第6話:『ライト 燃える拳は我が心にあり!』
フロンティア、移動船、管内
双六:「皆が、潜入して、2時間。慎也が、サイファーとかいう組織の知り合いと会っただけで、施設の者とは会っていない」
アーサー:「しかし、カメラがある以上、こちらの動きがわかっているのは間違いない」
双六:「ああ、油断はまだまだできない」
2人が横並びで話していると、通信をキャッチ。女性の声だ。
明日香:『ねえ、中の様子は、そちらからわからないの』
明日香の声だ。少し慌てているようにも見える。
明日香達は、ビルの外壁の近くで待機していたのだ。万丈目たちを見送ったあと、動かず、そこにいたのだ。
深影:「すいません。こちらからは何も。ですが、ビル内部へ潜入した皆さんの反応が動いているので、大丈夫ですよ」
明日香:「そう」
木の下に隠れる明日香やレイは、外壁の向こうから聞こえる嫌な音が続いている所為で、中に入ったみんなが心配で仕方がない。
その中には、明日香の息子、剣代もいる。
美寿知:「焦ってもいいことありませんよ」
明日香:「美寿知さん」
美寿知:「信じましょ、皆さんを」
明日香:「....そうですね」
少し間を開けて頷く。
珠里:「お兄ちゃん....」
梨香:「剣代お兄ちゃんなら、絶対大丈夫だって」
珠里:「お姉ちゃん、でも」
梨香:「あなたがそんなんじゃ、ママも心配するでしょ」
珠里が母、明日香を見る。
明日香は美寿知と話したおかげか、少し笑っていた。
珠里:「そうだね」
珠里も笑顔を取り戻した。
第1OP『衝動《B'z》』
第6話:『ライト 燃える拳は我が心にあり!』
その頃、ライトたちは、この先にある倉庫に向かって全身していた。
天井についている電灯が、ライトの黒髪天然パーマを照らす。
明里:『500メートル先にドアがあるわ。そこを開ければ倉庫よ』
ライト:「了解です。一度、通信を切ります」
ライトは明里との通信を切った。
Ⅳ:「そこに入ったとき、凶と出るか吉と出るか。楽しみだな」
Ⅲ:「兄さん、これは遊びではないですよ」
凌牙:「ふん、緊張感のない奴だ」
カイト:「そういう、お前も足が震えているぞ」
凌牙:「誰が震えている!」
カイト:「ふん、少しは緊張がほぐれたか?」
凌牙:「お前の、その上から目線がいつも気に食わねえ」
カイト:「何だと...」
凌牙とカイトが睨み合う。
フェイカー:「やめなさい、カイト」
璃緒:「凌牙、あなたも。こんなところでケンカしている場合ではありませんわ」
カイトの父フェイカーと、凌牙の双子の妹、璃緒が止める。
ライト:『神代凌牙に、天城カイト』
ライトは二人を見つめる。
ライト:『一度はバリアンに落ちてしまったが、正しき心を取り戻し人間へと戻った男。そして、フォトンモンスターを操る天才デュエリスト。お互いライバル意識の方が高いが、仲間思いな奴らだという話しは聞いている。すぐケンカするってあいつが言っていたな。だが、今後の戦い、必ず、この二人は活躍する。あいつと同じ力に選ばれるのであれば、必ず...』
ライトが色々考えていると、Ⅴが横から声をかける。
Ⅴ:「ライト、早く行こう。あまり、ゆっくりはしていられない」
ライト:「あ、そうですね」
そう言って、みんな、前へ進む。
500メートル歩くと、明里が言っていた通り、扉があった。
ライト:「デュエルギア発動!」
ライトは、手元に銃を出す。色や形状からして、獣族もしくは獣戦士族モンスターから作られたデュエルギアだ。
ライトは、デュエルギアの銃を一発撃ち、ドアノブを破壊した。
そして、ライト達は中に潜入した。
倉庫の中は真っ暗で何も見えない状態だった。
闇川:「何も見えない」
六十郎:「油断するな、闇川」
カイト:「オービタル!」
カイトが人工知能を持つロボットに命令する。
オービタル7:『かしこまり!』
オービタルが目から明かりを照らす。
一点集中で、倉庫の中が照らされる。
周りには、巨大なコンテナが並んでいた。
オービタルを先頭に、全員が前に進む。
徳之助に関しては、鉄男の服を掴んで前に進む。
鉄男:「徳之助、もう少し離れろ。歩きづらい」
徳之助:「そんなこと言ったって」
2人が言い争っていると、いきなり電気がついた。
全員が前進をやめる。
???:「困った奴らだ」
緑色の髪の男性がみんなの前に出てくる。
