第17話:『緊迫!ロストVSバギー』
バギー:「これが、水流のクザンの力か。思ったほどじゃねえな」
バギーは思い切って、クザンの首を絞める。
クザン:「くっ」
バギー:「このまま、絞殺しても面白くねえな。俺の風で八つ裂きにしてやる」
バギーが空いている左手に竜巻を作る。さっきのとは少し大きめの竜巻だ。
部下:「隊長!」
部下たちは叫ぶしかできなかった。
バギー:「死ね」
バギーは掌に作った竜巻を、クザンにぶつけようとする。
クザンは目を閉じる。
バギーはニカッと笑う。
???:「そこまでだ」
ギリギリのところでバギーの手が止まる。
部下たちも、「えっ」という感じで沈黙する。
???:「俺の目の前で人殺しはよしてくれよ」
バギーの後ろに立つ男性。
サングラスをかけており、マフラーをつけていた。
そして、クザンの部下たちは、その男の腕についていたバンクルを見る。そのバンクルには模様が刻まれ、漢字で”四”の文字が書かれていた。
部下:「あ、あれは!」
部下:「まさか!」
バギーもそのバンクルを見て、確信した。
そして、クザンの首を絞めている右手をゆっくり離す。
クザン:「はぁ、はぁ」
息が切れるクザン。
???:「もし続けるとでも言ってみろ。そのときは、容赦しないぜ」
太陽の光の影響で、男のサングラスがキラッと光る。
第2OP『Jungle P《5050》』
第17話:『緊迫!ロストVSバギー』
バギーの背後からいきなり声をかけてきた謎の男。
サングラスをつけており、素顔は見えない。
男は、右手をズボンのポケットに入れている。
その頃、船に乗って、ネオコーポレーションシティに向かう慎也が、ベットの上に寝そべりながら、誰かにメールを送っていた。
隣には、恋人の葵が寝ている。
慎也:「あいつ、悲しむだろうな」
慎也は近くのテーブルに端末を置く。
そして、再び、ワックスポワロの死闘
突如、現れた謎の男のズボンのポケットから、ブーブーと音がした。携帯電話のバイブの音だ。
キラッと一瞬光る、男が身につけているバンクル。
それを見た瞬間、この男が誰なのか、検討がついた。
部下A:「あ、あれは、フロンティアの最高戦力”四大神王者”のナンバー4のロスト!!?」
部下B:「孤独の法を枷られ、姿を消していた男が、なぜ、ここに!!?」
クザンの部下たちが驚く。
無理もない、今、目の前にいるのは、この世界のバランスを保つためにある戦力の一つ、四大神王者の一人、ロストなのだから。
今まで、どこにいたかは、誰も知らない。
クザンは、右目のみをチラッと開ける。
クザン:「てめえが、どうして」
バギーの右手が自分の首を絞めている所為であまり声が出ないクザン。言葉も一言しかしゃべれない。
バギーは目線のみをロストに向けている。
バギー:「なぜ、フロンティアの男が、この男を助ける?敵同士だろう」
バギーが問う。
ロストは、しばらく何も言わなかったが、いきなり口を開いた。
ロスト:「さあな、敵同士だろうが、殺そうとするなら、容赦はしないぜ」
ロストは少しにやけて言う。
バギー:「そうか、そうだったな。情報では、四大神王者は気まぐれがよくあるんだったな」
バギーが左手に小さい竜巻を作る。
ロスト:「フッ…」
バギーが笑った瞬間、バギーの左手が、クザンの顔に迫る。
ドーン…
その瞬間、ロストからとてつもない威圧が発せられ、バギーの左手が止まる。
更に、周りにいたクザンの部下たちも、数人、地面に膝をついた。
部下D:「なんだ…。今、一瞬、意識が…」
部下E:「飛びそうになったぞ…」
部下F:「これが、四大神王者の殺気ってやつかよ。レベルが違い過ぎるぞ」
ロストの威圧に驚く、皆の者。クザンもその殺気に度肝抜かれた。
バギーも少しは驚いているようだ。
手は止まっている。
しかし、口がにやけている。
バギーは立ち上がり、ロストが立っている方に振り向く。
そして、ゆっくりと前へ歩く。
右手に竜巻を作るバギー。
そのまま、ゆっくりと歩く。
ロストは戦闘の準備をしない。
二人の距離が縮まる。
しかし、バギーは、ロストの左腕ギリギリのところを横切った。
バギー:「お前を倒すのは、今度だ。四大神王者ロスト」
その言葉に、何も言葉を返さないロスト。
バギー:「しかし、やっぱり気になるな」
バギーはしばらく歩いて、ロストと少し距離を取ったところで、ロストの方に振り向いた。
