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第3話:『デュエルギア』






フロンティア本部





訓練所



周りの電気を一斉に点灯する。



訓練所の広さは、学校の体育館ぐらいあった。




そこに、慎也が入ってくる。




「よし、ここでやるとするか」


「慎也、準備はOKよ」
慎也の後にもう1人、女性が入ってきた。

「ああ、手間を取らせたな、葵」
慎也が女性の名を呼ぶ。

「別にいいわよ、暇だし。それより、みんなにはどれぐらいの期間を与えるの?そんなに時間はないんでしょ?」

「ああ、与えられる時間は、1週間弱だろ」

「そんな短期間で、”デュエルギア”を出すコツを教えるの?ちょっと、無理あるんじゃない?」

「かもな、だが、それでも時間はない。やれるところまでやるさ」
慎也が葵の隣を通り、訓練所を出る。


「そう…」









第1OP『衝動《B'z》』






第3話:『デュエルギア』






食堂




春:「はーい、朝ごはんじゃよ」

トメさん:「残さず、食べるんだよ」

2人がそういうと、セイコや未来、マーサたちがご飯を配る。と言っても、朝食などで、あまり量はない。それでも、パンやご飯、種類は沢山ある。



剣山:「やっぱ、朝はご飯に限るドン!」
ご飯をかき上げる剣山。口の周りにご飯粒が沢山ついている。

ブレイブ:「もう少し落ち着いて食べろよ。ご飯粒が沢山ついているぞ」

剣山:「済まないドン」

ドラガン:「大人げない」

周りのみんなが笑う。



ハラルド:「あなた方は、こういった仕事に就くことになったのですか?」
ハラルドが、トメさんたちに聞く。


セイコ:「はい、デュエルモンスターズをあまり知らない私たちは、SOA特務隊直属の人員補佐として働くことになりました」

トメさん:「と言っても、例え補佐でも護身用に技を磨かないといけないみたいだけどね」

春:「あまり、年寄をいじめないでほしいものじゃ」


マーサ:「ちなみに私はシュミット先生と一緒に医療機関に入ったわ」

雑賀:「マーサとシュミット先生は医療に手馴れているからな。お似合いの場所だろ」

シュミット:「そういえば、雑賀くんは分析官と情報係に入ったみたいだな」

雑賀:「ええ、俺はそっちがお似合いですから」


吹雪:「そういえば、恵美は、SOA特務隊直属の医療機関のリーダーになったみたいだね」

恵美:「え、ええ、みんなの推薦でね」

藤原:「鮎川先生ならうまくいきますよ」

吹雪:「藤原、今は鮎川先生じゃなくて、天上院先生だよ。間違わないでくれたまえ」
恵美の旧姓は鮎川だが、今は吹雪と結婚して天上院になっている。

亮:「俺たちにとっては鮎川で定着しているんだ。仕方がないだろ」

吹雪:「いや、夫として見逃せない!」

「パパ、人前でも相変わらずだね」
吹雪と恵美の18歳の娘、天上院亜美が恥かしそうに言う。

自分の父がこうだと、娘としてやっぱり恥ずかしいのだ。

梨香:「ねえ、亜美。次元振動が起きる前、あなたがいたときのおじさんも、こんな感じだったの?」

亜美:「ええ、40過ぎても、変わらずだったわ。ホント、迷惑の父よ」

珠里:「でも、いいよね。パパがいて」

梨香:「珠里…」

珠里:「あ、ごめん。お姉ちゃん。私そういうつもりじゃ。さっさとご飯を食べましょう。今日は、このあとすぐに訓練所へ行くんだから」
珠里は急いで、マーガリンのついた食パンを食べる。