???:「他人の敷地に土足で入ってくるとは。常識がなっていない」
ライト:「誰だ?」
キュミル:「俺はキュミル。この施設の責任者の一人でもある」
キュミルが両手を挙げて、自己紹介をする。
ライト:「責任者。つまり、親玉ってことか?」
キュミル:「そうともいうな」
ドルべ:「責任者の一人?つまり、他にも責任者が」
キュミル:「察しがいいな。そこのメガネくんは。だが、ここを通すつもりはない」
キュミルが指パッチをする。
すると、すぐそばにあったコンテナが揺れ出した。
ミザエル:「なんだ!?」
みんなが動揺する。
すると、二つのコンテナから、巨大な身体を持つ化け物が現れた。
これは、モンスターなのか?と、みんなが疑う。
凌牙:「くっ」
凌牙がブラックレイ・ランサーの力で作り上げた武器を出す。
これが、凌牙のデュエルギアだ。
鉄男:「俺も!」
鉄男がブリキの大公の剣を出す。鉄男のデュエルギアだ。
凌牙:「うおおお!」
鉄男:「でりゃああ!」
2人が斬りかかる。
しかし、1体の巨人が2人を吹き飛ばす。
鉄男が持つ剣に関しては、折られてしまった。
凌牙、鉄男:「「うわあああ!」」
小鳥:「鉄男くん!」
ドルべ:「凌牙!」
2人はみんなの前に倒れる。
凌牙:「くそ...」
キュミル:「まだ、三流のソルジャーか。つまらん」
キュミルが腕を組んで、偉そうに言う。
ゴーシュ:「言ってくれるじゃねえか」
ベクター:「聞き捨てにならねえな!」
2人がカードを一枚手元に出す。
すると、ライトが2人の前に手を出し、そのまま前進する。
ライト:「ここは俺がやる」
ゴーシュ:「なに!?」
ベクター:「おいおい、俺たちは黙って見てろっていうのか?」
ライト:「そうだ!」
ライトは大きな声で言う。
2人はビクッとする。
ライト:「今の攻撃を見ても、君たちはまだ、デュエルギアの力を最大まで引き出していない。何より、これは初実戦。今だ経験したこととのない戦いだ」
ベクター:「だから、これから、経験を積み重ねて、慣れていけば...」
ライト:「これは、殺し合いと同じだ。経験を積み重ねてどうこうできる問題じゃない」
ライトは来ていた黄色い上着を脱ぎ捨てる。
ライト:「見て覚えろ。それが、今後の力になる。キュミルと言ったな。ここは、俺一人が相手になる。問題ないな」
ライトが指の骨を鳴らす。
キュミル:「何の武器も使わず、このヒューマンゴブリンに立ち向かうというのか?」
キュミルが言う、”ヒューマンゴブリン”とは、おそらく、コンテナから出てきた巨人のことだろ。
ライト:「俺の拳は、燃える拳...。その名の通り、扱う属性は、”炎”!」
キュミル:「炎使いか」
ライト:「行くぞ!」
ライトがまっすぐ敵に突っ込む。
右京:「敵目掛けてまっすぐに!?」
風也:「あれでは、死にに行くようなもの!」
ヒューマンゴブリン1体が拳を振り上げる。
アンナ:「あぶねえ!」
ドロワ:「ライト!」
ヒューマンゴブリンが拳を叩き付けるが、ライトはギリギリのところで躱し、ヒューマンゴブリンも懐に入る。
ライト:「でりゃあ、うりゅあ、おりゃ!」
正拳突きを何発もヒューマンゴブリンの腹にぶつける。
何発もぶつけ続けていると、ライトの拳が燃え上がってきた。
ライト:「喰らえ!炎の拳!!!」
ライトの拳から炎のパンチが繰り出され、ヒューマンゴブリンが吹き飛ばされた。
それを見ていたチャーリーが、ヒューと口笛を吹く。
チャーリー:「こりゃあ、たまげたな。ありゃあ、明里以上のパンチじゃねえか」
一馬:「それ、明里の前では言わんでくれよ」
チャーリー:「分かってますって、一馬さん」
チャーリーが帽子で目を隠して言う。
そうやって、話していると、もう一体のヒューマンゴブリンが、ライトを襲おうとする。
右京:「ライト君!もう1体の奴が!」
ライト:「うおおお!マンティコア!」
ライトの背後に”暗黒のマンティコア”が浮かびあがる。
そして、ライトの足からホバーのように炎が吹き出て、横に一瞬で移動した。
キュミル:『暗黒のマンティコアの力をホバーに...。デュエリストによって、モンスターを想像したデュエルギアにしたり、拳やホバーとして扱うことができるが、まさか、高レベルの炎属性、獣戦士モンスターをこういう風に使うとはな』
ライトはもう1体のヒューマンゴブリンの背後に回る。
