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第9話:『轟け!ブルーアイズソード!』








フロンティアのメンバーが乗っていた船の中




その中で、あの二人が、掃除をしていた。



羽蛾:「くっそ、いつまで、掃除をしなくちゃいけないんだ!」

竜崎:「ほんまやで!」

羽蛾:「大体、何でこうなったんだ!」

竜崎:「そりゃあ、お前の所為やろ!」

羽蛾:「何だと!」

竜崎:「お前が、ジャック・アトラスっていう男のレッド・デーモンズ・ドラゴンを盗もうとしたからや!」





それは、この船に乗って、街を出てすぐのことだった。


休憩室に来た羽蛾はジュースを買おうと自動販売機を探しにきた。

そこにたまたま、ジャックが椅子の上に座って寝ていた。

目の前のテーブルには、缶コーヒーがある。

そして、もう一つ、ジャックのデッキらしきものがある。


羽蛾は静かに、デッキの一番上のカードを見た。

そこには、レッド・デーモンズ・ドラゴンのカードがあった。


ジャックは、この世界でも、あるリーグのトップでもある。


羽蛾は、ジャックのことも知っているし、レッド・デーモン・ドラゴンのことも知っている。


このカードは、いい値段するんだろうなと、羽蛾の目はキラキラしている。


羽蛾:「うししし、シンクロモンスターなんて、僕は使わないけど、レアカードには目がないんだよね、僕は」
羽蛾が、レッド・デーモンズ・ドラゴンのカードに触れようとした、その時、誰かが、羽蛾の腕を掴む。


羽蛾:「ひょ!?」
羽蛾は、恐る恐る目線を変える。

ジャックが鋭い目で、こちらを見ている。

ジャック:「何をしている?」

羽蛾:「こ、これはこれは、リーグ一位のキング、ジャック様。いやー、こんなところで会えるなんて奇遇ですね~」

ジャック:「俺の質問に応えろ。何をしている?インセクター羽蛾」

羽蛾:「それは、その~」
羽蛾の目から涙が出てきている。

ジャックは、羽蛾を睨み続ける。








羽蛾:「くそっ、災難な目にあったぜ」

竜崎:「あのジャック・アトラスに手を出すとは、お前も馬鹿だな」

羽蛾:「くっ、そういう、お前だって、あのトップのプロデュエリスト、エド・フェニックスのカードを盗もうとしていたじゃないか!」



竜崎も羽蛾と同じ時間帯に、エドのカードを盗もうとしていたが、失敗に終わっている。

その時、竜崎はエドに色々と言われている。


エド:「これはこれは、いい歳にもなって、他人のレアカードを盗むなんて、大人げないですね。がっかりですよ、竜崎先輩」
エドは竜崎を見下すかのように言う。


竜崎:「うっ」

羽蛾:「お前も人のこと言えないだろ!」

竜崎:「お前もな!だから、ワイらは、あの慎也っていう男に、掃除しろって…!」
竜崎から出た慎也の名前。二人は、ついさっきの記憶が蘇る。





慎也:「他人のカードを盗むとは、デュエリスト失格ですね。インセクター羽蛾にダイナソー竜崎。あなた方には、人間性からやり直してもらう必要があるようだ」
そう言って、二人は慎也から、掃除をやれと命令を受けた。


