第8話:『あいつに届け ライト最後の猛攻』
ライト:「あれがジャッキトロス...?」
蒸気の中から出てきたジャッキトロスが遠吠えを上げ、目が黒く光る。
ジャッキトロス:「うおおおおおおおおおおお!」
周りにあったガラスが割れ、大きなコンテナも少しだが揺れる。
そして、ジャッキトロスの姿が変わっていく。
その姿はまるで、龍のようだった。
顔に鱗がついており、手には大きな爪が伸びている。
着用していた黒い服も所々が敗れている。
肉体は赤く染まり、目は水色に光り、綺麗にも見えるが、そこからみる眼が鋭くこちらを睨みつけている。
そして、なにより...
ライト:「デカい...」
目の前に現れた化け物の大きさは物凄く大きく、上を目掛けるほどだった。首が痛むほど、みんなは、上を見上げる。
アリト:「なんて大きさだ...!」
璃緒:「こんなの一体、どうやって相手をすれば」
みんなが驚いているのも束の間、ジャッキトロス(化け物)は、胸に埋め込まれているコアを光らせ、口を大きく開ける。
そして、そこから、巨大な火炎球を発射。みんなを殺そうとする。
第1OP『衝動《B'z》』
第8話:『あいつに届け ライト最後の猛攻』
化け物から放たれた、火炎球が、一番近くにいたライトに向かって飛んでくる。
ライトはとっさの判断で、4体の炎属性モンスターを出した。
ライト:「喰らえ!!」
ライトと4体の炎属性モンスターは、ご自慢の炎攻撃を火炎球にぶつけ、相殺する。
ライト:「よし…、うっ!!」
ライトは心臓を押さえる。
ライト:『キュミルに攻撃で受けた毒が...』
ライトは心臓の痛みの所為で、息切れが始まった。更にめまいもする。
ハルト:「ね、ねえ、ライトの様子へんじゃない?」
フェイカー:「ま、まさか...!」
ドロワ:「さっきの攻撃で受けた毒の所為で!」
ドルべ:「こうしてはいられない!ひとまず、ここから撤退する!急いで、ライトの毒を解毒しなくては!」
そういって、みんなが、ライトに近づこうとすると、化け物は、周りに炎の攻撃の無差別攻撃を開始し、ライトにみんなを近づけないようする。
無意識にやったのだろうと思うが、今、一番最悪なことをしてくれたのは間違いない。
小鳥:「ライト!大丈夫!」
炎の壁の所為で、中にいるライトの姿が見えない。
みんなが心配する中、ライトは、ジャッキトロス(暴走形態)の攻撃を躱していた。
ライト:「くっ、みんなは無事なのか...?」
ライトは自分のことよりも、他人のことを心配していた。
ライト:「ふっ、こんな状態になっても、他人のことを心配している俺はどうかしているな」
ライトは、ポケットに手を入れ、中から何かを出す。
それは、Dゲイザーだった。
Dゲイザーとは、デュエルで使用する道具で、装着することで、拡張現実を見ることができ、デュエルを更に立体化してみることができるライトが、多元世紀になる前まで、デュエルしていたときに使用していた物だ。
更に、Dゲイザーは通信機器にもなる。ライトはDゲイザーを起動させ、アドレス帳一覧を表示する。
そして、ライトの手はピタッと止まった。
ライトの手が震える。
するとそのとき、ジャッキトロス(暴走形態)が、ライトに火炎放射を放つ。
反応が遅れたライトはギリギリ躱すが、炎が、足に当たり、ライトはその場に倒れてしまった。
同時に、炎の壁が消える。
右京:「炎の壁が!」
ロビン:「消える!」
みんなが中の様子を見る。
そこには、足を焦がしたライトが倒れていた。
アンナ:「ライト!!」
ゴーシュ:「くそっ!」
ゴーシュが”H-Cクサナギ”のデュエルギア、刀身がオレンジ色に光る太刀を出す。
Ⅳ:「化け物が!」
Ⅳが”ギミックパペット-ナイトジョーカー”のデュエルギア、黒い大鎌を出す。
2人はライトの前に立ち、ジャッキトロスの火炎放射に向かえ打つ。
ライト:「ゴーシュ、Ⅳ…」
ゴーシュ:「悪いが、見ているだけっていうのは、性に合わなくてな」
Ⅳ:「加勢してやる!」
2人は、火炎放射に耐えながら、ライトに言い放つ。
しかし、ジャッキトロス(暴走形態)は、火炎放射から火炎球に切り替え、4発の火炎球を発射。
ゴーシュ、Ⅳ:「うわあああっ!」
2人は、後ろに吹き飛ばされる。
トロン:「トーマス!!」
トーマスとは、Ⅳの本名。つい、本名を言ってしまった父トロンだが、今は、そんなことを思っている暇ではない。
小鳥:「ゴーシュ!」
Ⅴ:「やはり、まだ、我々には力が…!」
悔しがるⅤは、手を拳にする。
ライト:「くっ!」
ライトはミッションウォッチからホログラムを出し、左腕にデュエルパットを装着する。
そして、”紅炎の騎士”と”紅蓮魔闘士”をセットし、召喚。2体のモンスターが、ゴーシュとⅣを持ち上げ、みんなのところに運ぶ。
それを見た、ジャッキトロス(暴走形態)が、ゴーシュ達目掛けて攻撃しようとするが...
