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第7話:『ヒューマンゴブリンの過去 消えたハンドの行方』





キュミルの斬撃が小鳥たち目掛けて飛んでくる。

キュミル:「戦えない者共が、豊かな生活を送っていればいいものを!」

今の自分たちでは、あの攻撃を受ければ即死だと、誰もが思った。

キュミル:「死ねえ!」









レンズ越しから、それを見る、キュミルの仲間たち。



謎の男B:「終わったな」
男は、そう言うと、もう一人の男は、別の画面を見る。


謎の男B:「いや..」








キュミルの斬撃が迫り、みんなが諦めかけたそのとき、みんなの前にライトが立ち上がる。


ライト:「ぐっ!!」
ライトは手から炎を放出し、斬撃を受け止める。

更に、背中から炎を翼が出てきた。まるで、不死鳥のように。

ライトは後ろに押し出されるが、頑張って耐える。

ライト:「うおおおおおお!」









第1OP『衝動《B'z》』










第7話:『ヒューマンゴブリンの過去 消えたハンドの行方』







ライトのTシャツの右袖が少し焼ける。



ライトの頬に、かすり傷ができた。


ライト:「こんなもの、こんなもの!」
ライトは、そう言いながら、ある男の後ろ姿を一瞬思い浮かべた。


その男は、フロンティアの中でも一番中のよかった男だった。

だが、ある理由で、今は離ればなれるになっている。


ライト:「ここにいるみんなには、絶対に指一本触れさせはしない。あいつとの約束だ!!うおおおおおお!」
ライトは、攻撃に耐える。








その頃、アキたちは、戦闘を終えていた哲平たちと合流していた。

哲平を含め、エージェントたち全員が怪我をしている。

しかし、運よく死亡者はいないようだ。


アキ:「愛、一星、その人の足を持って。そっちに運ぶわ」
アキが、自分の子供である双子の愛と一星に怪我の手当の手伝いをさせる。

愛:「OK。一星。そっちお願い」

一星:「わかった。せーの」
3人係で、一人の男性を持ち上げる。どうやら、足を怪我しているらしい。



ミスティ:「エマリー、それとって」
ミスティが娘であるエマリーに包帯を取ってと頼む。

エマリー:「はい、ママ」
エマリーが包帯を渡す。

ミスティ:「ありがとう」


ブレイブ:「誰か、こっちも手伝ってくれ。足を怪我している。出血も酷い」

ドラガン:「今行く」
ドラガンや牛尾、風間がそちらへ向かう。


周りを見ると本当に酷いものだ。死人がいないのが奇跡だ。



龍亜:「これが、この世界の戦いか」


龍可:「私たちが知らない、何十年もの間、こんなことになっていたなんて...」

天兵:「信じられないよ...」
3人は驚きを隠せなかった。


そのとき、大きく地面が揺れた。しかし、一瞬のことだった。

ハラルド:「なんだ...!?」

氷室:「随分、大きな揺れだったな」

ボマー:「中はどうなっている!」

哲平:『慎也、それともライトか?無事でいろよ』
哲平が祈る。今はそれしかできない。







その頃、ライトは、キュミルの斬撃に耐えきっていた。

しかし、右腕に大きな傷を負って出血。しかも、斬撃によって受けた傷なのであれば、毒付きのはずだ。


ライトはその場に膝をついた。

ライト:「はぁはぁ」

キャットちゃん:「ライトくん!」

ゴーシュ:「ライト!」
みんなが、ライトを助けようとする。

ライトは大きな声で「来るな!」と叫ぶ。


ライトの視界は物凄くかすんでいた。まともに前を見ることすらできない。

キュミル:「ふはははは、この斬撃を受けてしまったな。これで、貴様の命は、もって一時間だ」

ライト:「くっ…」
ライトは拳に火を灯す。

キュミル:「悪あがきだ。貴様は今、前を見ることすらできないはずだ」

ライト:「ぐっ、うおおおおおお!」
ライトは大きな声を上げ、拳から炎を放つ。

キュミルはそれを躱す。


キュミル:「ふん」

ライトは瞬時にリボルバー式の銃のデュエルギアを出し、銃口から炎の弾を発射する。

その弾をキュミルは剣で受け止める。

何発かそれを受けると、キュミルの剣が一瞬で折れた。

キュミル:「ちっ」
キュミルは折れた剣を床に捨てる。

アリト:「剣を捨てた」

ギラグ:「今の奴は丸腰。チャンスだ!」
確かにチャンスではある。

しかし、キュミルは動こうとしない。いや、動けないのだ。毒の所為で。

キュミル:「思ったより、毒の周りが早いな。死を急いだな、矢橋ライト」
キュミルが端末を出し、何かを調べる。

それは、ライトの個人情報だった。


キュミル:「矢橋ライト、20歳。フロンティアのSOA特務隊4係か。フロンティアに入ったのは、結構前、かなりのベテランか」
キュミルは更に調べ続ける。

キュミル:「ほお、”四大神王者”のNo4ロストとは、かなり仲がいいようだな」
その言葉に、ライトが反応する。






更には、画面から見ていた、謎の男Aも反応した。

謎の男A:「四代神王者。フロンティアが持つ”国家政府”が認めた、世界のバランスを保つ勢力の1つであり、その中でも最強とも呼ばれている4人の存在。しかし、そのほとんどが彼らのことを知らず、今は、フロンティア上層部によって”孤独の法”がかけられ行方も分からない。そんな奴らを知っている奴はかなりのレアだな。No4のロスト。他の3人の中でも、歳が離れ、力こそ及ばないが、それでも、四代神王者に認められた男」
謎の男Aが解析をする。








