第5話:『慎也VSクザン プライド勝負!』
ワックスポワロに建つビル内部へ単独で潜入した慎也。
天井についているカメラが慎也を追う。
レンズは慎也を逃さない。
『既に場所はわかってるはずだ。なぜ、何も仕掛けて来ない…』
慎也は周りのカメラを見ながら、呟く。
走っている最中、何か前の方から気配を感じた。
すぐ前にある右角から物音が聞こえ、足を止める。
慎也は胸元に隠し持っている本物の拳銃を握る。
物音が段々大きくなってきている。
そして、慎也は銃を構え出した、そのとき、角から人が出てきた。
クザン:「貴様は...!」
慎也:「お前は...!」
角から出てきた人の後ろからゾロゾロと人が出てきた。
クザン:「こいつは、思ってもいない客だな」
角から出てきた男が拳銃を構えて言う。
第1OP『衝動《B'z》』
第5話:『慎也VSクザン プライド勝負!』
慎也の前に現れた小隊。みんな、本物の拳銃を構える。
慎也:「まさか、こんなところで会うとはな。”サイファー”の”αG8隊”リーダー、クザン」
クザン:「上からの情報で、フロンティア数人が潜入していたとは聞いていたが、まさか、お前だったとはな。慎也」
クザンは銃を下げる。それについて行くように、他のみんなも銃を下げ、慎也も銃を下げた。
慎也:「クザン、ここは、サイファーの施設なのか?」
クザン:「まさか、俺たちも、調査で潜入したんだよ」
慎也:「目的は同じか」
クザン:「目的が同じであろうと、フロンティアとサイファー、俺たちは敵同士だ。馴れ合うつもりはない」
クザンが背を向ける。
慎也:「なら、俺たちの邪魔はするなよ」
クザン:「こっちのセリフだ」
そう言って、二人が、別々の場所へ行こうとした、そのとき!
ブー、ブー!!
いきなり、ブザーが鳴り始めた。
その音は、別方向から潜入していた葵や、海馬、城之内たちにも聞こえた。
城之内:「なんだ?この音!?」
クロウ:「少しやばくないか?」
城之内とクロウが少し慌てて言う。
葵:「慎也、応答して!何、この音?」
葵が無線で慎也に連絡する。
葵の声は無線で慎也に聞こえていた。
慎也が葵の声を拾おうとした、そのとき、慎也たちの周りがシャッターによって封鎖され、中に閉じ込められた。まるで蜂の巣のように。
そして、無線で届いた葵の声も聞こえなくなった。
慎也:「葵、葵!応答しろ!くそっ、シャッターの所為で、電波を遮断しているのか」
慎也が、そう言っていると、クザンが率いている小隊が、シャッターに向かって、発砲し始めた。
しかし、シャッターは傷一つ付かない。
「ダメか。ならば、デュエルギアで」
小隊の一人が、カードを1枚出す。
クザン:「よせ」
クザンがデュエルギアの発動を止めた。
クザン:「こいつは、ただのシャッターじゃない。”聖鉄”でできている代物だ」
クザンのいう、”聖鉄”というのは、デュエルギアの攻撃さえも弾くと言われている鉄で、収穫が困難とも言われている。
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慎也たクザンたちが閉じ込められている部屋を監視する謎の男たちが腕を組んでモニターを見る。
謎の男A:「これで、まずは厄介な奴らを封じ込めたな」
謎の男B:「ああ、あとは残りの奴らだな」
謎の男がモニターを切り替える。
そこには、他の侵入者である葵や色葉たちが映っている。
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シャッターによって閉じ込められた慎也たち。
クザン:「完全に閉じ込められたな」
クザンが落ち着いた感じで言う。
慎也:「よく、落ち着いていられるな」
クザン:「そういうお前こそ」
慎也:「慌てたって、何も起きないしな」
「フッ....」
クザンは少し笑う。
すると、いきなりデュエルディスクを腕につけた。
クザン:「慎也、何もしないのも暇だ。ここで、デュエルをしよう」
慎也:「なっ...お前、こんなときに!」
クザン:「こんな時だからこそさ」
クザンはフッと笑う。
慎也:「ん?なるほど、そういうことか。いいだろ」
慎也は腕につけている腕時計、ミッション・ウォッチからホログラムを出し、それを操作。すると、慎也の腕にデュエルディスクが装着された。
慎也:「来い!クザン」