イェーガー:「それでは、私はお先に失礼します」

龍可:「もういいの?」

イェーガー:「ええ、少し家族に電話をしてきたいので」
イェーガーは食堂を後にする。

龍亜:「そういえば、イェーガーって何してるんだ?」

ミゾグチ:「人員補佐らしいです。それも、代表」

龍亜:「ふ~ん、それってやっぱり家族のために?」

ミゾグチ:「ええ、ネオ童実野シティが消え、市長の座を無くした彼は、何とかやりくりし過ごしているそうです。ここで働いたお金も、全て、妻と息子に与えるそうですよ」

シェリー:「昔の彼だったら想像もできないわね」
シェリーが笑う。

風間:「そうだな。それでも、今は家族のためにやることをやるって決めたんだろ。いい奴じゃねえか。それに比べてあいつらは」
牛尾の知り合い風間が後ろを振り向く。


そこには床をモップで拭く、インセクター羽蛾とダイナソー竜崎の姿があった。


羽蛾:「なぜ、僕たちが、こんなことをしなくてはならないんだ!」

竜崎:「そうや!これは差別や!えこひいきや!」
2人が文句を言う。



なぜ、二人が、こんなことをしているかというと、昨日、会議が終わった途端、彼らはひょっこり姿を消した。

向かった先は、カードが保管されている地下金庫室だ。

そこにこっそり入るつもりが、セキュリティに引っ掛かり、取り押さえられてしまった。



その罰として、こんなことをしているんだ。



オボミ:≪罰ゲーム、罰ゲーム、チャント働け、チャント働け≫
ロボットのオボミが2人の周りを走る。

オービタル:≪ホラチャント働け!このボンクラ共!≫
オービタルが怒る。


竜崎:「うるさいわい!働けばいいんやろ!働けば!」

羽蛾:「くそっ、覚えていろ」
2人は再び仕事に入る。





杏子:「二人は、ちゃんと働いているよね」

レベッカ:「そうみたいね」

杏子:「そういえば、レベッカ。ホプキンス博士はどうしたの?双六おじいさんもいないみたいだけど」

ジム:「鮫島校長と影丸理事長もいないみたいだが?」


レベッカ:「ああ、おじいちゃんたちは、SOA特務隊の相談役の仕事を任されたみたいだから、もう仕事に入ってるんじゃない?」

杏子:「相談役?」

杏子がそういうと、そこに慎也が来た。


慎也:「SOA特務隊の相談役は、人員補佐や監査員をまとめ上げる業務のことだ。何、仕事場はいつもと同じさ」

杏子:「慎也くん」

慎也:「くんはいらないですよ。杏子さん。それより、食事を終えたら、すぐに訓練所に来てくれ。みんなに覚えてもらいたいことがある」








――――――――――――――――――








訓練所





まず、慎也が訓練所へ入り、そのあとに、杏子や城之内たちが入室する。


既に、訓練所には、女性1人が待機していた。




「待たせたな、葵」

「別に待ってないわ。それより、準備はできてるわよ」

「ああ」


本田:「慎也、その女、誰だ?」

慎也:「俺が指揮する8係に所属する立波葵だ」

「立波葵よ。葵って呼んで」
青い短髪で前髪をヘアピンで止めている女性、葵が自己紹介する。

慎也:「ちなみに、俺の恋人だ。よろしく」

モクバ:「こ、恋人!お前に恋人がいたのか」

慎也:「いて悪いですか?」

モクバ:「いや、別にそうじゃねえが」


鬼柳:「それより、俺たちをここに呼んだ理由はなんだ?見せたいものがあるっていってたが」

「ああ、見せたいのはこいつさ」
慎也は右手に1枚のカードを手にする。

そのカードは”サンダードラゴン”だった。


エド:「サンダードラゴン…?それが、どうした?」

「まあ見ててくれ」
慎也は皆に背を向ける。

何かをしようというのか。

「デュエルギア…発動!」
サンダードラゴンのカードが輝く。


すると、そのカードが、リボルバー式の拳銃へと変わった。



ドラガン:「な、何が起きたというのだ?」

ゴーシュ:「カードが銃になったぞ!?」
皆、何が起きたか理解できなかった。


慎也:「これが、”デュエルギア”だ」

ドロワ:「デュエルギア?」

慎也:「ああ、人間の体内に流れる”デュエルエナジー”をデュエルモンスターズに与え、それを武器にする。武器の形状は、自身が理想した武器になるし、上級者は、手元にカードを持たなくても武器のみを出すことが可能だ」