ヒューマンゴブリンは身体が追いつかず、後ろにいるライトに気付くのが遅れた。
ライトは蹴りで、ヒューマンゴブリンの体勢を崩し、上から炎の拳を真下にいるヒューマンゴブリン目掛けて放つ。
ライト:「炎拳!!!」
ヒューマンゴブリンにヒット。
2体のヒューマンゴブリンが塵となって消えた。
小鳥:「倒しちゃった」
等々力:「トドのつまり、これがプロの戦い方」
全員がライトの戦い方を見て、目を丸くする。
明らかに力の差が違い過ぎる。
短い期間で力を身につけたとはいえ、まだ基礎しか学んでいない自分たちには、あんなこと真似できるはずがない。
キュミル:「2体を、たった1分で倒すか。お前の力は本物だと認める必要があるようだな」
ライト:「来いよ。次はお前だ」
ライトが人差し指でキュミルに対し「来いよ」と挑発する。
キュミル:「生意気な。いいだろう」
キュミルがすぐ横にあるコンテナに向かってパンチする。
すると、コンテナに穴が開き、中から水が吹き出す。
「うおおお」っと、中にいるヒューマンゴブリンが苦しみだし、光の魂となり、キュミルの手に光の球が持たれる。
そして、その光は、緑色の剣となって、武器となった。
「ふん」
キュミルが剣を振る。
アリト:「巨人を武器にしたのか!?」
ギラグ:「ならば、あれはやはりデュエルモンスターズの精霊!」
キュミル:「行くぞ!」
キュミルが走って、ライトに接近する。
ライトは銃のデュエルギアを出し、発砲するが、洞察力がいいのか、キュミルはそれを全て躱す。
そして、ライトの銃とキュミルの剣が交差する。
2人が争っている中、色葉や万丈目たちも、ビル内へ潜入していた。
度々、ビルが揺れる。
色葉:「至るところで、戦いが始まってるみたいね」
亮:「ああ」
そういって、亮はサイバー・ドラゴンをモチーフにしたリボルバー式の銃を構え、近くにあった監視カメラに向かって発砲、破壊する。
色葉:「初めての実戦にしては随分冷静ね。流石は”カイザー”、皇帝の称号を持つデュエリストだわ」
亮:「そんなことより、俺たちはこれからどうするんだ?」
万丈目:「勿論、強行突破だ!」
万丈目がいきなり走り出す。
剣山:「ちょ、万丈目先輩!」
クロノス:「危ないノーね!」
万丈目は、アームド・ドラゴンLV7のデュエルギア、鋭い爪を持つクローを両手に出し、走り続ける。
その隣に、実体化したおじゃまイエローが出てきた。
おじゃまイエロー:「万丈目のアニキー、確認せずに出たら危ないわよ~」
万丈目:「俺は子供か!黙って見ていろ!クズ!」
そう言ったとき、壁から何かが出てきた。
監視カメラか?と万丈目は思ったそのとき、壁から出てきた何かから赤い何かが発射され、万丈目の肩に当たり、本人は倒れてしまった。
万丈目:「ぐわっ!」
万丈目が着る黒い服に焦げ跡がつき、更に出血もしている。
吹雪:「万丈目くん!」
エド:「一人で飛び出すから」
万丈目に向かって撃たれたのは、ビームで、おそらく壁から出てきたのは、侵入者防止の防犯装置だろ。
次々と壁から防犯対策の機械が出てきて、万丈目をロックオンする。
ジム:「万丈目!」
ヨハン:「危ない!」
みんなが叫ぶ。
色葉:「オブライエン、あなたの元傭兵の力を借りるわ!私の援護を!」
オブライエン:「普通、男が前に出るのが普通だが、戦い方を知っている君が前に出るのが的確な判断だな。了解した」
オブライエンがヴォルカニック・デビルの銃を出し、銃口から炎の弾を発射。万丈目のすぐそ側の床にヒットし、周りに煙が舞う。
色葉が背中からオレンジ色の翼を出す。
色葉:「行くわよ!」
色葉が飛び出す。
そして、小さいナイフを手に出し、防犯装置に向かって、接近する。
防犯装置は連発でビームを出すが、色葉はそれを全て躱す。
色葉:「当たらないわよ」
色葉が持つナイフがピンク色に光る。
色葉:「荒野の女戦士の力、嘗めないでよ!」
ナイフから斬撃が飛び、防犯装置のいくつかが真っ二つになる。
更に次々と破壊し、最後の一つは、レンズに向かって刺した。
色葉:「ふ~」
色葉が翼を消し、床に降りる。
翔:「万丈目くん、大丈夫?」
万丈目:「これぐらい、平気だ。ただのかすり傷だし、何ともない」
マルタン:「一応、手当てはしますね」
マルタンが念のために、持っていた医療道具で、万丈目の怪我の手当てをする。
色葉:「あんまり、好き勝手なことはやめてもらえる?私も面倒見切れないから」