ライト:「おい!こっちだ!」
ライトは、手に炎の球を作り、それを投げる。
ジャッキトロス(暴走形態)の瞼らへんに当たるが、そんなもの化け物には通用しない。
だが、怒ったのか、ジャッキトロス(暴走形態)は攻撃をライトに向ける。
ライトは、コンテナをうまく使って、躱していく。
その間に、2体のモンスターが、ゴーシュとⅣをみんなのところに運び終えた。
Ⅲ:「兄さん、大丈夫?」
Ⅳ:「あ、ああ、だが」
Ⅳがライトの方を見る。
体力と毒の限界なのか、ライトの動きが物凄く遅い。
そして、ジャッキトロス(暴走形態)の強烈な一撃が、ライトに直撃し、ライトが吹き飛ばされる。
ライト:「ぐわっ!」
ライトは、そのままコンテナの後ろに隠れる。
鉄男:「ライト!」
鉄男が近づこうとするが、ミザエルが止めた。
ミザエル:「今の私たちが言ったところで、すぐ殺されるだけだぞ」
鉄男:「だからと言って、このままライトをほっておけというのかよ!」
2人の口論が始まった。
コンテナの後ろに隠れるライト。
そこに、ジャッキトロス(暴走形態)が近づいてくる。
ライトは、足のやけどを見る。
出血もひどく、もう走ることはできない。
ライト:「デュエルエナジーも、そこを尽きるか」
デュエルエナジーとは、人間の体内に流れているエネルギーのことで、デュエルモンスターズの力を発揮するときは勿論、デュエルギアを出す時にも使用する、戦いには必要不可欠のものである。
しかも...
ライト:「ぐっ!」
ライトは口から血を吐き出してしまった。
そろそろ、毒が全身に回り始める頃だ。
手も、黒く染まっている。毒の影響だろうと思ったライトは、再び、Dゲイザーをポケットから出し、アドレス帳から一人の知り合いにメールを送る。
文章には、「すまん。ここまでのようだ。あとは頼む」と記載されている。それをライトは一人の知り合いに送った。
その頃、一人の男性が筏に乗って海を放浪していた。
すると、突然、ピロロンと何かが鳴り、ポケットのDゲイザーを取り出した。
Dゲイザーに、メールマークが映っていた。
メールを受け取った男性はメールの本文を見る。
相手は、矢橋ライトと書いてあった。
「すまん。ここまでのようだ。あとは頼む」
本文にはそう書いてあった。
メールを受け取った男は、Dゲイザーを強く握る。
ライトは息を吐き、立ち上がる。
ライト:「よし、行くか。最後の仕事だ」
ライトはコンテナの後ろから姿を現し、正々堂々と前に立つ。
ライト:「みんな、俺が道を開く。その間に、向こうの扉まで走れ」
ライトの目線の先には、1つの扉があった。
等々力委員長:「道を開くって、それじゃあ君は?」
ライト:「俺の命はもう限界だ。これが、俺の最後の役目だ」
ハルト:「ダメだよ!君を置いて行けない!僕たちは、君に、まだまだ学ばなきゃいけないことが沢山...」
ライト:「俺が教えることは、慎也さんにでも教わってくれ。あの人は厳しい面もあるが、もっぱら優しい人だ。俺が教えるよりも強くなれる」
ライトが、右手に炎の球を作る。
ライト:「それに、四代神王者のロストも、君たちに遭いたいって言っていた」
徳之助:「四代神王者のロストが、そんなことを言っていたのかウラ?」
一馬:「一体、誰なんだ?四代神王者のロストは?我々の知っているやつなのか?」
ライト:「見ればわかるさ。おそらく、四代神王者の中で一番、早く遭えるのはそいつだ。国家政府も、他の四代神王者に比べて、そいつには、見張りとか甘いみたいだからな」
ライトは、そういうと、手に灯している、炎の球が大きくなる。
ライト:「大火炎-暴葬!」
まるで太陽が近くにあるようだ。