亮:「これを俺たちに?」

葵:「ええ」
葵が慎也の隣に来る。

葵:「これが基礎の戦いよ。世界中で戦争する人たちは、ほとんどこれを使っているわ。デュエルエナジーを操り、デュエルギアを発動して、戦っている。情報係でも護身用で持っている人は沢山いるわ」

慎也:「ここにいる、みんなには、しばらく、この技術を身につけてもらう」

御伽:「やってすぐに身につくものなの?」

慎也:「いや、まず、デュエルギアを出すことよりも、デュエルエナジーの使い方をマスターしなければ、話しにならない。さっきも言ったがデュエルエナジーは、人間の体内に流れるエネルギー。デュエルギアを出すためには、エナジーを出したいところに気を集中させて、頭の中で想像した武器を手元に出す。エナジーのコントロールは、そう難しくないし、コツさえ掴めば、簡単だ」


「よーし、やってやるぞ!」
城之内が手元に”炎の剣士”のカードを出す。

静香:「お兄ちゃん、無茶よ!」

舞:「そうよ、エナジーのコントロールも分かってないし」


城之内:「うるせぇ、やってみなきゃわからねえだろ!来い!これが俺のデュエルギアだ!!」
城之内が持つカードが輝く。


すると、驚いたことに、城之内の手元に炎を吹き出す大剣が出ていた。


城之内:「おお、やったぜ!」

翔:「うそー、始めてなのに、もうできちゃった!」

レベッカ:「城之内、あんた才能あるんじゃない!」

城之内:「そ、そうか?」
城之内が少し浮かれる。


すると、


モクバ:「兄様もできたの?」
モクバが海馬を見る。

みんなが海馬に注目すると、海馬の手元に”ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン”を模した剣が出ていた。

大きさは普通の剣と同じぐらいだが、刃は青龍刀に似ていた。


城之内:「俺だけかと思ったが、海馬、お前も才能あったみてぇじゃねえか」

海馬は聞いてない振りをする。

城之内は気に食わなかったのか、怒り出す。

城之内:「毎度毎度、その態度が気に食わねえんだよ!ああ、海馬!」

「まあまあ、落ち着け」
マリクが後ろから城之内を押さえる。


「これは思ったより、早くかたがつきそうね」

「ああ」
葵と慎也がひそひそ話で話す。


クロウ:「俺たちも負けてられないぜ!なあ、ジャック」

ジャック:「同然だ!このキングに不可能はない!」

深影:「さすが、アトラス様!」


ハルト:「兄さん、僕たちも頑張ろう」
ハルトがカイトに嬉しそうに言う。


鉄男:「よーしやってやるぜ!」



慎也:「やる気があるのは十分ありがたいんだが、これは遊びじゃない。それを肝に銘じとけって…聞いてないな」
慎也が唖然とする。既に、皆、準備に取りかかっているからだ。