二人はため息をつく。


羽蛾:「あの、慎也ってやつの言うことには絶対聞かなきゃいけないのか」

竜崎:「あいつの下にいる間、こき使われるんやろな」
二人は慎也の文句を言う。





その頃、



慎也:「ハックション!」
慎也は走りながらくしゃみをする。


慎也:「んー、少し冷えてきたか?」
慎也は、そのまま走り続ける。













第1OP『衝動《B'z》』












第9話:『轟け!ブルーアイズソード!』











哲平:「お前たちは怪我が酷い。このまま待機していろ」
哲平は部下たちをそのまま残して、ビルの中に入る。


中には既に、杏子やアキたちがいた。




ヴァロン:「あいつらを残して大丈夫なのか?」

アメルダ:「ライトがやられてしまったんだ。味方は大いに越したことはない」
二人は腕を組みながら言う。


哲平:「怪我が酷い。走るのもきついだろ。それに...」
哲平が拳を握る。


静香:「...哲平さん」

本田:「お前、ライトのこと」
先ほども通信であった。

フロンティアの仲間であった、ライトが死んだ。

立ち直っているとはいえ、やはり、心は痛い。


ライト:「もう、犠牲者を出したくないんだ」



イェーガー:「では、私も、ここに残って、あなたのお仲間を船まで、運びましょう」


牛尾:「イェーガー市長」

イェーガー:「ライトのような犠牲はもう出したくないのでしょ。ここに残ったって、安全とは限りませんから」

哲平:「そ、そうか。なら頼んだ」
哲平は部下たちをイェーガーに任せた。




シェリー:「それで、これからどうするの?」


ミゾグチ:「分かれて、中を探るのか、もしくは、一緒に行動するのか」


哲平:「後者だ。君たちは、まだ経験が浅い。このまま、分かれて行動しても危ない」

龍亜:「そうだよな。力が全然ない、俺たちが勝手な行動しても死にに行くようなものだよな」

哲平:「そう、がっかりするな。君たちの力は、いざという時に必要になる。そう焦るな」

獏良:「そ、そうだね。何事も経験が必要だよね」


哲平がミッションウォッチで、ビル内部の地図を出す。

さっき、慎也から送られてきたものだ。



哲平:この地図のルートを見る限りだと、おそらく、慎也と合流するより、葵たちと合流する方が早い」


風間:「なら、先に、ジャックたちと」

哲平:「ああ、行くぞ」
そう言って、哲平たちは、ビルの奥へと進む。








その頃、葵たちは。



慎重に先へと前へ歩いていた。


物凄く静かだ。

葵は口を開こうとしない。

城之内は葵の顔を後ろから伺う。

少し目が赤くなっているのがわかる。


無理もない。仲間のライトが死んだのだ。悲しまないわけがない。


葵:「ん?」
葵は城之内の目線に気付いた。

葵:「ごめんなさい。少し見っともないところを見せたわね」
葵はハンカチで目の周りを拭く。


クロウ:「無理するな。仲間が死んだんだ。泣いて当たり前だ」

ジャック:「だが、今は作戦中だ。悲しんでいる暇はない」
ジャックの言葉にクロウがガクッとこけそうになった。

クロウ:「少しは空気読めよ!ジャック」

ジャック:「俺は本当のことを言ったまでだ!」

クロウ:「だからって、こんな時に言うなよ!それでも男か!お前は!!」

ジャック:「なんだと!キングに向かって、それでも男かとは何だ!」
ジャックとクロウの口げんかが始まった。

鬼柳:「そこまでにしろ。二人とも。いい歳して見っともない」
鬼柳が二人の顔を引き離す。

さすが、元チームサティスファクションのリーダー。2人の喧嘩をあっさり止めた。

鬼柳:「今は作戦中だ。お前もさっき言っただろ」
ジャックを見て口を開く鬼柳。

ジャック:「うっ!だが、クロウが!」
ジャックが言おうとしたその時。


カーリー:『クロウが、じゃなんだから!』
ミッションウォッチからカーリーの声が聞こえてきた。







船内





カーリー:「もう、さっきから聞いていたら、だらしがないんだから!ジャックは!いい?今は作戦中!ケンカなんて後にしなさいよ。全く、私の旦那さんはもっとクールに育てないとダメね」
カーリーがジャックに怒る。


深影:「ちょっと、カーリー。誰が、私の旦那さんだって?アトラス様は、あなたの旦那さんじゃないでしょ!」

カーリー:「あれ?そうだっけ?ごめんなさい、深影さん。てっきり、ジャックはもう私のモノになっていたものかと!」
今の言葉に深影がカチンと頭にきて、耳につけていたオペレーターマイクを外す。