「「デュエル!!」」
二人の掛け声でデュエルがスタートした。
両者LP4000
手札5枚
1ターン目
「俺の先行!ドロー!!」
慎也がカードをドローし、手札が6枚となった。
「”バルキリー・ナイト”を召喚!!」
慎也の前に剣士が現れた。
バルキリー・ナイト
攻撃力1900
「攻撃力1900のモンスター...いきなり飛ばしてきたな。だが、1ターン目は攻撃できない」
「そんな常識、言われなくともわかっている!1枚カードセットし、ターンエンド!」
慎也のターンが終了した。
『αG8隊クザン。デッキの特性は、”水!”』
慎也が確信を持つ。
2ターン目
両者LP4000
「俺のターン、ドロー!!」
クザンがカードをドローし、手札が6枚となった。
「この瞬間、トラップ発動!!」
「!?」
慎也が伏せカードを発動した。
「トラップカード”フェイクデッド”!!相手のドローフェイズ時に発動するトラップカードだ。デッキからモンスターカードを1枚墓地へ送ることで、相手は引いたカードを墓地へ送る!」
慎也がモンスターカードを1枚墓地へ葬った。
クザンも、引いたカードを墓地へと送る。
「ふっ、まだ始まったばかりだ。焦ることもないだろ。俺は”リチュア・アバンス”を召喚!」
クザンの前にモンスターが現れた。
リチュア・アバンス
攻撃力1500
「やはり、水デッキ」
「リチュア・アバンス効果発動!1ターンに1度、デッキから「リチュア」と名の付いたモンスター1体を選択してデッキの一番上に置く」
クザンはデッキから1枚選択し、それをデッキの一番上へ置いた。
「”天使の施し”発動!デッキから3枚ドローし、手札から2枚捨てる!」
クザンは、天使の施しの効果を使用し、手札のカードを変える。
『リチュアは儀式モンスターを上級モンスターに持つシリーズ。手札交換カードで、儀式カード、もしくは儀式モンスターを呼び出す算段か?』
「カードを1枚セットし、ターンエンド」
クザンのターンが終了した。
その頃、カメラ越しから2人のデュエルを見る者たちがいた。
謎の男B:「慎也にクザン、2人とも、冷静だな」
謎の男C:「聖鉄でできたシャッターで囲まれているにも関わらず、あの落ち着き...何かあるな」
謎の男B:「まさか。そんなことはないさ」
謎の男C:「だといいが」
そう言った緑髪の男性が部屋を出ようとする。
謎の男A:「どこへ行く?キュミル」
謎の男C(キュミル):「邪魔な奴らを排除するだけだ」
緑髪のキュミルは部屋を出た。
その頃、ライトや小鳥、アンナたちも、別ルートからビルへ潜入することができた。
ライトはミッションウォッチからホログラムを出し、地図を見る。
ライト:「この先は、倉庫か」
一馬:「地図によれば、そこを通れば、このビルのメインルームと思わしきところへ行けるな」
ゴーシュ:「このまま、進むか」
ドロワ:「この広さ、罠の可能性もあるが」
ピピッ
みんなのミッションウォッチから声が聞こえた。
『大丈夫よ』
明里の声だ。
明里:「そこの、防壁プログラムは解除して置いたわ」
未来:「明里が、みんなの行動を読んで、先にそこのプログラムを破壊していたのよ」
現在、船でみんなをサポートする明里と隣で立っている母、未来が言う。
徳之助:「流石、明里さんウラ。遊馬とは大違いウラ」
徳之助の、その一言で、小鳥が悲しい顔をする。
鉄男:「お前!」
等々力:「空気読んでください」
2人が徳之助に怒る。
徳之助:「ご、ゴメンウラ」
徳之助が謝る。
ライトが小鳥やみんなを見る。
「……」
ライトは、何も言わずに目を閉じる。
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随分前の話だ。
ライト:「本当にいくのか?」
謎の男:「ああ、俺がここにいても組織の邪魔だ。いや、邪魔だと思っている人が多いだろ」
ライト:「それは、上が勝手に決めていることだ。”孤独の法”なんてもの気にするな!それに、ここにいれば、何十年も会っていない仲間にもきっと会えるはずだ。多元世紀になって顔見てないんだろ?」
謎の男:「みんなは俺が死んでいると思っている。今の俺が前に出たら、幽霊だと思われる」
ライト:「それはそうだが...」
謎の男:「それに、俺は見てみたいんだ。多元世紀の世界を...。この混沌の世界を...」