葵:「まあ、いいんじゃない。期限も決められているし、やらせておけば」

慎也:「フッ。そうだな」


――――――――――――――――――






世界の大組織の1つ、”サイファー”の本部





「”ワックスポワロ”か…。この島はどの組織が所有している?」
メガネをかけた身長の長い老人が聞く。


部下:「は、この島はかつて、”ハンド”という中組織が所有していたと記録されています」


「かつて?」


部下:「ええ、ハンドは10年前に既に壊滅しています。同時のボスの遺体も発見されていますし間違いないかと」


メガネをかけた老人が椅子に腰かける。




世界の大組織の1つ、”サイファー”
総帥:ジェームズ・H・ウィリアム



彼こそがサイファーのボスである。


ジェームズ:「我々が最後に、この島に踏み入ったのはいつだ?」

ジェームズの前に立っている部下が手に持つ資料を見直す。


部下:「この記録には何も書いてないですね。おそらく、壊滅してから、我々がその島に潜入していることはないかと…」

「そうか…」
ジェームズは椅子を180度回転し、窓から水平線を眺める。


部下:「総帥、どう対処なさるのですか?」

ジェームズ:「αG8隊を呼べ」

部下:「特殊急襲部隊をですか…!?」

ジェームズ:「そうだ。この件は彼らに任せるとしよう」








――――――――――――――――――




フロンティア訓練所




ヨハン:「出ろ!サファイア・ソード!」
ヨハンが右手にサファイアのような青い刀身をした剣を出す。


すぐ近くで、オブライエンが銃を構えて、周りを警戒するかのようにして銃を構える練習をする。


よく見るとオブライエンが持つ銃は普通の銃と型が違う。

そう、これがオブライエンのデュエルギア、”ヴォルカニック・デビル”の力で作った銃。

黒の配色にオレンジ色のラインが無数に入っている。


オブライエンは腰につけている銃型のデュエルディスクも構える。



凌牙とカイトが2人で特訓をする。



凌牙は”ブラックレイ・ランサー”で作り上げた黒い槍を、カイトは”ギャラクシー・フォトン・ドラゴン”で作り上げた青龍刀を手にし、修行をしていた。




こうやって、武器を出すコツを掴んだものもいるが、中にはコツを掴めない奴らもいた。



龍亜:「出ろ!出ろ!!」
龍亜が”ライフ・ストリーム・ドラゴン”のカードを手にし腕を思いっきり振るがカードは何も反応しない。

龍亜:「くそっ、何で何も起きねえんだ?」

「才能がないんじゃない」
双子の妹、龍可が龍亜を小ばかにする。

龍亜:「そういう、お前はできたのかよ」

龍可:「うん、ほら」
龍可は手元に出した”クロスボウ”を見せる。

小さいが龍可、いや、女性にぴったりの武器だ。

型からして”エンシェント・フェアリー・ドラゴン”だろう。

龍亜は心の中で悔しかった。

「俺、やっぱり才能ねえのかな」

「そんなことないんじゃない?」
そこに、色葉が入ってきた。


龍可:「色葉さん」

龍亜:「色葉の姉ちゃん」

色葉:「嬉しいわね、34の私を姉ちゃんだなんて、なんか若返った気分。龍亜、そんな簡単に諦めちゃっていいの?まだ、やって、5時間しか経ってないわよ?」

龍亜:「でも、みんなできてるのに、俺だけ」

色葉:「世の中にはうまく人とうまくいかない人がいる。当たり前のことよ。でもね、うまくいかない人も火が付けばうまくいくときがあるのよ」

龍亜:「火がついたとき?」

色葉:「そう、火が付いたとき。あなたは、今まで、どうして戦ってきたの?」

龍亜:「どうしてって、勝ちたいから…」

色葉:「それは、戦ってからの目的でしょ。私は、戦う理由を聞きたいの」

龍亜:「戦う理由…?」

色葉はため息をつく。

色葉:「仕方ないわね。じゃあ、ヒントをあげるわ。あなたとあなたの妹の前に殺人犯が現れました。殺人犯はナイフを突き刺し、2人を脅します。では、あなたが真っ先に取る行動はなんでしょうか?」