深影:「今の言葉、聞き捨てならないわね。アトラス様を渡したつもりなんて、覚えないわよ!」

カーリー:「あれ~?深影さん、もしかして妬いているんですか?もう、若いんだから」
カーリーが深影をバカにする。

深影:「そういうあなたも勝手に男を取るなんて、お子ちゃまね」

カーリー:「何ですって!」
カーリーも立ち上がり、二人が睨み合う。








ジャックのミッションウォッチから二人の大きな声が聞こえる。



海馬:「付き合ってられん」
海馬が小さい声で言う。

ラフェール:「緊張感が全くないな」








矢薙:『まあ、こちらはワシらで止めておくわい』
落ちている深影のオペレーターマイクを取って話す矢薙。


深影とカーリーは、明里や未来、レベッカ、セイコが抑えていた。


矢薙:「それより、その先は行き止まりじゃぞ」


葵:「え?でも、地図によれば、この先は、訓練所があるはずよ。行き止まりなんて」
葵が自分のミッションウォッチからホログラムの地図を出した。

すると、突然、ホログラムが切り替わり、別の地図へと変わった。そう、本物の地図へと。


葵は、うそ!と驚きが隠せなかった。





城之内:「おい、どうした?」

クロウ:「何があったんだ?」


葵:「私のミッションウォッチ、何者かにジャミングされてる」

ラフェール:「なに?」

葵:「そんな、いつの間に?」
葵たちが、不思議そうにしていた、そのとき、いきなり周りの電気が消えた。


ジャック:「今度はなんだ!?」
周りが見えない。一体どうなっているのか、全然わからない。

すると、そのとき、次は、床に穴が開いた。

海馬:「何!?」

葵:「きゃあああ!」

ジャック:「うおおおお!」

クロウ:「うあああああ!」


みんなが下へ落ちる。




落ちた先は、廃棄物所だった。


周りには鉄くずがいっぱい落ちている。



葵:「もう、女をこんなところに落とすなんて最低!」

鬼柳:「どうやら、あそこから落とされたようだな」
鬼柳が、50メートルの先にある上の穴を見て言う。


ラフェール:「戻るのは無理か」

葵:「仕方ないわ。他の道を探しましょ」
葵がそう言って、歩き出そうとした、その時!!

???:「’狂言’の許可をもらって、罠を作動させ、誰が落ちてきたかと思えば」


葵や海馬たちは声が聞こえた方を即座に見る。


???:「慎也じゃねえのかよ」
鞭を持って、嫌みな目でこちらを睨みつける男が言う。


ジャック:「何者だ?」

???:「俺か?俺は、デニム。このワックスポワロの三皇帝の一人」
青い髪の男性が名前を名乗る。

クロウ:「三皇帝の一人だと?じゃあ、ライト達の前に現れた、キュミルの仲間ってことか?」

デニム:「ライト?ああ、キュミルの毒に侵されて、最後は自滅した男のこと」
デニムの言葉に、城之内、クロウたちが、歯を食いしばる。


ラフェール:「貴様たちだけは許さない。仲間の仇を打たせてもらう!!」
ラフェールが、”ガーディアン・エアトス”のデュエルギア、太刀を構える。


クロウ:「俺も加勢するぜ。今の言葉に腹が立った!」
クロウが”ブラック・フェザー・ドラゴン”のデュエルギア、”ブーメラン”を出した。



デニム:「この世界に入ってきたばかりのど素人が、よくもまあ、この島に入ってきたものだ?」
デニムの発言に、葵が反応した。


葵:『え?どうして、彼らが、ど素人だって知っているの?私、入ってきたばかりの新人だって言っていないわよ』


デニム:「はっ!」
デニムの周りにあったくず鉄が浮かびあがる。

鬼柳:「鉄が…!」

ジャック:「浮かんだ!」

葵:「念力の使い手!?」

みんなが驚いているのも、束の間、くず鉄が襲いかかってきた。


ラフェール:「こんなもの!」
ラフェールが手に持つ剣で鉄を斬り払っていく。まるで、武神だ。

クロウ:「このおお!」
クロウがブーメランが投げた。ブーメランは宙に浮かぶ、くず鉄を次々と斬り落とす。


葵:「へえ、二人ともやるじゃない。初めてなのに、ここまでできるなんて」
葵は、二人の実力に少し驚いた。



鬼柳:「俺たちも行くぜ。ジャック!」

ジャック:「言われるまでもない!」
二人が1枚ずつカードを持つ。

ジャック:「唸れ!我が魂レッド・デーモンズ・ドラゴン!!」
ジャックの背後にレッド・デーモンズ・ドラゴンが現れ、すぐさま、赤い光の球となって、ジャックの手元で、武器となる。