バギー:「貴様ら、四大神王者ってのは何者らなんだ…?」
バギーは少し強く言って、ロストに問う。
ロスト:「それは言えねえな。この世界のほとんどの人々の管轄外だぜ、それは」
バギー:「あくまでしらを切るつもりか?世界の謎を知り、世界を救う手立てを知っている。その他諸々、いろんなことを知っているお前らが、なぜ、大きく動こうとしない?」
ロスト:「……さあな」
ロストはその一言しか言わなかった。
バギーは、そのまま、振り返り歩き出す。
その先には、ヘリが止まっていた。
バギーが乗ってきたヘリだ。
バギーは後部座席に座る。
バギー:「引き上げるぞ、ラットリー」
パイロットに向かって名前を呼ぶバギー。
ラットリー:「しかし、若、目的は!?」
バギー:「ビルがああなっちまった以上、もう何も出やしねえさ」
そういって、ヘリは離陸し、そのまま島を後にした。
息が荒れているクザン。
それを見て、ロストが声をかける。
ロスト:「おーい、あんたら、早く手当てしないと、この人、死んじまうぞ」
ロストが大きな声で部下に声をかけて、クザンの部下たちが、クザンのところに駆け寄る。
部下A:「急いで、応急処置の準備だ!急げ!」
クザンの部下たちが行動する。
その間に、さっきポケットでバイブがなった端末の受信履歴を見る。
そこには、慎也と書かれており、メールが一通、送られてきていた。
ロストは、そのメールを読む。
ロスト:「そうか…。ライト、お前、やっぱり。しかも、ここで」
ロストは最後までメールを読む。
最後の文章には、観月小鳥や九十九一馬さんがフロンティアに加入したと書かれていた。
加入したメンバーは資料と共に追って連絡すると書かれていた。
しばらくして、クザンの応急処置が終わった。
寝そべって空を見ている。
その隣には、あの四大神王者ロストが胡坐をかいて座っていた。
クザン:「処置は…済んだか?」
仰向けに寝るクザンが自分のことを手当てしている部下たちに聞く。
部下:「はい、応急処置ですか。先ほど、本部から連絡もありました。我々はすぐに、出発します」
クザン:「そうか、なら、しばらく、こいつと二人にしてくれ」
部下:「え?」
クザン:「こいつと話がしたい」
クザンが言うこいつとは、隣に座る四大神王者ロストのことだった。
部下たちは、二人から距離を取る。
クザンは、部下たちが遠ざかっているのを確認し、口を開く。
クザン:「なぜ、助けた?」
ロスト:「あぁ?まあ、気まぐれってやつだ」
クザン:「俺を助けたところで、お前ら四大神王者には何の得もないだろ?」
ロスト:「同じことを言わせるな。気まぐれだって」
ロストが笑って言う。
そして、数秒、沈黙する。
クザン:「お前が来てなかったら、俺は死んでいた」
ロスト:「ふっ、だろうな」
クザン:「なぜ、ここに?」
ロスト:「通りかかっただけだ。目的があって、来たわけじゃない」
そういうと、ロストはポケットからスマホを出す。
そして、先ほど慎也から受信したメールを開く。
ロスト:「さっきまではな」
クザン:「?…。そういえば、フロンティアの連中が、ここに来てたぞ。お前の力があれば、まだ追いつけるんじゃないのか?」
ロスト:「冗談はよしてくれ。俺は、孤独の法をかぶせられている身だぜ。会えるかよ」
クザン:「そうか…。孤独ってのは辛いだろ?」
ロスト:「そうでもないぜ」
クザン:「?」
ロスト:「孤立して動くから、見えてくるものもある」
クザン:「どういうことだ?」
クザンがロストに問う。
再び、沈黙が走る。
ロスト:「あのバギー・グ・テイタラから目は離すな。近頃、国家政府も、あの男が治めている”ダイシャラス王国”を警戒している」
クザン:「何?」
ロスト:「奴は、表向きは、”ダイシャラス王国”の第2王子なんて名乗っているが、裏向きは、闇は繋がっている。どんな闇かを調査するために、既に国家政府の関係者数人が王国に乗り込んでいるらしいが、入った途端連絡が取れていないらしい」
クザン:「貴様…、なぜ国家政府の行動を知っている?国家政府の行動を知ることができるなんて。そう簡単にはできないぞ」
ロスト:「おいおい、重要なのはそこじゃねえだろ。いいか、サイファーがどう行動するかは、上の判断次第だが、奴が本格的に動いたら、世界に闇が広がるぞ」
クザン:「!!」
その言葉にクザンが少し驚く。