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昔の話を思い出すライト。
あの時話していた男はどこにいるのかはわからない。
生きているのかも。いや、生きているはずだ。
あいつは、この多元世紀を終わらせるためのキーマンの一人なのだから。
ライト:「このまま、倉庫へ進む」
『でも、気を付けて。私がやったのは、防壁の解除だけ。その他はわからないわ』
通信で明里が注意する。
ハルト:「大丈夫だよ。ライトがいるし、いざってときは、兄さんもいるから」
凌牙:「今は前に行くしかねえ」
ライト:「ああ」
一馬:「明里、一旦、通信を切る」
『わかったわ』
明里が通信を切った。
ライト:「これより、北側へ侵入する。慎也さんは、今どこに?」
『どうやら、珍しいお客さんと会っているみたいよ』
色葉の声がミッションウォッチから聞こえた。
小鳥:「珍しいお客さん?」
『ええ、あなたたちは知らないと思うけど。サイファーのクザンよ』
ライト:「サイファーのクザン...水流のクザンか?」
『正解』
アンナ:「サイファーって確か、フロンティアと同じ大組織の一つじゃ」
璃緒:「その部隊が、このビルに?」
ライト:「面倒なことにならなければいいが...」
その頃、慎也とクザンのデュエルは3ターン目を迎えていた。
3ターン目
慎也:「俺のターン!」
慎也がカードをドローする。
慎也の手札5枚。
慎也は、近くにあった防犯カメラをチラッと見る。
慎也:『なにもするなよ...』
慎也は防犯カメラで見る者達に対し、心でお願いする。
慎也:「バルキリー・ナイト!リチュア・アバンスに攻撃!!」
バルキリー・ナイトが剣を構え、攻撃を開始する。
クザン:「甘い!トラップ発動!”聖なるバリア-ミラーフォース”!」
「!?」
クザンの周りにバリアが張られた。
慎也:「ここでモンスターを失うわけにはいかない!手札から速攻魔法!”捨て身の無効”発動!手札にある戦士族1体を墓地へ送ることで、トラップカードの発動を無効にする!」
慎也は手札にあった戦士族モンスターを墓地へ送った。
クザンの周りに張ってあったバリアが塵となって消える。
慎也:「その後、相手に800ポイントのダメージを与える!」
クザン:「ぐっ!」
クザン LP4000→3200
そして、バルキリー・ナイトは、そのまま、リチュア・アバンスを破壊した。
クザン:「ぬっ!」
クザン LP3200→2800
慎也:「ターンエンドだ」
慎也のターンが終了した。
部下A:「クザン隊長が押されている。」
部下B:「まだだ。まだ、隊長には秘策があるはずだ」
4ターン目
クザン:「俺のターン」
クザンの手札が5枚になる。
クザン:「行くぞ、慎也!儀式魔法”リチュアの儀水鏡”!」
慎也:「ここで、儀式モンスターを…!」
クザン:「俺は手札からレベルが6になるよう、モンスターを生贄に捧げ!」
クザンは手札から、1枚のモンスターを墓地へ送った。
クザン:「”イビリチュア・マインドオーガス”を儀式召喚する!!」
クザンの場に儀式モンスターが登場した。
イビリチュア・マインドオーガス
攻撃力2500
クザン:「イビリチュア・マインドオーガスの効果発動!儀式召喚に成功したとき、お互いの墓地のカードを合計5枚まで、選択し、デッキに戻す!」
慎也:「っ!」
クザン:「わかりやすい戦略だぞ、慎也。お前の目的は、バルキリー・ナイトの効果を使い、さっき捨て身の無効でコストにした上級戦士族モンスターを特殊召喚すること。そして、俺にトドメを刺すという戦略だろ。そんな常識は俺には効かん!さあ、墓地のカードを全てデッキに戻せ!」
慎也の墓地のカードを全てデッキへ戻した。
クザン:「マインドオーガスで、バルキリー・ナイトに攻撃!くらえ!」
イビリチュア・マインドオーガスがバルキリー・ナイトを破壊した。
「ぐっ!」
慎也LP4000→3400
クザン:「ターンエンドだ」
クザンのターンが終了した。
別の部屋で、デュエルを見る2人の人影。
謎の男A:「この勢いが続けば、クザンの勝ちだな」
謎の男B:「勝ち負けなどどうでもいい。我々の邪魔をするのであれば、最終的に排除するだけだ」
謎の男A:「ふっ」
慎也とクザンのデュエルは5ターン目と突入する。
5ターン目
慎也:「俺のターン!」
