取り出そうとする。
しかし、ドムが止めた。
ドム:「待て。この船に一人で乗り込んできたんだ。手荒な真似はするな」
ドムがそういうと、ドムも少し前へ進む。
ドム:「また負けに来たのか?男女」
ドムがⅤに向かってそう呼ぶ。Ⅴは髪が長いし、美男性。そう呼ばれるのも無理はない。
Ⅴ:「私の名はⅤ。先ほどは、私の未熟さゆえ、負けたが、今度は負けん!デュエルで勝負だ!」
Ⅴがデュエルパッドを左腕につける。
ドム:「ほお、この俺にデュエルで勝負か」
海賊員:「船長」
ドム:「手は出すな。この男も、売りさばいて金にする」
ドムがテーブルの上に置いてあったデュエルディスクを腕につける。
ドムのデュエルディスクは海馬コーポレーションが最初に開発し、その後バトルシティ大会を開いた時のデュエルディスクだ。
ドムはデッキをセットし、デュエルディスクを展開する。
ドム:「お前たちは、女どもが逃げないように監視しろ」
ドムは、そう言って、Ⅴの前に立つ。
ドム:「知ってるか?海賊のデュエルのルールを」
Ⅴ:「何?」
ドム:「海賊ってのは、宝を欲しがる。それは、デュエルでも同じ。貴様が負けたら、貴様の持つレアカードを全て頂き、女共と一緒に闇社会へ売りさばく」
Ⅴ:「それが勝ったときの条件か?ならば、私からもつけさせてもらおう。私が勝ったら、人質を解放し、貴様ら海賊は解散する。それが私の条件だ」
ドム:「いいだろう。掛かってこい!」
ドムがデッキからカードを5枚引く。
Ⅴ:「行くぞ!」
Ⅴも同様に手札になる5枚のカードを引く。
「「デュエル!!!」」
両者
LP4000
1ターン
Ⅴ:「先行はもらったぞ。私のターン、ドロー!!」
Ⅴがカードを引き手札が6枚になる。
Ⅴ:「私は”惑星探査車(プラネット・パスファインダー)”を攻撃表示で召喚!!」
Ⅴの場に赤いタイヤが6つ付いている探査機が召喚された。
惑星探査車(プラネット・パスファインダー)レベル4 攻撃力1000
Ⅴ:「更に、魔法カード”重力宝殺”を発動!自分フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを表側守備表示に変更し、変更したモンスターの数×2枚デッキからドローする!」
惑星探査車(プラネット・パスファインダー)
攻撃力1000→守備力1000
Ⅴのモンスター1体が守備表示になったことで、デッキからカードを2枚引き、そのカードを確認後、それを手札に加え、違うカード2枚を右手に持つ。
Ⅴ:「2枚カードをセット!ターンエンド」
Ⅴがカードを2枚セットし、ターンを終了した。
2ターン
両者LP4000
ドム:「俺のターンだ」
ドムがカードを引く。
ドム:「”海の支配者・海賊兵”召喚!」
ドムの場に、頭にバンダナをつけ、剣を握る見るからに海賊の姿をしたモンスターが現れた。
海の支配者・海賊兵
レベル4 攻撃力1200
ドム:「このカードが召喚に成功したとき、手札を1枚墓地へ捨てることで、デッキから同名カードを2枚手札に加えることができる」
ドムは手札を1枚墓地へ捨て、デッキから海の支配者・海賊兵を2枚手札に加えた。
ドム:「時間がないんでな。攻撃させてもらう!海の支配者・海賊兵でプラネット・パスファインダーに攻撃!」
海賊兵が剣を持って、プラネット・パスファインダーに迫る。
Ⅴ:「トラップ発動!”攻撃の無力化”!相手モンスターの攻撃を無効にし、このターンのバトルフェイズを終了する!」
海賊兵の攻撃が封じられ、そのまま何もせず、後ろに下がった。
ドム:「古いカードを使う。カードを一枚セットし、ターンエンド」
ドムのターンが終了した。
Ⅴ:「例え古くても、存在する以上、使えるということだ」
Ⅴがデッキからカードを引いた。
3ターン
Ⅴの手札が5枚になる。
Ⅴ:「私は2体目の惑星探査車(プラネット・パスファインダー)を召喚!」
惑星探査車(プラネット・パスファインダー)
レベル4 攻撃力1000
Ⅴ:「そして、私は、この2体の惑星探査車でオーバーレイネットワークを構築!!」
フィールドに大きな次元の渦が現れ、2つの魂が吸い込まれる。
Ⅴ:「見よ。エクシーズ召喚!!木星を土星を、そして、天王星、海王星、冥王星を支配せよ!!ランク4!!”宇宙航海探査機ボイジャー”!!」
Ⅴのフィールドに大きな無人宇宙探査機が現れた。
宇宙航海探査機ボイジャー
ランク4 攻撃力2000
ドム:「ほお、エクシーズ召喚か」
Ⅴ:「宇宙航海探査機ボイジャーの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイネットワークを一つ取り除き、相手モンスター1体を破壊。破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