キュミル:「今はどこで何をやっているのか、知っているのか?」

ライトは息を切らしながら、何も答えることはなかった。

キュミル:「随分、怖い顔をしているな」
キュミルが嫌な笑い顔をすると、コンテナの中でヒューマンゴブリンが暴れ出す。


キュミルはそれをチラッと見て、さっき折られた剣を見る。


キュミル:「お前、結構前にフロンティアへ入ったみたいだが、戦いも長いんだろうな」

ライト:「当たり前だ...。こう見えて、敵は何人も殺した」

キュミル:「そうか。なら、問題ないな」

ライト:「何?」


闇川:「奴は何を言っている?」

フェイカー:「何が問題ないんだ?」



キュミル:「聞いて驚くなよ。ライト、お前は、この倉庫に入って、人間を3人殺してるんだ」
キュミルの言葉に、ライトは驚く。






ライト:「なん、だと...」



アンナ:「どういうことだよ!」

鉄男:「俺たちが入って、ここにいたのはお前だけのはずだ」

一馬:「ライトは、人を殺してなど」
みんなが、反論する。


Ⅴが、周りを見て記憶をたどる。


落ちているキュミルがさっきまで使っていた武器。コンテナで暴れるヒューマンゴブリン。

更に、さっき、ライトが倒したヒューマンゴブリン。

ヒューマン...ゴブリン..。

Ⅴはまさか、とミッションウォッチを腕から外す。


Ⅲ:「兄さん?」

Ⅴは、さっきライトが倒したヒューマンゴブリンの死骸の一部に、ミッションウォッチのライトを照らす。

まるで、何かをスキャンしているかのようだ。


Ⅴ:「明里さん、今、送ったデータをすぐに解析してくれ」
Ⅴは、船にいる明里に連絡を取り、データの解析をするように頼む。

トロン:「Ⅴ、どうした?」

チャーリー:「おいおい、いきなり怖い顔をして、どうしたんだ?」

Ⅴ:「私の読みが正しければ...ヒューマンゴブリンとは」






その頃、明里はⅤの言う通りに、データの解析を進んでいた。

明里:「終わったわ」
思ったより、データの解析は早く終わった。

解析結果を見る、明里。

一瞬で目を丸くした。

明里:「こ、これって...」

未来:「どうしたの?明里」

影丸:「何が出たんじゃ?」
影丸が自動車椅子で明里の後ろへ来る。

シュミットも画面を覗く。

シュミット:「バカな...、これは。」







ライト達と共にいる、みんなのミッションウォッチから明里の声が聞こえた。

明里:『解析結果が出たわ』

Ⅴ:「それで、結果は?」

明里:「....」

ベクター:「おい、どうしたんだよ?」

明里:「ヒューマンゴブリンの体内から、私たちと同じ一種の細胞を見つけたわ。それに、血も」

小鳥:「え、それって、どういう...」






明里:「つまり...、ヒューマンゴブリンの正体は、私たちと同じ...人間ってことよ」




明里の言葉に、みんなが驚く。

キュミルはフッと笑う。


Ⅴ:「やはり」

ドロワ:「人間だと...バカな」

ロビン:「あれが人間だというのか…!?」

等々力:「つまり、これって。どういう...」


ライト:「キュミル!貴様」

キュミル:「やっと気付いたな。そう、ヒューマンゴブリン、別名、"人間ゴブリン"。こいつらは、元々、この島にいた、人間共だ」

その言葉に、みんなが更に驚く。









キュミル:「今から10年前の話だ」

キュミルは、この島"ワックスポワロ"の話しを語り出す。







10年前のワックスポワロ




中央に、高いビル。周りには外壁があった。




そんな珍しいものがあるわけではなかったが、島のいろんなところで、爆発音がなっていた。



兵士リーダー:「今日こそ、このワックスポワロを我ら組織の支柱に納めるぞ!!」
兵士の一人、リーダーらしき人物が剣を掲げ、部下たちに命令する。


部下たちは、デュエルギアを出し、外壁内へ潜入する。