慎也がドローする。
慎也は引いたカードを見る。
慎也:『そろそろ、やりますか』
慎也はクザンを見る。
慎也の視線に気付いたのか、クザンが、ふっを笑う。
慎也:「俺はマジックカード”コスト・スキルダウン
”を発動!手札にあるモンスター1体を効果を無効にし特殊召喚し、そのモンスターのレベルを2下げる!召喚!”聖導騎士(セイントナイト)イシュザーク”!」
慎也の場にモンスターが君臨した。
聖導騎士(セイントナイト)イシュザーク
攻撃力2300
慎也:「更に、イシュザークをリリース!!」
部下A:「特殊召喚した上級モンスターをリリースするというのか。」
クザン:「更なる上級モンスターの召喚か」
慎也:「来い!”ブリザード・クルスナイト”!!」
白銀に輝く戦士が登場した。
ブリザード・クルスナイト
レベル7 攻撃力2500
慎也:「こいつは、戦士族1体リリースで召喚できる上級モンスターだ!ブリザード・クルスナイトでイビリチュア・マインドオーガスに攻撃!」
ブリザード・クルスナイトがイビリチュア・マインドオーガスに攻撃をする。
攻撃力は同じだ。
モニターで見る謎の男が、相打ち狙いかと呟く。
しかし、男はモニターから、クザンの顔を見る。
『いや、違う!』
クザン:「迎え撃て!イビリチュア・マインドオーガス!!」
イビリチュア・マインドオーガスが迎え撃つ。
クザン:「みんな伏せろ!!」
クザン叫びに、部下たちが伏せた。
2体のモンスターの攻撃がぶつかり合い、周りに爆風が舞う。
聖鉄でできたシャッターが、グラグラと嫌な音を鳴らすと、そのまま吹き飛んだ。
カメラも吹っ飛び、壊れる。
モニターで見ていた男たちも驚く。
謎の男B:「これは!?」
謎の男A:「してやられたな。例え、聖鉄でできたシャッターでもモンスター同士による攻撃で発生する爆風には耐えられまい」
聖鉄でできたシャッターを吹き飛ばした、ブリザード・クルスナイトとイビリチュア・マインドオーガスが消える。
クザンの部下たちが席込みながら、爆風の中から出てきた。
部下A:「隊長!」
クザン:「ごほごほ、こりゃあ参った」
慎也:「お前が考えた案だろ」
2人も爆風から出てきた。
クザン:「何とか脱出できたな」
慎也:「ああ、俺はこれから、奥へ進む。お前は?」
クザン:「俺たちとお前たちの目的は似ているようだが、さっきも言った通り馴れ合うつもりはない。フロンティアとサイファーは敵同士なのだからな」
慎也:「そうか」
慎也がクザンに背を向ける。
慎也:「生きてまた会えるといいな」
クザン:「そのときは敵同士だ」
慎也:「そうだな」
慎也は走って先へ進む。
慎也の姿が見えなくなったところで、クザンが部下に指示を出す。
クザン:「いいか、お前ら。我々、αG8隊は、この施設に潜む謎の解明だ。何としても、ここの情報を手にするぞ!」
部下たちが一斉に「了解!」と叫ぶ。
クザンたちも、この場を後にした。
その頃、他のフロンティアのメンバーも先へと進んでいた。
しかし、このとき、彼らは気付いていなかった。
本当の戦いが、すぐそばにあるということに。そして、恐怖を感じることに.....
第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』
次回予告
ナレーション:ビルの奥にある、倉庫に着いたライトたち。
そこに現れた、謎の敵キュミル。
キュミルは、ゴブリンのような巨人を操って、ライトたちに襲いかかってきた。
しかし、仲間を守るため、ライトはついに、力を解放した!
ライト:次回、遊戯王5DXAL「ライト 燃える拳は我が心にあり!」
これが、全てを燃やしつくす、俺の拳!!
遊戯王5DXAL豆知識コーナー!!
慎也:「多元世紀とは、過去と未来、平行世界と異次元世界が入り混じった混沌の世界で50年の歴史が存在する。そんな世界で戦争しているのが、デュエリストと呼ばれている者たち。カードでデュエルをするだけでなく、カードを武器として扱い本当の殺し合いをするほど、この世界は危険になってしまった。そんな世界を終わらせようとしているのが、俺たち大組織「フロンティア」なのだが、考え方が違う組織も多数存在し、今回、俺の前に出てきた、クザンも、大組織「サイファー」に所属している。他にも、組織は存在するが、それはこれからのお楽しみだ。