ロスト:「忠告はした。俺は、もう行く」
ロストは立ち上がり、崩壊したビルがある方へ向かう。
ロスト:「あ、そうだ。俺に会ったことは、内緒にしてくれ。少しややこしそうになるからな」
そう言い残し、ロストはそのまま歩き続ける。
クザンはロストの後ろ姿を見て、疲れたのか、そのまま目を閉じる。
しばらくして、ロストは崩壊したビルの近くにいた。崩壊したビルの瓦礫の中央には、神秘の石版が立っていた。
ロスト:『ライト、お前の意志は俺が引き継いでやる』
ロストがサングラスを取る。
ロスト:『四大神王者のロストしてではなく、お前の友として!!』
男は誓った。ここに眠るライトの意志を引き継ぐ誓いを…。
さっきまでシャツの裏に隠れていたのか、男の首に罹っているペンダントがキラッと光る。
その形は、まるで鍵のような形をしており、金色に輝いていた。
太陽が、完全に昇り、辺りを照らす。
そして、男は、Tシャツの裏に隠していたペンダントを表に出し、そのまま後ろを振り向いて、歩き出す。
日本
ネオコーポレーションシティにある国会堂。
ここには、日本のお偉いさんが集う場所であり、住処にする人もいる。
そして、今、ここの大統領室に一人の男が座っていた。
日本を納めている人物。多元世紀になって、13番目の日本の大統領になった、明智誠一大統領だ。
大統領は、ペンを持って、何か書類に記入しているようだ。
テレビもついている。
アナウンサー:『再び、”アルセーヌの一味”が現れ、ICPOは、彼らの行方を追っています。彼らの今度の目的は…』
ピッ。
大統領はテレビを消した。
すると、テーブルの上にある電話が鳴る。
電話からホログラムが出現し、そこには、フロントと書かれていた。
大統領は、電話のボタンを押す。
明智:「何だ?」
受付女性:「大統領、お客様がお見えになっています」
明智:「今日は面会の予定はないはずだが」
受付女性:「はぁ、それが、急な予見だとかで」
受付の女性が気を聞かせてくれたのか、大統領に来客人の顔を監視カメラを通じて見せる。
明智:「こいつらは…」
カメラに映っていたのは、1人の男性と1人の女性だった。
明智:「よし、通せ。そのまま、大統領室まで来てくれ」
大統領はそういって、再びペンを動かす。
受付にいた女性は、大統領の言う通りに、客人たちをエレベーターに乗せ、大統領室のある部屋の階まで来た。
そのまま、二人を引き連れ、大統領室の前まで来た。
受付女性:「大統領、お客様をお連れしました」
女性は礼儀正しく、ノックをし、綺麗な言葉使いで大統領に話しかける。
明智:「入りたまえ」
ドア越しから大統領の声が聞こえ、女性は二人を引き連れ、部屋に入る。
明智:「君は下がって結構だ」
明智がそう言ったので、女性は一礼をして部屋を出た。
今、大統領の部屋には、明智と来客の男性と女性だけだった。
男性は、黒いスーツを着用し、銀髪の髪の毛が綺麗に輝く。
女性の方は、黒いスカートのスーツを着用し、さらさらな金髪のロングヘアで、チャーミングな目をしている。
明智:「来るなら来るで、連絡を入れてほしいものだ。いつも言っているだろ」
明智が少し笑って言う。
男性:「それは失礼した。だが、こちらもいつも言っているはずだ。我々の行動がばれては困ると」
明智:「だから、連絡しないと?自分勝手過ぎるな、君たちの主人は」
男性:「その言葉、我々の”マスター”にお伝えしておこう」
明智:「そういえば、フロンティアの元帥から先ほど連絡があった。何でも、フロンティアに新入りが大人数入ったらしい」
そういって、大統領は、ホログラムの画面を出す。
そこには、男性も知る者たちの写真が写っていた。
海馬瀬人、城之内克也、武藤杏子…。男性もそうだが、女性も、その者たちのことを知っていた。
明智:「そして、最初の任務で、敵さんから、四大神王者のリーダーが武藤遊戯だということを知られたそうだ。これは、そちらにとって不都合ではないのか?」
明智が聞く。
男性:「いずれはバレることです」
明智:「ん?至って冷静じゃないか」
男性:「冷静さを無くしては、こうやって、外に出て行動はしません」
明智:「ふっ、面白いな、君たちは。それで、今日は何の要件だ?まさか、私の顔を見に来ただけではあるまい」
男性:「我々の”マスター”から伝言を預かってきた」
男性は大統領の手紙を渡す。