ジャック:「レッド・デーモンズ・バスター!!!」
ジャックの手元に赤い刃の巨大なランスが現れた。


鬼柳:「満足させるまで、俺に付き合ってくれよ!インフェルニティ・デス・ドラゴン!!」
鬼柳の身体が黒い霧で覆われ、右手に銃が握られる。

鬼柳:「インフェルニティ・パイソン…!」
鬼柳の銃は、コルト・パイソンをモデルにしたインフェルニティ・デス・ドラゴンのリボルバー式の銃だった。

鬼柳は引き金を引き、銃を発砲。黒い弾が、鉄を次々と破壊する。

ジャック:「うおおおおお!」
ジャックも、手に持つ巨大なランスを巧みに扱い、鉄を斬り壊す。


葵:『デュエルギアは、デュエリストとモンスターの心の共鳴によって、初めて出せるもの。だけど、初めて出したときは、どんなに強いデュエリストでも、強力な武器は出せない。だけど、ジャック・アトラスは巨大なランス。鬼柳京介は、コルト・パイソン。二人とも、初めてなのに、これほどの武器を。いや、二人だけじゃないわ。クロウもラフェールも、他の、みんなも、成長が、他の人達に比べて早い。これが、歴史に名を刻むものたちの力』
そうやって、色々と葵が考えていると、くず鉄が葵を襲ってきた。




葵:「吹き荒れなさい」
葵が手元にクロスボウを出し、一本の矢を放つ。

矢は次々とくず鉄を貫通。しかも、貫通された鉄は見る見る凍っていく。

そう、葵は氷の使い手なのだ。






そして、デニムの前には、海馬と城之内が立ちはだかる。



デニム:「これはレアキャラだな。キング・オブ・デュエリストの生涯のライバル、海馬瀬人に、生涯の友、城之内克也。デュエルの実力は強力だが、この世界ではどうだろうな」


城之内:「ああ?そんなものやってみなきゃ、わからねえだろ!なあ、海馬!」

海馬:「ふん、馬の骨と、一緒にされては虫唾が走る」

城之内:「な、なにいぃ!お前、36になっても、相変わらずだな!まあいい。行くぜ!」
城之内が両手を挙げる。

城之内:「炎の剣士の魂をここに!!」
城之内の両手の掌から炎が出てきた。

そして、その炎は刃と化し、大剣となった。

城之内:「炎の大剣!」
城之内が大剣を構えると、刃から炎が吹き出た。

海馬:「我が最強の僕よ!悪を斬りさく刃となれ!」
海馬の右手に光の球が現れ、刃と化す。

海馬:「ブルーアイズソード!!」
海馬の手に、鍔にブルーアイズの牙がついた青龍刀が握られた。

鍔のすぐ上の刃には、ブルーアイズの型が彫られていた。


デニム:「結構、できる奴らのようだな」

城之内:「行くぜ!」
城之内が炎の大剣の刃を逆噴射。宙に浮き、飛行機のように飛ぶ。


デニム:「剣から出る炎を逆噴射させて、宙に浮かぶだと」
デニムは少し驚いた。

葵:「へえ、もう、そんなことまでできちゃうんだ」


城之内:「くらえ!」
城之内が、大剣を振る。

デニムは横に飛び、攻撃を躱す。

城之内:「まだまだぁ!」
城之内は両手で柄を持ち、デニムが飛んだ方に
大剣を大きく振り上げ、炎の斬撃を放つ。

デニム:「ほう、ここまでやるとはな。だが」
デニムが右手を前に出す。

すると、デニムの前に紫色のオーラが放たれ、炎の斬撃を止める。


葵:「バリア!しかも、闇属性の」

デニム:「俺は闇属性を操るのが一番得意とする」

城之内:「ちっ、もう少しだったのによ」

デニム:「慎也には会えなかったが、どうやら、当たりは引いたようだな」
デニムが左手を挙げる。


みんなは何だと疑う。

デニム:「来い。我が家臣だちよ」
デニムが指をパチンと鳴らす。

すると、足元が揺れ出し、地面から、4体の巨人が現れた。


葵:「これは、まさか、小鳥たちが言っていた、ヒューマンゴブリン?」
葵が巨人を見て口にする。

デニム:「キュミルが作ったものと同じにするな。これは、ヒューマンゴブリンではない。デュエルモンスターズを体内に取り込み、自分が人ですら覚えていない擬似モンスター。名を、”シャドーペイン”」