龍亜は考えずにすぐ口が開いた。

「それは、妹を守ること」
ピカーン。

その瞬間、龍亜が持つライフ・ストリーム・ドラゴンのカードが輝き出す。


そして、カードがナイフのような形になった。


龍可:「カードがナイフに!」

龍亜:「で、できた…?できた!」

色葉:「それが、あなたの力の源よ。その思いを忘れなければ、カードは応えてくれるわ」

龍亜:「ありがとう、色葉の姉ちゃん!」

色葉:「どういたしまして」




龍亜がデュエルギアの発動を成功する中、慎也は、ツバキや剣代たちの様子を見ていた。




ツバキ:「結衣姉さん、僕やったよ」

結衣:「私もよ!」
2人は杖のような武器を出していた。ツバキは長い杖を、結衣は、短い杖を持っていた。


剣代:「E・HEROネオル、抜刀!」
剣代が白い剣を出す。

一星は槍を出している。


慎也:『やはり、早いな』
慎也は時間を見る。



慎也:「休憩にしよう。昼もとっくに過ぎているしな」

葵:「そうね。そうしましょ」


ジュンコ:「もうお腹ぺこぺこ」

ももえ:「久しぶりに動きましたわね」


徳之助:「メシウラだ。メシ!」
徳之助が大喜びする。








ワックスポワロと呼ばれている島




その島の中央に建つ高いタワー。


周りは、山で囲っている。


そのタワーの中から、男性らしき声の悲鳴が聞こえた。





「助けてくれ!死にたくない!死にたくないんだ!!うわあああああ!!」
椅子に座って拘束されている男性に器具が襲う。


周りでは白衣を着用しサングラスを着た男性数人が見ていた。


「うわああああああ!!」
男性の姿が変わっていく。

まるで、モンスターだ。

だが、さっきまで悲鳴を上げていた男性が突然、静かになった。


パソコンの画面に映る心拍数を見ると、線は平行に流れている。


男性A:「死亡を確認。また、失敗だ」
男性1人がパソコンの画面で器具のコントロールを止める。


拘束されていた男性は変わり果てた姿で草臥れていた。意識はない。


高速を解除する。


男性B:「この男のデータを見せてくれ」
男性Bが男性Aからデータ資料をもらう。

男性Bは資料を見る。


「デュエルエナジーのコントロールランクはC。最下位の1つ上か」
男性Bは資料をデスクに置く。


男性C:「これではっきりしたな。うまくいく人間は、コントロールランクがB以上ではならないということが」

男性B:「ああ、ランクがC以下の者たちは、お役御免。処分するとしよう」
男性Bが部屋を出る。

男性A:「人間とモンスターの完全融合…。肉体をデュエルモンスターズ化し常人以上の力を手にする…。この実験がうまくいけば、世界中に戦争をもたらし、一気に型が付くと思っていたが…」

男性C:「うまくいく者たちが、こうも少ないと、世間に運ぶのはもう少し後になるな」

男性A:「あとにはしない。これを完成させ、戦争をいち早く終わらせる。そのためには、まだまだ研究が必要がある」
男性Aがニコッと笑う。

その笑みの裏にある真相とはいったい何か?