大統領は封を開けて、中身の手紙を読む。
手紙は全部で3枚ある。大統領は、その手紙を全て読む。
明智:「隠れているのにも関わらず。これほどの仕事をするとは、大した者たちだ」
男性:「それで、応えは?」
男性が、そう聞くと、大統領は立ち上がり、窓から外を見る。
明智:「安心しろ、私は、君たちを警察やICPOに売るつもりはない」
男性:「約束は守る、そうおっしゃっているということでよろしいですか?」
明智:「ああ」
男性:「では、マスターにお伝えしておきます。私たちは、これで」
男性が下がろうとしたとき、明智が声をかけてきた。
明智:「君たちの主人に伝えたまえ。決して、無理はするなと」
明智は外を見ながら言う。
男性:「お伝えしましょう」
そういって、男性と付き添いの女性に外に出る。
男性と女性は一緒にエレベーターに乗って、上の階へ進んでいた。
女性:「あの人を信じて大丈夫でしょうか」
ここへきて、初めて女性が口を開いた。
男性:「さあな。少なくともマスターたちは、今は信用できると言っていた」
そして、二人はエレベーターを降り、次は階段で屋上へと向かう。
女性:「それにしても、驚いたわ。まさか、杏子たちがフロンティアに入っていたなんて」
男性:「ああ、新入りと言っていたが、加入してまだ、そう日はたっていないだろう」
女性:「マスター、どんな顔するだろう…」
男性:「心配するな」
男性はその一言だけを言う。
女性:「でも、お師匠様…」
男性:「マスターも、誇り高きデュエリストだ。落ち着いた行動を取ってくれる」
そして、二人は屋上へ着いた。
男性:「行くぞ。マスターにご報告だ」
男性は右手を挙げると、そこに杖が出てきた。
そして、男性の身体が輝き、姿が変わる。
その姿は、魔術師。最初は薄橙色の肌で髪の毛と衣装が紫色だったが、一瞬で真っ黒な衣装に銀髪の髪の毛になった。
そして、女性も杖を出し、その手に掴んだ瞬間、衣装が変化。
コスプレのような派手な魔法使いの衣装を身につけ、短いスカートを履く女性魔法使い。
そう、男性の方が、最上級魔法使い”ブラック・マジシャン”。女性の方が、その弟子、”ブラック・マジシャン・ガール”だ。
二人のマスターは、あの初代キング・オブ・デュエリスト、武藤遊戯である。
ブラックマジシャンは武藤遊戯のエースモンスターであり、武藤遊戯デッキの象徴ともいえるモンスターだ。
そして、二人は、飛び去った。向かうは、遊戯がいる場所だ。
飛び去っていく姿を大統領が見ていた。
明智:「本当、訳の分からん連中だ。世界を救うといいながら、泥棒やら名探偵やら訳のわからんことをして」
そういって、大統領は席に座る。
そして、机の上に置いてあるコップを手に取り、その中にあるコーヒーを一口もらう。
国会堂は今日も忙しい日々が続くのであった。
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その頃、ワックスポワロを後にした、四大神王者の一人”ロスト”も、一人で、海の上を筏で放浪していた。
ナレーション:「ワックスポワロの死闘、これは、彼ら新入りの最初の戦いであり、ただの始まりの戦いに過ぎなかった。そして、ロストがクザンに言い残した言葉は、のちの戦いに繋がることになる…。」
第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』
次回予告
ナレーション:ワックスポワロの死闘を終え、ネオコーポレーションシティに帰還しようとした途中、フロンティアのみんなが乗る船の前に、デュエルモンスターズ、”海賊船スカルブラッド号”が現れる。
更に、船の中から、海賊の衣装を身に纏う人々が現れ、みんなを襲う。
敵の大将を倒すため、Ⅴが立ち上がる!!
Ⅴ:次回、遊戯王5DXAL「襲撃!謎の海賊船来る!!」
Ⅴ:「痛い目を見たくなければ、この船から去れ!!」
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
クザン:「俺が所属する”サイファー”は、フロンティアに並ぶ大組織の一つで、その人数は、大組織の中で一番多く、俺がリーダーを務めている”αG8隊”のような個性豊かな部隊が多く存在する。本部は、東アメリカ大陸のオレガンシティにあり、自然広がる草原や池がある場所に立っているんだ」