同時に、潜入した者たちのモンスターたちだろうか、ドラゴンや、獣族のモンスターも潜入する。


兵士リーダー:「奇襲をかけろ!我が、下部ども!!」
ドラゴンたちがビルに向かって、破壊光線を放つ。


そのまま、ビルに当たれば、一溜りもない。


しかし、ビルの周りに、リフレクターのようなものが展開され、バリアが張られた。

そのまま、破壊光線を弾く。


兵士リーダー:「なに!?」
リーダーが驚くのも束の間、次はガトリング砲が周りで起動し、潜入してきた敵を撃ち殺す。


兵士リーダー:「そんな…バカな…」
兵士たち全員がその場に倒れ散った。






その頃、ビルの中では、勝利の宴が始まっていた。



その中に、ワックスポワロを聖地としている、中組織”ハンド”のリーダーの姿があった。



ハンドのリーダー”ジャッキトロス”



部下:「ボス、またやりましたね!」


ジャッキトロス:「ああ、これで、また一つ、中組織を潰した。この調子で行けば、このハンドが大組織になるのも遠くはないな」

部下:「そして、このハンドに傘下が次々と加わり、世界を制する!そうっすよね!ボス」

ジャッキトロス:「当たり前だ。国家政府も、俺が潰してやる!」


部下たちに囲まれているジャッキトロスが手に持つ瓶ビールを一気に飲む。






キュミル:『この島、ワックスポワロを基地として動いていた中組織ハンド。そのボス、ジャッキトロス。多元世紀が始まる前は、多くの人々を暗殺してきた殺し屋。性格は非情。10年前はこの多元世紀のトップでもある国家政府でさえ、警戒していたほどだった』







ビル内部の製造工場。


立ち並ぶデュエルモンスターズのカード。モンスターたちが、実体化するが、そのまま苦しみながら、光の魂となって、目の前にある無数ガトリング砲に吸い込まれる。



他にも、いろんな兵器にデュエルモンスターズの力を蓄えていた。




キュミル:「ハンドが持つ最大の力は、人間が作ること武器や兵器に、デュエルモンスターズの力を無理矢理与えるという力を持っていた。このビルの地下工場にある。特別な機械を使用してな。奴らは、それを無造作に使用し、世界を我が物にしようとしていた」


ライト:「世界を我が物に…」


キュミル:「誰もが、欲しがるものだろ。この多元世紀になって、50年。世界の地形は無茶苦茶。争いは耐えることができず、挙句の果てには、国家政府のような、多元世紀を束ねるわけの分からないものさえできてしまった。一部の人間は衰えることもなく、無限の命を手にしまい、デュエルモンスターズのカードは戦争の道具へ。ハンドは、そんな世界を束ねようと、動いていたが力欲しさに、あることをやってしまった」


凌牙:「あること?」








部下:「ボス、そこまでしなくても!」

ジャッキトロス:「世界を手にするためだ!俺はやる!」

部下:「だからって、デュエルモンスターズの力を無理矢理体内へ入れることなんて!!」

部下:「無茶苦茶だ!」

ジャッキトロス:「いいから!黙って見ていろ!」
ジャッキトロスは部下たちを部屋の外に出す。

壁はガラス張りでできていて、中からでも、外にいる者たちを見ることができ、外にいる者たちも、部屋の中を見ることができる。

部下たちは、ガラス張りを叩く。


ジャッキトロスは部屋の真ん中にある椅子に座る。





キュミル:「ボス、ジャッキトロスは力欲しさに、デュエルモンスターズの力を自身の体内へ取り入れようとした」




アンナ:「デュエルモンスターズを自身の体内って、そんなことをすれば!」

キュミル:「ああ、身体は崩壊するだろうな。無論、デュエルモンスターズとの絆があれば、それは可能だろうがな。だが、かつて、デュエルモンスターズの力を自由自在に操り、自身の体内に取り込むことができたのは、武藤遊戯に続き、伝説のデュエリスト、2代目キング・オブ・デュエリストとなった男、遊城十代」