――――――――――――――――――




フロンティア本部





訓練所






デュエルギアを出す修行を初めてから5日後



既に、ほとんどの人がデュエルギアを出すことができていた。




本田:「うりゃあ!」
本田は”コマンダー”をモチーフにしたランチャー方を放ち、訓練所の壁に当てる。


御伽:「うわっ、ちょっと本田君!危ないじゃないか!」

本田:「あー、わりぃわりぃ、まだうまくコントロールができなくてな」

御伽:「ったく」
御伽は本田に呆れた。




翔:「剣山くん、僕もやっとできたよ」
翔の手には、小さいドリルが握られていた。おそらく、”ドリル・ロイド”の武器だろ。

剣山:「それでどうやって戦うドン…?」

翔:「それは……わからない」

剣山:「ダメドン…」

翔:「そういう剣山くんは、どうなのさ!」

剣山:「俺ドン?」
剣山は右手に”ブラック・ティラノ”のカードを出し、腕を振り上げる。

すると、鍔がティラノの顔をした大剣が出てきた。

剣山:「俺のは、これドン」
剣山は大剣を見せびらかす。

翔:「うっ…僕のより強そう」




鮫島:「どうやら、皆一通りできたようだね」
そこに鮫島が入ってきた。

後ろには、影丸や双六、アーサーがいた。


亮:「鮫島校長、今までどちらに?」

鮫島:「百々原元帥と慎也くんと一緒に話しをしていた」

エド:「話し?」

鮫島:「その話を今、話したい。すぐに、会議室まで来てくれ」
鮫島の顔が真剣な顔になる。


皆は、修行を切り上げ、会議室に向かった。



一体、何の話だろう。皆が気になっていた。



だが、その中、色葉だけがため息をついていた。


『やっぱりやるのね』
色葉が心の中で言う。


色葉は何の話しなのか健闘はついていた。








会議室に呼ばれたみんな。



前には鮫島や慎也が立っていた。




「それで、話しとは何だ?」
万丈目が腕を組んで偉そうにして聞く。



慎也:「上層部から任務を預かってきた」


ペガサス:「任務?」

慎也:「ああ、ワックスポワロという島に侵入して、その内部を調査するという任務だ」


モクバ:「なんだ?そのワックスポワロって?」


葵:「かつて、”ハンド”という中組織がアジトにしていた島よ。今は、廃墟の島と言っても過言ではないわ」

イシズ:「かつて?ということは今は」


慎也:「ハンドは既に10年前に壊滅した組織だ。既に、この世にはない」


海馬:「なぜ、そんな島を調査する必要がある。くだらんことで時間を潰すのであれば、俺は降りる」


慎也:「それを今から説明する」
慎也の背後に巨大スクリーンが出てきた。

そこに、ワックスポワロと思わしき島が映像に流れた。

慎也:「これは、フロンティアの調査部隊が取った映像だ。これを見て、1つ気になることがあるはずだ」

慎也の言う通り、1つ気になるものがある。それは、島の中央にある高いビルだ。しかも、まだ新しいビルだ。


アキ:「廃墟になった島なのに、どうしてあんなのがあるの?」

慎也:「それを俺たちが調査することになった。このビルを侵入して、内部の確認をする。先日、この島に侵入する怪しい人影の集団が見えた」


恵美:「もしかして、ハンドの残党…!」


葵:「それは考えにくいわ。なぜなら、戦いで生き残ったハンドの残党たちは、どこかの中組織によって、公開処刑されて全員が抹殺されたもの」


リシド:「亡霊の復活ですか…」
リシドは小さい声で言う。


慎也:「とにかく、この任務がみんなの初任務になる。気を引き締めてくれ。出発は今日の夜だ」







集団の話し合いが終わり、部屋には慎也と葵の2人だけになった。



「本当によかったの、みんなを任務に参加させて」

「いずれは、参加するんだ。早いことにこしたことはない」

「ま、そうだけど。ほとんどの人は、デュエルギアを発動することができたし、任務事態には参加できるでしょうね」

「だが、デュエルギアを使えるようになったとはいえ、みんなには、恐怖を知ることになる。皆がそれに耐えられるかどうか」


「そこは、賭けしかねえだろ」
金髪ヘアで右耳にピアスをつけた男性が部屋に入ってきた。


慎也:「哲平…」

哲平:「あいつらは、覚悟の上で、このフロンティアに入ってきたんだろ?なら、味わってもらうしかねえだろ。人を殺すという味わいを…」

慎也:「それはそうだが…」

哲平:「考えても仕方がねえ。やることは実行に移すまで、それが俺たちSOA特務隊だろ」

葵:「そうね。私たちは、みんなの面倒を見ることになっているのだから」

慎也:「そうだな」











――――――――――――――――――





三沢がミッション・ウォッチからホログラムを出し、何かを調べていた。


「ワックスポワロ…」
どうやら、今回、潜入するワックスポワロについてのようだ。


「武装集団で構成された中組織”ハンド”が、アジトにしていた島。しかし、10年前にこの島で起きた戦争により、ハンドは壊滅。残党たちも、ハンドに勝利したと思われる組織によって公開処刑された」
三沢は公開処刑のときの動画を見る。