ライト:「孤独の法の影響で、すぐに話すことはできないかもしれないが、あいつは、そんな法、お構いなしで君たちの元に来る。あいつは、君たちより、そして俺よりも強い。だから、…」
ライトは目から涙を流す。
ライト:「だから、俺は、あいつに全てを託す!」
ライトは走り出す。
小鳥:「ライト!」
小鳥は涙を流して、名前を叫ぶ。
璃緒:「小鳥さん、ここは危ないわ!」
凌牙:「みんな、こっちだ!」
みんなが、少し後ろに下がる。
ジャッキトロス(暴走形態)は、近づいてくるrightに火炎球を連続で打ちまくる。
ライトは、火炎球を受けないように、躱していく。
その間に、みんなは、ライトが言ってた扉に向かう。
ライトは高く飛び上がる。
更に、身体が燃え上がる。同時に涙を拭く。
ライト:『多元世紀が始まって50年。やっぱり、こんな世界は嫌だな。』
自分の手に作られた強大な火の球を投げる。
みんなは扉を開け、急いで、倉庫から出る。
ライト:『だが、ロストを初め、四代神王者は、こんな世界を終わらせる力を持っている...。』
巨大な火の球が、ジャッキトロス(暴走形態)の顔に当たる。
ライト:『一回ぐらい、顔見せろよな。ロスト。いや、ゆう...』
火の球が大爆発を起こした。
周りにコンテナなども巻き込まれ、焼かれていく。更に、天井が崩れる。
ジャッキトロス(暴走形態)は天井から落ちてくる瓦礫に飲み込まれる。
ライトも、そのまま床に落ちた。
上向きに倒れたライトの顔は無表情だった。
だが、もう息はない。
ライトも、瓦礫の中へと消えた。
小鳥たちは、倉庫から既に出ていた。
倉庫と通じる扉の向こうから瓦礫が落ちる物音が聞こえる。
床も揺れている。
キャットちゃんは涙を流し、両手で顔を押さえる。
キャットちゃんだけじゃない。女性はほとんど、涙を流している。
Ⅲ:「ライト...!」
Ⅲが扉の方へ向かう。
Ⅴ:「よせ、Ⅲ」
Ⅲ:「ですが!」
Ⅴ:「運よく、瓦礫の下敷きになっていなくても、身体の毒が回っている。もう」
Ⅴの言うことに、Ⅲは拳を握る。
みんなのミッションウォッチから、慎也の声が聞こえた。
慎也:『おい、どうした!何があった?』
小鳥たちは、何も言わず、周りには、ミッションウォッチから聞こえる慎也の声が響いていた。
杏子:「ねえ、どうしたの?何かあった?」
アキや哲平たちといる、杏子が、ミッションウォッチから呼びかける。
小鳥が、ミッションウォッチを口の近くまで持ってくる。
小鳥:「…ライトが、ライトが、…」
小鳥が涙を流す。
その頃、葵は、海馬たちと共に、ビル内を走っていた。
葵:「ライトがどうしたの?」
葵たちは足を止める。
ラフェール:「何があった?」
ラフェールも自分が身につけているミッションウォッチから小鳥に問いかける。
一馬:「我々を助けるために、ライトは、自分の命を...」
一馬の言葉に、別の場所にいる、みんなが反応する。
色葉グループ。
万丈目:「お、おい」
斎王:「ま、まさか」
色葉も目を丸くする。
外壁の近くで、隠れている明日香グループ。
梨香:「そ、そんな」
レイ:「うそでしょ」
哲平グループ。
哲平:「ライトが、死んだのか…」
アキに手当てをしてもらっている哲平の手が震える。
船で待機するものたち。
明里:「ライト…」
双六:「これが、この世界の戦いということなのか」
アーサー:「デュエルモンスターズの力で、多くの死人が出る。いつから、そうなってしまったのだ。」
慎也:「くそっ!」
慎也は思い切って、壁を殴った。
慎也:「何なんだよ...この世界は!いつから、デュエルモンスターズは人殺しの道具になったんだ」
慎也は叫んだ。
叫び声は、ミッションウォッチからも聞こえる。
海馬たちと一緒にいる葵が、「慎也」と呟く。
キャットちゃん:「ひくっ、ライト」
ハルト:「僕たち、何もできなかった」