ラフェール:「人間だったときの記憶を無くしただと?」

デニム:「キュミルが作り上げたヒューマンゴブリンは、力こそあるが、記憶にはかすかに自身が人間だったときのことを覚えている。つまり、ヒューマンゴブリン自身も戦いたくないという気持ちがあるということ。だが、こいつらは違う。人間だった頃の記憶を完全に消し、兵器として完全な肉体を持ったということだ」

クロウ:「ひでぇ。お前ら、人間をなんだとおもってやがる!」

デニム:「人間は、科学の実験体そのもの。実験に扱って、何が悪い?」

鬼柳:「くっ、貴様…」

デニム:「さあ、ゆけ!」
デニムの合図と共に、4体のシャドーペインが、襲いかかってきた。


しかし!


海馬:「轟け!ブルーアイズ!!」
海馬がそう叫んだ瞬間、4体のシャドーペインの身体が真っ二つになり、そのまま塵となって消えた。


デニム:「!!」

海馬の持つブルーアイズソードの刃が、赤くなっている。

海馬:「人間の記憶がなければ、未練がないも同然。倒しやすい」

ジャック:「海馬瀬人。容赦がないな」

クロウ:「ああ。まるで、鬼だな」
クロウが呆れた顔で言う。


デニム:『海馬瀬人。こいつは、他の奴らより警戒する必要があるな。こいつは、ただものじゃない』
デニムが警戒する。





海馬:「我が最強の僕の刃に恐れているのか?」

デニム:「…」

海馬:「俺は、この多元世紀になって、大きなものを失った。海馬コーポレーションという財産をな」
そう、多元世紀になって、海馬コーポレーションはインダストリアルイリュージョン社と合併し、社長はペガサスとなってしまった。

つまり、現在、海馬コーポレーションという会社は存在しないのだ。


城之内:「海馬の奴、まだ根に持っていたのかよ」
城之内が小さい声で口にする。


海馬:「俺は、この多元世紀を終わらし、失ったものを取り戻す。そのために、邪魔なものは排除するだけだ」
海馬の目つきが変わった。

そして、デニム向かって走り出す。

デニム:『なんて威圧だ…!』

海馬:「これぞ、ブルーアイズの斬撃!!!」
海馬が青龍刀を振り上げ、零距離でデニムの斬撃を与える。

デニムが真っ二つになった。


海馬はデニムを倒した!!周りの、みんなはそう捉える。











孤高の島”ワックスポワロ”で戦闘が繰り広げられている中、ここ、ネオコーポレーションシティにあるフロンティア本部では、トップの者たちが収集され、会議が行われていた。