のこぎりで首を斬首し、人を次々と殺していく動画だ。


「人間がやるようなことじゃないな…」






――――――――――――――――――



その頃、杏子は、個室のソファーに座っていた。

手に持っている”ファイヤー・ソーサラー”のカードを見る。

『私の力か…』
杏子は高校時代の出来事を思い出していた。


杏子に取って、高校生活は青春ではあったが、同時に大変な時代でもあった。


でも、そんな出来事があったからこそ、杏子は好きな人ができた。

初恋の人、遊戯…ではなく、遊戯のもう一つの人格、”アテム”。

彼が杏子に取って、初恋の人である。

だが、杏子は、自分の気持ちを彼に伝えることができず、永遠の別れをしてしまった。


「けど、それ以上にあなたのことは好きよ。遊戯」
杏子はソファーから立ち上がり、部屋を出る。


後にした部屋のテーブルの上には遊戯の写真が置いてあった。







――――――――――――――――――





数時間後、みんなは、ネオコーポレーションシティの街外れにある港へと向かっていた。



そこには、2人の男性がいた。


慎也:「なんだ。もういたのか」

男性:「ええ、やることがなかったんで」

哲平:「俺は船の準備をしていただけだ」


小鳥:「えーと、どなたですか?」
小鳥が色葉に聞く。

色葉:「そっか、みんなは初めてだったわね」

哲平:「俺はSOA特務隊8係副リーダーの原森哲平だ」

男性:「SOA特務隊6係副リーダーの矢橋ライトだ。よろしくな」
黒髪の天然パーマの青年が言う。


慎也:「今回は、8係を中心に、みんなにも協力してもらう。ライトは保険だ。6係に許可をもらって、借りてきた」

ライト:「人をモノのように言わないで下さいよ」
そういうと、ライトは小鳥たちに近づく。


ライト:「というわけでよろしくな」

小鳥:「こちらこそよろしく」

ライト:「やっぱり、君たちとは仲良くできそうだ」

小鳥:「え?」

アンナ:「とはって、何か俺たちのこと知ってんのか?」

ライト:「少しな。あいつに色々と聞いたし」

璃緒:「あいつ?」

すると、慎也がライトの肩を掴む。

慎也:「それ以上は話すな」

ライト:「わかってますよ」

慎也:「それじゃあ、みんな船に乗ってくれ」
慎也とライトはみんなから離れる。

すると、一馬は、ライトの背中を見る。

一馬:『なんだ?なんだ、彼は。まるで面影が…』
一馬はライトの面影に遊馬が見えた。




すると、明里が一馬に声をかける。


明里:「どうしたの、父さん?」

一馬:「いや、何でもない。それより、明里、お前は同行するのか?」

明里:「うん、一応、情報係だし。母さんとおばあちゃんも乗るみたい」

一馬:「そうか。なら、父から言えることは1つだ。気を付けろ。もう二度と遊馬のようなことは起こしたくない」

明里:「うん、わかってる」





ツバキ:「なんか、いざいくぞってなると、緊張するね」

結衣:「なによ、今更、ほら行こう」
結衣はツバキの背中を押し、船に乗る。



杏子:「ついに始まるのね、私の、いえ私たちの戦いが…」
杏子も船に乗る。









しばらくして船は出向した。



その船を、影丸が見送っていた。





羽蛾:「なぜ、ここまで来てお掃除をされなくちゃいけないんだ!」
船に乗せられた羽蛾と竜崎だが、雑用係として船内の掃除をさせられていた。



闇川:「あの二人、ここまで来てまだ掃除をさせられているんですか?」

六十郎:「城之内とかいう奴の話しを聞けば、かなり面倒な奴らしい。一から鍛え直しじゃ」

闇川:「なるほど、あなたの策略ですか」

六十郎:「そういうことじゃ」
闇川と師匠の六十郎が笑って話をする。





船の艦首に双六とアーサーがいた。


双六:「ついに始まるのじゃな」

アーサー:「ああ、若者たちを戦いに参加させるのは反対だが、それでも、世界を取り戻すためには、仕方がないのかもしれんな」

双六:「ああ、だが、SOA特務隊の相談役として、ワシらがみんなを支える。そうじゃろ」

アーサー:「ああ、どんな戦いが待ち受けようと、レベッカたちを死なせるつもりはない!」


ついに、初任務の幕が開く。





第1ED『あふれる感情がとまらない《生沢佑一》』





次回予告



ナレーション:ワックスポワロへついたSOA特務隊の一行。

島全体は、人1人の気配がなく、沈黙を続けるだけだった。



一方、その頃、SOA特務隊が上陸した方とは逆の方では別の者たちが、ワックスポワロに上陸していた。



小鳥:次回、遊戯王5DXAL「沈黙の島 ワックスポワロへ潜入開始!!」

ついに、潜入開始よ!!
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