フェイカー:「ああ、私たちには、まだ、力がない」
みんなが落ち込む。
鉄男:「今は、そんなこと言っている場合じゃねえ」
鉄男が立ち上がる。
等々力委員長:「鉄男君」
鉄男:「ライトは、命をかけて、俺たちを守った。それはつまり、俺たちに、今後のことを任せたってことだ。ここの事件、そして、多元世紀のことを」
小鳥:「鉄男君…」
鉄男:「行こうぜ。この先に。そして、キュミルを倒して、ライトの仇を打とうぜ」
鉄男の言葉に、みんなが立ち上がる。
凌牙:「フン、お前にそんなことを言われるとはな」
カイト:「誰かさんに似てきたな」
鉄男:「うっ…」
鉄男の顔が赤くなる。
アンナ:「ライトの仇を打とうぜ!みんな!」
Ⅳ:「ああ」
Ⅲ:「これ以上、キュミルの好きにはさせない!」
みんなの心が立ち上がった。
慎也:『ライト、お前はいつもいつも、いろんな人に迷惑をかけてきたな。今回もそうだ。勝手に命をかけて、みんなを助けて』
慎也が、昔のことを思い出す。
慎也:「だが、お前が灯した炎は、俺たちの中にある!見ててくれ!ライト」
慎也は走って先を急ぐ。
船の中
深影:「皆さん」
矢薙:「みんなの心に灯っている炎は消えてはいないようじゃな」
ペガサス:「私が作った、デュエルモンスターズを悪用する、この世界を見過ごすことはできませーん。ですが、今、起きている、この状態も、許すことはできませーん!」
マーサ:「もう、死人なんて出すんじゃないよ!」
マーサがカーリーが身につけているヘッドホンを取り、それに付いているマイクに向かって叫ぶ。
ジュンコ:「明日香さん!私たちも行きましょ!」
明日香:「ジュンコ…!あなた」
梨香:「ジュンコさんの意見に賛成!ここで隠れているなんて、もうできない!」
珠里:「私も同じ」
恵美:「いいの?この名かに入るということは…」
亜美:「命をかける覚悟が必要でしょ」
恵美の娘の亜美が言う。
レイ:「命をかける覚悟なんて、フロンティアに入った時からしてるよ!」
明日香:「みんな」
明日香は恵美の顔を見る。
恵美:「そうね。中にいる吹雪君たちのことも心配だし。行きましょ。中に」
明日香:「そうですね」
その頃、哲平やアキ、杏子たちもビル内部へ潜入していた。
小鳥たちも、先へ進むことを決意した。
すると、小鳥は、さっき潜ってきた扉を遠くから見る。
向こうは、今どうなっているんだろ。ライトの身体は…
そう思っている小鳥だったが、涙は拭き終わっている。
小鳥:「あなたのおかげで、みんなの心に火は付いてわ。あとは私たちに任せて、ゆっくり休んで」
小鳥はそう言って、先を急ぐ。
第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』
次回予告
ナレーション:ライトという掛け替えのない仲間を失ったフロンティアのみんなだが、屈することなく、敵を倒すために前へと進む。
前へと進む中、葵たちの前に、キュミルではない、別の敵が現れる。
そして、初代キング・オブ・デュエリストの一番のライバル海馬瀬人の一撃必殺技が繰り出される!
次回、遊戯王5DXAL「轟け!ブルーアイズソード!」
海馬:これぞ、ブルーアイズの斬撃!!!
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
小鳥:私たちが戦っている舞台”ワックスポワロ”って島は、かつて、武装集団で構成された中組織、”ハンド”が所有していたんだけど、10年ぐらい前に、ボスのジャッキトロスの力の暴走により、組織は壊滅。今は、キュミルたちのアジトになっているわ。ヒューマンゴブリンなんて、恐ろしいもの生んで最低な奴らよ。次回は、新たな敵が出現する見たいだから、お見逃しなく。