宇宙航海探査機ボイジャーが一つのオーバーレイユニットを身体に取り込み、その後、レーザーのようなものを発射して、海の支配者・海賊兵を破壊した。
Ⅴ:「海の支配者・海賊兵を破壊!これにより、お前のライフを1200ポイント奪う!」
ドム:「くっ」
ドム LP4000→2800
ドム:「だが、この瞬間、海の支配者・海賊兵の効果発動!相手のカード効果によって破壊されたとき、手札にある同名カードを可能な限り特殊召喚できる!」
ドムの場に、破壊した海賊兵と同じモンスターがフィールドに2体も現れた。
海の支配者・海賊兵 ×2
守備力0
Ⅴ:「モンスターを残したか。だが、攻撃はまだ残っている!宇宙航海探査機ボイジャーで、海の支配者・海賊兵を攻撃!」
宇宙航海探査機ボイジャーが、2体のうち1体の海賊兵を倒した。
Ⅴ:「私はこれで、ターンエンド」
Ⅴのターンが終了した。
静香:「やった。モンスターを破壊したわ」
キャット:「でも、油断はできないニャ」
静香:「え?」
キャット:「ドムは、モンスターの効果を使って、モンスターをフィールドに呼び寄せた。内、一体は破壊できたけど」
深影:「まだ1体。次のターン、確実に…」
Ⅴ:『強力モンスターが来る!』
Ⅴが警戒する。
4ターン
ドム:「俺のターン!!」
ドムは引いたカードを確認する。
ドム:「お前、本物の黄金を見たことがあるか?」
Ⅴ:「?」
ドム:「俺は何度も見たことがある。いつも、それを見ると、生きていてよかったと思うときが沢山あった。俺の夢は、黄金の地形を歩くことが夢だ」
ドムのデュエルディスクのフィールド魔法ゾーンを入れる場所が起動した。
ドム:「今、その地形が、ここに登場する。フィールド魔法”黄金の砂浜”発動!!」
ドムがフィールド魔法を発動。辺りが金ぴかに光る砂浜になった。
セイコ:「眩しい!」
キャット:「変な趣味!」
女性たちが眩しくて目を閉じる。
ドム:「このカードは、1ターンに1度、デッキから”海賊船長”と名の付いたモンスターを1枚手札に加えることができる!」
ドムがデッキからカードを1枚サーチした。
ドム:「海の支配者・海賊兵をリリース!”海賊船長-バーソロミュー・ロバーツ”アドバンス召喚!!」
ドムの場に、海賊帽子を被り、剣と銃を持ったモンスターが登場した。
海賊船長-バーソロミュー・ロバーツ
レベル6 攻撃力2200
Ⅴ:「攻撃力2200…」
ドム:「バーソロミュー・ロバーツ。大航海時代、最大にして最後の海賊とも言われた男だ」
Ⅴ:「海賊をモチーフにしたデッキ構成か」
ドム:「フィールド魔法”黄金の砂浜”の効果!フィールド上に存在する海賊船長と名の付いたモンスターの攻撃力を400ポイントアップ!」
海賊船長-バーソロミュー・ロバーツ
攻撃力2200→2600
Ⅴ:「くっ」
ドム:「バーソロミュー・ロバーツ!そのクズ探査機を破壊しろ!」
海賊船長-バーソロミュー・ロバーツが宇宙航海探査機ボイジャーに攻撃を仕掛ける。
Ⅴ:「宇宙航海探査機ボイジャーの効果発動!オーバーレイネットワークを一つ取り除き、戦闘破壊を無効する!!」
ボイジャーはオーバーレイユニットをその身に取り込み、見えないオーラを纏う。
ドム:「だが、ダメージは受けてもらうぞ!」
Ⅴ:「くっ!」
Ⅴ
LP4000→3400
ドム:「まだ終わりじゃないぞ!海賊船長-バーソロミュー・ロバーツの効果!戦闘でモンスターを破壊できなかったとき、再度同じモンスターに攻撃することができる!」
バーソロミュー・ロバーツが再び攻撃態勢に入る。
深影:「そんな!同じモンスターに攻撃できるなんて!」
ドム:「バーソロミュー・ロバーツ!再び、ボイジャーに攻撃しろ!!」
海賊船長-バーソロミュー・ロバーツが宇宙航海探査機ボイジャーを破壊した。
Ⅴ:「ぐわっ!」
Ⅴ
LP3400→2800
ドム:「カード1枚セットし、ターンエンドだ」
ドムのターンが終了した。
Ⅴ:『こいつ、宝目当ての悪党だと思っていたが、デュエルの腕はあるようだな』
Ⅴは本音を心の中で呟く。
ドムは不気味な笑い声を出す。
第2ED『空とキミのメッセージ《choucho》』
次回予告
ナレーション:人質となった静香たちを助けるためにドムと勝負をするⅤ。
しかし、ドムは歴史に名を残した海賊の船長を次々と召喚し、Ⅴに襲いかかる。
押され続けるもⅤは諦めず、最後まで勝負を諦めることはなかった。
その負けないという思いが、Ⅴの本当の力を呼び覚ました。
Ⅴ:次回、遊戯王5DXAL「Ⅴ覚醒!アース・エージェント!」
Ⅴ:「行くぞ!ランクアップエクシーズチェンジ!!!」