円型のテーブルに沿って椅子が配置され、数十人の者たちが座っていた。

その中には、「フロンティア」の元帥にして、ネオコーポレーションシティの市長でもある、百々原清太郎の姿もあった。


???:「何故です!?百々原元帥!なぜ、あんなド素人共を、いきなり実戦に投入したのですか?」
ちょび髭で長髪の60代後半の老人が百々原に対し反発する。

???:「そうですぞ!しかも、四大神王者がいる、SOAの特務隊に入れるとは!」
机に掌を置いて話す、白髪で顎鬚が長い老人が言う。

???:「納得のいく理由をお聞かせ願おうか?」
坊主頭の老人が鋭い目で、百々原を睨む。

そう言って、会議に出ている数十人の内、10人が、百々原を睨む。

その10人こそ、フロンティアの最高権力を持つ言われている、10人の老人で構成された組。名を”十天老士”という。

ちょび髭で長髪が特徴の、エツジン・ウォーリ。

白髪で顎鬚が長い、”北支徹也”。

坊主頭の、”杉山宗次”。

金髪が特徴の”宝井重郎”。

右目に斬り傷を負っている、”ランセツ・ジン”。

胸元を出し、白い胸毛を見せる、”ヴォッカ・キョリク”。

長い襟足を後ろで束ねる、”羽鳥去来”。

口の周りが髭で覆われている、”キョウ・カガミ”。

煙管を口に銜えて、煙を吐き出している、”メキボ・ナイトウ”。

過去の負傷で片目が無くなっている、”ヤバ・レイ”。


性格の悪そうな、老人たちが百々原が口を開くまで、ずっと睨みつけている。



影丸:『あれが、慎也君から言っていた、フロンティアの最高権力の座を持つ、”十天老士”か』
会議には、SOA特務隊の相談役の座になった、影丸が出ていた。

影丸:『見たところ、かなりの問題児共のようじゃな。元帥も腕を組んで何も言わんとは。フロンティアの下にいる世界のバランスを保つ勢力、”四大神王者”も、彼らに法をかけられ、追放されたと聞いているが、気に食わないことがあれば、好き勝手なことばかりする。まさに、自由気ままの者たちか?』
影丸がため息をつく。


メキボ:「何か言ったらどうですか?元帥」

百々原は腕を組んだまま、何も言わない。ただただ、十天老士の愚痴を聞いていた。


そして、十天老士たちの尾が切れた。

ヴォッカ:「いい加減にしてください!」

ランセツ:「元帥とはいえ、我がまま過ぎますぞ!」

杉山:「以下仕方ない。先日の入ってきた者たちは、ワックスポワロから帰還後、フロンティアより追放する!」
杉山の言葉に、周りにいるみんなが、反応する。


男性:「それは、あまりにも勝手すぎでは」
会議に出ていた男性が口を挟む。

宝井:「我々、十天老士の決定に異論があるというのか?」
宝井の言葉に、男性は何も言えなかった。

カガミ:「これは決定である!影丸とやら、あなたも、同じだ。お忘れなく」
カガミが影丸を見て言う。

すると、そのとき、誰かが机を強く叩いた。

言うまでもない、百々原元帥だ。


百々原:「フロンティアは、いつから、君たちの命令で動くようになったのだ?」
百々原が立ち上がる。

百々原:「聞かせてもらおうか?いつから、フロンティアは、君たちのものになった?」

羽鳥:「それは…」

百々原:「あの時もそうだ。彼らの力に怯え、疫病神だと、懸念し、”孤独の法”をかけ、フロンティアから追放した。この世界のバランスを保つ、勢力に関わらずだ。ましてや、法を破れば、本人たちを処刑するとまで言いだし、フロンティアを弱体化させた」

ヤバ:「我々の所為で、フロンティアは弱体化しているとでもいうのですか!?」

百々原:「結果的に、彼らが、ここを出て数年、いや、数十年、このフロンティアの人員の死亡者は増えている」
この言葉に、十天老士は何も言えなかった。

百々原の言う通り、ここ数十年は、フロンティアの人員の数は減っている。

百々原:「なぜ、私が、彼らをいきなり、ここへ呼んだか、言っていなかった」
百々原は再び椅子に腰を掛ける。

百々原:「彼らを、この世界を終わらせる鍵を持っている者たちだ」

北支:「多元世紀を終わらせる鍵を持っている?」

百々原:「そうだ。彼らこそ、真の救世主になりうるのかもしれない。それが、私が彼らを、ここへ呼んだ理由だ」






百々原が、みんなに期待する理由。それは、あまりにも大きなものだった。


しかし、彼らならできるのか知れない。この多元世紀を終わらせることが。混沌の世界に終止符を打つことが。








第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』








次回予告

ナレーション:フロンティアで会議が行われている、その頃、デニムの真の力が発揮された。

嘘か本当か、現実か幻か。

この世界の新たな戦い方が、海馬たちを襲い、苦戦するが、仲間の力が一つになったとき、大きな絆が生まれることとなる。


葵:次回、遊戯王5DXAL「幻術を敗れ!仲間のコンビネーション攻撃!」



葵:「さあ、行くわよ!」
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