Ⅳ:「遊城十代。世界を何度も救い人類を守った、英雄の神。だが、世界精霊大戦で、その命を落とした」


キュミル:「そして、もう一人。デュエルモンスターズではないが、デュエルモンスターズと対等の存在であったアストラル世界の使者と一体化することができた男」


小鳥が一人の男を思い出す。



キュミル:「九十九遊馬。エクシーズモンスターを自在に操るデュエリストらしいな」


トロン:「確かに、今考えてみれば、遊馬も同じ力を持っていたともいえる」


キュミル:「奴らは、デュエルモンスターズを信じていたからこそ、できた存在。しかし、ジャッキトロスは無理矢理デュエルモンスターズを扱う存在。そんなものがデュエルモンスターズに選ばれるはずがない」



ジャッキトロスの周りにデュエルモンスターズのカードが浮かびあがる。無数のカードだ。属性種族もバラバラだ。

そのまま、特殊な機械からレーザーが発射。カードを貫き、そのままジャッキトロスの身体に当たる。

ジャッキトロス:「うわああああああああ!!」
ジャッキトロスが暴れ出す。



キュミル:「俺はその時、盗賊でな。たまたま、ハンドに潜入して、宝を手にしようとしていたが、ジャッキトロスの実験を見てしまった」



ジャッキトロスの周りの器具が爆発する。


ジャッキトロスの姿が見えなくなった。


部下たちが、部屋に入る。


爆炎の中から、ジャッキトロスが出てきた。しかし、その目は黒く光っていた。


ジャッキトロス:「うおおおお!力が!力が漲る!!!」



ジャッキトロスが周りにいる部下たちを皆殺しにする。


キュミルは同時、部屋の外からその様子をみていた。


そして、フッと笑った。


キュミル:「ジャッキトロスは人格を失い、味方ですら殺そうとする化け物になってしまった。だが、俺は確信した。この力があれば、世界を手にできると」




数日後



ジャッキトロスに怯え、島を出ようとするものたちがいた。


キュミル:「俺は待ち伏せをし、島を後にしようとする部下を捕え、ジャッキトロスが使用していた装置を復元。ハンドの者たち全員を、ヒューマンゴブリンへとした。無論、失敗作も沢山作り、そのまま息絶えた奴らもいる」


キャット:「酷い...」


ゴーシュ:「外道が」




ライト:「お前、それでも人間か」


キュミル:「なんとでもいえ!俺は正しいことしただけだ!」


フェイカー:「正しいこと?ふざけるな!お前がやっているのは、ただの人殺しだ!!」
フェイカーが指を指して言う。


すると、周りのコンテナ全てから大きな物音がなる。

中にいるヒューマンゴブリンが暴れ出したのだ。


キュミル:「全員が暴れたがっているようだな。だが、お前たちの出番はまた後だ」
キュミルがリモコンのようなものを出す。

そのリモコンのボタンを一つ押す。


すると、コンテナではなく、カプセルのようなものが出てきた。


キュミル:「ライト、これがお前にとって最後の敵だ」

カプセルが開く。

キュミル:「精々、楽しんでくれ」
キュミルが高く飛び、扉の目の前に立つ。


ライト:「逃がすか!」

キュミル:「お前の相手は、そのカプセルの中にいる、ジャッキトロスがしてくれる!」

ライト:「ジャッキトロス!ハンドのリーダーだった」

キュミル:「まあ、楽しんでくれ」
キュミルは倉庫を出る。

ライト:「くそっ!」
ライトが悔しがると、カプセルから妙な物音がした。


ハルト:「なに?」


蒸気の中に何やら影のようなものが見えた。


そして、蒸気が薄くなり、中から人間が出てきた。


ライト:「あれがジャッキトロス...?」

蒸気の中から出てきたジャッキトロスが遠吠えを上げ、目が黒く光る。


ジャッキトロス:「うおおおおおおおおおおお!」

周りにあったガラスが割れ、大きなコンテナも少しだが揺れる。

そして、ジャッキトロスの姿が変わっていく。


そう化け物へと、変わっていくのであった。







第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』








次回予告



ライト:...これでいいんだよな?お前だって、もし俺と同じ立場だったら、同じような行動をしていただろ?

俺は、ここまでのようだ。やることはやった。早く戻ってこいよ




次回、遊戯王5DXAL「あいつに届け ライト最後の猛攻」



ライト:じゃあな、みんな...
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