万丈目:「誰が、俺の面倒を見てと頼んだ!」
万丈目が大きな声で怒る。
色葉:「はぁ、呆れた。怪我をして、まだ強気でいられるなんて」
万丈目:「これぐらい、どうってこと、痛っ」
肩に激痛が走った。
藤原:「無理しちゃダメだよ。大人しくしてないと」
万丈目:「ふっ、こんなことで挫ける俺じゃない。何たって俺は、プロデュエリスト、アジアチャンプ一位の一、十、百、千、万丈目サンダーなのだからな!」
万丈目が座りながら人差し指を指し、手を挙げる。
色葉:「威勢は認めるわ。でも」
色葉が、指を指す。
みんなが、指先の方を見る。
万丈目が出したクローが消えかけている。
色葉:「かすり傷ってさっき言っていたけど、そのかすり傷を一回負っただけで、デュエルギアが消えかけているのよ。普通、あり得ないわ。まだ、あなたは弱いって証拠よ」
万丈目:「なんだと!?俺が弱いだと、アジアチャンプ…」
色葉:「そんな称号、この世界では無意味よ。役には立たないわ。この世界はデュエルで解決できる世界じゃない」
色葉が少し怖い顔をする。
万丈目は色葉の顔を見て、動揺する。
色葉:「あの世界精霊大戦だって、そうだったでしょ」
その言葉に、みんながピクッと反応する。
一番、反応したのは、その大戦で英雄となった男の息子、剣代だった。
色葉は剣代を見る。
色葉:「あっ、ごめんなさい。私、変なこと言ったわね。さあ、先に進みましょう」
色葉の言葉通り、みんなが前に進む。万丈目も立ち上がり、自分の足で前へ進む。
その頃、ライトはキュミルの戦闘を繰り広げていた。
コンテナの後ろに隠れるライト。
顔を少しだし、キュミルの居場所を探す。
すると、いきなり斬撃が飛び出てきた。
ライトはそれを躱し、斬撃はコンテナに当たる。
よく見ると、当たったコンテナの場所が溶けている。
ライト:「毒か」
キュミル:「そうだ!かすり傷一つであの世逝きだ」
ライト:「あの毒タイプの武器は見たことがない。本当にあれは、精霊の力で作り上げたデュエルギアなのか?」
ライトが溶けているところを見て、考える。
キュミル:「余所見をするな!」
キュミルが再び、毒つきの斬撃をぶっ放す。
ライトは足からホバーを噴射し、飛ぶ。
しかも、結構高くに飛んだ。
ライト:「その斬撃は、飛ばせる距離があるみたいだな。ざっと、80メートルぐらいか」
キュミル:「気付いていたか」
ライト:「そう、連発していたら、気付くだろ。俺の炎拳は、100メートル以上も飛ぶ。ここなら、ヒットできるぞ」
ライトが右手に炎を纏う。
キュミル:「ふっ、なるほど、逃げるというのだな」
キュミルが挑発してくる。
キュミル:「ならば」
キュミルが刀身をなめて、小鳥たちの方を向く。
みんなが、ピクッとする。
ライト:「まさか!」
キュミル:「これならどうだ!!」
キュミルが、小鳥たちに向かって、斬撃を放つ。
ライト:「くそっ!!」
ライトが急いで戻る。
みんなの、戦闘経験では、この攻撃を躱すことはできない。
この斬撃は、小鳥たち目掛けて迫ってくる!!!
第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』
次回予告
ナレーション:小鳥たちを庇ったライトは、キュミルの毒を負ってしまい、重傷を負う。
それでも、キュミルを倒すだけのことを考え、攻め続けるライトだったが、戦闘中、キュミルはヒューマンゴブリンの正体を明かして、ライト達は更なる真実を知ってしまうこととなった。
小鳥:次回、遊戯王5DXAL「ヒューマンゴブリンの過去 消えたハンドの行方」
そんな、それじゃあ、この島の人達は...
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
ライト:「”デュエルギア”とは、デュエルモンスターズを武器にした道具や装備のことで、この世界の戦い方の基本中の基本だ。お気に入りや大切なカードをデュエルギアにして戦う人達が多いが、経験を積み重ねることで、複数のモンスターをデュエルギア、つまり武器にすることができる。また、俺みたいに、モンスターの属性を直接、拳などに纏い、戦う人達も多い。俺が放つ”炎拳”は、炎を拳に纏って、それを飛ばす、修行すればだれでもできるような技だが、破壊力は誰にも負けるつもりはない!」